犯罪被害者の法哲学

犯罪被害・刑罰・裁判員制度・いじめ・過労死などの問題について、法哲学(主に哲学)の視点から、考えたことを書いて参ります。

内館牧子著 『お帰りなさい朝青龍』

2008-05-24 20:00:06 | 読書感想文
大相撲夏場所では、大関の琴欧洲がヨーロッパ出身力士として史上初の優勝を決めた。来場所は、横綱昇進を賭ける場所になる。もし横綱に昇進すれば、横綱は朝青龍(モンゴル)、白鵬(モンゴル)、琴欧洲(ブルガリア)の3人になり、日本人の横綱は貴乃花の引退以来ずっとゼロ、これも大相撲史上初めてのこととなる。朝青龍のモンゴル帰国・サッカー問題以来、何かと「国技」のパラダイムと国際問題が衝突して難しい状況にあるが、理屈が現実に付いていかない感じである。国技か国際技か、神事かスポーツか、制度設計がしっかりしていなければ、まだまだ問題は起こりそうである。

横綱審議委員の内館牧子氏は、朝青龍が大嫌いなようである。外国人力士一般が嫌いなのかと言えば、そうでもないらしい。白鵬、琴欧洲、安馬(モンゴル)は好きで、朝青龍、露鵬(ロシア)、把瑠都(エストニア)は嫌いなようである。日本の相撲道の精神を理解し、神事に派生する所作をしっかりと身につけている力士のことは高く評価している。これは横綱審議委員という立場もあるのだろうが、なかなか難しい問題である。あまり日本の「国技」を持ち出しすぎると、人種差別ではないかという面倒くさい議論になる。いずれにしても、現在の相撲界をめぐる正論は何だか奥歯に物が挟まったようで、余計なツッコミを入れたくなる。


以下、◎が正論、→が余計なツッコミ

◎ 国籍を意識せずに、純粋に相撲内容を見るべきである。
→ その前に、「琴欧洲」「把瑠都」「黒海」という名前を何とかして頂きたい。

◎ 今や大相撲は国際的な競技になったのだ。
→ チョンマゲやチャンコ鍋は国際的でないと思いますが。

◎ 外国人力士の制限枠を撤廃すれば、切磋琢磨して日本人力士も強くなる。
→ たぶん幕内も十両も全員が外国人力士になると思う。

◎ 日本の心を持っている外国人力士ならば大歓迎である。
→ 区別する方法がないと思いますが・・・

◎ 外国人力士は日本語を上手に話しているので排斥すべきではない。
→ 日本語の習得を強制していることは問題ではないのか?

◎ 日本人力士が弱いのが真の問題点なのである。
→ 外国人力士と日本人力士は対概念、強いと弱いは対概念。

◎ アメリカ人はイチローや松井を応援しているのに、日本人は偏狭だ。
→ 阪神ファンは、ウィリアムスが高橋由伸から三振を取れば喜んでおります。

◎ 国際競技においては、応援に国籍差別があってはならない。
→ オリンピックやワールドカップのときに困ってしまいそうですが・・・

◎ 琴欧洲の表彰式ではブルガリア国歌を歌うべきだ。
→ Горда Стара планина, до ней Дунава синей (すみません、読めません)

◎ 琴欧洲は表彰式で、しっかりと口を開けて君が代を歌うべきだ。
→ いったいどっちなんだ??