そこに住んで、休みの日に散歩したくなるような、楽しい日本の街はどこだろう。
[ 金 沢 ]
加賀百万石の城下町・金沢は、歴史を感じさせる、情緒のある町だ。
室生犀星が愛した犀川の、川音が大きい。犀川の岸辺を散策していると、音が耳につく。川原になごり雪がある季節もいい。
金沢城址から兼六園のあたり、浅野川の岸辺のひがし茶屋街、武家屋敷街、寺町街など、散策コースが多彩だ。
九谷焼や伝統工芸品、銘菓の土産店を見て歩くのも楽しい。日本の文化を感じることができる。
寒い冬の夜は、郷土料理の治部煮で熱燗を。
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[ 奈良 … 旧志賀直哉邸付近 ]
旧志賀直哉邸を拝観できる。「自我」の作家といわれるが、自分よりも子どもや妻を優先した間取りがいい。
多分、志賀直哉が毎日のように散歩したであろう界隈は、北側に馬酔木の森があり、春日大社や、興福寺、東大寺へと続く。
( 春日大社 )
(興福寺の五重塔)
(興福寺界隈)
ひっそり鄙びた住宅街から、春には馬酔木や桜、秋には桜や柿の葉の紅葉・黄葉を愛でながら、崩れた土塀の細道をたどって行くと、猿沢の池や三条通りに到る。
( 奈良・三条通り )
いくらでも足を伸ばせるところがあるのが、いい。
冬、旧志賀直哉邸のお隣の和風レストランの2階の畳の間で、志賀直哉邸を見下ろしながら、昼間からお酒をいただいた。突然、雪が激しく舞い出し、思わず見とれてしまった。
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[ 鎌 倉 ]
ここも住んでみたい町だ。
円覚寺や東慶寺などの禅寺のある北鎌倉、少し華やかな鶴岡八幡宮から鎌倉幕府跡、さらに、江ノ島電鉄の極楽寺駅付近は、中井貴一と小泉今日子のドラマ「終わりから二番目の恋」の舞台になった閑静な住宅街だ。
(江ノ島電鉄と御霊神社)
戦前、戦後、川端康成、小林秀雄ら多くの作家、文人が住んだ街でもある。アンチーク店があったり、お洒落なカフェがあったり、塩辛の旨い飲み屋もある。
しかし、何といっても鎌倉武士の街である。
( 雨の日の鎌倉 )
頼朝、政子が初めて武士の政権を創った街であり、足利、新田軍を防ぎきれず、北条側数千人が討ち死にしたり自害した、その血のしみこんだ地でもある。
鶴岡八幡宮の朱の鳥居や拝殿を見るたびに、武士の街だと思う。そこが、いい。
( 鶴岡八幡宮の舞殿 )
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[ 軽井沢 ]
街並みとは言えない。避暑地であり、高級別荘地であり、森の散歩道である。
別荘を持つことを思えば、ずっと経済的だと、思い切って老舗の名ホテルに泊まった。
夏の喧騒は避ける。5月の連休が終わったころが良い。
白樺や落葉松の芽吹きが美しい。
( 白樺の林 )
青空も、緑が雨に濡れた日も、いい。
静かな森の中の、どこへ続くとも知れぬ小道は、散歩にもってこいである。
浅間山がいい。日本の名風景には、必ずその土地の山がある。ここには、浅間山。名山である。
(軽井沢 森の教会)
( 続 く )