地球散歩♪

いもとなおこのBLOG

モザンビークの楽園編。

どうしたらいいのだ

2008年02月20日 | sri lanka

出張先の東部トリンコマレーで、このヒンドゥー教のお寺の写真を撮るために車を降りたときのこと。

 

信じられない顔をした人が近寄ってきました。

顔中の皮膚はただれていて、目が一個ない。

背筋が凍りました。

写真も撮れなくなるくらいに体中が震えて、そのまま写真を撮らずに車に戻りました。

運転手さんが、大丈夫だから撮りなさい、というから、私は集中できずに数枚撮って、またすぐに車に戻った。

 

彼と少し話をしていた運転手さんに聞いたら、彼は元警察官で、数年前に爆発に巻き込まれたらしい。

もちろん国からの生活保障もほとんどないのだろう。

国のために働いて、戦争で負傷して、これから一生あの顔と付き合わなければいけないのだ。

よく生きられるな、と思う。

 

私は迷いました。

「・・・お金あげるべきかな?」

いつも、物乞いにはお金をあげない主義です。アフリカでも、ほとんど。100円あげたらご飯が2回食べられるけれど、決してあげない。

だってあげたら、またもらえると思ってずっとそこに立ち続けるもの。

他の生きる道を自分で探してもらわないと・・・

 

だけど彼は、どうしたって仕事なんて探せないだろう。道で何か売ることだってできない。

私はこんなにお金もあって、五体満足。

「どうしよう・・・」

運転手「あげたいと思ったらあげたら」

「でも・・・ 怖いし・・・」

 

結局彼も遠くなってしまったのでお金はあげなかった。

そのあとも彼の恐ろしい顔が頭から離れない。

 

コロンボの私が毎朝通る道にも、肩から下の関節が反対について、自然に物乞いのポーズになっちゃっている障害者が物乞いしている。

私はその前を毎朝通って、毎朝葛藤して、結局お金をあげる決心がつかない。

「オバー(あなた)、オバー」って毎朝瀕死の声をかけられる。

でも彼も人情に訴えてお金を乞うしか、生きていく道はないのだと思う。

 

心を痛めるだけで、何もできない私。

どうしたらいいのだ。


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4 Comments

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私は・・・ (なおこ)
2008-02-24 17:41:54
常に「自立」して欲しいという想いを持って援助の仕事をしているし、仕事以外でもプライベートでも一緒です。だからその場限りのお金はあげても意味がないと思う。

でも「自立」支援は時間がかかる。だからこの国が障害者への補助金をちゃんと出せるようになるまでは、その場限りの援助もアリかなと思う。でもそんな日は永久に来ないのかも知れない。

これからは障害者の人にはお金をあげようかなと思いつつ、一度あげてしまうとそのあとはもっとねだられるかと思うと、それも大変だ。
悩ましい・・・。

とにかく大切なことは、自分はこんなに幸せに生まれてきたのだから、もっともっとがんばらなくちゃいけないってことかな。
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はじめまして。 (dolly)
2008-02-20 20:26:07
突然失礼します。
井本さんが水泳選手でいたころのファンの一人です。

私も、以前模擬国連という学生の活動をしていて、
インドネシアでストリートチルドレンや
路上生活者とともに生きていたことがあります。

その時にふっと考えた事がありました。

私たちが何をしても、それは大河の一滴にすぎない。
だけど、私たちが考えて何かを動かせたなら、
それは一つの歴史になるし、一つの動きになる。

だから、井本さんが考えて動かれたこと自身が、
きっと大切な大切な一歩なんだと思います。

意味わからないコメントでごめんなさい。
でも、井本さんの心の動きこそが、世界を変える
一つめのストロークになるのかも知れません。
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Unknown (miki)
2008-02-20 12:50:21
いつも冗談でコメントさせてもらってる私も吸い込まれるように読んだこのブログ記事。
すごい考えちゃうよね。
テレビでしか見ない光景だけど、そういう場面に遭遇したら、頭悩まされるよね。
世界の貧富を考えると、心無い言い方かもしれないけど・・・
世界を舞台に仕事をしているnaokoだけど、私はnaokoの親友だから、naokoが健康で紛争などに巻き込まれることなく離れていてもいつでも連絡を取れるよう、元気で頑張っていて欲しいと思います。
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Unknown (masaijp)
2008-02-20 08:55:14
この仕事をしているといつもつきつけられる現実。
現実を見せ付けられるたびに、何でこんなところに自分はいるのだろう、と考えてしまいます。
自分が最も目をそらしたいものなのに、またそこに行ってしまうのは何故なのだろう、といつも思います。
結論が出たら、この仕事から足を洗うのかも。
いつになることやら。
でも、いつも悩んで、迷っているうちは続けていこうと思います。
年とともに自分が傲慢になっていくのを、自分自身で律しつつ。
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