AKB48の旅

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夏まゆみ著「ダンスの力」

2014年04月29日 | AKB
一気読み。これは凄い本。

なんか論評とか烏滸がましいにも程がある、そんな畏れ多いことはとてもできない気分。これを読んで今更ながらに気づかされたのが、私が本ブログを通して絶賛させていただき続けてるAKBムーブメントの素晴らしさ、そのほぼすべての淵源が、夏まゆみ先生だったということかと。

個別の内容としては、モーニング娘。、そしてAKB48の立ち上げからの様々なエピソードが、大半を占めてる。そこには既知のものもあれば、初見の内容も語られてる。そんなエピソードの一つ一つも興味深いんだけど、それよりもなによりも、夏まゆみ先生の価値観、そして行動規範、なかんずく思想信条、誤解を恐れずに書いてしまうなら「宗教心」が、具体的な例示という形で、ストレートに描かれてたのがなにより印象的だった。

もちろん夏先生は、それを「宗教心」とは自覚されてないことだろう。けれもどそれは多くの日本人も同じなんであって、一所懸命、日々是修行というのはれっきとした行動規範、つまりは宗教心の現れ。その上で美意識に生きるという死生観は、正に美化された武士道そのもの。夏先生がグルになって、最も美しい形での「日本教」がAKBメンバーに伝授されてたことが分かる。

どこか一部だけの引用とかはとてもできないけど、一番印象に残ったところとしては「真剣な努力を積み重ね、そのことによってつらい壁に突き当たっている人は、だれもが選ばれた人なのだ」という指摘かな。これは一所懸命、日々是修行の哲学の表現であるとともに、まさにプロテスタントの思想でもある。例の多神教と一神教の交錯、因果律と予定律の鏡像関係そのものじゃないだろか。そして「気づき」についても深く語ってるけど、これなどもクリシュナムルティに通じるものを感じる。

つまりは、私が秋元康氏発として受け止めていたものの多くは、実は夏まゆみ先生に、その起源を求めることができることになりそう。秋元氏は言わば器を用意した側であって、そこに夏まゆみ先生的なものを満たした、そういう判断をしたということになりそう。これでようやく、思想信条を持たない秋元康氏のプロデュースに、なぜ理想的とも言える「日本教」が現れているのか、その謎が解けたのかも知れない。

もう一つ、個別のメンバーへの言及では、その多くが前田さんと高橋さんで占められてるんだけど、既述のように、私も手探りするようにして感じ取ることのできた、この二人だけが持ってる「何か」の答えが、さらりと書いてあった。それは「心の強さ」だと。あまりに簡単な答えに、唖然というか呆然というか、けれどもスルリと腑に落ちた。夏先生が、その価値観に従って迷うことなく選んだのが、前田さんであり高橋さんだったことが、力強く書かれてて納得。

以前、夏まゆみ先生は「ダンサー目線」だから、前田さんを選んだみたいなこと書いた記憶があるけど、伏してお詫び申し上げたい。勉強せずに知ったかぶりは厳禁。肝に銘じよう。

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