とだ*やすこの「いまここ@島本」

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大阪府島本町議会議員
とだ*やすこの活動報告

正便益・不採算

2010年07月01日 | とだ*やすこの町政報告
「公共交通の利用者は減り続ける」という常識を覆したいと、各地の公共交通を支援しておられる技術者、京都大学大学院工学研究科助教授・中川大氏のお話を聴く機会に恵まれ、(5月NPO再生塾主催・地方議員対象セミナー)「正便益・不採算」という言葉を知りました。

事業収入にはならなくても、公共交通は地域や住民にとっての利用価値や存在価値があるという考え方を「正便益」と表現。収入と支出のバランスがとれなくても、地域に不可欠で住民の便利や商店街の利益が大きければ実現する価値があるとして、コミュニティバスを走らせる自治体が増えているようです。

わたしは自分が車を運転しないこともあり、高齢化社会におけるコミュニティバスの必要性が実感できます。福祉バスになぜ妊婦さんや幼子を抱えた保護者が乗れないのか!と静かなる怒りを抱いてもいます。「買い物弱者」「買い物難民」という言葉まで生まれている今、町にコミュニティバスという「動脈」を流すのはごく自然なことです。

高齢化、環境保全、地域振興、これらの視点からバスの運行実現に向かって最大限の努力をするべき時期が来ています。わたしが選挙で訴えた「歩いて暮らせるまちづくり」は、「地域密着型の公共交通と公共事業の実現」を意味していました。公共施設や商店街、病院への人の移動を保障するものです。

議論をする前に事業採算がとれないからと、行政も住民もバス会社も諦めてしまっているとしたら、それはとても不思議なこと、不幸なことです。コミュニティーバスの目的は、採算を確保することではなく「バスを走らせること」です。

醍醐コミュニティバス(京都市)では、運賃収入と運行費用の差を、地域の企業や団体・個人からの協力金で補って運行されています。数年前、町の主催した環境セミナーで紹介されていますので、各部局の職員もその存在を知っています。

行政やバス会社に陳情したところで「不採算」の壁に阻まれ、実現には至らないという現実がありましたが、醍醐のみなさんは必死でした。地下鉄の東西線ができて、バス路線が廃止されたことで移動の権利を失いつつあったからです。行政、警察、運輸局を動かしたのは住民の熱意だったそうです。

足利市に帰省する度に亡き義母が嘆いていました。かかあ天下と空っ風で有名な北関東です。「年寄りをなんだと思ってるのかね。昔は近所でひととおりのものが買えたんだ。でっかい店が出来たって車がなきゃ買い物にもいけやしないんだよ!」「いつまでも車に乗れるわけじゃないよ、ばっかじゃないかね」「あんなとこ(郊外の大型店舗)行ったって、つまんないね。疲れちゃったよ」母は車椅子生活でした。

料理が得意だった義母ですが、同居の息子夫婦に買い物を任せなければならないことは、食材を自分の目で選べないことであり、一番の楽しみを失うことでした。尊厳に関わることでした。人間最後は「食」です。そして「医療」。移動の手段がなければ、どちらも手に入れることができません。

画像は、すっきりした新・阪急水無瀬駅舎
京都方面ホームのエレベーターが完成しています
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