毎日毎日、飽きもせず・・・

韓国のドラマ・映画・音楽を楽しんでいます。
そんな小さな楽しみを綴っていきたいと思います!(完全ネタバレしています)

『復讐者に憐れみを』

2006-03-31 22:49:46 | MOVIE
出演:ソン・ガンホ、シン・ハギュン
   ペ・ドゥナ
監督:パク・チャヌク
2002年


 工場で働くリュは耳が聞こえず話す事も出来ない。
彼の姉は長い間腎臓を患っているために移植をすることになったのだが
自分の腎臓とは適合しなかった。
何とかして姉を助けたいリュは臓器売買の組織を訪ねたのだが、
全財産を騙し取られた上に自分の腎臓まで取られてしまう。
そんな時に適合者が現れお金さえあれば移植ができる事に。
何とかしてお金が欲しいリュは恋人のヨンミに上手く言い含められ
女の子を誘拐をして身代金を取る事にする。
お金を取ったら無事に返すつもりだったのだが、リュが自分のために誘拐をした事を
知った姉は責任を感じ自ら命を絶つ。
そして無事に帰すつもりだった女の子も不慮の事故により死んでしまう。
そこから女の子の父の壮絶なる復讐が始まる・・・・


 この作品は「オールド・ボーイ」「親切なクムジャさん」とあわせて
“復讐三部作”と呼ばれているものの第一弾です。
「オールド・ボーイ」よりもキツイ作品ですねぇ。
復讐は復讐を呼び結局その“復讐の連鎖”というものは終わりがないんです。

DVD特典内でパク・チャヌク監督が次のように話しておられます。
 「前半でなぜ犯人が罪を犯したのかを見せる。
  後半では被害者の父が復讐を誓い犯人を追いかける
  でも観客は犯人の事情を知っているので被害者と加害者、どちらにも同情する。
  どちらを応援しようかジレンマに陥る、それを狙った」と。

 本当に私はまんまと監督の狙い通りにはまりました。
あの父親は娘を殺されるような悪い事など何もしていない。
完全な被害者のはずなのに私は何故か犯人の方の目線でこの物語を
追っていたように思います。
それは監督の言っていた前半部分のリュという人物を見たからです。
臓器密売者にお金を取られたのも、そんな所に行ったからだと言われてしまえば
終わりだけれど、彼の中では姉を助ける術はそれしかないと思ったんだし、
理由はどうあれ“よい誘拐”と自分達で正当化し誘拐をした彼らは、
一番悪いんだけれど、何故かリュの方が哀れな気がして彼をずっと追っていました。

この映画でリュを演じたシン・ハギュンは素晴らしかったですね。
普段の彼は笑顔がとても優しいソフトな感じの方ですが、
独特な感じの緑色の髪や言葉を話さないセリフの無い演技。
最初は姉思いの男の子だったのが、彼の中の復讐を誓ってからは
見事なまでの冷酷で残忍な手口。

残酷なシーン、拷問シーン、そしてラストの展開に至るまで
全く救いの無い話ではありますが、3人の俳優(ソン・ガンホ、シン・ハギュン、ペ・ドゥナ)が
素晴らしい演技なのでこれを見る価値はあると思います。
まったく下世話な話ですが途中にリュとヨンミのベットシーンがあります。
実生活でこの2人、付き合っていたと映画を見た後知りました・・・・