くらぶアミーゴblog

エッセイを綴るぞっ!

遙かなるラグーサへの道2 南国の朝 

2006-12-08 09:08:55 | 連載もの 遙かなるラグーサへの道

Italia400

 目を覚ましたときには薄暮の中にいた。微かに下水の匂いがしている。
 しばらくのあいだ、コトの成り行きが分からなくて呆然とする。
 ああ、そうか。パレルモのホテルに着いたのだっけ...。
 成田からローマまで、直行便で約13時間。ローマの空港で2時間の待ち合わせ時間をやり過ごし(細君は現地用の携帯電話を準備したりと忙しかった)、国内線に乗り換えて約1時間。昨夜遅く、ようやく第1目的地であるシチリア島はパレルモに着いたのでありました。
 ベッドから足を降ろすと、石貼りの床が冷っこい。スリッパを履いてバルコニーに出てみる。
 通りには椰子のような巨木が並んでいて、朝日が当たっている部分は葉と樹皮が白く輝いている。向かい側の建物では、サングラスにTシャツ姿の男が新聞を読んでいる姿が見える。
 ここでまた呆然とする。今は11月の末なのに、この強い日差しは何だろうか。おまけに椰子の木なんて、熱海でしか見たことがない。

3600
サボテンの実 種が多いがほんのり甘くて美味
 

 シチリアの州都パレルモは北緯38度。宮城県の仙台市と同じ緯度なのに、この風景はまるで南国ではないか。
 仙台にいる友人は、早くも灯油ヒーターが手放せないと言っていたのに、こっちは丸首Tシャツで日向ぼっこしてるオヤジがいるのである。
 何となく「不公平」という文字が浮かんでくる。
「悪いなぁ」という気持ちにもなる。
 しかし同時に「いいだろ、おい!」という気持ちが潜んでいるのを隠しきれない。
 せっかく海外に来たというのに、朝からずいぶんとくだらないことに思考を使っているのである。

 つづく
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