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大阪府島本町議会議員
とだ*やすこの活動報告

ココが問題!放射線副読本

2019年03月24日 | とだ*やすこの一般質問
2月の定例会議は、前半本会議、総務建設水道委員会・民生教育消防委員会(傍聴)を終えて、残すところ27日の後半本会議のみとなりました。

この間、第2幼稚園の最後の卒園式、保育園・小学校卒業式に参加、統一地方選挙の応援に向けた準備も平行して、ブログ記事更新がままならない日々でした。

さて、小学生・中学生のお子さんの保護者のみなさん。学校を通じて児童・生徒に手渡された「放射線副読本」~放射線について学ぼう~(文部科学省・平成30年9月)はご覧になられましたでしょうか。

2月定例会議で、とだ*やすこは、この副読本の問題点を「一般質問」で指摘しました。以下、長文になりますが、ぜひ、おつきあいください。多くの地方議員のみなさんの目にも留まるよう期待します。


ココが問題!文科省の改訂・放射線副読本

昨年秋、文部科学省の「放射線副読本」が改訂され、全国の小学校、中学校、高等学校等に直接、児童、生徒に教師分を加えた部数が配布されました。

今、この2018年祭改訂版「放射線副読本」の撤回を求める全国的な市民活動が展開されているようです。わたしも黙ってはいられません。

これまで、各学校が教育委員会を通じて必要部数を申告。生徒には手渡さずに、学校に留め置き、必要に応じて活用していました(過去に委員会質疑でそのように求めた経緯があります)

けれども、今回は、文科省から各学校に「児童・生徒数分」が「直接配布」されました。島本町では、各学校の判断において、既に児童、生徒に配られていました(一部、年度末までに配布の判断)。

文科省が強制力のある配布方法に変更、確実に児童、生徒に、そしてその家庭に届ける手法として「学校を利用した」と思わざるをえません。

わたしは、福島原子力発電所事故を受けて、放射線について正しい知識を生徒児童に伝えることを否定するものではありません。

しかし、今回改定された副読本には多くの問題があります。専門的に深い知識がなくてもオカシイやん!と感覚的に思う内容。例をあげて説明しましょう。

改訂ポイントのひとつは、避難児童生徒に対するいじめを防止する内容を抜本的に拡充することです。

■第2章「原子力発電所の事故と復興のあゆみ・風評被害や差別、いじめ」
「根拠のない思い込から生じる風評に惑わされることなく、信頼できる情報かどうかを確認し、化学的根拠や事実に基づいて行動していくことが必要です。」

けれども、この副読本、事実と異なる、信頼できない情報に満ちています!

たとえば
■第2章「原子力発電所の事故と復興のあゆみ・食べ物の安全性」

食品中の放射性物質に関する指標等にある数字
日本の食品基準値は「平常時」のもの
EU・アメリカ・コーディックスの基準値は「緊急時」の値

すなわち、飲料水・食品の放射能基準値の国際比較において、前提条件が異なる値を比べて日本は「世界で最も厳しいレベルの基準を設定している」と記述しているのです。

これについては、2018年8月9日、立憲民主党・阿部知子衆議院議員の申入れにより、「放射線被ばくを学習する会」が政府交渉を行われています。

粘り強い交渉によって、厚労省、消費者庁、復興丁三省庁交渉により「不適切な表現」が起きた経緯があきらかになりました。

つまり不適切であると三省庁は認めた。しかし、これがそのまま「放射線副読本」に引用されている、改めるつもりはない、とこういうことになります。見逃せません。

放射線について専門性がないわたしは、この副読本への違和感と怒りをどう質問に変えたらよいのか途方にくれましたが、市民のサポートを得て、関係機関に問い合わせて以上のようなことが理解できました。

文科省は、まず自ら、信頼できる情報、科学的根拠・事実に基づいたものに改めなければなりません。

~・~・~・~・~

少し視点を変えましょう。以下、わたしの感覚による主張です。

思うに、
根拠のない思い込みから生じる風評、という考え方は避難者を追い詰めます。

東日本から非難してきたご家族や子どもたちを、差別したりいじめたりすることは人権問題として扱うべき課題です。すり替えてはいけません。

個々の避難は、家族や個人の居住の選択。憲法13条に定められている生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利であり、最大の尊重が必要であることを、まず伝えなければならない。

また、
病気を発見する目的で受ける医療用放射線被ばくと、事故による無差別被曝を同様に扱うべきではありません。

他の分野の放射線利用とひとくくりにして、安全性を訴えるようなことがあってはならない。

いうまでもなく
地震と事故を混同してはいけない。原子力発電における事故は自然災害ではなく、日本史上最大級の公害なのです。

この副読本は、本来ならば、渡しきりにするのではなく、学校で保管し、必要があれば、学習指導要領に基づいて教員が指導して活用する、これが原則ではないでしょうか。

実は、今回の副読本の改訂と配布は、復興大臣の下、関係府省庁からなる「原子力災害による風評被害を含む影響への対策タスクフォース」の延長線上にあるものです。

その背景に、2020年東京オリンピック・パラリンピックまでに福島復興のストーリーを描き、アピールする意図があるということです。

~・~・~・~・~・~

この「放射線副読本」は、そもそも副読本と呼べるようなものなのでしょうか。

小学生版(1~6年生)は、漢字、意味、内容すべてにおいて1.2.3年生には理解できる内容ではありません。誰がみてもおかしい。

保護者のみなさん、ぜひ、お目通しください。副読本とするには相当の無理があります。子どもを通じて各家庭に配布し、広く社会にゆきわたらせようとする意図がある。

事実、最終ページは「この副読本で学んだことをふりかえりながら、災害を乗り越えて未来に向かうために、私たちが何をしていくべきか、お家の人と一緒に話し合ってみよう」とあります。

副読本という名を借りて、児童生徒を通して確実に各家庭に届け、世論操作を行おうとするものではないでしょうか。

小学生版700万部、中高生版750万部、その費用約1,8億円。財源は税金です。

前述したように、復興大臣の下、関係府省庁からなる「原子力災害による風評被害を含む影響への対策タスクフォース」の延長線上にあるものです。

復興庁・内閣府原子力災害対策本部・消費者庁・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・環境省・原子力規制庁・福島県災害対策本部・福島県教育委員会が協力して作成したものなのです。

政府による原子力緊急事態宣言は発令されたまま、いまなお、解除されていないはずです。これは明らかに、教育への不当かつ不適切な介入とわたしは感じています。

そもそも学校教育において副読本とはどういう位置づけになっているのか。第3者の審査を経ずに児童・生徒に配られる副読本。一度、調査、把握しておく必要があることも指摘しました。

~・~・~・~・~・~

今回、質問をつくりながら、文科省に対して抗議していく市民的動きに期待せざるをえない、という状況を痛感しました。

同時に、学校教育現場において先生方が悩みながらも、原子力発電、福島の原発事故の問題をどう取り扱うのか議論し、共通の方向性を見出していく必要性も感じました。

来年度からは新一年生にのみ配られるそうですが(国における予算請求予定)、小学一年生が理解できる内容では断じてありません。

今回、全国で一斉に配布された「放射線副読本」を既に持ち帰った児童・生徒が、これを家庭で保管し、来年度以降の授業で、必要なときに活用する可能性は、ほぼゼロでしょう。

現実問題としては、「放射線副読本」の特殊性(問題点)を教師がまず理解し、副読本として扱いうるものなのか、学校教育の現場で真剣に考える機会が必要と訴えて、今回の質問を終わりました。

副読本の内容はこちら。文部科学省のHPから 
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