喜多院法興寺

住職のひとりごと

南米チリでマグニチュード8・8の巨大地震発生

2010-03-01 06:48:46 | Weblog
3月1日付 編集手帳 読売新聞
 {琉球諸島にはヤドカリを人間の起源とみなす神話があるという。昔の世を「アマン(=ヤドカリ)ユー」すなわち「ヤドカリの世」と見た。ヤドカリが 阿檀 ( あだん ) という木の実を食べて人間に生まれ変わった、と。

◆榎本好宏さんの『季語語源成り立ち辞典』(平凡社)に教わった知識だが、天災に接するたびにこの神話が胸をよぎる。いかに高度な文明を築いても人間は、地球という名の荒ぶる巻き貝に宿りする寄宿人でしかない。

◆できることは、科学と情報と経験とを総動員し、家主のもたらす気まぐれな厄災からその都度、難を避けることだけだろう。

◆きのうはチリ巨大地震による津波の警戒に明け、暮れた。震源は地球の裏側でも津波は押し寄せる。“遠い国”も“近い国”もない。誰もが同じ、ひとつの星に暮らしている――当たり前の事実を、いまさらながら 噛 ( か ) みしめた方もあったはずである。

◆現在のところ、国内で人的被害は出ていないが、チリの被災地を思えば「幸いにも」と言い表す気持ちにはなれない。 瓦礫 ( がれき ) の下で、大勢が生死の境にあろう。球形の巻き貝に同居する友に、救いの手を急がねばならない。}

 このところ巨大地震が多すぎる。地球に今何が起こっているのであろうか。南米チリで27日に発生した巨大地震で28日、北海道から沖縄の太平洋側各地に津波が到達した。気象庁は、岩手県の久慈港と高知県の須崎港で1・2メートル、仙台港と鹿児島県の志布志港で1・1メートル、北海道根室市の花咲港で1メートル、青森県の八戸港で90センチの津波を観測。日本では津波の被害は少なくてすんだが、人ごとではない。避難勧告が出ても実際に非難した人は6%と低く、思いもよらない大津波が来たら、どうなるのか心配だ。