一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

ムリヤリの旅・7

2013-01-20 00:24:14 | 旅行記・その他の地域
6日(日)は朝8時半にアラームをセットしたが、8時ごろに目が覚め、けっきょくそのまま食堂に向かった。無料の朝食も善し悪しで、無料だから食べにいくが、有料なら素泊まりとし、その時間も睡眠に充てたいところである。
朝食は焼きたての菓子パンが数種類。ドリンクはファミレスのセルフ方式だった。パンを3つ取って、コーヒーで食事。美味しくいただいて、9時すぎにチェックアウトした。
表は雪がうっすらと積もっていた。東北地方まで来たことを実感する。
駅までは徒歩で20分余。駅前のホテルに泊まった場合の損得計算は、微妙なところだった。
きょうは会津若松を回ろうと思う。会津若松といえば鶴ヶ城、飯盛山、さざえ堂などが有名だが、私は恥ずかしながら、鶴ヶ城しか観光したことがない。
さざえ堂は江戸時代に造られたもので、堂内が回廊になっているのが特色だ。外観も螺旋状で、このような建築物は世界的にも珍しい。歴史的建造物は私も興味があるので、今回は見ておきたいと思った。
駅構内のJR料金表を見ると、ここ郡山から会津若松までは1,110円、そのふたつ先の西若松まででも、同じ1,110円だった。ちなみに白河から郡山までは650円。郡山から西若松までは通しで買って1,890円だったから、これでは損をしているようにも思える。だが会津若松から西若松までは180円だから、ここまで来てようやくトクになる仕組みだ。
9時45分発の磐越西線に乗る。列車が進むごとに雪が深くなり、旅情が高まる。10時58分、1分遅れで会津若松に着いた。
初日の鹿島神宮と、きょうの会津若松。このふたつの駅名を見て何となくピンときた人は、40代以上だ。あだち充の名作「みゆき」に登場するヒロインが、若松みゆきと鹿島みゆきだった。
駅中の観光案内所で、さざえ堂までの道順を聞く。旅先では、駅の観光案内所が便利だ。周辺の観光パンフレットが充実しているし、滞在時間を告げれば、それに見合ったプランニングもしてくれる。
さざえ堂は駅から一本道で、飯盛山の中腹にあるとのことだった。どちらもかなり有名なのに、いままでその場所さえ知らなかった。さざえ堂近くまで観光用バスが通じていたが、私は徒歩で向かうことにした。
「きょうから『八重の桜』が始まりますので、ごらんください」
と、最後にお姉さんは言った。NHK大河ドラマはきょう6日から、会津出身の新島(旧姓・山本)八重の生涯を描く「八重の桜」を放送する。そう言われてみれば、駅構内は「八重の桜」一色だ。今年は会津若松が熱くなるだろう。
とはいうものの、ヒロインの綾瀬はるかはあまりタイプではない。W氏はファンだと思う。
駅を出て雪道をそろそろ歩くが、この感じ、嫌いではない。
飯盛山の麓に着く。中腹の墓地までは有料のエスカレーターが通じているが、私はもちろん徒歩である。お墓にお参りをした後、会津若松の街並みを眺めた。
そこから右手に下っていくと、さざえ堂があった。なかなか年季の入った建物で、大いに興味を引かれる。しかし拝観料が400円というのにのけぞった。
無料で中に入れるとは思ってなかったが、400円は私の予想を越えている。300円でどうか、というところである。かなり迷ったが、今回は拝観せず素通りした。
さて、そろそろ昼食である。行きの道すがら、うまい蕎麦を食べさせてくれそうな店があったので、入る。店頭にメニュー表がなかったのがアレだが、駐車場に多くのクルマが駐まっていたので、法外な値段は取らないだろう。
店の名は「そば御膳」。入口で靴を脱いで入る方式だ。ゆったりした掘りゴタツに入り、店の名と同じ「そば御膳」を頼む。突き出しに落花生が出てきたが、これは珍しい。「そば御膳」はざるそば、天ぷら盛り、茶わんむし、煮物、お新香、ごはん。主役のざるそばは手打ちで、一口すすると香りが高かった。そして甘い! ここの蕎麦は本物だと思った。天ぷらもカラッと揚がっていて、これで1,280円はお値打ちであった。
駅前に戻るが、東京までの高速バスがある。めんどうだから帰京しちゃう手もあるが、やはり温泉に入りたいところである。
会津若松からは只見線と会津鉄道に乗って、芦ノ牧温泉に向かおうと思う。いや本当は大内宿に行きたいのだが、最寄駅の湯野上温泉から路線バスがないため、タクシーを利用するしかない。それが数千円かかるとかで、どうしても二の足を踏んでしまうのだ。今回もそうだった。
車内で精算があった。JR西若松までの切符は持っているので、そこから乗り越しで、400円。芦ノ牧温泉駅には14時07分に着いた。構内は畳敷きの待合室もあり、風情がある。傍らのテーブルには猫の写真がいっぱい並べてあるが、ここの駅長は猫ちゃんらしい。
温泉街にはバスで行くが、バス停で時刻を確認すると、次は14時42分である。私は駅にもどり、一休みする。と、ここ芦ノ牧温泉は、茨城県の那珂湊と姉妹駅です、のお知らせがあった。那珂湊? おととい訪れた駅ではないか。これはずいぶんな偶然があったものだ。
嘱託の駅員さんに聞くと、「猫つながり」とのこと。何と那珂湊駅も、猫の駅長さんがいたらしい。私は構内に入らなかったので、気付かなかった。
さて、14時42分の会津バスに乗る。先客は3人しかいなかった。
バスは旧道を通る。集落があり、崖スレスレのところをバスは通る。温泉街までのバス料金は170円だが、運転手さんの高度なテクニックとスリルを味わえて、これは安いと思った。
14時59分、バスは4分遅れで、温泉街に着いた。立ち寄り湯を探すが、なかなかない。けっきょくいちばん最初に目についた、芦ノ牧プリンスホテルの温泉に入ることにした。
フロントで600円を払い、浴場に案内してもらう。脱衣所で裸になると、キン○マが縮み上がっていた。皮膚が厚くなって、中身を守っているのだ。
露天風呂に入るが、熱くもなくぬるくもなく、心地いい。浴室には誰もおらず、貸し切りだ。これを最高の贅沢という。
温泉から上がると、廊下に白牛乳の販売機があったので、反射的に買う。温泉と牛乳はセットで、「▲2四歩△同歩▲同飛」みたいなものだ。
「白牛乳 腰に手を当て 一気飲み」
美味しくいただきました。
傍らに、足ツボを刺激する機械が置いてあった。試してみるが、これが全身を刺激して、すこぶるよく利いた。
すっかりあったまって、あとは16時00分のバスで帰るのみである。ホテルの向かいに味のあるバス待合室があり、そこで待つ。しかし16時を過ぎても、バスが来ない。ここは始発の次だから、遅れるわけがないのに、おかしい。
芦ノ牧温泉駅からは16時26分の列車が絶対で、それに乗れば夜9時からの「ATARUスペシャル・第2部」が観られる。しかし時刻は、もう16時10分にならんとしている。私は時刻表に記されてあるバス会社に電話を掛けた。
「かくかくしかじか!」
「時刻の横に何か書いてありませんか? ◆とか…」
応対の女性が事務的に言う。
「ああ、書いてありますよ。でも◆は12月31日から1月3日までの運休ですよね。きょうは6日だからあるじゃないですか!」
「では『平』の文字はありませんか?」
「ありますよ! それが何か?」
「それは平日のみの運転で、土日は運休です」
「あっ!!」
ガチャ!
しまった、私としたことが!! 「平」は、沿線の集落名だと思っていた。これは平日の平か!! 何てこった!!
これで、次の列車までに駅に着くのは事実上不可能になった。私はうなだれる。
ところが16時26分、私は会津鉄道の上り列車に乗っていたのだった。
(つづく)
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする