一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

三十九たび大野教室に行く(その4)・プロ棋士ふたりによる生解説

2013-01-28 01:09:35 | 大野教室
(再掲)
上手(角落ち)・一公:1一香、1五歩、2一桂、2五歩、3三歩、4三銀、4四歩、5一玉、5三銀、5四歩、6三金、6四歩、7三桂、7四歩、8二飛、8三金、9一香、9四歩 持駒:歩
下手・Honma君:1七歩、1九香、2七歩、2九桂、3六歩、3七銀、3八金、3九玉、4六歩、4七金、5六銀、5七歩、6六角、7六歩、7七桂、8五飛、9六歩、9九香 持駒:歩2
(△7三桂まで)

ここでHonma君は▲8八飛と引いた。私はホッとして△8四歩と収める。以下▲3五歩△6五歩▲同桂△同桂▲同銀△5五桂▲5六銀△4七桂成と進んだが、これは上手十分に思えた。
▲8八飛では▲2五飛を恐れていた。△2二歩の一手だが、▲8四歩が痛打。△同金▲同角△同飛▲2二飛成は下手優勢だし、▲8四同角のときに△3四銀と出ても、▲2六飛でもいいが、▲8五飛と生還されていけない(△同桂は玉を素抜かれる)。
よって▲8四歩には△9三金とよろけるしかないが、▲9五歩△同歩▲9四歩△9二金(△同金は▲8三歩成)▲8三歩成△同金▲8四歩△9四金▲8三歩成で、下手が優勢だった。
本譜△4七桂成にHonma君は▲同銀と取りかけたが、それは△6七金と角を殺して上手優勢。Honma君は▲4七同金だが、こう耐えられてみると上手は歩切れで、自慢できる形勢ではないのに驚いた。
Honma君は▲4五歩△同歩▲3六桂�・▲4四歩と反撃に出るが、これが存外厳しかった。以下あれよあれよという間に下手が勝勢になった。
ふだんなら投了してもおかしくないが、記念すべき第1回の「大野教室杯」だから、簡単に投げるわけにはいかない。私は△2三角と泣きの角を打ち、玉を右辺に逃げ、ひたすら耐え忍んだ。
Honma君は▲6四歩と金頭に叩くが、これがどうだったか。私は△5三金とよろけつつ敵金を取り、▲同と△同飛▲4四金の飛車銀両取りに、△4五の銀で▲4六の飛車を取った。
Honma君は▲5三金とし、これで上手の△7二玉はほぼ受けなしだが、私は△3八金!▲同玉△4七銀成▲同玉△5七歩成▲同玉△6七飛と進める。ここにきて△2三角が利いてきた。まだ金銀があるから、これで詰んでいる。Honmaがここで投了し、私の優勝が決まった。
しかし喜びも半分だった。最初に周りが言うとおり飛車落ちで指し、それで負けたとしてもHonma君のもとにプロ棋士扇子が行き、いい思い出になったのではと思えば、ちょっと本気を出し過ぎちゃったな…と、反省するところもあった。

食事会は、クルマで少し走ったところにある、「ガスト」へ。参加者は大野八一雄七段、植山悦行七段、W氏、Hon氏、Fuj氏、私。
6人分の喫煙席がなく、禁煙席で時間をつぶしてから、移動した。ヘビースモーカーは片時もタバコを手放せないらしい。
各自が食事を終えると、大野七段らがスマホを取り出した。大野七段もスマホを新調したらしい。見るは女流最強戦・中井広恵女流六段VS山口恵梨子女流初段の一戦である。
戦型は恵梨子女流初段の中飛車。中井女流六段は船囲いで応じ、△6八角と飛車取りに打っていた。しかし振り飛車側が軽く捌いているように見える。周りはもちろん中井女流六段の応援だし私も追随するしかないが、どこかで恵梨子初段に頑張ってもらいたい気持ちがある。
植山七段もスマホを眺めていたが、Hon氏の布盤を拡げ、直に並べ始めた。
最近は大野・植山両七段との交流が多すぎてあまり感激もないのだが、目の前の光景を改めて見ると、自分はなんて恵まれているのかと思う。プロ棋士の解説を生で、無料で聴けるのである。
ちなみにあちらの解説は伊藤真吾四段だが、解説というより「怪説」で、こちらの予想とことごとく違っていた。
将棋は恵梨子女流初段が優勢に見える。こちらのふたりはのびのびと解説しているがなかなか辛辣で、中井女流六段との今後の交流を円滑に進めるためにも、その内容をつまびらかにするわけにはいかない。
将棋はごちゃごちゃ進んで、恵梨子女流初段が勝勢になった。やっぱり、このまま押し切ってくれ、と思う。百戦錬磨の大豪と可憐な新鋭。43歳の人妻と21歳の女子大生では、後者を応援するのも無理からぬところである。
ふと見ると、周りも「ここまで来たんだから、エリコ、勝て」の雰囲気になっていた。
ところが恵梨子女流初段は秒読みに追われ、▲3六桂の王手だが、これが痛恨。△3五玉で、中井玉が安全になってしまった。
以下は完全に流れが変わり、中井女流六段の勝勢となった。恵梨子女流初段は投げ切れずに指すが、見るのもつらい形勢だ。
中井女流六段、170手目△3八馬。これで恵梨子女流初段が投了した。
感想戦が終わりしばらく経つと、植山七段のもとに、中井女流六段から電話がきた。いまの将棋の内容を問うてきたのだ。
植山七段は忌憚のない意見を述べる。それは夫婦というより、将棋の真理を極めんとする、勝負師同士の会話に見えた。
コメント
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