漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「竹チク」< た け >と「築チク」「篤トク」

2020年04月20日 | 漢字の音符
 チク・たけ  竹部         

解字 甲骨文字は竹の枝が節からたれさがる形で、先に三つの葉を描いている。金文以降、二つの枝が離れ、隷書(漢)で、葉が上に移動し、現代字は葉が「𠂉」二つに枝がついた竹になった。
意味 たけ(竹)。「竹細工たけザイク」「孟宗竹モウソウチク」「竹馬チクバ・たけうま」「爆竹バクチク」(竹または紙の筒に火薬をつめ、たくさんつないだもの)「竹簡チッカン」(文字を書く竹の札)
参考 竹は部首「竹たけ・たけかんむり」になる。漢字の上部(かんむり)に付き、竹の種類や状態、竹でできたもの等を表す。しかし、竹と関係のない、笑ショウ・答トウ・箇などもある。常用漢字で25字あり部首の21位。[新漢語林]では282字が収録されている。主な字は以下のとおり。
 竹(部首)・笛テキ(竹+音符「由ユウ」)・
(竹+音符「付フ」)・等トウ(竹+音符「寺ジ」)・筒トウ(竹+音符「同ドウ」)・
カン(竹+音符「官カン」)・簡カン(竹+音符「間カン」)・籠ロウ(竹+音符「龍リュウ」)など。
 また、本ページに掲載している竹の音符字は部首がすべて竹部になっている。通常、部首と音符は分離するので竹の例は大変珍しい。

イメージ 
 「たけ」
(竹・竺・篤・筑) 
 「とんとんと打つ(筑)」(築)
音の変化  チク:竹・筑・築  ジク:竺  トク:篤

た け
 ジク・トク  竹部
解字 「二(ふたつ)+竹(たけ)」の会意形声。竹二本分あるほどの太い竹の意。
意味 (1)たけ。太い竹。 (2)あつい。分厚いさま。行きとどいているさま。(=篤)。 (3)インドの古称「天竺テンジク」に使われる字。「竺学ジクガク」(仏教の学問)
 トク・あつい  竹部
解字 「馬(うま)+竹(=竺トク。分厚い)」の会意形声。分厚い意から転じて、人情に厚い意となった。ここで馬は状態を表わすのに用いられ、意味とは関係ない。なお、この字にはもうひとつ「馬+竹(トク)」の形声の意味もある。この場合、トクは毒(トク・ドク)に通じ、馬が毒にあたり病気が重くなる意となる。
意味 (1)あつい(篤い)。人情にあつい。熱心である。「篤志家トクシカ」「篤実トクジツ」「篤学トクガク」 (2)病気が重い。「危篤キトク
 チク  竹部
 楽器の筑

解字 篆文の竹の下の字は「工(工具)+手+人の変形」で、人が工具を手で持ち打つ動作をすること。現代字は「工+凡」のかたちに変化し、発音は「工凡キョウ」である。筑チクは竹でとんとんとたたく意であり、竹のへらで弦をたたいて鳴らす楽器に当てた。なお、この字はたたく意で築チクの原字ともなる。
意味 (1)中国の古代楽器。筝(琴)に似た形で、弦を竹の細棒で打って鳴らす。 (2)筑紫国(つくしのくに)の略。「筑前チクゼン」(旧国名。今の福岡県の北西部)「筑後チクゴ」(旧国名。今の福岡県南部)

とんとんと打つ(筑) 
 チク・きずく  竹部
解字 「木(き)+筑(とんとんと打つ)」の会意形声。木の棒を手に持ち、まんべんなく土をたたき固めて土台工事をすること。本来なら部首は木のはずだが、竹部になっている。理由はわからない。
意味 (1)つく。つきかためる。「築地ついジ」(土を突き固め瓦屋根を葺いた土塀)「築地つきジ」(海や沼を埋め立てて作った土地)「築山つきやま」(庭園などに築く土を突き固めてつくる山) (2)きずく(築く)。建物をつくる。「建築ケンチク」「構築コウチク」「築城チクジョウ
<紫色は常用漢字>


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