喜多院法興寺

住職のひとりごと

AEDで死の淵(ふち)から生還

2010-04-25 13:53:13 | Weblog
4月25日付 編集手帳 読売新聞
 {S君が仕事中に心筋梗塞(こうそく)の発作で倒れ、死の淵(ふち)から生還したことは社内報で知った。48歳の陽気な写真部記者。「幸運にあやかろうと、職場復帰した私を触りに来る輩(やから)もいる」と笑顔の写真付きだ。
◆助かったのはAED(自動体外式除細動器)のおかげという。左胸に妙なだるさを覚え、社内の診療所で心電図を取る間に気を失った。医師が備え付けのAEDを使って鼓動を戻す。病院で手術し、一命を取り留めた。
◆大阪市では今月上旬、救急車備え付けのAEDが故障で作動せず、心肺停止状態の患者を救えなかった。正常に作動していれば助かった可能性があるという。不運の2文字では片付けられぬ問題だ。日ごろの点検を怠るな、が教訓であろう。
◆S君は「臨死体験」もしていた。舳先(へさき)をこちらに向けた船が護岸に停泊している。これでは乗れない。喫水も深くて今にも沈みそうだ。「僕をかわいがってくれた先輩記者が直前に亡くなって…。今回は俺だけ行く、お前は乗るなと言ってくれたのかも」
◆人を生かす文明の利器あれば、人を生かす他界の人もいる。S君の胸にそっと触らせてもらった。}

 現在は公共施設にAED(自動体外式除細動器)を置くところが多くなっている。しかし肝心な時にAEDが故障で作動しなかったら、心筋梗塞(こうそく)の発作で倒れた患者の命はないだろう。タレントの松村も東京マラソンに出場して、心筋梗塞の発作でたおれ、AEDで助かった。壊れたAEDでは人は救えない。日々の点検が必要だ。