一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

三たび大野教室に行く(前編)

2011-06-08 00:10:23 | 大野教室
6日(月)の倉敷藤花戦、石橋幸緒女流四段対中村桃子女流1級の一戦は、石橋女流四段の勝ち。マッカラン獲得まで、あと1勝となった。中村女流1級は2回戦で矢内理絵子女流四段を破ったが、ここで力尽きた。
そしてきょう8日(水)は、中井広恵女流六段が鈴木環那女流初段と対戦する。この対局で中井女流六段が勝つと、次局で中井女流六段と石橋女流四段が対戦するため、私のマッカラン進呈が確定してしまうのだ。
カンナ先生、きょうの対局はガンバッテくれええええええーーーーっっっっ!!

5日(日)は埼玉県川口市にある、大野八一雄七段が講師を務める「大野教室」に行った。大野七段に将棋を教わるのはもちろんだが、今回は「将棋ペン倶楽部」原稿執筆のため、25年近く前に指された某棋士の実戦譜を探させていただく、という目的もあった。
家を出るのにグズグズして、大野教室に入ったのが午後1時半近く。スタッフ氏に「棋譜データベース」で棋譜検索のお願いをしたあと、早速大野七段に指導対局を受ける。手合いは角落ち。過去は私の7戦全敗だが、中には惜しい将棋もあり、まったく歯が立たない、とは思わない。もっともそれは大野七段が適当に緩めてくれるからで、本気を出されたら飛車落ちでも勝てないだろう。
大野七段は先日の竜王ランキング戦6組準決勝で吉田正和四段に屈し、本戦トーナメント入りのチャンスを逃した。ちょっと声を掛けづらい。
「大沢クンは居飛車を指しなさい」
という植山悦行七段のアドバイスを思い出し、私は居飛車明示。大野七段も居飛車を採り、角落ちらしいガップリ四つの将棋になった。
私は3七に角を転回し、▲8五桂△同桂▲4五歩(9一の香取り)と動く。しかし先に駒損をする攻めは大概うまくいかないもので、以下もズルズルと駒損を重ね、惨敗してしまった。
感想戦では、先に▲4五歩と突き捨ててから▲8五桂なら、下手も十分だったという。ほんのちょっとした手順の違いで、棋勢が大きく変わる。ここが将棋の恐ろしいところである。
この将棋の途中、白皙の青年が見えた。現役の大学生で、かつては植山門下として、奨励会に在籍していたという。大野七段には平手で教わっていた。これはたいへんな手練だ。
傍らにあるノートパソコンで、日レスインビテーションカップの松尾香織女流初段-山口真子アマ戦を見る。松尾女流初段が角金交換の駒得を果たし、有利。
ところがしばらく経って再度見たら、松尾女流初段が敗勢になっていた。どういう手順を踏めば、あんな局面になるのだろう。まったく、松尾女流初段はヘタをやった。
大野七段のご厚意で、2局目を教わる。大野教室は大野七段に何局将棋を教わっても、料金は同じである。だからといってたくさん指すものではなく、我々大人はじっくり考えて、1局か2局教えていただくのがベストと思う。
いつもならこのあたりで植山七段がヘルプに来るはずなのだが、きょう植山七段は、東京・将棋会館でテレビ番組の収録をしている。アシスタントは山口恵梨子女流初段。おカネをもらって山口女流初段と「共演」できるとはうらやましい。
その山口女流初段は最近髪を切って、ますます魅力的になった。来月のマイナビ女子オープン一斉予選対局で、彼女を拝見するのが楽しみである。
大野七段には再び角落ちを所望し、これも相居飛車となった。△7五飛▲7七角の局面で、大野七段の△7三桂に私の目が光る。私は▲6六角と上がり、△7四飛に▲9五歩と端を攻めた。もし△9五同歩なら▲9二歩△同香▲9三歩で私の勝勢。大野七段は長考し、△8六歩▲同歩△6五歩▲4八角△6六歩▲同角と暴れてきたが、私は落ち着いて対処し、攻めの糸口を与えない。
しかし△3三桂▲7六歩△同飛(この2手は余計だった)▲9四歩△5五歩に、▲9三歩成は功を焦った。
このあとは△4五桂▲同歩△同銀▲4六歩に△5六銀とすりこまれ、以下は攻め合いの末、負けた。
局後の感想戦では、△5五歩にも堂々と▲同歩と応じ、▲9三歩成をチラチラ見せつつ、上手に「攻めていらっしゃい」と催促するのがよかったという。▲9三歩成は下手からの一方的な攻めだが、上手からの無理攻めは、上手の力を利用することになり、下手が楽にコトを運べるのだという。
言うは易く行うはむずかしいが、「相手の力を利用する」の教えは平手戦にも通じ、とても勉強になった。
きょうのもうひとつの目的、某棋士の棋譜検索だが、私の頼りない記憶をもとに探してもらっているものの、該当棋譜がなかなか出てこない。
ようやくそれらしき棋譜が出たが、私の感動した手順は、この中になかった。この25年の間に、私は記憶の改変を行っていたらしい。しかしその手順が幻と分かった以上、将棋ペン倶楽部への原稿も書けないことになる。いや、困った。
先ほどの青年――S氏と将棋を指すことになった。大野七段と平手で指していたので、私は当然角落ちを所望したが、彼は「さすがに角は…」ということで、私の先手で対局が始まった。
(つづく)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする