若干のネタバレを含みます
滅多に上映されないファスビンダー「デスペア」観てきました。
ファスビンダー映画祭2016は他にも日本初公開の「シアター・イン・トランス」やファスビンダーについてのドキュメンタリーもあり、すごい展開です。
「デスペア」はダーク・ボガードやゴットフリート・ヨーンなどの有名な人たちが出ている意欲作だけれど、やっていることは実にファスビンダー臭いいつものノリ。
そこにダーク・ボガードが見事にすっぽりはまっているのがお見事。長年のファスビンダー組みたいなギラギラした演技を見せるダークは素晴らしい。
しかしナボコフの原作もこんなに関節外し的なものなのかしら??犯罪を仕組んだもののあっさり肝心の部分がアレでアレするとは。。思わず客席も失笑する唖然。。な展開をお楽しみに。
脚本は珍しくファスビンダーではなくトム・ストッパードという人。ファスビンダーのインタビューによれば、共同作業的に出来上がった脚本ということだけど。
他の作品にあるような、ヒリヒリしたいたたまれないような人物描写は比較的(比較的ね)引っ込んで、プロットの面白さに重点が置かれている感じ。
時系列的に不思議なところとか(警察が訪ねてくる一連の繰り返しとかね)、ふっとサブリミナル的に差し挟まれるカットとかその辺が完成の域にある。
予算もスターも脚本も揃えて英語で撮った「デスペア」でカンヌに乗り込んだということなので、力を入れて整えたのだろう。
(カンヌで盛り上がったのは、プライベート上映した「マリア・ブラウンの結婚」の方だったけど)
とはいえ、その端正な要素を思わず突き破ってしまうのが、なんだかんだ言って存在感ありすぎる「いつもの」面々なのは、やはりすごい。
紫色のスーツで登場し、ナチス服にお色直しをするペーター・カーン、いかにも邪魔くさいウザい従兄弟のフォルカー・シュペングラー。彼らの印象はいつものことながら主役級に残る。
ペーターなんかは、ダニエル・シュミット作品などでもあれだけ場をさらっておきながら、「別に役者やりたいわけじゃないんだよ」みたいな人だったというから、すごいよな。
ああそれと、ペーア・ラーベンの音楽。冒頭タイトルが出た瞬間に音楽で場を異様な空気に変える恐るべき曲者。ファスビンダー世界の、生理的にいたたまれなくなる要因の多くはペーアが作り出していると思う。あれはすごい。
@アテネ・フランセ
滅多に上映されないファスビンダー「デスペア」観てきました。
ファスビンダー映画祭2016は他にも日本初公開の「シアター・イン・トランス」やファスビンダーについてのドキュメンタリーもあり、すごい展開です。
「デスペア」はダーク・ボガードやゴットフリート・ヨーンなどの有名な人たちが出ている意欲作だけれど、やっていることは実にファスビンダー臭いいつものノリ。
そこにダーク・ボガードが見事にすっぽりはまっているのがお見事。長年のファスビンダー組みたいなギラギラした演技を見せるダークは素晴らしい。
しかしナボコフの原作もこんなに関節外し的なものなのかしら??犯罪を仕組んだもののあっさり肝心の部分がアレでアレするとは。。思わず客席も失笑する唖然。。な展開をお楽しみに。
脚本は珍しくファスビンダーではなくトム・ストッパードという人。ファスビンダーのインタビューによれば、共同作業的に出来上がった脚本ということだけど。
他の作品にあるような、ヒリヒリしたいたたまれないような人物描写は比較的(比較的ね)引っ込んで、プロットの面白さに重点が置かれている感じ。
時系列的に不思議なところとか(警察が訪ねてくる一連の繰り返しとかね)、ふっとサブリミナル的に差し挟まれるカットとかその辺が完成の域にある。
予算もスターも脚本も揃えて英語で撮った「デスペア」でカンヌに乗り込んだということなので、力を入れて整えたのだろう。
(カンヌで盛り上がったのは、プライベート上映した「マリア・ブラウンの結婚」の方だったけど)
とはいえ、その端正な要素を思わず突き破ってしまうのが、なんだかんだ言って存在感ありすぎる「いつもの」面々なのは、やはりすごい。
紫色のスーツで登場し、ナチス服にお色直しをするペーター・カーン、いかにも邪魔くさいウザい従兄弟のフォルカー・シュペングラー。彼らの印象はいつものことながら主役級に残る。
ペーターなんかは、ダニエル・シュミット作品などでもあれだけ場をさらっておきながら、「別に役者やりたいわけじゃないんだよ」みたいな人だったというから、すごいよな。
ああそれと、ペーア・ラーベンの音楽。冒頭タイトルが出た瞬間に音楽で場を異様な空気に変える恐るべき曲者。ファスビンダー世界の、生理的にいたたまれなくなる要因の多くはペーアが作り出していると思う。あれはすごい。
@アテネ・フランセ
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