お寺さんぽ Ver.03

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四天王編 (お父さんのための仏像講座)

2007年11月22日 | 仏像
のんびり気軽にさんぽがてら。
本日は久しぶりに仏像講座です。この書き出しは毎回恒例ですね。
前回が八月末でしたから…ずいぶんこのネタほったらかしにしたものです。
うふふ…。

…なぁんて裏事情はさておき。
「お父さんのための仏像講座ぁ」 (※鼻にかかった声で読んでね)

如来、明王、座り方、印相(いんぞう)と紹介してきましたから、本日は久しぶりに仏像へ戻って四天王編です。
わーわー。
ぱちぱち。

ついにきました、四天王。
世の中ってーのは”四天王”というカルテットなくくりが好きですよね。
ひでるさんもいつ、何を切っ掛けで知ったのか忘れましたが、ごく小さい頃の遊びからそんな単語を使っていた記憶があります。
(※おそらくウルトラマンとか特撮関係なんだと思いますが、わかんなかったです)
今「四天王」って聞いて思い出すのは、やっぱり「頼光四天王」ですね。
「渡辺綱、卜部季武、坂田金時、碓井貞光」ですよ。
おそらく、この方々が最も有名なんではないでしょうか?
ちがう?

戦国好きな方のために「龍造寺四天王」でもいいですよ。
「成松信勝、百武賢兼、円城寺信胤、江里口信常」の四人なんですけど。
あ、書いてて思い出しました。
パソコンゲームで、昔マイクロキャビンが発売した近未来RPG「幻影都市(※いりゅーじょんしてぃー、と読む)」ってーのがありまして、そこの敵キャラで「南天リー」とか…あ、今調べてみましたら八部衆でした。
ごめん、間違えた。
もうやめ、真面目に書きます。

えー、仏教にて四天王と言うと、須弥山(しゅみせん:イメージな世界の中心にある山)の中腹、欲界の第六天にて、四方を守護する天の四名を指します。
たいていは、須弥檀(しゅみだん:須弥山の縮小版として考えられている)の四方に、北方・多聞天、南方・増長天、西方・広目天、東方・持国天というように造立されるのです。
大阪の「四天王寺(大護国寺)」はまさにそのまんまでして、こちらは戦に勝利した「聖徳太子」が建てております。
ほか、奈良の法隆寺・金堂の「国宝・四天王像」は飛鳥時代に作成された最古のもので、作成の基本形となったようなのです。
今回はそれに従ってご紹介します。
(※違う像もけっこう多いです。念のため)

国土安全、五穀豊穣にも重要な役割がある四天王。
基本としては邪鬼を踏みつけ、甲冑・天衣(てんぬ)姿で武器を持った武将形。
顔は憤怒相で、ほぼ二臂の立像。(※ごく稀に多臂もあるらしい)
写実的で荒々しい感じとなっており、彫刻美術品として優れたものが多いのでした。
先に紹介した器量ある武将を「四天王」として称するのは、こちらもまさにそのまんまな訳なのです。

①北方 多聞天(たもん・てん)
梵名は「ヴァイシュラヴァナ」
別名を毘沙門天(びしゃもんてん)です。
そう、「上杉謙信」が熱狂的なファンで、前日並び(嘘)をしていたというあの神様です。
五大明王でもそうでしたが、必ずグループでは一人がやたら突出して目だってしまうものなんですが、この多聞天がそれ。
沢田研二さんのような。
そんな訳で、唯一(たぶん)ソロ活動を行っている神様でもあります。(←詳しい説明は単独の時にやりますね)
見分け方としては、左手は掌を上にして塔をのせ、右手に宝棒(ほうぼう)あるいは鉾(ほこ)を持っている方です。
すっかり忘れてましたが、七福神メンバーでもありますね。
他に、「兜跋毘沙門(とばつ・びしゃもん)」という特殊な鎧をつけ、地天女を踏みつけている方も存在します。

②南方 増長天(ぞうちょう・てん)
梵名は「ヴィルーダカ」
比較的自由に造られてしまう一人。
そんな訳でこれと言った形はありませんが、基本形は右手に鉾(ほこ)を持っている方です。
ちょっと見分けつきにくいんですね。

③西方 広目天(こうもく・てん)
梵名は「ヴィルーパークシャ」
浄天眼(じょうてんがん)をもって世界の守護をする方。千里眼(せんりがん)という言葉の方が知られてますね。
筆と巻物を持っているのが最大の特徴ですが、適当な武器を持っておられる方もおります。
こうなると、見分けるのは困難でしょう。

④東方 持国天(じこく・てん)
梵名は「ドゥリタラーシュトラ」
帝釈天(たいしゃくてん)の武将で、乾闥婆(けんだつば)などを眷属としています。
比較的自由に造られてしまう、もう一人。
そんな訳でやっぱりこれと言った形がないんですが、右手に剣を持っている方です。
(※左手には宝珠などを持つ)
ちょっと見分けつきにくいんですね。

有名なところでは、奈良の東大寺・戒壇院の「国宝・四天王像」がよく知られています。
こちらの「広目天」は細目にした、大変表情のある仏像です。
比較的あちこちで見かけると思われますので、ご近所の大きめなお寺を訪ねてみて下さい。

「以上、お父さんのための仏像講座でしたぁ」 (※鼻にかかった声で読んでね)


[関連記事]
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⇒ 印相編 (お父さんのための仏像講座)前編 後編
⇒ 源頼光と四天王 <前編> 実際の頼光さま
⇒ 源頼光と四天王 <中編> 虚像の頼光さま
⇒ 源頼光と四天王 <後編> 四天王は存在した?

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