一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

堀女流初段の痛い逆転負け

2024-06-14 23:46:24 | 女流棋士
第14期リコー杯女流王座戦(主催:RICOH、日本将棋連盟)二次予選の3局が、12日に行われた。この中で私が最も注目したのは室谷由紀紗VS堀彩乃女流初段戦である。数年前だったら室谷女流三段を無条件に応援したが、結婚されちゃあこちらの士気も下がる。いま注目しているのはもう一方の堀女流初段で、前年度は好調を持続し、今年度、ようやく女流初段に昇段した。残るは、各棋戦での飛びぬけた活躍だ。それにはこの女流王座戦が最も大舞台に近かった。
将棋は室谷女流三段が先手で、三間飛車に振った。堀女流初段は左美濃。本局も主催者の無料中継があり、貧乏人にはありがたかった。
序盤、堀女流初段が桂得を果たし、有利。さらに飛車を先着し、優位が広がった。ところがそこで決め手を逃し、形勢混沌。堀女流初段の玉は中段に出てきたが、これが予定の順とは思えず、流れはよくない。
室谷女流三段、▲6三角。私はまったく気が付かなかったが、この手自体に錯覚があったようだ。
このあたりで私は席を外したが、この将棋、堀女流初段が負けたと思った。
それから1時間半後、中継サイトを見ると、果たして室谷女流三段が勝っていた。
ところがコメントを読むと、終盤で事件が起こっていた。
第1図は堀女流初段が△2六歩▲1八玉を利かした局面。

ここで堀女流初段は△4九成桂(第2図)と形作り?をし、以下▲4七金△5八玉▲6七竜まで、投了した。

ところが第1図では、△4九成桂に代え、△4九竜(参考図)があった。

これは△3八竜以下の詰めろになっていると同時に、△4八成桂が踏ん張っているから、後手玉も詰まない。こう指せば、堀女流初段の勝ちだった。
どうも堀女流初段に錯覚があったようで、どちらの順も負けと読んでしまったようだ。ただ、同じ負けるにしても、△4九竜のほうが先手玉に迫っており、見栄えもいい。△4九成桂では、まったく迫力がない。
私は1992年6月11日に指された第51期A級順位戦(主催:毎日新聞社、日本将棋連盟)1回戦・▲田中寅彦八段VS△大山康晴十五世名人戦で、受けのなくなった大山十五世名人が△6九竜(参考図)と形作りをした手を思い出したものだ。

堀女流初段は、第7回YAMADA女流チャレンジ杯決勝戦でも、対加藤結李愛女流初段戦でいい将棋を作りながら逆転負けを喫している。
話を戻すが、もし堀女流初段に「最後は私が勝つ」という執念があったら、△4九竜と指せたのではなかろうか。
勝てば本戦入りという大事な一番だっただけに、会心局になりえた将棋を落としたのは、かえすがえすも痛かった。
堀女流初段は、捲土重来を期してほしい。
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