一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

ムリヤリの旅・5

2013-01-15 21:56:00 | 旅行記・その他の地域
「ただいまキャンペーン中で半額になるので、105円になります」
とお姉さんは言った。ただでさえ安いのに、これには心底感激した。店を出るとき、ドアに「新年キャンペーンで半額」の貼り紙があったのに気付いた。
磐城棚倉駅前の古本屋。実に良心的な店であった。
16時02分発のJRバス関東・白棚線に乗る。このバスはむかし、白河方面から乗ったことがある。しかしバスの右側に座ったので、道路の状態がよく分からなかった。今回は左側の前から2番目の席に座り、道路が正面に見える形になった。最高の席である。
バスはしばらく国道を走る。私は菓子パンを頬張る。やがてバスがキュッと進路を変え、専用道路に入った。ここは一般のクルマはもちろん、人も出入りできない。いわば透明の線路が敷かれているのだ。
何の変哲もない道路だが私は感激し、写真に収めた。きょう撮った写真はこんなのばかりだ。鉄道マニア以外の人が見たら、どこが面白いのかと呆れるだろう。
もっとも将棋だって、興味がない人が見れば、これと似たような感想を抱くに違いない。趣味とは概して、そういうものである。
途中にバス停留所があった。たぶん、戦前の駅名をそのまま使っているのだろう。
バスは一般道に戻る。これで終わりかと思いきや、少し走ってまたも専用道に入った。思ったより距離がある。私は改めて感激する。単線幅相当のアスファルト道がいい感じだ。私は70年近く前の白棚線に思いを馳せた。
昨年、東日本大震災が起こって、被災した常磐線の一部は線路を剥がし、バス道になった。鉄道マニアとしては忸怩たる思いだけれど、それが最善の方法というならば、全線バス専用道として機能してもらいたいと思う。
バスは再び一般道に戻った。国道が広くなり、あのあたりが廃線跡かと推測する。しかし先ほどの感激はもうなかった。
新白河駅前に着く。ここで降りてもいいのだが、ここは白棚線の名の通り、白河まで行くのが本筋である。私はそのまま乗り過ごした。16時58分、3分遅れで白河駅前着。
きょうの宿泊地は郡山である。つまり先ほどの水郡線をそのまま乗っていれば、郡山に着いたのだ。そこを磐城棚倉で下車して、わざわざ迂回ルートを辿るところに、廃線跡探訪の妙味がある。
郡山に向かう前に、白河駅前には、うまい蕎麦を食べさせる蕎麦屋がある。ちょっと早い夕食だが、私はそこに入った。
ざるそばとそば茶飯のセット(820円)を頼む。ざるそばは品のよい盛り具合で、ざるは竹製である。やはりざるはこうでなくてはならない。
美味しく食べて、白河駅に入る。駅舎は昭和初期のロマンを感じさせ、味わい深い。次の電車は17時32分で時間はないが、窓口で発作的に、西若松までの切符を買った。1,890円。これなら2日間有効なので、途中下車が可能になる。長い目で見ればトクになるという読みだった。
ところできょうは6時半からテレビ東京系で、太川陽介と蛭子能収のバス旅番組がある。毎回長距離の区間が指定され、路線バスを駆使して、4日間で踏破するものだ。路線バスが途切れていたり、早い時間に終バスになったりして、山あり谷ありの展開になるのがおもしろい。トラベルミステリーの趣もあり、旅好きには堪らない構成である。
宿もビジネスホテルが主で、晩ご飯はたいてい外で摂る。居酒屋などで乾杯し、ラーメンをすする。これが実に美味そうなのだ。
今回のマドンナは田中律子で、3時間半の特別バージョンである。これを旅先で楽しむハラであった。いつもの私なら夜の時間を移動に充てるのだが、今回は移動すればするほどおカネがかかる。早くホテルにチェックインしてのんびりするのもいいと思った。
東北本線に乗り、郡山18時07分着。郡山は昨年のいまごろも途中下車で訪れており、そのときは駅前のアーケード街にある中華料理屋に入った。チャイナドレス姿の女店員さんがいて感激したのだが、今回はパスせざるを得ない。
今夜の宿は「ホテルα-1郡山」。郡山にはもうひとつ、同じ系列の「ホテルα-1郡山東口」というのがあり、どちらにするか相当迷った。ここで両者を比較してみよう。

・郡山東口
1泊3,800円
駅から徒歩8分
レンタルパソコン800円

・郡山
1泊3,900円
駅から車5分
朝食無料(焼きたてパン、ドリンク)
パソコン無料

駅から近いのも魅力だが、パソコンの無料が決め手になって、私は「郡山」のほうに予約を入れたのだった。
ここからではホテルの場所が分からないので、スマホで問い合わせる。と、駅前からバスを利用するのが賢明でしょう、とのことだった。
ホテル方面行きのバスは18時25分である。その待ち時間がもったいないが、不案内な場所では、「急がば回れ」がベターである。私はじっと待った。
18時25分、9番バス停から、市役所行きのバスに乗る。しかしロータリーを抜けるところで5分が経ち、ここで「バス旅」を最初から観ることは叶わなくなった。
18時38分、7分遅れで安積黎明高校前着。すぐ左がホテルである。もどかしくチェックインを済ませ、私は部屋に駆けこむ。テレビの電源を入れ、7チャンネルに合わせる。すると、私が予期しない文言が出てきた。
(17日につづく)
コメント
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