久しぶりに、連載小説であります。
mixiに載せていたのだけど、blogに載せても問題ないと思われるのであります。
仕事じゃないんだから、書きたいことを書くのだ!
その夜。
10畳ほどもある洋間に、若い男たちが集まっていた。
ソファに腰掛けていたり、絨毯に寝そべっていたりと、思い思いの格好で飲み物を口に運んでいる。
5月も終わり頃で、梅雨に入る直前だ。
庭に面した窓が開け放たれていて、涼しい夜風が入ってくる。
秋と並び、一年のうちでも、もっとも過ごしやすい季節である。
壁の一面には、大型のステレオセットが置かれていた。
今はママス&パパスの『カリフォルニア・ドリーミング』のレコードが掛けられている。
「僕さ、カクテルを勉強したいんだよね」
宮城という男が、誰にともなく言った。この家の息子である。
この夜、彼の両親は旅行に出ていて、家にいなかった。
だから、彼がこの家の主のような顔をして、父親のレコードを掛けたり、友人を呼んで酒を飲ませたりしているのだ。