一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

ムリヤリの旅・4

2013-01-14 20:37:32 | 旅行記・その他の地域
その整理券は5センチ四方のプラスチック製で、ボンネットバスのデザインがなされていた。ふつう、整理券は小さな紙片だが、ポケットに入れていて紛失することがたまにある。この板片なら失ならないし、不正もできない。いいアイデアだと思った。
私はきのう買った缶コーヒーを開ける。きょう摂った初めての飲食物で、これがこよなく美味かった。
バスから左右を眺めるが、廃線跡の痕跡は分からない。探訪の気分を味わうのみである。
12時33分、太田駅前着。すぐ前に、水郡線の常陸太田駅があった。私の記憶が確かならば、だいぶ昔、この駅に降りたことがある。しかし日立電鉄・常北太田駅を見た記憶はないし、いまの駅の雰囲気も違う気がする。
JRと日立電鉄では、駅名も微妙に違う。両者は少し離れた場所にあったのかもしれない。
当時私は、常陸太田駅から少し歩いたところにある中華料理店に入った。カウンターのみの席で、年配の姉妹?が営業していた。「これ一本で勝負してます」という感じのミソラーメンを食べたのだが、これがなかなか美味かった。値段も530円だったのまで覚えている。あれは常陸太田でのことではなかったのだろうか。
それはともかく、食事である。駅前の中華料理店に入って、偶然ながらみそラーメンを頼んだ。みそラーメンといっても千差万別で、醤油ラーメンに味噌を溶かしただけのモノもあるが、ここのみそラーメンは野菜もたっぷり入って、美味かった。店のお母さんに聞くと、現在の駅舎は数年前、場所を変えて新築したものらしい。
駅に戻る。乗るべき列車は13時11分発の水郡線である。JRの路線を「上」で表すと、下の横棒が常磐線で、右が大甕駅、左が上野駅方面、縦棒との交差地点が水戸駅である。
縦棒は水郡線で、上部が郡山駅。ちなみに「水郡線」の名は、水戸と郡山の1文字を取っている。短い横棒も水郡線で、通称・常陸太田支線である。この右側が常陸太田駅、縦棒との交差地点が上菅谷となる。
大甕から常陸太田まで鉄路で行くには、かなりの大回りになる。日立電鉄はそこをショートカットしており、それなりに重要な路線だったのだ。
水郡線の車両は、以前はモスグリーンで地味なイメージカラーだったが、今回はカラフルな車両で、面目を一新していた。JRの車両は、九州が群を抜いているが、東日本もなかなか健闘している。
13時26分、列車は1分遅れで、上菅谷に着いた。ここで郡山方面に乗り換える。次の列車は3両編成で、先ほどと同じキハE130系だった。
13時33分、上菅谷発。車内はほどよい混み具合で、私は立席を余儀なくされた。眼下には久慈川が右に左に流れている。ここ水郡線には、「奥久慈清流ライン」の愛称が付いている。
運転席後方に陣取っていたカップルが下車したので、私がそちらに移動する。立席の場合、特等席はここだ。単線の線路が先の先まで伸びていて、退屈しない。
15時18分、1分遅れで磐城棚倉に着いた。ここで降りる。きょうもうひとつ辿る廃線跡は、JRバス関東の白棚線で、ここ磐城棚倉から東北本線・白河までを結んでいる。
白棚線は戦前に全線開業したが、第二次世界大戦中に不要不急路線として休止になり、鉄部材としてレールを提供した。しかし戦後も鉄は戻されず、そのまま代行バス運転が続いた。
この白棚線で注目すべきは、廃線跡の一部がバス専用道として残っていることである。戦後はそのほとんどがバス専用道路だったが、国道の拡張などで徐々に距離が短くなった。その模様は、かつてテレビ朝日「ニュースステーション」の特集で観た記憶がある。
次の白棚線は16時02分発。その次は17時05分発だから、空が暗くなり、不可。その意味で、16時02分のバスは動かせなかったのである。どんどん遡ると、きょうは常陸多賀を11時50分に出る常磐線上りに乗るのが絶対だった。
まだ時間があるので、棚倉城跡まで足を伸ばすことにする。途中、パン屋があった。土曜日限定で1ヶ30円引きである。さらに歩くと、またパン屋があった。
城跡もいいが、以前訪ねたときはあまりおもしろくなかったので、途中で引き返す。私は両方のパン屋で、菓子パンを買った。
このまま駅前まで戻ってもいいが、その手前に古本屋があった。旅先での古本屋は魅力がある。入ってみると、コミックの類が豊富にあった。
驚くべきは値段の安さで、そのほとんどが105円か210円だった。古本を売るコツは、ズバリ、値段を安くすることだと思う。「東日本大震災の余震で、本棚から本が崩れる場合があるので、当分の間、立ち読みを禁止します」の注意書きがあるのがアレだったが、ここは1冊ぐらい買っていきたいところである。
じっくり選んだ210円のコミックを、レジに持っていく。するとレジのお姉さんが、意外なことを言った。
(つづく)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする