喜多院法興寺

住職のひとりごと

さよなら白熱電球 東芝が製造停止

2010-03-18 06:53:25 | Weblog
3月18日付 編集手帳 読売新聞

 {かつて数々の名作ドラマがそこから生まれた『東芝日曜劇場』(TBS)を、ご記憶の方は多かろう。番組の冒頭で流れていたCMソングの歌い出しは〈光る 光る 東芝…〉である。

◆ 弓狩匡純 ( ゆがりまさずみ ) さんの『社歌』(文芸春秋)によれば、東芝の社歌も〈光満ちわたれ はてなくとどけ わが生む光…〉と始まる。「光」に重きが置かれているのは、東芝の前身が白熱電球の国産化を成し遂げ、それが創業事業の一つであったからという。

◆東芝が電機業界の大手では初めて、白熱電球の製造をきのうで中止し、120年の歴史に終止符を打った。

◆政府は温室効果ガス削減のため、消費電力の大きい白熱電球の生産を2012年までにやめるよう各メーカーに要請しており、それに応えての中止である。

◆かぐや姫は『赤ちょうちん』(詞・喜多條忠、曲・南こうせつ)で〈あのころふたりのアパートは/裸電球まぶしくて…〉と歌った。向田邦子さんは随筆やドラマで、切れた電球に靴下をかぶせてほころびを繕う母を描いた。夕日のような淡いオレンジ色を帯びた白熱電球はやがて、人々の記憶のなかに 灯 ( とも ) ることになる。}

 あの暖かみのあるオレンジの白熱電球が製造中止になった。東芝は120年の歴史に幕を下ろした。今後は省エネ性が高く、寿命も長い電球型蛍光灯や発光ダイオード(LED)電球に生産を移すと言う。思い出多い、あの暖かみのある明るく輝いた白熱電球よサラバだ。