一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

ムリヤリの旅・2

2013-01-11 19:27:48 | 旅行記・その他の地域
電車は3番ホームに入線する。ひたちなか海浜鉄道は1番線だ。ホームを挟んだ向かい側に、その列車が見える。ドアが開いて下車すると、小学生高学年か中学生と思しき小グループが、階段を駆け上がっていった。彼らもひたちなか海浜鉄道に乗るのだろう。四十も半ばを過ぎたオッサンが彼らと同じ行動を取るのに抵抗を覚えるが、私も駆けだす。
改札口の近くに出た。彼らは躊躇なく1番線ホームに降りるが、私はSuicaのことがあるので、JR改札口の駅員さんに申し出た。
「かくかくしかじか。ひたちなか海浜鉄道は、Suicaで精算できますか?」
「できません。でも時間がないから、そのまま行っていいですから、車内で切符を買ってください」
「でもそれじゃSuicaで精算できないから、いったん改札を出ます」
私はSuicaをピッとやり、外へ出た。
「そうですか、じゃあひたちなか海浜鉄道の切符は4番券売機で買えますから…」
「ああ、はい…」
「時間がないですね、もうそのまま入ってください!」
「すみません。でも手ぶらで行けないから、この駅の証明書をください!」
駅員はゴチャゴチャやり、勝田駅の入駅証明書をくれた。私は改めて1番線に走る。あ、あれ?? Su、Suicaの機械があるではないか!! 改札口仕様ではなかったが、金属の棒が立っていて、そこにSuicaを受ける板が取りつけてあるやつだ。なんだよあの駅員…!!
「あっ、ここ、Suicaで精算できたんですか!? あああっ、電車が出ちゃった!!」
腕時計を見ると16時46分00秒である。ずいぶん時間どおりに出るじゃないか!! 今度はひたちなか海浜鉄道の駅員さんに、私は独り言とも文句ともつかぬ言葉を吐いた。
傍らには乗り換えを仕損じた客が、「私はふつうに歩いてきたんだよ。(それなのに乗れないって…)」と文句を言っている。しかし出てしまった列車が引き返してくるはずもない。
私は呆然としたまま、踵を返した。次の列車は17時11分で、30分あまりある。私はJRの改札を再び抜けて、阿字ヶ浦までの切符を買った。570円はけっこうな額だが、これはお布施である。
そのまま外に出るが、時間が半端で、つぶしようがない。駅前に喫茶店はあるが、バーを併設している。これは私の範疇ではない。
私は勝田駅に戻り、改めて改札を抜けた。通路から鮮やかな夕焼けが見える。本当なら、ひたちなか海浜鉄道の車内からこの夕景が眺められたのだと思うと、またも後悔の念がわいてきた。
17時11分、勝田発。ひたちなか海浜鉄道は初乗りである。終点阿字ヶ浦まではわずか9駅、14.3kmしかない。それゆえ車窓風景をより味わいたいところだが、もう陽が暮れかかっている。
よせばいいのに、私はスマホで、ひたちなか海浜鉄道のトクトク切符を調べる。と、例によって「一日乗車券」があった。値段は800円とある。阿字ヶ浦まで570円だったから、往復すれば340円のトクになる計算だ。こんな切符があったのか…!? 私は動揺したが、「土・休日限定」と但し書きがあったので、ほっと胸をなで下ろしたのも束の間、この切符が学校の冬休み期間も発売されているのを知り、私はついにひっくり返った。
そういえば、そんなお知らせが駅構内に貼ってあったことを思い出した。勝田駅では時間があったのに、何をやってたんだオレは…。
17時37分、阿字ヶ浦着。この列車は12分後に折り返すが、また570円の切符を買って引き返しては、いよいよ340円の損をした計算になってしまう。
私はとりあえず、暗闇の街中へ出る。何とかいう神社があったので、そこもお参りする。さらに坂を下って行くと、阿字ヶ浦海岸に出た。しかし辺りは漆黒の闇で、虚しさがつのるばかりだ。
駅前に戻る。次の列車は18時34分発である。しかし駅前からコミュニティバスが出ており、それを見ると那珂湊行き18時14分というのがあった。しかも値段は100円である。ひたちなか海浜鉄道だとここから4つ先の駅で、鉄道だと260円かかる。18時34分に阿字ヶ浦を出た列車は18時46分に那珂湊に着く。バスがその列車に接続しているかどうかは微妙だが、少しでも交通費を節約することは必須で、私はこのバスに乗ることにした。
コミュニティバスは意外と大きかったが、中の座席数は少なく、17人乗り。先客は4人だった。
バスは住宅街を縫うように走る。日中に走ったらさぞおもしろかったろうが、現在灯りは、街灯の類しかない。
18時40分、那珂湊着。意外と早く着いた。那珂湊はわりと大きな駅舎で、表の窓から中を覗くと、ディーゼル車の写真が数点飾られていた。那珂湊から勝田までは鉄道で350円である。那珂湊までバス100円で来たが、あまり節約できていないことに気付く。
バスはというと、茨城交通バスの勝田駅前行き18時45分というのがあった。きょうの宿泊地は常磐線の常陸多賀駅前にあるビジネス旅館である。ネットでチェックイン予定を19時30分にしておいた。列車を使えば那珂湊18時46分発→勝田19時00分着、勝田19時04分発→常陸多賀19時24分着でドンピシャリだ。
しかし私は、そのバスに乗った。先ほどのコミュニティバスで、「バスは安い」というイメージを刷り込んでしまったのだ。
しかしバスはすぐに、値段を上げた。那珂湊から鉄道を使えばよかった…と後悔してももう遅い。バスはあっちこっち寄り道を続け、終着勝田駅前に着いたのは19時07分。運賃は何と440円になっていた。結局阿字ヶ浦からのバス代は540円。鉄道で一本で帰るのと比べて、30円しか節約できなかった。
勝田からは19時31分の常磐線に乗る。19時15分のがあるとフンでいたのだが、それは特急電車だった。私は企画切符でない限り、特急電車は利用しない。
19時50分常陸多賀着。ビジネス旅館「舞凛館」にチェックインする。品のいいおばさまが2人いて、受付をしてくれた。素泊まり2,200円はお値打ちである。
現在は8時。9時から「鬼平犯科帳スペシャル」を観たいが、風呂は外風呂で11時までなので、1時間で食事と入浴を済まさねばならない。
旅館近くの中華料理屋に入る。ラーメン450円、餃子350円などだが、ラーメン・餃子・半ライス、お新香のセットで780円というのがあり、これを頼んだ。
餃子は野菜が甘く、美味かった。ラーメンもまずまずだったが、ちょっと香草の香りがした。
宿に戻って、風呂に入る。洗い場が妙に広くてヒンヤリする。湯船はひとり用の広さだったが、一応貸し切りなので、リラックスできる。
ところで窓際に、やたらシャンプーが置いてある。その数30近くか。…あれ? この旅館…ひょっとして、テレビに出たことある!?
(13日につづく)
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