一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

四たび大野教室に行く(前編)・初白星ならず

2011-06-21 01:26:23 | 大野教室
19日(日)は、昼から「大野教室」に行った。大野教室とは、日本将棋連盟棋士の大野八一雄七段が講師を務める、将棋教室である。基本的に実戦の指導で、対局の合間には詰将棋や次の一手が出題される。熱心な生徒はさらに実戦譜を見せ、寸評もいただいているようだ。放課後のおしゃべりも楽しい。
次週26日(日)に第23回社団戦の第1日があるので、今回はモチベーションの維持も兼ねている。行きにW氏と偶然会い、午後1時半ごろ、いっしょに入室した。
先客はUe氏と、子供たち3人。日曜日は、土曜日より客が少ない気がする。
大野七段には、早速角落ちでお願いする。私の作戦は居飛車。振り飛車も指したいが、金銀で抑え込まれそうな気がして、最近は指す気がしない。居飛車なら2筋の歩を交換できるので、そのぶん攻めの幅が拡がる。
本局は、▲5七銀・▲7七銀の形から、私が▲8八飛と振ったのが会心の一着。第4期竜王ランキング戦2組昇級者決定戦決勝・大山康晴十五世名人×真部一男八段戦で、後手の大山十五世名人が指した手を拝借した。これで上手(先手)は8筋(2筋)を受けにくい。
その後も私は強気に応接する。大野七段は5筋に戦いを求めたが、私は▲4六角を▲3七角と引く妙手(事前にアタリを避けた)を織り交ぜ、優位を持続したまま、終盤戦に突入した。
私は▲2三銀△同王▲3一飛成と、上手王を追いつめる。ここではさすがに勝ちを意識した。対大野戦10戦目にして、悲願の初勝利か。しかし大野七段も6七にと金を作り、妖しく迫る。実は私の玉は居玉で、このと金が存外脅威だ。さすがにラクには勝たせてくれない。
▲2一竜△3四王▲3七桂△4四歩▲3五桂。△4四歩では、△4四王と早逃げされるのがイヤだった。私は詰めろ詰めろで迫る。大野七段は△4五歩と、さらに懐を拡げる。ここでどう指していいか分からなかった。その局面が下。

上手・大野七段(角落ち):1一香、1三歩、2四歩、3三歩、3四王、4二金、4五歩、5五金、6七と、8六歩、9一香、9三桂、9四歩 持駒:角、銀2、歩4
下手・一公:1七歩、1九香、2一竜、3五桂、3六歩、3七桂、4七歩、4九金、5九玉、6九金、7六歩、8四銀、8八飛、8九桂、9七歩、9九香 持駒:銀、歩2

私は▲5一竜と廻る。以下△5三銀▲2八飛△5七角▲4二竜△6八銀▲同金△同と▲同飛△同角成▲同玉△4二銀まで、何と大野七段の勝ちとなってしまった。
上の局面からわずか12手で私が負けるとは、どういうことか。私はまたも掌中の勝利を逃し、呆然となった。
午前のNHK杯将棋トーナメントには終盤の魔術師・森雞二九段が出ていたが、森九段のお株を奪うような逆転のテクニックである。しかも感想戦で大野七段は、どう指しても負けと思って指していた、と言うので私もクサッタ。私のほうに、もっと明快な勝ちはなかったものか。
「△6七にと金を作らせたのが結果的に疑問で、△6六歩を黙って▲同歩と取っておけば何でもなかった」
という結論になったが、どうも釈然としない。
ここで3時のおやつ。Hon氏の手土産などを含め、4~5種類のお菓子が配られる。これで脳ミソを休めてくれ給え、という大野七段の配慮だが、この間に詰将棋が配られ、私たちは休むヒマもない。
詰将棋があらかた解けると、今度は実戦次の一手が配られる。といってもよくある「次の一手」ではなく、たくさん駒の利いているところに相手の駒が成ってきた場合、どの駒で取るのが最善かを問うものである。
私たちレベルでは頭を抱えてしまうが、プロから見ればどの局面も「この一手」らしく、「常識」とさえ云えるものだという。
プロの読みのすごさ、形の明るさには感心させられるが、今回も私は、ただただ唸るしかなかった。
それにしても、1局目の将棋が気になる。何か勝ちはなかったのかと、そんなことばかり考えている。そんなモヤモヤ感を抱いたまま、大野七段との2局目が開始された。しかし頭の中がこんな状態では、満足に手も読めない。何しろ指し手を進めながら、前局の将棋を考えているのだ。
2局目も私は居飛車で向かい、▲5七銀、▲3七桂として左美濃に組む。玉は▲7九まで囲ってしまっているから、角は▲7七→▲5九と使いたいが、すでに右桂を跳ねているので、▲3七角とできない。
また▲7七角のままだと△7四歩~△7三桂~△6五桂があるから、下手も忙しい。
困り果てた私はまたも飛車を8八に振るが、前局と違って、逡巡した末の着手だからホメられない。
その後私は飛車を2八に戻し、再度四間に振るなど、まったく指し手の一貫性がなかった。
角は結局4八に収まったが、なんの働きもない、ただの木偶の坊だ。しかも玉は3八にいる。まったく、ひどい将棋にしてしまった。
大野七段、桂を交換して△1五歩。▲同歩なら△1八歩▲同香△2六桂で上手が勝つ。実戦も1筋から攻め込まれ、中押し負けとなった。
感想戦では、▲5七銀~▲3七桂~左美濃の構想が良くないとされた。角落ちのハンデがあっても、駒組の不備ですでに下手がおもしろくないとは、将棋は本当にむずかしい。
次は、Hon氏と練習将棋。Hon氏の変態三間飛車に私は急戦で挑む。
R氏が見え、隣で練習対局を始めた。きょうは「LPSA芝浦将棋フェスタ」の団体戦に出場していたはずだが、そのあと芝浦から川口まで、わざわざ足を伸ばしたものらしい。熱心なことである。
△8六歩~△8五歩の継ぎ歩が、Hon氏が見落としていた好手。私は金桂交換の駒得を果たし、有利になった。しかしそこからHon氏の反撃が見事で、私は無念の敗戦となった。
社団戦を前にして0勝3敗とは、何たることだ。これでは自信を消失するだけではないか。
それにしても、大野七段とのあの局面…。もうお開きの雰囲気だったので、私は1局目の局面を再現し(上に掲げた局面)、大野七段に問うた。
(つづく)
コメント (5)
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