ベルトルッチの分身PARTNER.
1968イタリア
監督:ベルナルド・ベルトルッチ
製作:ジョヴァンニ・ベルトルッチ
原作:ドストエフスキー
脚本:ベルナルド・ベルトルッチ、ジャンニ・アミーコ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ピエール・クレマンティ、ティナ・オーモン、ステファニア・サンドレッリ他
ということで、幻の作品と言われたらしい『分身』を観る機会に恵まれた。
これを観る前に『革命前夜』をやはり初めて観ていて、その初期作品にただようベルトルッチらしさ、『暗殺のオペラ』『暗殺の森』のベルトルッチらしさがしっかりとただよっていることに感激したワタシの期待値は、いやがうえにも高まっていたのだが。。
まず初めに予告編がひととおり終わって、スクリーンサイズが普段あまりみないサイズにびよよよ~っと横に延び・・・
え?シネスコ?
とびっくりしたのだが、
さらに本編が始まり、ものの数分のあいだに、
空いた口が塞がらなくなった。。
なんなんだ、こんな作風、ベルトルッチにあったんだ!!
即座に思い浮かんだのはやはりゴダールのいくつかの作品で、
たとえば『中国女』のアホ臭い馬鹿騒ぎ(いやそんなでもないけど)とか、
あるいはあの『時計仕掛けのオレンジ』やら、
あるいは『何かいいことないか子猫チャン』みたいなブリティッシュコメディなんかも思い出したりするわけだけど、
この『分身』はゴダールやキューブリックほどに突き放した冷たさはなく
かといってピーター・オトゥールの持つ三枚目を演じながら根は洗練されてるねっていう雰囲気もなく、
なんというか、まるで垢抜けていないドタバタ感があって
そういう点がむしろ観客に嫌悪すら抱かせる本当の挑発性みたいなものをじっとりと含んでいる感じ。。
うええ、うぜえ!とシーンが移り変わる度に観客に思わせる一貫したウザ作りは実に見事なまでである。
近年ではすっかり稀になってしまったこの青臭さとウザさを讃えた映画は、
いったいベルトルッチにとってどういう思い出なのだろうか。。。
驚異的なウザさを、ほぼ一手に担ってあまりあるのが、主演のピエール・クレマンティ君なのだが、
この人、実に気色悪いw
顔からしゃべりかたから動きかたから話す内容からwもう徹底して気色悪い!
これはすごい。
どんなにすかした脚本であろうと、この人にかかるとホント虫酸の走る風刺劇みたいになるだろう。
こういう超絶個性的な人を撮るという姿勢は、映画にはとても大事なことだと思うのだ。
比較するのもどうかとは思うが、我が国のTVでやっているドラマなどは、どれも同じようなというか一定水準の美的規範をクリアした人と顔(と声と動きと言葉と)しか出てこないので、人の人臭さが感じられないよねー
ヨーロッパの映画を観ることが多いんだけど、結構個性的な顔がでてきて嬉しくなることが多い。
邦画はあんまり観ないんだけど、ちゃんと観ればそういう顔にも出会えるのかな。
ゴダールなんかはむしろトレンディドラマ寄りの人選でwそこがすこし物足りない気も時々するのだが(笑)
・・ということで、『分身』も人間の体臭やら口臭さえも感じさせるようなむちゃくちゃ生身の気色悪さを伝えた、正統ヨーロッパ映画のひとつなのだ。(ホントか?)
その人間くささというところでは、原作者であるドストエフスキーの小説からもそれがぷんぷん匂ってくるのは周知の通りで。
背景や人の種類は違うけど、ドストエフスキーらしさというのもちゃんと(別の形で)詰め込まれているようにも思う。
ドストエフスキーのセリフ回しに通じるところとしては、多分に演劇的な手法が取り入れてある点も重要なのかも。
舞台装置みたいな室内での独白なんかも(独白ではなく「分身」との会話なのだが)あって、
やたらとお芝居臭いのも面白い。
というか、映画的リアリズムなんか飛んでいけ~という、ちょっと若い野心が匂ってこれも面白い。
逆にこれを舞台でやっても全然違和感はない。
というか違和感だらけで気持ち悪いのかもしれないが?
ということで、こんな映画撮ってたんだ!という驚きとともに、
それが非常に気色悪いものだというところに
感銘を受けるワタシなのでした。
*****
『戦艦ポチョムキン』の引用などはわかりやすい。
電車で広い車窓から外が見えるところはムルナウ『サンライズ』だろう。
あとはよくわからないけど、いっぱい引用がありそうで
そこらへんも若いねー(笑)
音楽エンニオ・モリコーネということだが、
ピエール君の毒気に当てられて
全然音楽が印象に残らん(笑)
ピエール君、『暗殺の森』やパゾリーニ『豚小屋』などにも出ているそうなので、あのウザ顔を探しにDVD観てみたい。
@シアターイメージフォーラム
1968イタリア
監督:ベルナルド・ベルトルッチ
製作:ジョヴァンニ・ベルトルッチ
原作:ドストエフスキー
脚本:ベルナルド・ベルトルッチ、ジャンニ・アミーコ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ピエール・クレマンティ、ティナ・オーモン、ステファニア・サンドレッリ他
ということで、幻の作品と言われたらしい『分身』を観る機会に恵まれた。
これを観る前に『革命前夜』をやはり初めて観ていて、その初期作品にただようベルトルッチらしさ、『暗殺のオペラ』『暗殺の森』のベルトルッチらしさがしっかりとただよっていることに感激したワタシの期待値は、いやがうえにも高まっていたのだが。。
まず初めに予告編がひととおり終わって、スクリーンサイズが普段あまりみないサイズにびよよよ~っと横に延び・・・
え?シネスコ?
とびっくりしたのだが、
さらに本編が始まり、ものの数分のあいだに、
空いた口が塞がらなくなった。。
なんなんだ、こんな作風、ベルトルッチにあったんだ!!
即座に思い浮かんだのはやはりゴダールのいくつかの作品で、
たとえば『中国女』のアホ臭い馬鹿騒ぎ(いやそんなでもないけど)とか、
あるいはあの『時計仕掛けのオレンジ』やら、
あるいは『何かいいことないか子猫チャン』みたいなブリティッシュコメディなんかも思い出したりするわけだけど、
この『分身』はゴダールやキューブリックほどに突き放した冷たさはなく
かといってピーター・オトゥールの持つ三枚目を演じながら根は洗練されてるねっていう雰囲気もなく、
なんというか、まるで垢抜けていないドタバタ感があって
そういう点がむしろ観客に嫌悪すら抱かせる本当の挑発性みたいなものをじっとりと含んでいる感じ。。
うええ、うぜえ!とシーンが移り変わる度に観客に思わせる一貫したウザ作りは実に見事なまでである。
近年ではすっかり稀になってしまったこの青臭さとウザさを讃えた映画は、
いったいベルトルッチにとってどういう思い出なのだろうか。。。
驚異的なウザさを、ほぼ一手に担ってあまりあるのが、主演のピエール・クレマンティ君なのだが、
この人、実に気色悪いw
顔からしゃべりかたから動きかたから話す内容からwもう徹底して気色悪い!
これはすごい。
どんなにすかした脚本であろうと、この人にかかるとホント虫酸の走る風刺劇みたいになるだろう。
こういう超絶個性的な人を撮るという姿勢は、映画にはとても大事なことだと思うのだ。
比較するのもどうかとは思うが、我が国のTVでやっているドラマなどは、どれも同じようなというか一定水準の美的規範をクリアした人と顔(と声と動きと言葉と)しか出てこないので、人の人臭さが感じられないよねー
ヨーロッパの映画を観ることが多いんだけど、結構個性的な顔がでてきて嬉しくなることが多い。
邦画はあんまり観ないんだけど、ちゃんと観ればそういう顔にも出会えるのかな。
ゴダールなんかはむしろトレンディドラマ寄りの人選でwそこがすこし物足りない気も時々するのだが(笑)
・・ということで、『分身』も人間の体臭やら口臭さえも感じさせるようなむちゃくちゃ生身の気色悪さを伝えた、正統ヨーロッパ映画のひとつなのだ。(ホントか?)
その人間くささというところでは、原作者であるドストエフスキーの小説からもそれがぷんぷん匂ってくるのは周知の通りで。
背景や人の種類は違うけど、ドストエフスキーらしさというのもちゃんと(別の形で)詰め込まれているようにも思う。
ドストエフスキーのセリフ回しに通じるところとしては、多分に演劇的な手法が取り入れてある点も重要なのかも。
舞台装置みたいな室内での独白なんかも(独白ではなく「分身」との会話なのだが)あって、
やたらとお芝居臭いのも面白い。
というか、映画的リアリズムなんか飛んでいけ~という、ちょっと若い野心が匂ってこれも面白い。
逆にこれを舞台でやっても全然違和感はない。
というか違和感だらけで気持ち悪いのかもしれないが?
ということで、こんな映画撮ってたんだ!という驚きとともに、
それが非常に気色悪いものだというところに
感銘を受けるワタシなのでした。
*****
『戦艦ポチョムキン』の引用などはわかりやすい。
電車で広い車窓から外が見えるところはムルナウ『サンライズ』だろう。
あとはよくわからないけど、いっぱい引用がありそうで
そこらへんも若いねー(笑)
音楽エンニオ・モリコーネということだが、
ピエール君の毒気に当てられて
全然音楽が印象に残らん(笑)
ピエール君、『暗殺の森』やパゾリーニ『豚小屋』などにも出ているそうなので、あのウザ顔を探しにDVD観てみたい。
@シアターイメージフォーラム
背中がすっごい変だったのと本のページを捲る爪が長く汚かった瞬間
もうそこから気持ち悪さ全開でしたね。
体型的にはアンガールズだったんですけれど
言動がどんどん変になっていって、気持ち悪いでも済まなくなるのが、ゾワゾワしました。
しかも、唐突に変なシーン入りますよね…ベルトルッチ……。
きもいということは貴重なことだと映画の世界では思いますw現実世界ではなかなかつらいものがありますが、おそらくはリアルでも貴重なのです。
あの爪を意図的にやったとするとスゴい企画力ですが、偶然だったとしてもそれはそれで感動的です。
運転手が彼ですか。
ステファニアは覚えていましたが。
暗殺の森はBD購入したのでまた観る予定です。
パゾリーニもDVDあるので。