「アートと話す・アートを話す」 東京オペラシティアートギャラリー 3/21

東京オペラシティアートギャラリー(新宿区西新宿3-20-2)
「アートと話す・アートを話す」
1/14-3/26

「伝統や常識にとらわれない新しい表現を収集の核」(パンフレットより。)とする、ダイムラー・クライスラーのアートコレクション。日頃、現代美術を積極的に紹介しているこのギャラリーの展覧会の中でも、特にコンテンポラリーチックな雰囲気の漂う、それら古典的な脱アート型の作品にて構成された展覧会です。バウハウスからの現代アートをカジュアルな感覚で楽しめる優れた企画ではありますが、如何せんこの手の作品は波長が合わないとかなり厳しいもの…。なかなか魅力を感じる作品に出会えません。教育プログラム等も多数用意されて、主催者側の意欲は大いに買いたいのですが、個人的には大好きな現代アートからつまらなさも感じてしまった展覧会となりました。



と、このようにいきなり偉そうな愚痴ばかり並べ立ててしまいましたが、それでもやはり惹かれる作品が何点かあるものです。まず初めの展示室では、バウマイスターの「ピンクの上のモルタル」(1953)がおすすめでしょうか。まるでミロを思わせるようなコラージュ作品ですが、赤や青などの色彩の塊が、まるで巨人や小人、それに奇妙な動物たちに変身して、広い原っぱで遊んでいるように見える可愛らしい作品です。また、くすんだ赤に、同じく赤の鮮やかなテンペラが塗り重ねられたガイガーの「指数記号」(1960)も、まるで夕焼けようなグラデーションと、少しだけロスコを思わせるような奥行き感が印象的でした。

2つ目の展示室では、エームの2点の「無題」(1960)が気になります。真四角の白と黒の二枚のキャンバスに、まるでアスファルトを塗り固めたような黒い樹脂がボツボツと重なる。画面が照明に写り込み、ややテカリを見せていたのも美しかったのですが、作品が二枚とも天井付近で展示されていて、近づくことが叶いません。質感をしっかりと確認出来なかったのが残念でした。

3つ目の展示室では、川村での大個展が懐かしいライマンの作品(「無題」1969)がお出迎えです。四隅にテープの剥がれた跡の残された真っ白なキャンバス。近づいて見ると絵具の柔らかく丸みを帯びたタッチを確認出来ますが、幾分塗りは平面的で、タッチが傷のようにも見えてきます。もう少し肉厚の作品の方が私は好みですが、ここでライマンに出会えるとは思いませんでした。



パッと見て美しいと思えた唯一の作品は、100本の香水瓶がズラリと並んだフルーリーの「オーラ・ソーマ」(2002)です。高さ10センチもない小さな瓶の中に、赤やオレンジなどカラフルな色が二層に分離して入っています。(水と油に色をつけたのでしょう。)そしてその一つ一つが下からの照明に当たってキラキラと光る。ただそれだけの作品ですが、全体の調和のとれた美しさと、それぞれに個性(それを身につける人も連想させる。)を感じさせるような香水の響宴は悪くありません。とりあえずは一押しにしたい作品です。

いわゆる古典的な絵画で気を吐いていたのは、エントランスに展示されているシュレンマーの二点のドローイングです。その中では「頭部とコップ」(1923)という油彩画が印象的でした。隣に展示されていたトレーシング・ペーパーの大きな作品よりも良く描けています。目立たない作品ですがおすすめです。

会場受付では、小学生低学年、高学年、それに中学生以上に区分されたワークブックが、それぞれ無料にて貸し出されています。もちろんそれらはミュージアムショップで購入することも出来ますが、今日が最終回であったギャラリー・クルーズに参加すれば無料で配布されたのだそうです。私は参加しなかったのですが、まさに「難解」な現代アートを、至れり尽くせりの配慮にで「分かり易く」提示する試みと言うことでしょうか。(ワークブックの中には、「これはどう見えるのだろう?」などの文言が並びます。)作品がやや雑然と並んでいて、展示構成にもう少し工夫があればとも思いますが、ただ見せるだけに終らない、美術館の意欲は感じる展覧会でした。26日までの開催です。(これらの作品を見て、どれほどの方が現代アートに面白さを感じるのかが知りたいところではありますが…。)
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