涙無しでは読めません。
最後は特攻していく零戦パイロットの生きざまを描いていますが、多数派に迎合する国民、責任をとらない官僚、自分勝手なマスコミに対する痛烈な皮肉が込められています。
作者は人気番組の構成作家だったらしく、しかもデビュー作ということで若干、出来過ぎなストーリー展開ではありますが、それにしても素晴らしいです。
解説を児玉清氏が書いています。
「ただひたすら、すべての責任を他人に押しつけようとする、総クレーマー化しつつある昨今の日本。利己主義が堂々と罷り通る現代日本を考えるとき、太平洋戦争中に宮部久蔵(主人公)のとった行動はどう評価されるだろうか。男が女を愛する心と責任。男らしさとは何なのか。愛するとは何なのか。宮部久蔵を通して様々な問いかけが聞こえてくる。」