Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

「移動祝祭日」ヘミングウェイ

2020-11-20 00:33:41 | book

 

 

ヘミングウェイは全然読んでないんですが、
先日ウディ・アレン「ミッドナイト・イン・パリ」を再び観る機会があり、
少しパリ気分で盛り上がり、そういえばヘミングウェイのパリ本があったよね、と思い、
ついに読んでみました。新潮文庫版。

ガートルード・スタインとの交友と確執や
シルヴィア・ビーチの広く深い心意気とか
エズラ・パウンドとの友情とか
フィッツジェラルドとの奇妙に濃密な関わりとか
当時のパリの空気と作家たちの心情とか
なによりも当時の夫人ハドリーの素晴らしい人柄とか
臨場感あふれる筆致でありありと浮かんでくるようです。

もちろん「当時の空気」はワタシ自身には想像するほかないので
ありありと言ってもそう感じられるというだけではありますが、
そういう点でも文学として成功というか、さすがと思いました。
(と世界の大作家に対して思うことかね(笑))

前書きに作家自身が書いているように、書いてないこともいっぱいあるとのことで、
また作家の死後、刊行に際して編集者がかなりカットした部分があり、
パリでの生活がここに立ち上ってくることだけでは済まない、
いろいろなエッセンスに満ちていただろう。
そういうことにも想像を向けながら楽しむ感じでもありました。

書いてあることを額面通り受け取って良いかどうか?
ということについては、訳者の高見浩氏の解説に詳しくあり、
これもとても面白い。

******

という内容はさておいて(おいとくのか!)、
ごく個人的には、
本文冒頭2行目にいきなり「コントルスカルプ広場」と出てきてノックアウト。
2015年にパリに行った時の宿泊先がこの広場に面したアパルトマンだったので、
風景がいきなりありありとなまなましく!

その後も次々と
「カルディナル・ルモワール通り」とか
「通りを下ってアンリ四世校と古いサン・テティエンヌ・デュ・モン教会の前を過ぎ、風の吹き渡るパンテオン広場を通り抜け」・・などなどの描写が現れ、
いやこれ地理わかる〜!と(笑)

どうもパリに関しては完全におのぼりさん体質で、
「パリの〜〜」とかタイトルがつく映画はつい観ちゃうし
エッフェル塔が写っているジャケットのCDはつい手にとってしまうw

というわけで、冒頭から妙にわかる〜のミーハーエネルギーで
一気に読み進めた感じです。

もちろん当時の雰囲気と今は違うんだろうけどね〜

 

カルディナル・ルモワール近辺は低所得者が住むところということが書かれているが、
今はそんな感じでもないような気もした。
高級な地域とはもちろん雰囲気は全然違って庶民が住んでる感じはしたけれど。

古い通りで庶民的な雰囲気のあるムフタール通りを抜けたところに
コントルスカルプ広場はあって、
噴水のある広場を囲んでカフェなどがある。
夕方になるとみなカフェでそれぞれくつろいでいる
活気があるけれどもやかましくはない小さな広場でした。

 

ヘミングウェイがいたところはここよね。
銘板があるし、「ヘミングウェイの下の旅行代理店」w看板も出てるので。
コントルスカルプ広場からカルディナル・ルモワール通りに入って割とすぐのところ。

コメント
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