喜多院法興寺

住職のひとりごと

今の日本は老人に対し住みにくい国だ

2010-05-15 06:34:18 | Weblog
5月15日付 編集手帳 読売新聞
 {加藤 嘉 ( よし ) さん演じるところの老人「辻本」が言う。〈人間は、してきたことで敬意を表されてはいけないかね? いまは 耄碌 ( もうろく ) ばあさんでも、立派に何人かの子供を育てた、ということで敬意を表されてはいかんかね?〉と。

◆かつて放送された山田太一さん脚本のテレビドラマ『男たちの旅路』の一場面である。「してきたこと」を見ず、「いま現在」のみを論じることほど、高齢者に残酷な仕打ちはあるまい。

◆少し前、「後期高齢者」という官製用語が世の人々から反発を受けたのも、この言葉に辻本老人の言う「敬意」がみじんも感じられなかったからだろう。

◆各政党で参院選に向けた政権公約づくりがヤマ場を迎えている。景気、雇用などとともに、高齢者が相応の敬意を表されながら安心して暮らせる社会保障の仕組みをこしらえることも公約の柱になる。財源の裏付けとして避けて通れない消費税率の引き上げと、正対するのか、逃げるのか――で、政権を担う覚悟のほどが測れるかも知れない。

◆ドラマが放送されたのは30年ほど昔である。はらわたを搾るように辻本老人の発した問いは、いまも生きている。}

昔は老人を長老として尊敬されてきた。しかし今は、敬意など微塵をない。いい例が、「後期高齢者」の様に老人をバカにした言葉の何者でもない。ちょっと前までは、老人は健康保険は無料の時もあった。今思えば夢のような話だ。75歳になれば車の免許も、認知症の検査が義務ずけされ、紅葉マークと言うか、枯葉マークを車に貼り付けなければならない。こんな老人を差別する国は世界でも日本だけではないのか。