映画に愛をこめて アメリカの夜 特別版ワーナー・ホーム・ビデオこのアイテムの詳細を見る |
1973フランス/イタリア
監督・製作・脚本:フランソワ・トリュフォー
脚本:ジャン=ルイ・リシャール 、シュザンヌ・シフマン
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
出演:ジャクリーン・ビセット、ジャン=ピエール・レオ、ジャン=ピエール・オーモン
アレクサンドラ・スチュワルト、フランソワ・トリュフォー、ナタリー・バイ
ヴァレンティナ・コルテーゼ
映画撮影チームの舞台裏を綴った作品。
冒頭の群衆シーンからぐぐっと心つかんでくれました。
いったいなにがおこるのか、平行移動しながら視点をどんどん変えていくカメラに感情移入しながら追っていくと、「カット!」の声。
一気に状況がぱあっとみえてくる。
いいなあ。
はなやかな映画の撮影だが、舞台裏では様々な問題が・・・
スタッフの色恋沙汰、駆け落ち、妊娠がばれた出演者、神経質な女優、老齢にさしかかりセリフを覚えられない女優、スタッフである夫の行動を監視しにくる妻、大人になりきれない男優(レオーです)
いや、こまごまといろいろ起きる。
けれども映画は、苦労しながらもなんとかそれをやりこなす監督(トリュフォー本人が演じる)をむしろ淡々と描く。
監督の独白。
ー映画は最初は希望に満ちているけれど、様々な困難が立ちはだかり、次第になんとか完成しさえしてくれればいいとだけ思うようになる。ー(意訳)
ああ、なんだかわかるなあこの気持ち。
でもそういうこまごまとしたトラブルをむしろ愛情を持って撮っている。撮影クルーと俳優たち。一本を映画を撮るということはそれ自体豊かな人間ドラマなんだなあとほのぼのしみじみと思わせる作品でした。
アメリカから来た大スター、ジュリー(ジャクリーン・ビセット)の人柄のよさとか、アルフォンス(レオー)の情けなさとか、セブリーヌのちょっと悲しい境遇とかに、トリュフォー監督の愛情を感じました。
高~い梯子の上
と同時に、撮影の裏テクニックなんかも観れて、それがまた映画好きにはうれしいのだろうな。
雪のシーンをどうやって作るか、とか、雨の降らせ方、暖炉の火やろうそくの火のシーンはどうやって撮るのかとか、二回のバルコニーのセットに上るジュリーがすご~く高い梯子を上っていくところとか。
なんか種明かしをしながら進む手品を観ているようだった。
そう、タイトルの「アメリカの夜」も映画の撮影技法をあらわす言葉なわけで。
手や首の角度まで演出するトリュフォー自身のこだわりをあらわすシーンなんかもあったりして、なんだかんだと映画に愛情をそそぐ姿がウレシイですね。
そうそう、トリュフォー監督が撮影の合間に見る夢のシーンもよかった。
最初は断片だけなのでどんな夢かわからないんだけど、
3回目でようやく何をしているのかがわかる・・・・
ステッキが地面を打つ音だけが妙に大きく響いて、
謎めいていてほのぼのとしたよいシーンでした。
しかし映画撮影の舞台裏を撮るわけだから、撮影クルーなんかも二重に用意しないといけないわけで、とっても大変な撮影だったんじゃないかなあ。
トリュフォー、いいんだけどなかなか手が回らないです・・・
(ところで、映画撮影の舞台裏を描くと言う点で、最近観たなかでは「エクソシスト」と共通していて、両者たまたま同じ73年の作品なんだよね。ま、関係ないけど)
好き度
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ゴダールの「パッション」を思い出しました。
それは73年ではなかったんですけれども。
ヴェンダースの「ことの次第」なんてのもありますね。
これは81年。「パッション」は82年ですね。
もうそんな前か~