トキナー AT-X 300mm F4とは、望遠レンズのことである。
紅葉のシーズンでありながら、10月14日に「鏡池の紅葉」を撮って以来、まったく写真を撮っていない。先日に見られた442年ぶりという皆既月食と惑星食(天王星食)が重なった天体ショーは仕事中で肉眼で見ただけ。この週末は愛車の定期点検とタイヤ交換。先週は高知県で観察会の指導。その前は義父の葬儀。祭日は出勤。それ以前は天候とのタイミングが悪く等々・・・紅葉は、まだ千葉県の南房総等ではこれからなので
ルーミスシジミの撮影と併せて計画したいと思っている。
そんなわけで新たな写真を紹介することができないことから、今回はトキナー AT-X 300mm F4というレンズの話を写真と共に記したいと思う。
私の昆虫写真撮影では、TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 と TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO を愛用しており、この2本でほとんどの昆虫は撮れるのだが、かつて、どうしても写せないものがいた。キリシマミドリシジミである。
関東におけるキリシマミドリシジミの生息地はアカガシの大木が茂る谷で、一番近くの葉上に止まっても距離は5m。多くは20m先である。500円玉ほどの大きさしかないチョウを大きく、しかも鮮明に撮るには、所持しているレンズでは無理であった。しかし300mmを越える新品の望遠レンズを購入するとなると、ズームで数十万円~百数十万円、単焦点ではもっと高額である。使用頻度を考えて中古レンズを探すことにした。2013年のことである。
新宿の中古レンズ専門店に行って見ると、Canonの棚にトキナー AT-X 300mm F4という単焦点の望遠レンズを見つけた。1998年に生産が終了したレンズで、価格は21,000円。かなりのお手頃価格である。このレンズに既に持っていたケンコー・トキナーのコンバージョン・レンズ/デジタルテレプラスPRO300 2X DGX を付ければ600mmレンズになる。CanonのEOS 7D はAPS-Cサイズだから、35mm換算で960mmの超望遠レンズになるのである。テレプラスは、300mmレンズを基準に設計された望遠専用であり、同じメーカー同士の組合せならば問題はないだろう。迷うことなくトキナー AT-X 300mm F4を買ったのであった。
さて、写りはどうであろうか?2013年8月。早速、キリシマミドリシジミの撮影に向かった。300mm F4としては最小クラスで1,140gしかないが、オートフォーカスは遅く、手振れ補正もない。コンバージョン・レンズを取り付けた960mmの超望遠では、三脚に固定しモニターで拡大してピントはマニュアルで合わせ、シャッターはレリーズで切らねばカメラブレを起こしてしまう。
結果は、以下に掲載した1枚目である。目線より少し高い位置に止まっているため、キリシマミドリシジミの美しい翅表は撮れていないが、ここまでは撮ることが出来た。また、コンバージョン・レンズを付けたことで、やはり撮影難易度が高かったウラクロシジミの開翅も撮影が可能となった。(写真2)
昨今では、トンボ類を撮る時にコンバージョン・レンズを付けない単体での使用頻度が高くなっている。どのレンズを使うのかは、撮りたい絵とその時の状況によって決まる。生息する周辺環境も一緒に撮りたい時は、所持している広角レンズやマクロズームレンズが役に立つ。しかし被写体までの距離が遠く、更には被写体を大きく写したい時などにトキナー AT-X 300mm F4を使えば、遠くから環境を荒らすことなく昆虫の生きる姿を撮ることができる。撮影方法は、勿論三脚には必須アイテム。被写体をファインダーで捉えながらマニュアルでピントを合わせてシャッターを切るだけである。
単焦点ならではの解像度と望遠レンズ特有である背景のボケが得られ、飛翔中のトンボでも、頭の先から尾端までクリアで、体毛も鮮明に写すことができる。勿論、画質や色合いなどに賛否両論あるだろうが、安い中古のレンズでここまで写れば申し分ないと思っている。私的には「神レンズ」である。
以下には、これまでにトキナー AT-X 300mm F4で撮影した中から11枚を選んで掲載した。次の休日こそ、撮影に出掛けたいと思っている。
以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。
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