AKB48の旅

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秋元康の外化

2012年10月04日 | AKB
折に触れてAKBの組織論を書いてきたけど、その度に注意深く避けてきたつもりなのが、資本関係とか、ぶっちゃけ金勘定とか、業界とのつながりとか、外部との関係性、分かったような分からないような表現だと大人関連の話。そっち系はほとんどが水面下だし、表に出てくるとしてゴシップになっちゃうしかないんで、触れようがないとも言えるんだけど、どうもそうもいかない雰囲気みたいなのがあるんで、ここらへんもちょっとだけだけど踏み込んでみる。

まずは秋元康の年齢。週刊新潮の「秋元康研究 第3回」はぬるすぎてスルーしたけど、2歳サバ読んでるかどうかは大したことではなくて、まあ50代半ばであることに変わりはない。個人差があるとは言えクリエイターとしてはピークを過ぎてるってことは避けられない。もちろんプロデューサー業というのは金脈、人脈がより重要とも考えられるんで、そこは経験値こそが最大の財産になるけど、それでも総合力としてはピークアウトしてるとしても大外しはしてないだろうし、秋元康自身がそう考えてる可能性は高い。

以上のような補助線を引いた上で、最近の人事を見直してみると、ある種一貫した方向性みたいなものが想定できるように思う。

まずは分かり易いところで、高橋さんの総監督就任。一次ソースで秋元康直属のナンバー2であることが示されてる。冗談のように語られてるけど、これはシンプルにその通りなんじゃないか。現状を追認しただけではあるけど、その権力構造を明示的にした。高橋さんの担ってた役割は自然発生的で、AKBにとって空気のような水のようなあり方だったんだけど、それを目に見える形で示した。つまりは高橋さんの言葉は秋元康の言葉。高橋さんの命令は秋元康の命令。

その上で、これも一次ソースの「高橋は政治家向き」「ジャカルタで記者会見」発言をかぶせれば、今後はプロデューサー業の中でも最もキモとなる、外部との折衝や交渉ごとに帯同して、ゆくゆくは任せることを想定してるんじゃないか。ナベツネとの対談なんてのも、モロ前振りみたいなものだろう。

次はさっしー。アンリレについてはまだちゃんと触れてないけど、ぶっちゃけ言うと48Gとしては多分初の試みだと思う。その作りがビジュアルというローコンテクストにほぼ特化してる。そこをさっしーに丸投げした格好になってる。つまりはプロデューサー業の本業とも言えるところの、正に企画もののプロデュースを任せてると見なせる。

そして北原さんの「テラスハウス」出演。正直に言うと、北原さん関連のこの一連の流れを見て、この記事を書こうと思い立った。それくらいい興味深かった。

やすすぐぐたすの煽りを見ても、深読みかも知れないけど、秋元康には期する所があったとしか思えない。かねてからその才を認めていたことだし、「ギルティー・ラブ」という例もある。その評価を見ても、北原さんに「経験」を積ませたいと思っていたとしても不思議ではないと思う。つまりは秋元康の自称本業であるところの「作詞」。さっしーにも作詞を任せてることだし、才能のあるメンバーに作詞を任せていく、そのための「テラスハウス」出演なんではないか。コントロールされた環境での疑似恋愛体験なんて、現役アイドルとしてはこれ以上望むべくもないだろう。

一次ソースを元に、それほど無理筋ではない推測ができるのはここまでだけど、既述のように横山さんのNMB兼任は、NMBに対するケアと見なせるし、北原さんのSKE48兼任も同様だろうと思う。さっしーのHKTも言わずもがな。太田プロもしっかり張り付いてるんだろう。そして海外留学組。つまりは48Gメンバーによる総合プロデューサー業の分担が、少しずつだけど進められてると見なせる。

内部的に人事権という権力の委譲を、そして外部的に今後の渉外担当という人脈の委譲を受ける高橋さん。企画立案と売り込みがさっしー。作詞が北原さんとさっしー。総監督補佐が横山さん。まだまだ人事が偏ってるけど、48Gは若い女子の集団なんで、そうそうできることは限られてる。秋元康の中の人が衰える前に、倒れる前に、秋元康を外化する試みが、手探りだけど始まってるんじゃないか。


以下追記
mistralさん、コメントありがとうございます。
本ブログは、たかが風吹新規のAKBお勉強ノートなんで、あんまりいじめないでください。劇場は難しいんで、「見逃した君たちへ」でお茶にごしです。ここでの「神は細部に宿る」の出典は記憶違いでなければ、堺屋太一先生です。原典を確認できないんで、違ってたらごめんなさい。