一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

ムリヤリの旅・8

2013-01-21 01:23:50 | 旅行記・その他の地域
次の会津バスは17時05分である。このまま待合室でバカみたいに待つわけにはいかない。ここは駅まで歩いて帰る一手だ。私は半分放心状態のまま、観光案内所に入る。駅への方角を聞くと、中から「なんなら送っていきましょうか?」のありがたい言葉があった。もちろん、お言葉に甘える。
精悍なおじさんが運転を買って出てくれた。これから会津若松に向かうらしい。しかしクルマを用意するのに時間がかかり、私は気が気でなかった。
車中、芦ノ牧温泉の歴史を聞く。数十年前までは山に架かる橋がなく、人々は阿賀野川を行き来していたそうだ。新道ができたが旧道にも集落は残っており、路線バスは1日に数本、旧道を通るのだという。行きにバスが通った道が正にそうだった。
「今回は立ち寄り湯で来ました」と言うと、「次回はぜひ宿泊で」と返されてしまった。私は曖昧に頷くしかない。
駅の猫の話題になり、「いまは遊びに出ていて、いませんでした」と言うと、「巡回中です」と訂正された。駅長さんだから、猫ちゃんといえどもしっかり働いているというわけだ。
姉妹駅の「那珂湊にも行ってきました」と言うと、奥さんは那珂湊の出身とのこと。今回はどこまでも偶然が重なっている。
クルマは快調に飛ばし、5分足らずで駅に着いた。ときに16時21分。
駅舎に入り、おじさんには心からの礼を言う。北千住までの切符を買うが、3,930円だった。意外に高い。おじさんは駅の女性に一声掛けた後会津若松に向かったが、こんなにお世話になったのだから、ちゃんと外に出て最敬礼をすべきだった。
ホームに出ると、16時26分発の列車が来た。乗れると思わなかっただけに、感激もひとしおである。
17時14分、会津田島着。会津鉄道は、たいていここで列車を乗り換える。2分の連絡で出発する。会津高原尾瀬口から野岩鉄道になり、18時24分、東武鉄道・鬼怒川温泉に着いた。
ここから2分の連絡で、「特急きぬ138号」が接続している。これに乗れば20時22分、北千住に着く。しかし有料で、いくらかかかる。しかしこれに乗らねば、9時からの「ATARUスペシャル・第2部」は観られないのだ。
向かいのホームに、特急きぬ138号が入線した。中はガラガラである。特急券は乗車してから買えばいいから問題ないが、どうするか。しかし私は、そのまま列車内に残った。特急料金を惜しんだのだ。
18時26分、特急きぬのドアが閉まる。この瞬間、「ATARU・第2部」は冒頭から観られないことが確定した。
(おわり)
コメント (2)
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