一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

LPSA芝浦サロン・松尾香織女流初段4・マッカラン勝負ラスト1(前編)

2011-06-19 00:21:48 | LPSA芝浦サロン
昨年12月15日(水)のLPSA芝浦サロン、私は松尾香織女流初段におかわり対局を申し込んだ。これが松尾女流初段とのマッカラン勝負、いよいよ最後の対局だ。私が勝てばマッカラン回避、負ければマッカラン進呈である。マッカランといってもピンからキリで、マッカランの味など分からぬであろう松尾女流初段には安物でいいとフンでいたが、あとで調べられても困るので、もしものときには、安売りの店で1万円前後のものを進呈する予定だった。
またも対局時計を使用。松尾女流初段10分、私は30分の持ち時間で、対局開始となった。
▲7六歩△3四歩▲2六歩△5四歩。これで松尾女流初段のゴキゲン中飛車がほぼ確定。やはり最後はエースを投入してきたか。
私は▲3六歩から▲3七銀の「超速」を採る。ゴキゲン中飛車は飛車をドンと真ん中に振って玉を囲う分かりやすい戦法だが、「超速」も玉の囲いを後回しにし、素早く銀を出て行くという、これも分かりやすい対抗法である。
対振り飛車では、玉頭位取りなどのじっくりした戦いが自分の棋風に合っていると思う。ただ本局は2局目で、私はスタミナが切れかかっており、速戦即決で行きたかった。
▲7八玉の瞬間に△5六歩。中井広恵女流六段、石橋幸緒女流四段をのぞくLPSAの女流棋士には、それぞれ「マイシステム」があり、松尾女流初段は▲7八玉の瞬間に必ず△5六歩とくる。私がプロだったら、LPSA女流棋士の「マイシステム」を徹底的に研究して、しかるのち力戦形に持ち込むだろう。とにかく、LPSA女流棋士の将棋は研究しやすい。
私は角を換わって▲6八銀。△7六歩を取るなら取れ、だ。と、松尾女流初段は穏やかに△5一飛。いままでは△7六歩を守ろうとしてヘンな形にしていたが、これで飛車を引いてくれるなら、私も満足である。
△8二王の瞬間に、▲3五歩と突っかけた。△3五同歩なら▲4五角で、両成りが受からない。
ここで松尾女流初段の手が止まった。傍らで見ていた船戸陽子女流二段に、
「まずいよー」
とか言っている。それなら▲3五歩は△同歩と取らなければいいのであって、△4四歩ぐらいで互角と思っていた。
ところが松尾女流初段は△3五同歩。私は▲4五角から労せずして馬を作る。私はこのとき、松尾女流初段がわざと緩めてくれているのだと思った。しかし
「陽子ちゃんごめーん、マッカランだめかもー」
と謝る姿は本心のようである。同僚に謝るくらいなら、将棋を勝ちたいだろう。やはり本気を出してくれているようだ。
△2七歩に、私は▲4一馬と切って、▲5八飛と逃げる。△2七歩を空振りさせる意だったが、局後、大事な馬を切ってくれたのはありがたかった、と松尾女流初段の感想があった。
確かにそうで、△2七歩に▲5八飛△同飛成▲同金なら、△4一金取りが残って、下手十分だったかもしれない。しかし上手の美濃囲いも固く、実戦的にはむずかしい。
松尾女流初段、△5一飛。今度は私が、ありがたい気がした。私は▲同飛成から▲3一飛と先着する。お互い桂、香を取り合い、私は「8六」、松尾女流初段は「5一」に香を据えた。
私は▲5二歩と打ってから▲5七歩と守る。しかし歩切れの上手に歩を渡して、疑問だった。松尾女流初段に△5一歩と打たれ、松尾陣が見違えるように固くなったからだ。ここで指す手が分からなくなった私は▲2三歩成。しかし2階から目薬のようなと金が間に合うはずもなく、これは一手パスだった。
松尾女流初段は△1八竜、△3九角とヒタヒタと迫る。私は▲6八金打、▲6六銀と懸命の防戦だ。はなはだおもしろくない展開だが、ここで投げるわけにはいかぬ。
松尾女流初段、
「笑われちゃうかなー」
と△7四銀と打った。この局面が下。

上手・松尾女流初段:1三歩、1八竜、2七歩、3五歩、3九角、4三歩、4四銀、5一歩、5二香、6一金、6四歩、7二銀、7三歩、7四銀、8一桂、8二王、8三歩、9一香、9四歩 持駒:角
下手・一公:1一竜、1七歩、2三と、4七歩、5七歩、5八金、6六銀、6七歩、6八金、6九金、7六歩、7七桂、7八玉、8六香、8七歩、9六歩、9九香 持駒:桂2、歩

次の狙いは△6五歩▲同桂△同銀▲同銀△5七香成▲同金右△同角成だ。
松尾女流初段、序盤のボヤキはどこへやら、すっかりヨリも戻って、いまは自信ありげな顔だった。
(つづく)
コメント (2)
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