改訂しました。
臽 カン 臼部 xiàn
解字 「人+落し穴」の会意。甲骨文は人が落とし穴におちこんださま。金文はさらに穴の入口の〇印と下にある尖ったクイを描く。篆文から落し穴が臼の字になった。現代字は臽となり落し穴・おちいる意となる。
意味 (1)落し穴。 (2)おちいる。おとす。
イメージ
「落し穴におちる」(臽・陥・諂)
穴に落ち込むことから「中にある」(餡・焰・閻)
音の変化 カン:臽・陥 アン:餡 エン:焰・閻 テン:諂
落し穴におちる
陥 カン・おちいる・おとしいれる 阝部 xiàn
解字 旧字は陷で「阝(はしごや階段)+臽(落し穴におちる)」の会意形声。阝(こざと)は一般には丘の意味が多いが、はしごや階段の意味もある。[「阝こざと」と「阝おおざと」]
陷カンは、階段の前に作った落し穴におちること。貴重なものを収めた高床式の倉庫を守るため、はしごや階段の前に作った落とし穴に、おちいる・おとしいれる意となる。新字体は臽の下部の臼⇒旧に変化する。
意味 (1)おちいる(陥る)。おちこむ。「陥没カンボツ」「陥落カンラク」「失陥シッカン」(城などを攻め落とされ失う)(2)おとしいれる(陥れる)。「陥穽カンセイ」(おとしあな)(3)(穴があくさまから)かける(欠)。「欠陥ケッカン」
諂 テン・へつらう 言部 chǎn
解字 「言(いう)+臽(おとしいれる)」の会意形声。自分を落としいれて言う。自分の位置を落として他人に、こびへつらうこと。
意味 へつらう(諂う)。おもねる。こびる。「諂笑テンショウ」(へつらい笑う)「諂佞テンネイ」(へつらうこと。諂も佞も、へつらう意)「諂阿テンア」(へつらいおもねる。阿は、おもねる意)
中にある
餡 アン 食部 xiàn
解字 「食へんの旧字(食べ物)+臽(中にある)」の会意形声。饅頭マンジュウなどの中にいれるあん。
意味 (1)あん(餡)。あんこ(餡子)。小豆などに砂糖をまぜて煮てねったもの。菓子や餠の中に包みこむ。「白餡しろアン」(白小豆等を材料にした餡)「餡蜜アンミツ」(蜜をかけた豆に餡をのせたもの)(2)饅頭や餅の中にいれる引き肉や野菜。「肉餡ニクアン」
焰[焔] エン・ほのお 火部 yàn
解字 「火+臽(中にある)」の会意形声。ほのおが奧で燃えているさま。火の燃え始めるさまが原義。のち。ほのお一般に用いる。新字体に準じた焔も通用する。
意味 (1)ほのお。ほむら。「火焰カエン」(2)火が少し燃え上がるさま。「焰焰エンエン」(火が燃え始めてまだ盛んでないさま)
閻 エン 門部 yán
解字 「門(もん)+臽(中にある)」の会意形声。後漢の[説文解字]は「里中門也」とし、町や村の区域の中に立てられたものを閻という。また、門のある町や村の路地や横町をいう。
意味 (1)路地や横町の中の門。「閭閻リョエン」(閭リョは村里の入り口の門、閻エンは村里の中の門)(2)路地や横町。巷(ちまた)。「窮閻キュウエン」(貧しい町のなか)「窮閻漏屋ロウオク」(貧しい町の中の雨が漏れる家)
深川ゑんま堂(江東区深川)の閻魔様
(3)梵語の音訳用字。閻エンは地獄の門にいるエンという王の意。エンはサンスクリット語のヤマYama(地獄の王)の音訳に使われる字のひとつ。発音はヤマ(yama)⇒イェンマ(yanma)⇒エンマ(enma)と変化したと考えられ、閻魔エンマが当てられる。「閻魔エンマ」は地獄に落ちた死者の生前の行いを裁くという地獄の王。「閻魔帳エンマチョウ」(閻魔が生前の死者の行状を書きしるしているという帳面)「閻浮エンブ」(梵語jambuの音訳字。樹木の名。また、穢(けが)れの意)「閻浮提エンブダイ」(須弥山の南方にあるとされる閻浮樹の茂る島(洲)。人間の住む世界。現世。)(4)姓のひとつ。「閻若璩エンジャクキョ」(清の考証学者)
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
臽 カン 臼部 xiàn
解字 「人+落し穴」の会意。甲骨文は人が落とし穴におちこんださま。金文はさらに穴の入口の〇印と下にある尖ったクイを描く。篆文から落し穴が臼の字になった。現代字は臽となり落し穴・おちいる意となる。
意味 (1)落し穴。 (2)おちいる。おとす。
イメージ
「落し穴におちる」(臽・陥・諂)
穴に落ち込むことから「中にある」(餡・焰・閻)
音の変化 カン:臽・陥 アン:餡 エン:焰・閻 テン:諂
落し穴におちる
陥 カン・おちいる・おとしいれる 阝部 xiàn
解字 旧字は陷で「阝(はしごや階段)+臽(落し穴におちる)」の会意形声。阝(こざと)は一般には丘の意味が多いが、はしごや階段の意味もある。[「阝こざと」と「阝おおざと」]
陷カンは、階段の前に作った落し穴におちること。貴重なものを収めた高床式の倉庫を守るため、はしごや階段の前に作った落とし穴に、おちいる・おとしいれる意となる。新字体は臽の下部の臼⇒旧に変化する。
意味 (1)おちいる(陥る)。おちこむ。「陥没カンボツ」「陥落カンラク」「失陥シッカン」(城などを攻め落とされ失う)(2)おとしいれる(陥れる)。「陥穽カンセイ」(おとしあな)(3)(穴があくさまから)かける(欠)。「欠陥ケッカン」
諂 テン・へつらう 言部 chǎn
解字 「言(いう)+臽(おとしいれる)」の会意形声。自分を落としいれて言う。自分の位置を落として他人に、こびへつらうこと。
意味 へつらう(諂う)。おもねる。こびる。「諂笑テンショウ」(へつらい笑う)「諂佞テンネイ」(へつらうこと。諂も佞も、へつらう意)「諂阿テンア」(へつらいおもねる。阿は、おもねる意)
中にある
餡 アン 食部 xiàn
解字 「食へんの旧字(食べ物)+臽(中にある)」の会意形声。饅頭マンジュウなどの中にいれるあん。
意味 (1)あん(餡)。あんこ(餡子)。小豆などに砂糖をまぜて煮てねったもの。菓子や餠の中に包みこむ。「白餡しろアン」(白小豆等を材料にした餡)「餡蜜アンミツ」(蜜をかけた豆に餡をのせたもの)(2)饅頭や餅の中にいれる引き肉や野菜。「肉餡ニクアン」
焰[焔] エン・ほのお 火部 yàn
解字 「火+臽(中にある)」の会意形声。ほのおが奧で燃えているさま。火の燃え始めるさまが原義。のち。ほのお一般に用いる。新字体に準じた焔も通用する。
意味 (1)ほのお。ほむら。「火焰カエン」(2)火が少し燃え上がるさま。「焰焰エンエン」(火が燃え始めてまだ盛んでないさま)
閻 エン 門部 yán
解字 「門(もん)+臽(中にある)」の会意形声。後漢の[説文解字]は「里中門也」とし、町や村の区域の中に立てられたものを閻という。また、門のある町や村の路地や横町をいう。
意味 (1)路地や横町の中の門。「閭閻リョエン」(閭リョは村里の入り口の門、閻エンは村里の中の門)(2)路地や横町。巷(ちまた)。「窮閻キュウエン」(貧しい町のなか)「窮閻漏屋ロウオク」(貧しい町の中の雨が漏れる家)
深川ゑんま堂(江東区深川)の閻魔様
(3)梵語の音訳用字。閻エンは地獄の門にいるエンという王の意。エンはサンスクリット語のヤマYama(地獄の王)の音訳に使われる字のひとつ。発音はヤマ(yama)⇒イェンマ(yanma)⇒エンマ(enma)と変化したと考えられ、閻魔エンマが当てられる。「閻魔エンマ」は地獄に落ちた死者の生前の行いを裁くという地獄の王。「閻魔帳エンマチョウ」(閻魔が生前の死者の行状を書きしるしているという帳面)「閻浮エンブ」(梵語jambuの音訳字。樹木の名。また、穢(けが)れの意)「閻浮提エンブダイ」(須弥山の南方にあるとされる閻浮樹の茂る島(洲)。人間の住む世界。現世。)(4)姓のひとつ。「閻若璩エンジャクキョ」(清の考証学者)
<紫色は常用漢字>
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あの先生が利用していらっしゃる本の名前を知って頂けても宜しいでしょか。
そしてこの投稿をなさる題に漢字字源とか字源とかも書いて下さい、最初は漢字の成り立ちが知りたかったんですが最初は漢字音符の言葉を全然知らなくて、中々、このブログを探せませんでした。
何時も有難うございます。
このブログのもとになっているのは、山本康喬著「漢字音符字典」(東京堂出版)です。しかし、この本は、音符とそれに属する漢字を列挙しているだけですので、説明文はありません。
この本をもとに、私が音符のイメージを作り上げて、それに沿う漢字を配列しています。各音符の説明にあたり、参考にしたものは引用文献を掲げておりますが、ほとんどは色んな文献を総合して私自身が作り上げています。
いずれ私が参考にしている文献を一覧にして紹介させていただくつもりです。
私が日本語を学んで驚いたのは先ず三種類の文字を一緒に使ってその役割がちゃんと分けられていたのでした。私の管見によれば英語は割と一番容しくて効率が良い言語で日本語は一番専門的で繊細な言語だと思いました。
漢字文化圏の諸国は本当に漢字って大事だと思います。学問の根源を成り立っているのが殆ど漢語です。でも殆ど教育現場では漢字はただ書いて覚えろ等、非効率で面白くもない方法だけを教えているのが迚も残念です。大勢の生徒が学問を楽しめないのも先ず単語(漢字)をちゃんと理解していないからだと思います。
従って先生の漢字字源研究は本当に有意義だと思っております。先生のブログをもっと大勢の方々が見るのが東洋の学問の進展の為にとても大事だと思います。でも漢字に音符の原理さえ知らない方が多いのでもし良ければ先生の前からの投稿では漢字の成り立ちとか字源て言う言葉も追加して下されば良いだと思っております。
前からも先生の研究を拝見しつう私の漢字と日本語の実力を上げたいと思っております。