10月4日付 編集手帳 読売新聞
2011年10月4日(火)01:35
{黄門さま、水戸光圀の歌という。〈朝な夕な飯食ふごとに思ふかな恵まれぬ人に恵まるる身は〉。辻嘉一さんの『料理心得帳』(中公文庫)に教えられた。食膳に向かい、農民の労苦に思いを寄せている。
◆何とも時期が悪い。食事に例えるならば、 飢饉 ( ききん ) に苦しむ人の前でお役人が大食い大会を催したように感じた人もいただろう。不自由な仮設住宅に暮らす被災者が大勢いるなかで9月に着工された国家公務員宿舎「朝霞住宅」(埼玉県朝霞市)である。
◆野田首相はきのう、震災の集中復興期間にあたる5年間の建設凍結を指示した。
◆老朽化した宿舎は建て替えていいし、周辺の宿舎から建設費を上回る売却益を得る計画にも異存はないが、「恵まれぬ」被災者の心を逆なでしてまで「恵まるる身」が強行する事柄でもない。凍結は穏当な判断だろう。
◆光圀ゆかりの庭園小石川後楽園(東京都文京区)の名称は〈先憂後楽〉に由来する。「天下の憂いに先んじて憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ」。政治に携わる者の心得である。被災者が生活に楽しみを取り戻したそのあとで、心おきなく建設を再開すればいい。}
この様な時期に国家公務員宿舎を建設を容認したこと我は、国民として理解しがたい。野田首相は東日本大震災に伴う復興財源として臨時増税を求めており、「宿舎建設は税金の無駄遣い」と批判する野党や世論の理解を得るためには建設続行は難しいと判断した。当然の判断だ。今後も 国家公務員宿舎の建設しないで、民間企業の様に、住宅手当で対応すればよいと思う。
2011年10月4日(火)01:35
{黄門さま、水戸光圀の歌という。〈朝な夕な飯食ふごとに思ふかな恵まれぬ人に恵まるる身は〉。辻嘉一さんの『料理心得帳』(中公文庫)に教えられた。食膳に向かい、農民の労苦に思いを寄せている。
◆何とも時期が悪い。食事に例えるならば、 飢饉 ( ききん ) に苦しむ人の前でお役人が大食い大会を催したように感じた人もいただろう。不自由な仮設住宅に暮らす被災者が大勢いるなかで9月に着工された国家公務員宿舎「朝霞住宅」(埼玉県朝霞市)である。
◆野田首相はきのう、震災の集中復興期間にあたる5年間の建設凍結を指示した。
◆老朽化した宿舎は建て替えていいし、周辺の宿舎から建設費を上回る売却益を得る計画にも異存はないが、「恵まれぬ」被災者の心を逆なでしてまで「恵まるる身」が強行する事柄でもない。凍結は穏当な判断だろう。
◆光圀ゆかりの庭園小石川後楽園(東京都文京区)の名称は〈先憂後楽〉に由来する。「天下の憂いに先んじて憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ」。政治に携わる者の心得である。被災者が生活に楽しみを取り戻したそのあとで、心おきなく建設を再開すればいい。}
この様な時期に国家公務員宿舎を建設を容認したこと我は、国民として理解しがたい。野田首相は東日本大震災に伴う復興財源として臨時増税を求めており、「宿舎建設は税金の無駄遣い」と批判する野党や世論の理解を得るためには建設続行は難しいと判断した。当然の判断だ。今後も 国家公務員宿舎の建設しないで、民間企業の様に、住宅手当で対応すればよいと思う。
自分の理想の内容を明らかにして、その実現のために相手の協力を求めなくてはならない。これは、建設的な態度である。我々の人生である。
実際の人間が理想の人間でないとして、相手を倒すことばかりに明け暮れていても、政治は前に進まない。ただ、総理大臣がくるくると変わるばかりで、社会は停滞する。さらに失われた○○年ができる。
現実の世界は、過不足なく成り立っているので、考え(過去と未来)の世界といえども、過不足のない内容に作り上げなくてはならない。論理の尻が抜け落ちていたのでは、せっかくの考えの内容も現実生活の指針とはならない。ところが、日本人には、非現実(過去と未来)の世界を過不足なく頭の中で組み立てることが難しい。それは、日本語に時制がないためである。
英語には時制があるので、現在の内容は、過去の内容にも未来の内容にも、そっくり置きかえて考えることが可能になる。つまり、世界観(world view)を持つことになる。だから、未来の世界も過去の世界も過不足なく成り立つ内容が頭の中にできあがって、現実の世界の指針となる。これは、温故知新である。学問である。
時制のない人の考えでは、せっかくの理想も空想になる。子供にも受け入れられるアニメの世界にはなっても、大の大人が心底信頼を寄せる理想の追求にはならない。空想の内容は、あくまでも現在に存在し、現実の中の嘘である。未来の世界には存在しないからである。
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