ドナウ川の白い雲

ヨーロッパの旅の思い出、国内旅行で感じたこと、読んだ本の感想、日々の所感や意見など。

日本の街並み 1 (金沢、奈良、鎌倉、軽井沢 )

2012年10月28日 | 国内旅行…街並み

 そこに住んで、休みの日に散歩したくなるような、楽しい日本の街はどこだろう。                                   

金 沢

 加賀百万石の城下町・金沢は、歴史を感じさせる、情緒のある町だ。

 室生犀星が愛した犀川の、川音が大きい。犀川の岸辺を散策していると、音が耳につく。川原になごり雪がある季節もいい。

  金沢城址から兼六園のあたり、浅野川の岸辺のひがし茶屋街、武家屋敷街、寺町街など、散策コースが多彩だ。

 九谷焼や伝統工芸品、銘菓の土産店を見て歩くのも楽しい。日本の文化を感じることができる。

 寒い冬の夜は、郷土料理の治部煮で熱燗を。

           ★ 

奈良 … 旧志賀直哉邸付近

 旧志賀直哉邸を拝観できる。「自我」の作家といわれるが、自分よりも子どもや妻を優先した間取りがいい。

 多分、志賀直哉が毎日のように散歩したであろう界隈は、北側に馬酔木の森があり、春日大社や、興福寺、東大寺へと続く。

             ( 春日大社 )

 

  (興福寺の五重塔)

     (興福寺界隈)

 ひっそり鄙びた住宅街から、春には馬酔木や桜、秋には桜や柿の葉の紅葉・黄葉を愛でながら、崩れた土塀の細道をたどって行くと、猿沢の池や三条通りに到る。

        ( 奈良・三条通り )

 いくらでも足を伸ばせるところがあるのが、いい。

 冬、旧志賀直哉邸のお隣の和風レストランの2階の畳の間で、志賀直哉邸を見下ろしながら、昼間からお酒をいただいた。突然、雪が激しく舞い出し、思わず見とれてしまった。

          ★

鎌 倉

 ここも住んでみたい町だ。

 円覚寺や東慶寺などの禅寺のある北鎌倉、少し華やかな鶴岡八幡宮から鎌倉幕府跡、さらに、江ノ島電鉄の極楽寺駅付近は、中井貴一と小泉今日子のドラマ「終わりから二番目の恋」の舞台になった閑静な住宅街だ。

          (江ノ島電鉄と御霊神社)

 戦前、戦後、川端康成、小林秀雄ら多くの作家、文人が住んだ街でもある。アンチーク店があったり、お洒落なカフェがあったり、塩辛の旨い飲み屋もある。

 しかし、何といっても鎌倉武士の街である。

        ( 雨の日の鎌倉 )

 頼朝、政子が初めて武士の政権を創った街であり、足利、新田軍を防ぎきれず、北条側数千人が討ち死にしたり自害した、その血のしみこんだ地でもある。

 鶴岡八幡宮の朱の鳥居や拝殿を見るたびに、武士の街だと思う。そこが、いい。

 

       ( 鶴岡八幡宮の舞殿 )

                           ★

軽井沢

 街並みとは言えない。避暑地であり、高級別荘地であり、森の散歩道である。

 別荘を持つことを思えば、ずっと経済的だと、思い切って老舗の名ホテルに泊まった。

 夏の喧騒は避ける。5月の連休が終わったころが良い。

 白樺や落葉松の芽吹きが美しい。

          ( 白樺の林 )

 青空も、緑が雨に濡れた日も、いい。

 静かな森の中の、どこへ続くとも知れぬ小道は、散歩にもってこいである。

 浅間山がいい。日本の名風景には、必ずその土地の山がある。ここには、浅間山。名山である。

  

      (軽井沢 森の教会)

( 続 く )

 

 

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