くらぶアミーゴblog

エッセイを綴るぞっ!

遙かなるラグーサへの道3 イタ飯の朝飯

2006-12-11 12:35:06 | 連載もの 遙かなるラグーサへの道

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何者?

 朝飯のお話であります。
 イタリアでは、朝食はきわめて軽く済ませるのだそうだ。忙しいからなのか、食欲がないからなのか分からないのだけど。
 我が国の場合だと、
「今朝は軽くでいいや...」なんて言っても、炊飯器には朝一番で飯が炊きあがっているわけですね。
 すると、おかずとして卵焼きくらいは作るだろうし、みそ汁がなけりゃ喉につっかえる。ちょいと香の物くらい、小鉢に盛りつける。
「軽くね...」のニュアンスとしては、これくらいで充分軽いではないですか。


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こんなのでお終い

 ところがイタリアの「軽く」は、軽いも軽い。
「何か甘いパンとカプチーノ1杯のみ」なんておっしゃる。
 これが僕には辛かった。
 もっともっと、食いたかった。
 観光客ばかりを相手にしているホテルなら、チーズとかハムもあるんですけどね。しかもそのチーズとハムは、すごく美味かったんです。
 朝からしっかり食べる人は、そういうホテルに行きましょうね。

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これでもゴーカな部類だ

 さて。
 パレルモには2泊の予定でありますが、観光先は主に2つに絞っておきました。
 まずはパレルモの街中であります。

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 ここはクアトロ・カンティという交差点。建物の辻に向いた面には、それぞれデカい彫像が配置してある。
 この日はデモがあったらしく、見ている間に通行止めがなされて、ポリツィアだらけとなってしまった。


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何ともびみょーな表情

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 この2枚はマルトラーナ礼拝堂。天井も床も壁も、みんなモザイクで装飾されている。アラブとノルマンの文化が融合してこうなったらしいです、はい。

 つづく
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遙かなるラグーサへの道2 南国の朝 

2006-12-08 09:08:55 | 連載もの 遙かなるラグーサへの道

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 目を覚ましたときには薄暮の中にいた。微かに下水の匂いがしている。
 しばらくのあいだ、コトの成り行きが分からなくて呆然とする。
 ああ、そうか。パレルモのホテルに着いたのだっけ...。
 成田からローマまで、直行便で約13時間。ローマの空港で2時間の待ち合わせ時間をやり過ごし(細君は現地用の携帯電話を準備したりと忙しかった)、国内線に乗り換えて約1時間。昨夜遅く、ようやく第1目的地であるシチリア島はパレルモに着いたのでありました。
 ベッドから足を降ろすと、石貼りの床が冷っこい。スリッパを履いてバルコニーに出てみる。
 通りには椰子のような巨木が並んでいて、朝日が当たっている部分は葉と樹皮が白く輝いている。向かい側の建物では、サングラスにTシャツ姿の男が新聞を読んでいる姿が見える。
 ここでまた呆然とする。今は11月の末なのに、この強い日差しは何だろうか。おまけに椰子の木なんて、熱海でしか見たことがない。

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サボテンの実 種が多いがほんのり甘くて美味
 

 シチリアの州都パレルモは北緯38度。宮城県の仙台市と同じ緯度なのに、この風景はまるで南国ではないか。
 仙台にいる友人は、早くも灯油ヒーターが手放せないと言っていたのに、こっちは丸首Tシャツで日向ぼっこしてるオヤジがいるのである。
 何となく「不公平」という文字が浮かんでくる。
「悪いなぁ」という気持ちにもなる。
 しかし同時に「いいだろ、おい!」という気持ちが潜んでいるのを隠しきれない。
 せっかく海外に来たというのに、朝からずいぶんとくだらないことに思考を使っているのである。

 つづく
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遙かなるラグーサへの道1 旅立ちの背景

2006-12-05 00:13:03 | 連載もの 遙かなるラグーサへの道

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 今年は、昭和の年号で数えると、昭和80年ということになる。
 自分の過去を振り返るときには、昭和で数えたほうが分かりやすいのですね。
 僕が初めてイタリア・ギリシア旅行に行ったのは、昭和63年の12月。
 アイルトン・セナが初優勝し、吉本ばななの『キッチン』がベストセラーとなり、「5時から男!」という言葉が流行した年でありました。
 昭和天皇のご容態が悪化する中を、
「10リラが1円、1ドラクマは1円...」
とつぶやきながら、アリタリア航空のジャンボに乗っていったのだ。



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 時は流れて、現代。
 リラもドラクマも、すでになくなってしまった。1ユーロが150円超という、旅行者にとってはだいぶ分の悪いレートで、僕と細君はアリタリアのボーイング777に乗り込んだのであります。
 17年ぶりの海外旅行。奇しくも渡航先は前回と同じくイタリアと相成った。
 さあさあ、みなさま。Here we go!

 つづく
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