アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリング、コンサルティングを行っています。
アドラー心理学による勇気づけ一筋40年 「勇気の伝道師」   ヒューマン・ギルド岩井俊憲の公式ブログ



おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

8月に入ってからカミさんから借りて読んだ本に『空気を読む脳』(中野信子、講談社+α新書、860円+税)があります。

この本の第3章は「『褒める』は危険~日本人の才能を伸ばす方法とは?」です。

最初の部分に1990年代の終わりに行われたコロンビア大学のミュ-ラーとデュエックによる10歳から12歳の子どもたち約400人に受けてもらった実験研究が紹介されています。

テストを受けた子どもたちは、3つにグループに分けられ、成績以外に子どもたちに伝えるコメントを次の3つに変えていきます。

グループ1 「本当に頭がいいんだね」と褒める。

グループ2 「努力のかいがあったね」と褒める。

グループ3 何のコメントもしない。

結果はどうだったでしょうか?

「本当に頭がいいんだね」と褒められたグループ1の子どもたちは、何も言われなかったグループ3の子どもたちよりも、難しい課題を回避した子どもの割合が高くなったのです。

「難しい課題を選ばなかった子の割合」は次のとおりです。

グループ1  65%
グループ2  10%
グループ3  45%

実験者のミュ-ラーとデュエックは、グループ1の操作を行った子どもたちについて以下のような見解を示しています。

◎「頭がいい」と褒められた子どもは、自分は頑張らなくてもできるはずだと思うようになり、必要な努力をしようとしなくなる。
◎「本当の自分は『頭がいい』わけではないが、周囲には『頭がいい』と思わせなければならない」と思い込む。
◎「頭がいい」という評価から得られるメリットを維持するため、ウソをつくことに抵抗がなくなる。

さらに実験者は、グループ1の子どもたちについて、さらに次のような見方を示しています。

◎「頭がいい」と褒められた子どもは、実際に悪い成績をとると、無力感にとらわれやすくなる。
◎難しい問題に
取り組む際、歯が立たないと「頭がいい」という外部からの評価と矛盾する。
このとき、やる気をなくしやすい。
◎「頭がいい」という評価を失いたくないために、確実に成功できるタスクばかりを選択し、失敗を恐れる気持ちが強くなる。

これだけでも「褒める」と「勇気づける」に対して重要な裏付けが得られますね。

グループ1は、人格評価に相当する「褒める」です。

グループ2は、努力というプロセスを認める「勇気づける」対応とも言えます。

◆ドゥエックの研究については、『MIND SET マインドセット ー 「やればできる!」の研究』(キャロル・S・ドゥエック著、今西康子訳、草思社、1,700円+税)がお勧めで、このブログでも何度か書いています。

マインドセット「やればできる! 」の研究
今西康子
草思社

下記をご参照ください。

2019年10月5日付けブログ   ライフスタイルを変える分かれ道:『マインドセット』から

2019年10月6日付けブログ 勇気づけの分かれ道:『マインドセット』から(1)

2019年10月7日付けブログ 第74期 アドラー・カウンセラー養成講座閉幕+勇気づけの分かれ道:『マインドセット』から(2)

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