宣センと宜ギは似ている。しかし、よく見ると、宀(ウかんむり)は共通だが、その下は亘センと且ソだ。この違いが分かれば、この字の違いは理解できる。
亘 セン <めぐる・めぐらす>
亘 セン・カン・コウ・わたる 二部
解字 甲骨文および金文は、回りこむ形を表している。篆文で上下に囲みをあらわす二線が加えられ、隷書で回り込む形が日に変化した亘になった。回りこむ形から「めぐる」、篆文から囲みを表す二線が加えられ「めぐらす」意となるほか、同音である亙コウ(わたる)に通じ、わたる意も表わす。
意味 (1)めぐる。めぐらす。 (2)わたる(亘)。人名に用いる。
イメージ 「めぐる・めぐらす」(亘・垣)
音の変化 セン・カン・コウ:亘 エン:垣
めぐる・めぐらす
垣 エン・かき 土部
解字 「土(つち)+亘(めぐらす)」の会意形声。周囲にめぐらした土塀。日本では土塀だけでなく、かきねの意に用いる。
意味 かき(垣)。かきね。かこい。「垣根かきね」「柴垣しばがき」「垣内かいと」(垣根の中。小集落)「垣外かいと」(垣根の外)「垣籬エンリ」(竹や柴などで作った垣)「垣屏エンベイ」(垣も屏も、かきの意)
宣 セン <天子が居住する正殿>
宣 セン・のたまう 宀部
解字 「宀(たてもの)+亘(めぐらす=垣)」の会意形声。周 囲を垣(土塀)で取り巻いた宮殿。特に天子が居住する正殿をさす。転じて、宮殿に住む天子から発せられるお触れをいう。
意味 (1)告げ知らせる。ひろく知らせる。「宣言センゲン」(広く外に表明する)「宣伝センデン」 (2)のたまう(宣う)。天子が意向を知らせる。「宣旨センジ」(天皇の命を伝える公文書)「託宣タクセン」(神のおつげ)
イメージ 「広く知らせる」(宣・喧)
音の変化 セン:宣 ケン:喧
広く知らせる
喧 ケン・かまびすしい・やかましい 口部
解字 「口(くち)+宣(ひろく知らせる)」の会意形声。口で自分の主張をひろく知らせることが原義。大声で言うことから、転じて、やかましい・さわがしい意となる。
意味 かまびすしい(喧しい)。やかましい(喧しい)。さわがしい。「喧伝ケンデン」(やかましく世間にいいふらす)「喧騒ケンソウ」(やかましくさわがしい)「喧嘩ケンカ」(①やかましいこと。②いさかい・争い)
且 ショ・ソ <供物の肉がつみ重なる>
且 ショ・ソ・かつ 一部
解字 犠牲の肉をのせた供物台の象形。俎ソ(供物台が転じた、まないた)の原字。また、祖先を祀る祭礼に供物台として用いられたので、甲骨文字では祖ソ(祖先)の意味でも使われた。したがって祖の原字でもある。しかし、且から俎や祖が分離すると、本来の役割を終え、「まさに」「かつ」の意に仮借カシャ(当て字)された。且を音符に含む字は、「供物台」の他、供物の肉が「つみ重なる」イメージを持つ。
意味 (1)かつ(且つ)。 (2)まさに~す。 (3)しばらく。
参考 音符「且ソ」へ
宜 ギ <祭肉が盛大にのったさま>
宜 ギ・よろしい・むべ 宀部
解字 甲骨文・金文は、且ソ(肉をのせた供物台の象形)の中に、さらに夕や月(いずれも肉)を描いた形で、俎ソ(肉をのせた供物台にさらに肉を描いた形)と同じ成り立ちの字。俎ソが、祭肉がのった供物台、のちに俎板(まないた)の意になったのに対し、宜ギは祭肉が盛大にのったさまを表し、準備が整い神祭りが「よろしい」意となる。字形は篆文から外側の線と肉(夕・月)が分離し、現代字は外側の線が宀(建物)となり、内側の肉が且に変化した宜となった。
意味 (1)よろしい(宜しい)。「宜春ギシュン」(よろしい春の意で、立春をいう)「時宜ジギ」(時がよい) (2)都合がよい。「適宜テキギ」(その場・状況に合わせて)「便宜ベンギ」(便利なこと) (2)むべ(宜)。うべ(宜)。もっともなこと。「宜(むべ・うべ)なるかな」(もっともなことだなあ) (3)助字。よろしく~べし。
覚え方 宀(建物)の中に肉をのせた且ソ(供物台)が置かれ、祭りがすべて宜(よろ)しい。
イメージ 「よろしい」(宜・誼)
音の変化 ギ:宜・誼
よろしい
誼 ギ・よしみ 言部
解字 「言(いう)+宜(よろしい)」の会意形声。よろしいと言うこと。正しいすじみちの意。のち、人が他人に「よろしい」と言って好意をしめす意となり、親しいつきあいを言う。
意味 (1)よい。正しいすじみち。「仁誼ジンギ」(いつくしみの心とただしいすじ道=仁義) (2)よしみ(誼)。親しいつきあい。「友誼ユウギ」(友だちのつきあい)「厚誼コウギ」(親しいつきあい)
<紫色は常用漢字>
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亘 セン <めぐる・めぐらす>
亘 セン・カン・コウ・わたる 二部
解字 甲骨文および金文は、回りこむ形を表している。篆文で上下に囲みをあらわす二線が加えられ、隷書で回り込む形が日に変化した亘になった。回りこむ形から「めぐる」、篆文から囲みを表す二線が加えられ「めぐらす」意となるほか、同音である亙コウ(わたる)に通じ、わたる意も表わす。
意味 (1)めぐる。めぐらす。 (2)わたる(亘)。人名に用いる。
イメージ 「めぐる・めぐらす」(亘・垣)
音の変化 セン・カン・コウ:亘 エン:垣
めぐる・めぐらす
垣 エン・かき 土部
解字 「土(つち)+亘(めぐらす)」の会意形声。周囲にめぐらした土塀。日本では土塀だけでなく、かきねの意に用いる。
意味 かき(垣)。かきね。かこい。「垣根かきね」「柴垣しばがき」「垣内かいと」(垣根の中。小集落)「垣外かいと」(垣根の外)「垣籬エンリ」(竹や柴などで作った垣)「垣屏エンベイ」(垣も屏も、かきの意)
宣 セン <天子が居住する正殿>
宣 セン・のたまう 宀部
解字 「宀(たてもの)+亘(めぐらす=垣)」の会意形声。周 囲を垣(土塀)で取り巻いた宮殿。特に天子が居住する正殿をさす。転じて、宮殿に住む天子から発せられるお触れをいう。
意味 (1)告げ知らせる。ひろく知らせる。「宣言センゲン」(広く外に表明する)「宣伝センデン」 (2)のたまう(宣う)。天子が意向を知らせる。「宣旨センジ」(天皇の命を伝える公文書)「託宣タクセン」(神のおつげ)
イメージ 「広く知らせる」(宣・喧)
音の変化 セン:宣 ケン:喧
広く知らせる
喧 ケン・かまびすしい・やかましい 口部
解字 「口(くち)+宣(ひろく知らせる)」の会意形声。口で自分の主張をひろく知らせることが原義。大声で言うことから、転じて、やかましい・さわがしい意となる。
意味 かまびすしい(喧しい)。やかましい(喧しい)。さわがしい。「喧伝ケンデン」(やかましく世間にいいふらす)「喧騒ケンソウ」(やかましくさわがしい)「喧嘩ケンカ」(①やかましいこと。②いさかい・争い)
且 ショ・ソ <供物の肉がつみ重なる>
且 ショ・ソ・かつ 一部
解字 犠牲の肉をのせた供物台の象形。俎ソ(供物台が転じた、まないた)の原字。また、祖先を祀る祭礼に供物台として用いられたので、甲骨文字では祖ソ(祖先)の意味でも使われた。したがって祖の原字でもある。しかし、且から俎や祖が分離すると、本来の役割を終え、「まさに」「かつ」の意に仮借カシャ(当て字)された。且を音符に含む字は、「供物台」の他、供物の肉が「つみ重なる」イメージを持つ。
意味 (1)かつ(且つ)。 (2)まさに~す。 (3)しばらく。
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宜 ギ <祭肉が盛大にのったさま>
宜 ギ・よろしい・むべ 宀部
解字 甲骨文・金文は、且ソ(肉をのせた供物台の象形)の中に、さらに夕や月(いずれも肉)を描いた形で、俎ソ(肉をのせた供物台にさらに肉を描いた形)と同じ成り立ちの字。俎ソが、祭肉がのった供物台、のちに俎板(まないた)の意になったのに対し、宜ギは祭肉が盛大にのったさまを表し、準備が整い神祭りが「よろしい」意となる。字形は篆文から外側の線と肉(夕・月)が分離し、現代字は外側の線が宀(建物)となり、内側の肉が且に変化した宜となった。
意味 (1)よろしい(宜しい)。「宜春ギシュン」(よろしい春の意で、立春をいう)「時宜ジギ」(時がよい) (2)都合がよい。「適宜テキギ」(その場・状況に合わせて)「便宜ベンギ」(便利なこと) (2)むべ(宜)。うべ(宜)。もっともなこと。「宜(むべ・うべ)なるかな」(もっともなことだなあ) (3)助字。よろしく~べし。
覚え方 宀(建物)の中に肉をのせた且ソ(供物台)が置かれ、祭りがすべて宜(よろ)しい。
イメージ 「よろしい」(宜・誼)
音の変化 ギ:宜・誼
よろしい
誼 ギ・よしみ 言部
解字 「言(いう)+宜(よろしい)」の会意形声。よろしいと言うこと。正しいすじみちの意。のち、人が他人に「よろしい」と言って好意をしめす意となり、親しいつきあいを言う。
意味 (1)よい。正しいすじみち。「仁誼ジンギ」(いつくしみの心とただしいすじ道=仁義) (2)よしみ(誼)。親しいつきあい。「友誼ユウギ」(友だちのつきあい)「厚誼コウギ」(親しいつきあい)
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