地球散歩♪

いもとなおこのBLOG

モザンビークの楽園編。

Voices of the Voiceless

2013年11月19日 | sri lanka

むかし、むかし、まだ高校生だった頃、
遠いアフリカ、ルワンダの地で起こっていた残忍な内戦が信じられなかった。
この平和な時代に、
まだこんなことが世界のどこかで起こっているなんて、信じがたかった。

同じようなことが、2009年、当時私が住んでいた国で起こっていて、
私は首都で指を加えて心配することしかできなかった。
当然のことながら、戦闘地に立ち入ることはできなかった。
その年の5月にようやく内戦は終わり、
私たちもキャンプ運営や帰還を支援したけれど、
そのあともマイノリティは完全に制圧されて、
自由も、正義も、人権も失った。
今でも、夫が、息子が行方不明でも、声を上げることができない。
言えば、命は保障されない。
ジャーナリストの口は封じられる。

世界中から避難されても、
調査を要求されても、
スリランカ政府は一切聞く耳を持たない。
市民は殺していない、の一点張り。
話が通じない。
その応対に、「頭ワルイ」と思わざるを得ないのだけど、
多分その逆。
相当頭良いんだ。
まったく話をさせてもらえない。
こういう状況、私を激昂させるツボ。

こういう一国の長がいて、それでまかり通ること自体、
ちょっとのスキャンダルで辞任する日本みたいな国からすると、これまた信じ難い。

そのスリランカで、先週末、英連邦首脳サミットが開かれた。
ラジャパクサ大統領の意図はきっと、
サミットを招致して、平和と発展をアピールする筈だったのだろう。

でも、イギリスの首相、デヴィッド・キャメロンが、先進国首脳として数十年ぶりにタミル人地域を訪れて、
一気に状況が変わった。
タミル人たちは、泣きながらキャメロン首相に訴えた。
行方不明の家族のことを。
今でも弾圧を受けていることを。

the Guardian

ラジャパクサは相変わらずで、キャメロン首相の質問にも説得にも一向に動じないけれど、
明らかに、状況はアピールされたし、
圧力はかかった。
あの大統領、あの独裁一族がいる限り、
タミル人の未来は閉ざされているとは思うけれど、
こうやってプレッシャー与えていくことで何かが変わるかも知れないと、
あきらめてはいけないと、
キャメロン首相は教えてくれた。

先日、映画「リンカーン」を観たけれど、
人気、有権者と利権ありきの政治に埋れながらも、
「正義」が感じられる首脳は素晴らしいわ。

スリランカ内戦は、どっちも悪かった。
政府だけを責めるつもりはない。
でも、今、タミル人の人権を守らなかったら、
将来同じことが繰り返されてしまう可能性があるんだ。

「積極的平和」を説くんだったら、我が国首脳ももっとプレッシャーかけて欲しいけど、
今は他国の人権問題に関与している余裕がないのかいな…。

こうしている間にも、
自由を剥奪された人々の苦悩が続くのだ。