Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

魚価の低迷は誰のせいか?

2009-12-25 | シーグラントカレッジプログラム
民宿の若旦那であり社長であり漁師であるとしさんは、ゴム長をはいて、強風の真っ暗な外で私たちを待ってくれていた。

お部屋に案内されて夕食をいただく。実に美味しい。このような味のいいカニをいただいたのは初めてである。脚を真ん中から半分にしているところもいい。今朝とれたカニであると言う。鮮度もいいが、蒸し加減もいいのであろう。心配りを感じる。

としさんの定置網の水揚げはこの地域では一番である。
「いろいろな職業があるが、漁師という仕事は、誰かがやって,自分がとったものを美味しいと言ってくださることが一番の幸せ。たまたまその仕事を私がやっているだけだ。」

「しかし、資材の値段は上がっているのに、魚の値段は40年前と一緒。やっていけない。なんとかしてほしい。」それが親子2代の漁師の共通の思いである。

 このような現場の課題に、どのような解決策を講じればいいのであろうか?
水圏環境リテラシー教育の立場で考えることも新しい試みとして必要ではないか?

ポイントレイズ・ナショナル・シーショアを訪問。

2009-03-11 | シーグラントカレッジプログラム
本日が最後の調査となった。ポイントレイズは,1700年代に発見された。この半島は,はじめは島であったが少しずつ移動して大陸と繋がったという地理学的にも興味深い場所であり,またクジラやエルクなど様々な野生生物の宝庫であり自然観察学習にも最適な場所である。ポイントレイズ・ナショナル・シーショアとして国により保護されている。http://www.nps.gov/pore/

フランシス・ドレイクはアメリカ西海岸からイギリスへ帰ろうとしたのだが,霧のため海岸線が全く見えない。そのため,詳細な海岸線を記録することが出来なかった。イギリスのドーバー海峡に似ていることから,当初Nova Alvion(New Englandという意味)と名付けられた。

フランシス・ドレイクの船は,ここで5週間休み,船底の修理をした。この時,とても気の優しいMiwoks族というNative Americanが栽培した作物や,漁獲したサーモンや貝そしてツノジカを提供してくれたという。

このポイントレイズにあるドレイク湾を訪れる。そこの観察ポイントの一つLimantour Beachに降り立つ。北西から風が入り,ちょうど海に向かって強い風が吹き,砂が舞って不思議な幾何学模様を描く。全長4kmほどの海岸である。砂浜の両端は切り立った断崖が見える。岩手県の北山崎を連想させる。

また,この周辺は海も含め一帯が自然公園になっており,数多くのハイカーが訪れている。ジョンミューアのレッドウッドもこの近くにある。(残念ながら,漁民や漁船など人々の生活と海とが繋がっている形跡は全くない。)

帰国を前に,この浜辺で3ヶ月を振り返った。

様々な研究者や教育者がたくさんいて,いろいろな取組を行い,そして連携し合うこと。様々な意見を多くの人々が納得できるように合意形成を図っていくことが重要なポイントだ。

また,こうした人々が横に繋がるだけでなく,縦にも繋がることも大きな特徴だ。横のつながりとは,その同じ年代に並行して,同世代でそれぞれの異なる地域において大きな影響力を持つ意見や考え方が,お互いの交流を深めることでさらにより良いものが作られていく。19世紀ー20世紀前半の自然環境保護運動に取り組んだジョンミューアや自然観察学習運動ジョン・バラの他,エマーソン,ホイットマン,エレン・スワローなどである。「大学教育は人民のために」というランドグラントカレッジとも関連する。(実は日本のお雇い外国人もこのランドグラントカレッジから派遣されている。)

さらに,時代は進み1960年代にはレーチェエル・カーソンによる自然文学で環境保護運動が起きる。この運動が一つのきっかけとなりシーグラントカレッジが誕生したことは以前述べたとおりである。

そして,カーソンと時を同じくして,ハービーホワイトはローレンス科学館を設立し科学教育をスタートさせる。楽しく科学を学習できる科学教育システムを世界へと発信している。

世界規模の環境問題が起きている中,現在,海洋教育者と呼ばれる人々,シーグラントカレッジやCOSEEのような大学の教育機関に所属する人々が,海洋リテラシー普及のためにつながりを持ちながら,各地で活躍しているのである。今年の大きなテーマはクライメートチェンジだ。

もちろん,一つの国だけでは成功しない。多くの国が連携し協働し合うことによってはじめて実現するものだ。日本の果たすべき役割は何なのか?これからどのように国際的役割を果たしていくのか。日本の特色は何なのか?(海洋の分野でいえば,里海であろう)いずれにしても,一人一人の取り組みと一人一人をつなげるシステムが重要だ。

Point Reyes National Seashore Visiting
http://www.nps.gov/pore/




JSPS(日本学術振興会)サンフランシスコ研究連絡センターを訪問

2009-03-08 | シーグラントカレッジプログラム
JSPS(日本学術振興会)サンフランシスコ研究連絡センターを表敬訪問し,アメリカ,日本における科学研究・教育に関する情報交換と3ヶ月間の研究報告を実施した。

 センターは,海外拠点の第9番目である。バークレー校正門から歩いて20分ほどの場所にある。国際的な科学に関する共同研究協力を推進する役目を果たす。特にサンフランシスコセンターは,アメリカ西海岸における大学の協働を推進する他,アメリカの研究者のJSPSを通じた日本での研究推進,日本人研究者のサポートを実施している。

 アメリカ西海岸における大学の協働推進の例としては,JUMBA(Japanese university offices in the Bay Area)である。JUMBAは西海岸に支部を持つ大学連携の中心的な役割を果たす。JUMBAには,Hosei University, Kagoshima University, Kyushu University, Osaka University, Tohoku University, and Tokyo University of Scienceが加盟している。(水産資源の需要が高まっている西海岸では,将来TUMSATの事務所も必要になって来るであろう。)

 アメリカの研究者のJSPSを通じた日本での研究推進の例としては次のようなものがある。マクダミッド博士は,京都大学でのJSPSプログラムを終了し,東京工業大学で講演を行った。そこで,白川博士(ノーベル賞受賞者)と知り合ったのがきっかけで,現在携帯電話やタッチパネルで使われている電気を通すプラスチックの作成方法を発見につながった。 
 
 研究者間のネットワークが,時に新しい発見の大きな糸口となる場合がある。その意味では,アメリカに限らず,日本と海外の研究者がネットワークを作っていることは大変重要なことである。

 また,3ヶ月間の報告として,大学や博物館,科学館における科学者と一般人や高校生以下を結びつける立場のエデュケーターの存在が,よりよい教育推進のために必要であることなど研究成果を披露した。

VISITING JSPS SAN FRANCISCO CENTER

The JSPS ( Japan Soc. for the Promotion of Sci. ) San Francisco research communication center was visited, and information exchange on scientific research and education in Japan and the U.S. and research report for 3 months were carried out.

There is a case in which the network between researchers becomes the time with large beginning of the new discovery.The fact is to be very important Japan overseas network without limiting to U.S. in the meaning.

And, it was reported though that existence of Educator of the standpoint which links under university and museum, scientist in science museum and ordinary person and under senior high school student was necessary for the better education promotion, that it clarified it as a report for 3 months.

UCバークレー校ローレンス科学館での公開セミナー

2009-03-03 | シーグラントカレッジプログラム
 UCバークレー校ローレンス科学館での公開セミナーが無事終了した。テーマは現在取り組んでいる東京海洋大学水圏環境リテラシー教育推進プログラム(TUMSAT AMEL program)の概要と,3ヶ月実施した調査内容の報告である。

 AMELプログラムは,2007年より始まった現代GPプログラムであり,一般市民が海への理解を高めることによって,持続可能な社会を目指すというもの。このプログラムでは,学生が必要最低限の海洋に関する知識とわかりやすく伝える技術,そして合意形成をはかる技術をマスターする。将来は,水圏環境教育推進リーダーとなり,水圏環境リテラシーを高める教育活動を実施することが可能となる。今回,このプログラムのために,4つの科目を新設したこと(水圏環境リテラシー学,水圏環境リテラシー学実習,水圏環境コミュニケーション学,水圏環境コミュニケーション学実習),そして,2010年には国内初めて大学の中に教育センターを設置する予定であることを述べた。

 さらに,この3ヶ月の研究活動では,2010年に教育センター(水圏環境教育センター[仮称])を設置するための調査活動であることを説明した。その調査活動の内容は,ブログで取り上げたものである。

 最後に,この3ヶ月間の調査活動でのInspirationとして,Educator が博物館や水族館LHSなどで重要な役割を果たしていること。シーグラントカレッジやLHSのように大学におけるEducatorが,学校教育現場で科学的知識を高める上で重要な役割を果たしていること,Scientist, Educator,Exhibitorなど様々な人々が意見を交換し合い,協力し合うことによってよりよいものができることなどを話をした。

フロリダ州立大学ランド・シーグラントカレッジ気候変動ワークショップを視察

2009-02-24 | シーグラントカレッジプログラム
 フロリダ州プラント市で気候変動のワークショップが3日間にわたり開催された。このワークショップでは,シーグラントカレッジのみならず,ランドグランドカレッジも参加し,「気候変動の取り組みを、フロリダの実情に会わせ、総合的にどのようにして推進してくのか」が活発に議論された。

 印象に残ったことは,「not only educating public but also government」とエージェントが語っていたことである。最終的な政策決定は連邦政府であるが,実際に推進するのはシーグラントカレッジ・エクステンション・エージェントだ。日本では,各地方において各都道府県の本庁で決められたことを,正確に業務遂行することが大切にされるが,こちらではシーグラントカレッジに所属するエージェントが地域の実情に合わせながら、大学の科学者とも連携をはかり政策決定に加わる。まさに,双方向でホリステッィクな政策決定方法と言える。

 今回の調査では「どのようにして多様な学問や人材をミックスしコーディネートするか,科学教育のみならず,人材育成のキーワード」であるということを実感することが出来た。ミックスするには,技術レベルを維持しながら,いかにしてその情報をわかりやすく伝え合うかに,鍵があると考える。たて社会の壁を取り払い公平に耳を傾けるシステムが必要だ。
Land grant college climate change workshop
In this visit I realized that it is crucial important to coordinate and mix a lot of people to consensus building. and most important thing is how to communicate the information each other.

アメリカン自然史博物館におけるTeachers' workshopを視察

2009-02-18 | シーグラントカレッジプログラム
 ニューヨーク市のアメリカ自然史博物館における小中高教員向けのワークショップに視察をかねて参加した。今回のテーマは「気候変動」スクリプス海洋研究所のバーチアクアリウムでもそうだったが,「気候変動」がアメリカにおける大きな教育のテーマになっているようだ。

 アメリカには,研究者と教育者が協力して作成したサイエンスリテラシーがある。さらに,これの中に含まれている気候変動についての知識を各学年ごとにどのように教えるのかというシーケンスをもとに,特別展の気候変動を子どもたちにどのように教えるかを議論した。常設展示もよくできており,気候変動という固い内容でありながら,多くのオーディエンスが興味を持つように工夫されている。

 アメリカ自然史博物館の職員は200名であり,そのうちサイエンティストは120名,エヂュケーターが60名(アウトリーチ含む),テクニシャンが20名であるという(数値は概算)。今回のワークショップはエデュケーター部門で主催しているものである。エデュケーターのリサはカリキュラム開発と教材開発が担当である。この博物館は,サイエンスの他,文化、人類学の展示があるがそれらすべてが対象である。

 展示で大切なのは,いかに質問を投げかけるかであるという。物事を理解するためには問いかけが大切であり,そのための工夫をしているという。ワシントンDCの某博物館に比較しても,パネル展示や常設展示に,その工夫が見られる。このいかに効果的な「問いかけ」は,Inquiry based learning の概念としても大変重要な要素である。

American Museum of Natural History
200 staffs, 120 scientists, 60 educators, 20 technicians Climate change workshops was conducted by educators
They use also IBL method.

シーグラントアカデミー

2009-02-11 | シーグラントカレッジプログラム
 このアカデミーは,シーグラントカレッジの新職員を対象にしたプログラムである。シーグラントの歴史とミッションを学び,各エクステンションでの教育やアウトリーチ活動を実施するためのトレーニングを行う。

 本講習会は,2005年にも開催され,ワシントンDCにある,National Youth 4-H Centerで行われている。15のシーグラントカレッジ(ほとんどが州立大学の中に所属している)から30名のスタッフが参加している。(ちなみに,4ーHとはHead, Hand, Heart, Healthであり,1904年に農業技術研修のために作られてものだという)

 シーグラントカレッジは全米とプエルトリコの32大学に設置されている政府機関である。本部はワシントンDCのNOAAセンターにある。シーグラントカレッジのエクステンション職員は,シーグラントカレッジにもよるが,カウンティー(群)ごとに一人配属され,アウトリーチ活動や教育活動をコーディネートする。

 このトレーニングでは,それぞれの活動で使用する「Logic Model」の活用方法を学ぶ。「Logic Model」は既に企業で実施されているもので,広く利用されているが,今回利用するものはNOAA コースタルサービスが開発したものである。この「Logic Design」はすべてのNOAAに関連するアウトリーチ・教育活動で活用されている。

 このワークショップを修了すると,教育・アウトリーチ活動において,プログラム開発やプロジェクトデザイン,各種のアクティビティーを円滑にそして効果的に実施することが可能となる。

 以前訪問したUSCシーグラントでのワークショップも,この「Logic Model」と同様の方法で,ワークショップが組み立てられているという。

 国内には,National marine fisheries serviceやNational institute of marine geology があり,漁業や海洋科学に関する研究を実施しているが,シーグラントカレッジのように,教育活動,エクステンション活動はあまり行っておらず,シーグラントカレッジは教育やアウトリーチに力を入れた「教育研究機関」といっていいだろう。

 下部機関の評価をおこなうNOAA本部職員に話を伺ったが,シーグラントシステムは,40年の歴史があり(教育活動を推進する機関としては最も古い),一般市民と科学と政策を結びつける上で,成功を収めているという。不景気であるが来年度以降も予算が増額される。
 
 アジアではインドネシア,韓国がすでに設置し,一般市民の海洋の理解を推進する活動を実施している。インドネシアでは32のプロビンスにエクステンションを設置し,1名の常駐職員を配置している。

 シーグラントシステムが優位な部分は,大学が各地域の中心となり,教育と研究が広く一般市民へそして教育活動へと深くつながっていることであろう。ぜひ,日本からも成功事例を発信して行きたいものである。

Sea grant was established in 1966 as a major contributor to the issues of aquaculture, biotechnology, coastal communities and economies, coastal natural hazards, ecosystems and habitats, fisheries, marine science literacy, seafood science and technology, urban coasts and invasive species, and also supports students at all levels of the educational system , education and training of many marine and Great Lakes scientists, resource managers, and policy specialists through its three fellowships.


Cabrillo Marine Aqarium Visit

2009-01-29 | シーグラントカレッジプログラム
 USCシーグラントのエデュケーターから紹介され,カブリオ水族館のコーディネーターのラリーを訪問した。この水族館は私立であるが,職員はロスアンジェルス市職員である。100名のスタッフがおりそのうちフルタイムが40人である。職員の構成は,アクアアリスト5名,スタッフトレーナー10名,エデュケーター8名,エデュケーションキューレター1名,アウトリーチエデュケーター8名,プログラムディレクター2名,ホエールウオッチコーディネーター1名,ボランティアコーディネーター1名などである。

 多くの職員が好意的に各施設を案内してくれた。
 アウトリーチ担当者のクリスは水族館に来れない子どもたちのための活動をしている。移動用のバン3台を見せてくれた。バンには海洋生物を設置し移動する展示するための特別の常設装置を備えていた。パペットショーはアウトリーチで最も人気のある催しで,着ぐるみを子どもに着せながら生物の説明をするもの。今日はクジラ祭りでホールで実施するという。「あなたも着ぐるみを着るの?」「見ればわかるように,私は必要ないよ。」とジョークを飛ばしていた。
 
 教育担当のジムは,2つの教室を見せてくれた。「日本の海洋教育の普及のための視察です。」とこれまでの経緯を説明した。「教育担当として力を入れていることは?」と聞いてみた。「科学というのは遠い存在ではなく身近な存在であることを子どもたちに伝えることがこの水族館の使命です。」「子どもたちが,水族館に訪れて,研究者の様子や研究の方法を学ぶことが出来るように,心がけています。」
 
「ぜひ,見ていただきたいのはレイズ・ナサーリーです。」とジムに案内されて水族館の研究所に設置されているの展示室に向かう。レイズ・ナーサリーとは一般公開された生物飼育研究室である。ここは,研究所の飼育施設がそのまま見学できるようになっている。ユニークなのは,中学生から大学院生が研究する施設になっていることだ。その研究の様子を一般客が観察をする。入り口には,研究の手法が説明されている。もちろん,グルニオンやクラゲ,タツノオトシゴなど,飼育している生物も興味深いが,研究の様子を間近に見ることが出来る。まさに,ジムが話してことである。ここには,専門のキューレーターも配置され,プログラムディレクターとともに,研究内容や展示内容を検討しているという。

 研究に取り組んでいるPB高等学校のケビンにインタビューした。「なぜ,ここで研究しているのか?」「学校の選択授業の一環で,研究活動の場所としてここを選んだ。」「将来はドクター(医者)を目指している。」「ドクターになるため,生物学か,生物化学の学科に入学しようと思っている。」「マリンバイオロジー学科には進まないが,興味があり,研究手法は同じであるのでとても勉強になる。」と話してくれた。(PB高校はアジア系の高校生が多く,競争が激しい,という。)

 最後に,ディレクターのマイクに話を伺う。カブリオ水族館のミッション(使命)は「全ての訪問者に,教育,レクレーション,研究の機会を与えること,そして海洋生物への理解,保全,感謝の心を高めること。」であることを伺った。机の前に掲示しているこのミッションをいただいた。私も,訪問者の一人であることを後で身をもって感じている次第である。

Cabrillo Marine Aquarium
engages all visitors
in education, recreation, and research
to promote knowledge, appreciation,
and conservation
of the marine life of southern California.

Cabrillo Marine Aquarium Proposed MISSON 2003
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Cabrillo Marine Aquarium
will be internationally recognized as a leader
in providing friendly and accesseible
seashore programs and facilities
for understanding and improving
our relationship
wih the marine environment.

Cabrillo Marine Aquarium Proposed MISSON

 水族館の展示を見学した。75年の伝統がある水族館である。気候は穏やかであるが,海は冷たく,寒流系の魚が多い。クラゲの飼育展示は日本の水族館の協力によるものであるという。日本から来たミズクラゲ(Aurelia aurita) も展示されていて,ミズクラゲを1年間研究したワカサギ博士としては大変うれしい限りであった。

 確かに水族館施設は日本は世界一の数を誇り,世界最大級の水族館をあちこちに備えている。科学技術白書でも,科学技術と社会との対話の必要性が指摘されている。水族館施設等において,実物を用いた教育こそ最も効果の上がる科学教育である。特に,海洋科学はホリステッィクな学問であり地球を科学的に捉えるためにも学習の価値があるだろう。その意味では,水族館は最も身近で親しみやすい科学学習施設であるといえるだろう。ぜひ,日本でも海洋を通して科学教育に力を入れていきたいところである。

Cabrillo Marine Aquarium
100 staffs, 40 full time employees, 5 aqualists, 10 staff trainers, 8 educators, 1 education curator, 8 outreach educators, 2 program directors, 1 whale watching coordinator, 1 volunteer coordinator,this aquarium mission is to inform to students that science is not far from our daily life, what most emphasis thing is to show them what the scientist is doing, how to do in scientific method. Raise nursery is the laboratory to show the audience how scientist raise marine creature, how to research in scientific method. some time high school student engaging in research activity.

USC シーグラントカレッジ本部を訪問

2009-01-28 | シーグラントカレッジプログラム
 USC Sea Grant College本部を訪問。滞在先のサンペドロから車で40分,ロスアンジェルス市内にあるUniversity of Southern California ,Wrigley institute内に設置されている。

 この建物には,海洋生物環境学科が入っており,建物全体には,イルカ,カジキ,ペリカン,カメ,カニ,などの動物のモチーフがあしらわれていて,実に美しい。この建物の右奥には,音楽学校が併設されていて日本人の著名なバイオリニストが教授を務めている。ピアノや弦楽器の美しい音色が聞こえてくる。こうした環境でサイエンスが出来るというのは,どんなに幸せなことであろうか。

 さて,本題に移ろう。こちらのUSCシーグラント本部には専属のスタッフが9人いる。NMEAやCOSEEに所属しているEducator(教育者)が多い。来年度のNMEA2009のホストでもある。給料は,シーグラント本部,NSF全米科学財団の予算で設置されているCOSEE WEST,そしてUniversity of Southern Californiaからの予算がもとになっている。

 カルフォルニアシーグラントカレッジの違いは,大都市における海洋の問題を中心に扱っていることだ。研究だけではなく市民教育と学校教育に重点を置いていることも大きな特徴である。中でも,2002年に設置された海洋教育を推進する組織であるCOSEE WESTの本部もかねており,シーグラントカレッジとCOSEE WESTが恊働で教育活動を実施している。

 シーグラントカレッジエクステンションの活動を学校教育に結びつけていることも見逃せない。カルフォルニアシーグラントでは,調査研究活動に大きなウエイトをかけているが,こちらはエクステンションでも学校教育に関わっている様子がうかがえた。また,USCシーグラントカレッジはロス周辺の水族館,学校区と深い関わりを持っており,多くの教育プログラムが提供されている。

USC Sea Grant College, Wrigley institute, University of Southern California
9 staffs, budget from NOAA, NSF, COSEE WEST, University. they focus on not only research but also education for general public and K-12 and supply educational materials round Los Angels.

USCシーグラントカレッジ主催 Teacher’s workshopを視察。

2009-01-27 | シーグラントカレッジプログラム
 サンジエゴから北へ2時間,ハイウェイを走るとロサンゼルスにつく。ここにはUSCシーグラントの本部がある。こちらのシーグラントは,市民教育と学校教育に力を入れているシーグラントである。実際に,週末に開催されたTeachers' workshop を見学した。

 本日のテーマは,移入種の海藻について である。場所は,海洋ほ乳類ケアセンター。この施設はサンペドロ市にありロスアンジェルスの学校区が運営している学校教育用の実験施設。小さな施設であるが,学校の先生たちが利用しやすいようにできており,専門のスタッフもスーパーバイザーとして配置されている。後ほど,サンペドロ高校の科学の先生にも伺ったが,小学校から高校生まで有効に活用しているという。

 まず,実験室で海藻の観察。海藻が本日の大きなテーマである。まず,海藻の分類について実物の海藻を使いながら学ぶ。参加しているのは地元の高校の科学のTeacherが中心である。マリンバイオロジーを専門に教えている先生もいる。

 次に,講義室に移りシーグラントカレッジエクステンションのアドバイザーから「潮間帯における外来種の問題」について講義があった。例えば,金魚は全米各地に分布しを拡大している。ミノカサゴは東海岸全域。そして,カルフォルニア沿岸で問題になっているウミブドウ(Caulerpa)の仲間などが紹介された。

 さらにこの講義後に,シーグラントの教育専門担当者(Educator)からこの問題について,どのように各学年にあわせて教えればいいのか,解説があった。例えば,ライオンフィッシュ(ミノカサゴ),東海岸一帯に分布し問題になっている。小学1年生の例では,1週間にわたり,教室内に隠されたライオンフィッシュを探す。そして,それがどこにあるのか,そして大きさはどの程度なのか,休み時間に観察させる。そして,最終日にどのような場所に隠れていると見つけやすいか,どのような場所が探しにくいのか等を議論させる。

 午後は,タイドプールに出向き,実際に観察を行った。高校の教師たちは大変満足した様子であった。こうした教員向けのワークショップは海洋教育以外にも,スペース教育,エンジニア教育等様々なものが用意されているようだが,シーグラントは先駆けのようである。

 教師向けのこうしたプログラムを大学に所属するシーグラントカレッジ教育担当者(Educator)が実施することで,最新の研究成果をダイレクトに伝えることができる。また,大学の研究者にとってもアドバイザーや教育担当者の解説が入ることで理解を促進させることができ効果的である。日本には,まだこうした施設や研究機関と教育現場をつなぐ人材は整っていない。進歩の著しい科学教育を推進する上でこうした体制を整えていくことは,喫緊の課題であろう。

Teachers' workshop held by USC Sea Grant
This workshop was conducted by USC Sea grant and COSEE West collaboration.
This workshop was programed using Learning cycle. This theme was invasive species. The scientific knowledge was informed by sea grant extension staff, after that COSEE West educator lectured how to teach about this problem in your class.