一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

6月13日のマンデーレッスンS(後編)・二度負けた

2011-06-15 00:05:26 | LPSAマンデーレッスン
「ああっ、二歩だ!!」
二歩をっ、二歩を打ってしまった!! 「7二」に歩が落ちていた。それに気付かず、私は二歩を打ってしまったのだ! それも自信満々で!! 何てことだ、恥ずかしい!!
ああうっ、二歩は何年ぶりだろう。少なくとも駒込サロンや芝浦サロンでは、二歩はなかった。
これは負けだ。私は潔く投了したが、これは指導対局である。植山悦行七段は「まあまあ…」と、そのまま指し継いでくれる。その優しさがつらい。
私は緊張の糸が切れたが、何とか気力を振り絞って、指し手を進めた。
私は待望の▲6六桂を打ち、以下、大振り替わりとなった。
「いつの間にかそちらに持ち駒がいっぱいあるねえ」
「いえ、それほどでも」
「ニャニオウ!!」
と苦笑いする植山七段。それにつられて、周りにドッと笑いが起きた。
上手は△4四歩から△4三王と早逃げする。その局面が下。

上手(角落ち)・植山七段:1一香、2三歩、2四銀、2五桂、3三歩、4二金、4三王、4四歩、5三歩、5四銀、5七金、6四歩、8一飛、9一香、9四歩 持駒:角
下手・一公:1四歩、1九香、2二歩、2八飛、2九桂、3五歩、4六歩、5六歩、6二成桂、6七歩、7二歩、7八金、7九玉、8六歩、9六歩、9九香 持駒:金、銀2、桂、歩3

(△4三王以下の指し手)
▲7一歩成△8六飛▲5一銀△3五銀▲3六歩△4六銀▲2五飛△4一金▲2三飛成△4五銀▲6六桂△6八角▲同金△同金▲同玉△8八飛成▲7八歩△5七金 まで、113手で植山七段の勝ち。

この局面、下手は角桂交換の駒損だが、上手は歩切れで持ち駒は角一枚だけ。下手は持ち駒が豊富のうえ6二成桂の存在が大きく、下手優勢といえる。
ここで▲7七銀と一枚入れれば下手陣は盤石、安全勝ちであろう。しかしいままで受けを続けていた私は、ここで攻め合って勝とうと考えた。
▲7一歩成は△8六飛を与えてお手伝い気味だが、次の▲5一銀に期待した。
植山七段、△4六銀。ここで▲2五飛と走りたいが、飛車の横利きが消えるので、△6八角からの攻めを警戒する必要がある。▲6八同金は一目あぶないので、▲6九玉と寄ってみる。これで逃れていると思いきや、以下△8九飛成▲7九歩△7八竜▲同玉△7七金▲8九玉△7九角成▲同玉△6八金左▲8九玉△7八金寄▲9八玉△8八金寄▲9七玉△8七金引までで詰むことに気が付いた。
では△6八角には▲同金か。以下△同金▲同玉△8八飛成▲7八歩△5七金に、▲6九玉(▲5九玉は△7九竜で、合駒が悪く下手負け)でわずかに詰まず、下手勝ちと信じた。
私は勇躍▲2五飛。数手後、いよいよ受けに窮した植山七段は、下手陣に目を転じ、「さっきから打てたのか…」という感じで、△6八角と打ってきた。
私は読み筋どおり応対する。▲7八歩と打つときイヤな予感がしたが、打った。その直後、私はまたも、あっ!! と言った。
植山七段、△5七金。
「しまったア!! 香を拾われるのをうっかりした!!」
私はそう叫ぶと、本局2度目の投了をした。
その直後、ふたりで大笑いする。先ほどの会話から、周りの会員は、そのまま私が勝ったと思ったらしい。
整理すると、△6八角▲同金△同金▲同玉△8八飛成▲7八歩△5七金(ここで投了)▲6九玉に、△9九竜(と香を取る)▲7九合△6八香▲5九玉△7九竜まで、下手玉が詰んでしまったのだ。
すぐに感想戦に入った。
「7八の合い駒が悪かったね。金? 銀でもいいのか。…金だね」
と植山七段。すなわち終了1手前、▲7八歩合で▲7八金合なら、△5七金▲5九玉△9九竜▲7九歩で下手玉は詰まない。こう指せばよかった。
余談だが、帰宅後考えてみると、△6八角に▲6九玉の変化も、△8九飛成▲7九歩△7八竜▲同玉△7七金のとき、▲6九玉と元に戻る皮肉な手があり、以下△7九角成▲5九玉△6八馬▲4九玉△6七馬▲3九玉で詰まず、△6六馬と桂を外す手に▲6三銀で、これも下手勝ちだと分かった。
何てことだ…。△6八角にスッと玉を横に寄り、上手の猛攻を凌ぎきったら、これも痛快な勝利だったろう。まあ、これも実力だから仕方がない。
マンデーレッスンの1コマは、2時間だから忙しい。8時からは、佐々木勇気四段との将棋の、ワンポイント解説となった。本来ならここは、十分時間を取って植山七段の解説を聴きたいところだったが、時間の関係で「次の一手」の周辺を解説したのみ。ちょっと消化不良だった。
夜のマンデーレッスンは8時半までである。塾長の藤森奈津子女流四段がせかすので、後半の植山七段は、勝利者とのツーショット写真やサイン、コメントの記入と、てんてこ舞いの忙しさだった。
けっきょく、指導対局が終わったのは、9時すぎだった。9面指しだから、これはやむを得ない。どうも、レッスンの「2時間」という設定自体に、無理があるのではないか。2時間半は欲しいところである。
残ったメンツで、とりあえず食事に行くことにする。このシチュエーション、懐かしい。サロンを出るとき、私は金曜サロンを思い出して、ちょっとホロッとした。
W氏、Ho氏、Ka氏、私が同行し、中華料理屋に入って、食事。食後は近くの喫茶店に入った。けっきょく、雨は降らなかったようである。
植山七段とのバカ話は楽しかった。考えてみれば、金曜サロンでは、毎週こんな感じだった。私たちは駒込で、本当に幸せな時間を過ごしていたのだ。
植山七段は、述べ17人と指したそうだ。いまLPSAで、これだけの将棋ファンを集められる女流棋士は、残念ながら、いない。これからもときどきでいいから、植山七段がLPSAに遊びに来てくれることを、私は切に願った。
コメント (3)
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