喜多院法興寺

住職のひとりごと

罷免を受け福島党首、首相に「言葉に責任を」

2010-05-29 09:16:32 | Weblog
5月29日付 編集手帳 読売新聞 
{別離を宿命づけられた恋を顧みて、ヒロイン聡子が恋人・清顕に告げる。〈私たちの歩いている道は、道ではなくて桟橋ですから、どこかでそれが終って、海がはじまるのは仕方がございませんわ〉。三島由紀夫の『春の雪』である。

◆連立政権を組む政党はときに、恋人同士にもたとえられる。鳩山政権が歩いてきたのも桟橋だったろう。安全保障の考え方が違う者同士、行き止まりになるのは分かっていたはずである。

◆首相が社民党党首の福島瑞穂消費者相を罷免した。米軍普天間飛行場を「辺野古」に移す政府方針に従わないためである。

◆混乱の責任が、米国にも沖縄にも八方美人の愛想を振りまいた首相にあることは誰もが認めるだろう。それにしても、である。首相と福島氏はこれまで、米軍の抑止力や移設先の地政学的な条件について 膝 ( ひざ ) 詰めで語り合ったことが一度でもあったか。桟橋を道に変えようとしたか。

◆〈君も罪の子 我も罪の子〉は与謝野晶子が詠んだ恋歌の下の句だが、ただ漫然と桟橋を歩き尽くした鳩山、福島両氏はともに「罪の子」に違いない。桟橋の端から望む政局の海は霧の中である。}

「辺野古移設」に反対を続けた福島党首が罷免という事態に発展した。鳩山総理の「最低でも県外」と“公約”したことで事態を混乱させた。出来もしない約束をして、沖縄市民に期待を抱かせた。この責任はすごく重い。ごめんなさいでは通らない。