ちびくろ・さんぼ
作: ヘレン・バンナーマン
絵: フランク・ドビアス
訳: 光吉 夏弥
出版社: 瑞雲舎
*とらは、かわいそうな ちぶくろ・さんぼのきれいな あかい うわぎを もらって
「これで、おれさまは じゃんぐるじゅうで いちばん りっぱな とらじゃわい」
と いいながら、むこうへ いってしまいました。
ちびくろさんぼは、お父さんとお母さんから、きれいな上着とズボンと靴と傘を買ってもらいましたが、ジャングルで出遭ったトラたちに食べられない代わりに、それを次々と差し出してしまいました。
そのトラたちは、さんぼから奪ったものを身につけて自分は立派な虎だと自慢しあっていましたが、そのうちにケンカが始まり、トラたちはもの凄い速さで一本の木の周りで追いかけあっているうちに溶けて、バター(?)になってしまうのでした。
そこへやってきたさんぼのお父さんが、バターを壺に集めて持ち帰り、お母さんにホットケーキを焼いてもらって沢山食べたというのがあらすじです。
実は「しろいうさぎとくろいうさぎ」と同じく、この本も初めて私が開いた本でした。
「ちびくろ」と書いてあれば、私はアフリカの少年をイメージしますが、アフリカとトラは結びつきません。
しかしトラが溶けて出来たバター(文中では“ばた”と書いてある)の説明に、「(いんどでは、“ぎー”といいます)」と書いてあるところ見ると、どうやらインドのお話のようです。
大人にしてみれば、国籍不明の少年とその状況が生み出す不可思議な世界です。
そこにはジャングルの中で生き抜く知恵も、よくあるところの伝えるべき教訓もありません。
この物語を読む子供たちは、トラがさんぼの身につけているものを奪って自慢するところや、トラが追いかけあった挙句に溶けてしまうところ、そしてしまいにはその溶けたトラをホットケーキの材料にして食べてしまうことに可笑しさを覚えるのでしょう。
この物語が今もなお愛されるのは、理屈も教訓も何もないこの物語を読み終えた後に、無邪気な子供の笑顔があるからではないでしょうか。
そしてこの本こそ、これを読んだ親から子に伝わる本のような気がしてなりません。
この本を子供の頃に読んで笑ったことのある人だけが、自分の子供のためにチョイスする本だと思うからです。
作: ヘレン・バンナーマン
絵: フランク・ドビアス
訳: 光吉 夏弥
出版社: 瑞雲舎
*とらは、かわいそうな ちぶくろ・さんぼのきれいな あかい うわぎを もらって
「これで、おれさまは じゃんぐるじゅうで いちばん りっぱな とらじゃわい」
と いいながら、むこうへ いってしまいました。
ちびくろさんぼは、お父さんとお母さんから、きれいな上着とズボンと靴と傘を買ってもらいましたが、ジャングルで出遭ったトラたちに食べられない代わりに、それを次々と差し出してしまいました。
そのトラたちは、さんぼから奪ったものを身につけて自分は立派な虎だと自慢しあっていましたが、そのうちにケンカが始まり、トラたちはもの凄い速さで一本の木の周りで追いかけあっているうちに溶けて、バター(?)になってしまうのでした。
そこへやってきたさんぼのお父さんが、バターを壺に集めて持ち帰り、お母さんにホットケーキを焼いてもらって沢山食べたというのがあらすじです。
実は「しろいうさぎとくろいうさぎ」と同じく、この本も初めて私が開いた本でした。
「ちびくろ」と書いてあれば、私はアフリカの少年をイメージしますが、アフリカとトラは結びつきません。
しかしトラが溶けて出来たバター(文中では“ばた”と書いてある)の説明に、「(いんどでは、“ぎー”といいます)」と書いてあるところ見ると、どうやらインドのお話のようです。
大人にしてみれば、国籍不明の少年とその状況が生み出す不可思議な世界です。
そこにはジャングルの中で生き抜く知恵も、よくあるところの伝えるべき教訓もありません。
この物語を読む子供たちは、トラがさんぼの身につけているものを奪って自慢するところや、トラが追いかけあった挙句に溶けてしまうところ、そしてしまいにはその溶けたトラをホットケーキの材料にして食べてしまうことに可笑しさを覚えるのでしょう。
この物語が今もなお愛されるのは、理屈も教訓も何もないこの物語を読み終えた後に、無邪気な子供の笑顔があるからではないでしょうか。
そしてこの本こそ、これを読んだ親から子に伝わる本のような気がしてなりません。
この本を子供の頃に読んで笑ったことのある人だけが、自分の子供のためにチョイスする本だと思うからです。