一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

日曜日の将棋

2011-06-07 00:28:57 | 将棋雑記
5日(日)は「NHK杯将棋トーナメント」「日レスインビテーションカップ」「大和証券杯最強戦」の各種中継があった。

NHK杯は大豪・佐藤康光九段対18歳の新鋭・永瀬拓矢四段。この将棋が皆さまご存じのとおり、NHK杯史上初の「2局連続千日手」になった。
1局目は先番・永瀬四段が石田流三間飛車からうまく指し回し、やや指しやすい形勢になった。しかしそこから先手が▲6八飛~▲8八飛、後手が△6二飛~△8二飛を繰り返し、なんと千日手になってしまった。
解説の鈴木大介八段によると、永瀬四段は「千日手名人」だそう。序盤に自信があり、必ず作戦勝ちになるので、指し直しは苦にならないらしい。
そうはいってもあの局面は先手の模様がよく、千日手に持ち込むまでもなかった気がする。ましてやこれはテレビ放送である。まあプロは生活がかかっているから、ミクロの単位でも勝率の高いほうを選択する、という考えは分からぬではない。しかし、模様のよい将棋を、ああもあっさりと千日手に持ち込まれてしまうと、見ているこちらは白ける。
あの局面、大山康晴十五世名人、中原誠十六世名人、谷川浩司九段(十七世名人)なら、間違いなく打開したであろう。
永瀬四段は角道を止めての振り飛車が得意らしく、私が注目している棋士だったが、私は彼を買いかぶっていたようだ。今回の将棋を見て、彼を注目するのはやめた。
どの棋士を応援するかしないかは、個人の自由である。

日レスインビテーションカップは、午前10時から渡部愛ツアー女子プロ-林葉直子さん、午後2時からは松尾香織女流初段-山口真子アマの対局だった。
林葉さんは昨年に続いての同棋戦出場だったが、将棋の内容は昨年より悪かった。林葉流の奔放な指し回しが、本局では空回りしてしまったようだ。
昨年も似たようなことを書いたと思うが、林葉さんは将棋の勉強より、体力をつけることのほうが先決である。もし食事を摂る体力すらないのだとしたら、まず体の内側から元気にしていかなければならない。まだ間に合う。
渡部ツアー女子プロは、現在のLPSAでは、中井広恵女流六段、石橋幸緒女流四段についでの実力者である。林葉戦の勝利は、まず順当というところ。5日は制服での対局で、その眩しさに激しく萌えた。この調子で、来月のマイナビ女子オープン・一斉予選対局でも頑張ってもらいたい。

松尾女流初段-山口アマ戦は、「大野教室」のパソコンでチラチラ見ていた。序盤でポイントを稼いだ松尾女流初段が角金交換の駒得になったが、しばらく経って再度中継を見たら、松尾陣に相手の駒が殺到し、松尾女流初段が投了寸前なので、開いた口が塞がらなかった。
棋譜をプレイバックしてみると、角金交換のあと、いったん上がった▲3六銀を▲4七銀と追い返され、2一から6五に成り返った馬を再び2一に戻し、桂取りに▲6五歩と角道を開けたら、その桂を2五に跳ねられるという、松尾女流初段・お手伝いと緩手のオンパレードで、私は目を覆いたくなった。
松尾女流初段は私との指導対局ではめっぽう強く、さすがはプロだと唸らされることもしばしばだが、こんな拙戦を見せられると、松尾女流初段の実力はこんなものなの? と疑心暗鬼を生じてしまう。
この敗戦が悔しかったら、松尾女流初段は来月のマイナビ女子オープンで敵を討つしかない。まだ間に合う。

夜は大和証券杯最強戦。広瀬章人王位×屋敷伸之九段だ。5日の夜は大野八一雄七段を交えて将棋談議に花を咲かせていたので、棋譜を再生したのは6日。
広瀬王位が振り飛車穴熊を採れば、屋敷九段もそれに呼応して穴熊に潜る。男性も女性も、本当に穴熊が好きだ。将棋は何を指しても構わないわけだが、相穴熊は私の鑑賞に堪えない。ひたすら続く駒の剥がし合い、パズルのような金銀の打ち換えに、おもしろさは微塵も感じない。
それでも本局は、これぞ将棋という白熱した戦いで、再生しただけの価値はあった。しかしその途中途中に、いかにも相穴熊戦らしい泥臭い手が出て、ちょっと顔をしかめた。
コメント (2)
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