Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

バッハとの出会い〜「惑星ソラリス」アンドレイ・タルコフスキー

2018-12-07 01:18:29 | music
惑星ソラリス Blu-ray 新装版
クリエーター情報なし
IVC,Ltd.(VC)(D)


初めて「バッハすごいんじゃ??」と心に刻まれたのは
おそらくこの映画ではないかしら。

で、そういう人は実は多そう。。

全編を通底するテーマ曲のように流れるBWV639にノックアウトされないというのはなかなか困難である。
それも実に絶妙なタイミングで流れるのよ。

****

BWV639はオルゲルビュヒラインOrgelbüchlein と呼ばれるコラール前奏曲集に含まれる作品で、
もちろんオルガン曲。
3声でがポリフォニーというよりは、ベース、アルペジオ声部、旋律という構成で、
なんというか、わかりやすいというか親しみを覚えやすい。

映画における、おそらくアルテミエフによる録音は、
シンセサイザーであるとか言われているが、じっくり聴いてみてもかなりオルガン的。
普通にオルガンではないかしらこれは。

終盤に電子ノイズがごーーっとはいったりするのは笑える。
あと適当にオブリガードをいれたり濃厚に和音を入れたり(これはめちゃめちゃ電子音w)
ノイズかぶせたりバージョンがあって、密かにやりたい放題(笑)

この絶妙に変な音世界が、映画の放つ世界に大変よく呼応していると思うのよね。

こんなことをしている人もいます↓
Solaris (1972) - All scenes with composed 'Bach' - Edward Artemiev


*****

かつてこの「惑星ソラリス」のサウンドトラックCDが出て、
聴いてみると、この曲以外はだいたい電子的な深いノイズという感じなので
なかなか面白い。
映像抜きでこれを体験するというのが非常に不思議。

とっくに絶版と思っていたが、
もしかしたら版元?のショップで買えるのかもしれない?!
あとITunesでも配信しているようである。


******

ところでこの曲の旋律はいわゆるコラール(賛美歌?)を元にしているので、
バッハのオリジナルというわけではない。
が、この編曲の妙が偉大です。

f-mollという調性。
重く歩むバス。
浮遊する中声部の和声感。

ですよ。

このコラールは作曲者は不詳ということだが、作詞はおなじみアグリコラだそうです。

*****

で、思い出したが、ワタシが初めて「CD」というものを買ったのは
このオルゲルビュヒラインの盤だったのではないかと思う。

こんなものに音楽がはいるのか、ほー、すげー、という記憶。


参考文献:J・S・バッハの『コラールとオルガン小曲集・BWV599~644』について(高田重孝)

ちゃんとしたオルガンの演奏
Bach - BWV 639 Ich ruf zu dir, Herr Jesu Christ (Church of St Andrew and Thomas, Pontevico)




あ、で、今出ている「惑星ソラリス」DVD/BDの日本語字幕が、誤訳が多いという説があるようですが、
ワタシは未確認。
今度じっくり観ないといかんですね。
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