・・・自治会管理の「地域の守り神」・・・
田舎には自治会や住民が管理する「お寺」や「観音さん」や「お地蔵さん」などがある。
我が地区にも、平安時代や室町時代の名残を残す古びた小さな「薬師寺」がある。
薬師寺といっても、普通のお寺のような宗教法人でもなく、檀家もなく、「地域の守り神」として自治会が管理している。
自治会には「薬師委員」もある。月2回、お花の当番を住民有志にお願いし取り替えている。7月の八日薬師には子ども会・青年団・婦人会が出店を出して夏祭りをする。初午には自治会主催で、共同で厄払いした後、餅投げをする。
そんな「地域の守り神」だが、過去の記録や文献が残されてないので、その起源や歩みについては何もわからない。
・・・後世へ引き継ぐために・・・
昔から何世代にもわたって引き継がれてきた「地域の守り神」。若い世代が増え、新たな住民も増えてきている中、次世代へ引き継いでいくには、理解と協力を得る何らかの方策が必要だった。
「地域の守り神」に関する起源や記録や文献が残されていないものの、先人からの言い伝えや日本の薬師寺・薬師如来の起源や歴史など、わかることだけでも整理し、後世に引き継いでいくことが現世代の役割と考えた。
現役の自治会区長は多忙なので、自治会・元区長の有志3人が集まり、今年の4月から関係機関・関係者の協力を得ながら調べ始めた。
・・・未定稿の資料ができた・・・
資料作りには難儀した。情報収集も大変だった。史実から解釈したり、言い伝えから推測したりする箇所が多くならざるを得なかった。先日、A4で5頁の未定稿資料が出来たので、同志に集まってもらって意見交換した。
薬師寺行事でお世話になっているお坊さんや自治会区長との打ち合わせ、地区住民への案内など、これからの大筋のスケジュールも取り決めた。
これで、地区住民が「地域の守り神」のことを理解してくれるだろうか?・・・
「地域の守り神」の継承に役立つのだろうか?・・・
皆が喜んでくれれば、凝った肩も軽くなるのだが・・・
・・・家内は・・・
家内に資料を読んでもらったら、「よくわかる。こんなことまで調べるとは凄い!」と。
さすが、身内だけに、誉め言葉を大判振る舞いしてくれた。気分が悪かろうはずもない。
・・・薬師如来の仏様って知らないことばかり・・・
調べていると、自分の知らないことばかりだった。
病気平癒を祈願して薬師寺が造営され、薬師如来が開眼したのは飛鳥時代だった。
本来、薬師寺は葬礼や法事をしないので、葬礼をする場合は他の宗派にお願いせざるを得なかったとも知った。
その流れを汲むのは法相宗大本山の「奈良・薬師寺」。一方で、全国に薬師寺と名のつくお寺はたくさんあるものの、法相宗は極めて少ない。
近畿地方にいくつもある薬師寺のうち、法相宗は奈良・薬師寺だけ。他の薬師寺は、真言宗・浄土宗・曹洞宗・臨済宗など他の宗派に属している。葬礼や法事との関りがあったのかも・・・
真言宗で有名な高野山(和歌山)の金剛峯寺金堂の本尊は「薬師如来」。また全国的にも有名な善光寺(長野)は無宗派だが「薬師如来」が祀られている。「薬師如来」は宗派を超えた存在なのかも知れない・・・
・・・薬師如来様のお導きかも・・・
他にも、いっぱい知らないことがあった。こういう機会がなかったら、知る由もなかった。
アレコレと推察することが多かったからか、数少ない脳細胞がパンクしかけたりしたことは何回もあったが、おかげで脳細胞が若返った気がしている。
『「地域の守り神」について調べ始めたご縁』、『資料作りを任されたご縁』は、人のためより我がために「薬師如来様」が導いてくれたのかも知れない。