法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

募集株式発行に対する発行差止めの仮処分の申立について

2006-07-21 16:18:22 | Weblog
日本航空HP 少数株主による募集株式発行の差止の仮処分申立てのお知らせ

asahi.com 日航の公募増資調達額,目標割る 総会後発表で不信

 公募増資計画の発表のタイミングなどをめぐり,批判の多かった日航。
一昨日,保有株式1000株(1単元)の少数株主が,日航を相手取って,7億株の当該募集株式の発行につき,発行差止めの仮処分を東京地裁に申立てたようだ。

株主は完全に出し抜かれたようなかたち。怒るのは無理もない。


会社法の関連条文

(募集事項の決定)
第百九十九条 株式会社は,その発行する株式又はその処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとするときは,その都度,募集株式(当該募集に応じてこれらの株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる株式をいう。以下この節において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。
一 募集株式の数(種類株式発行会社にあっては,募集株式の種類及び数。以下この節において同じ。)
二 募集株式の払込金額(募集株式一株と引換えに払い込む金銭又は給付する金銭以外の財産の額をいう。以下この節において同じ。)又はその算定方法
三 金銭以外の財産を出資の目的とするときは,その旨並びに当該財産の内容及び価額
四 募集株式と引換えにする金銭の払込み又は前号の財産の給付の期日又はその期間
五 株式を発行するときは,増加する資本金及び資本準備金に関する事項
2 前項各号に掲げる事項(以下この節において「募集事項」という。)の決定は,株主総会の決議によらなければならない。
3 第一項第二号の払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合には,取締役は,前項の株主総会において,当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。
4 種類株式発行会社において,第一項第一号の募集株式の種類が譲渡制限株式であるときは,当該種類の株式に関する募集事項の決定は,当該種類の株式を引き受ける者の募集について当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがある場合を除き,当該種類株主総会の決議がなければ,その効力を生じない。ただし,当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は,この限りでない。
5 募集事項は,第一項の募集ごとに,均等に定めなければならない。

第二百十条 次に掲げる場合において,株主が不利益を受けるおそれがあるときは,株主は,株式会社に対し,第百九十九条第一項の募集に係る株式の発行又は自己株式の処分をやめることを請求することができる。
一 当該株式の発行又は自己株式の処分が法令又は定款に違反する場合
二 当該株式の発行又は自己株式の処分が著しく不公正な方法により行われる場合

会社法施行規則の関連条文

(公開会社の特則)
第百十九条  株式会社が当該事業年度の末日において公開会社である場合には,前条各号に掲げる事項のほか,次に掲げる事項を事業報告の内容としなければならない。
一  株式会社の現況に関する事項
二  株式会社の会社役員(直前の定時株主総会の終結の日の翌日以降に在任していたものであって,当該事業年度の末日までに退任したものを含む。以下この款において同じ。)に関する事項
三  株式会社の株式に関する事項
四  株式会社の新株予約権等に関する事項

(株式会社の現況に関する事項)
第百二十条  前条第一号に規定する「株式会社の現況に関する事項」とは,次に掲げる事項(当該株式会社の事業が二以上の部門に分かれている場合にあっては,部門別に区別することが困難である場合を除き,その部門別に区別された事項)とする。
一  当該事業年度の末日における主要な事業内容
二  当該事業年度の末日における主要な営業所及び工場並びに使用人の状況
三  当該事業年度の末日において主要な借入先があるときは,その借入先及び借入額
四  当該事業年度における事業の経過及びその成果
五  当該事業年度における次に掲げる事項についての状況(重要なものに限る。)
イ 資金調達
ロ 設備投資
ハ 事業の譲渡,吸収分割又は新設分割
ニ 他の会社(外国会社を含む。)の事業の譲受け
ホ 他の会社(外国会社を含む。)の株式その他の持分又は新株予約権等の取得
ヘ 吸収合併(会社以外の者との合併(当該合併後当該株式会社が存続するものに限る。)を含む。)又は吸収分割による他の法人等の事業に関する権利義務の承継
六  直前三事業年度(当該事業年度の末日において三事業年度が終了していない株式会社にあっては,成立後の各事業年度)の財産及び損益の状況
七  重要な親会社及び子会社の状況
八  対処すべき課題
九  前各号に掲げるもののほか,当該株式会社の現況に関する重要な事項
2  株式会社が当該事業年度に係る連結計算書類を作成している場合には,前項各号に掲げる事項については,当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の現況に関する事項とすることができる。この場合において,当該事項に相当する事項が連結計算書類の内容となっているときは,当該事項を事業報告の内容としないことができる。
3  第一項第六号に掲げる事項については,当該事業年度における過年度事項(当該事業年度より前の事業年度に係る貸借対照表,損益計算書又は株主資本等変動計算書に表示すべき事項をいう。)が会計方針の変更その他の正当な理由により当該事業年度より前の事業年度に係る定時株主総会において承認又は報告をしたものと異なっているときは,修正後の過年度事項を反映した事項とすることを妨げない。

(株式会社の株式に関する事項)
第百二十二条  第百十九条第三号に規定する「株式会社の株式に関する事項」とは,次に掲げる事項とする。
一  当該事業年度の末日において発行済株式(自己株式を除く。)の総数の十分の一以上の数の株式を有する株主の氏名又は名称及び当該株主の有する当該株式会社の株式の数(種類株式発行会社にあっては,株式の種類及び種類ごとの数)
二  前号に掲げるもののほか,株式会社の株式に関する重要な事項

民事保全法の関連条文

(仮処分命令の必要性等)
第二十三条  係争物に関する仮処分命令は,その現状の変更により,債権者が権利を実行することができなくなるおそれがあるとき,又は権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。
2  仮の地位を定める仮処分命令は,争いがある権利関係について債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とするときに発することができる。
3  第二十条第二項の規定は,仮処分命令について準用する。
4  第二項の仮処分命令は,口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ,これを発することができない。ただし,その期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的を達することができない事情があるときは,この限りでない。

(仮処分の方法)
第二十四条  裁判所は,仮処分命令の申立ての目的を達するため,債務者に対し一定の行為を命じ,若しくは禁止し,若しくは給付を命じ,又は保管人に目的物を保管させる処分その他の必要な処分をすることができる。

(仮処分解放金)
第二十五条  裁判所は,保全すべき権利が金銭の支払を受けることをもってその行使の目的を達することができるものであるときに限り,債権者の意見を聴いて,仮処分の執行の停止を得るため,又は既にした仮処分の執行の取消しを得るために債務者が供託すべき金銭の額を仮処分命令において定めることができる。
2  第二十二条第二項の規定は,前項の金銭の供託について準用する。

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外国政府に対する民事裁判権の免除に係る判例変更について

2006-07-21 14:33:59 | Weblog
商取引巡る訴訟,外国政府相手も可能・78年ぶり判例変更 NIKKEI NET

 「国家主権を侵害するおそれがあるなど特段の事情がない限り,民事裁判から免除されない」とのこと。
記事にある大審院判例(S3.12.28)とは,中華民国代理公使振出しの約束手形に基づく手形請求事件につき,中華民国に主権免除を認めた事案であった。

 日本の民事裁判権が外国に対し例外的に及ぶ場合については,これまで,条約に特別な規定があるような場合のほか,外国が自発的に日本の裁判権に服する意思を明示して応訴するような場合があげられるのが通例であった。
これとの関係では,外国に応訴意思があるかを照会する手続を定めた通達があったが,これは先般廃止された。穿った見方をすれば,外国といえど,絶対免除から制限免除,という流れはあったわけだ。

確かに,純然たる商取引に係る訴訟であるにもかかわらず,主権を有する外国政府であるとの一事をもって,我が国の民事裁判権が一切及ばないというのは理不尽極まりない話し。外国政府相手の取引は,ある意味,一番危ない,といったことにもなりかねない。


民事訴訟法の関連条文

(趣旨)
第一条  民事訴訟に関する手続については,他の法令に定めるもののほか,この法律の定めるところによる。

(裁判所及び当事者の責務)
第二条  裁判所は,民事訴訟が公正かつ迅速に行われるように努め,当事者は,信義に従い誠実に民事訴訟を追行しなければならない。

(最高裁判所規則)
第三条  この法律に定めるもののほか,民事訴訟に関する手続に関し必要な事項は,最高裁判所規則で定める。

(普通裁判籍による管轄)
第四条  訴えは,被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する。
2  人の普通裁判籍は,住所により,日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときは居所により,日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときは最後の住所により定まる。
3  大使,公使その他外国に在ってその国の裁判権からの免除を享有する日本人が前項の規定により普通裁判籍を有しないときは,その者の普通裁判籍は,最高裁判所規則で定める地にあるものとする。
4  法人その他の社団又は財団の普通裁判籍は,その主たる事務所又は営業所により,事務所又は営業所がないときは代表者その他の主たる業務担当者の住所により定まる。
5  外国の社団又は財団の普通裁判籍は,前項の規定にかかわらず,日本における主たる事務所又は営業所により,日本国内に事務所又は営業所がないときは日本における代表者その他の主たる業務担当者の住所により定まる。
6  国の普通裁判籍は,訴訟について国を代表する官庁の所在地により定まる。

(財産権上の訴え等についての管轄)
第五条  次の各号に掲げる訴えは,それぞれ当該各号に定める地を管轄する裁判所に提起することができる。
一  財産権上の訴え
     義務履行地
二  手形又は小切手による金銭の支払の請求を目的とする訴え
     手形又は小切手の支払地
三  船員に対する財産権上の訴え
     船舶の船籍の所在地
四  日本国内に住所(法人にあっては,事務所又は営業所。以下この号において同じ。)がない者又は住所が知れない者に対する財産権上の訴え
     請求若しくはその担保の目的又は差し押さえることができる被告の財産の所在地
五  事務所又は営業所を有する者に対する訴えでその事務所又は営業所における業務に関するもの
     当該事務所又は営業所の所在地
六  船舶所有者その他船舶を利用する者に対する船舶又は航海に関する訴え
     船舶の船籍の所在地
七  船舶債権その他船舶を担保とする債権に基づく訴え
     船舶の所在地
八  会社その他の社団又は財団に関する訴えで次に掲げるもの
     社団又は財団の普通裁判籍の所在地
イ 会社その他の社団からの社員若しくは社員であった者に対する訴え,社員からの社員若しくは社員であった者に対する訴え又は社員であった者からの社員に対する訴えで,社員としての資格に基づくもの
ロ 社団又は財団からの役員又は役員であった者に対する訴えで役員としての資格に基づくもの
ハ 会社からの発起人若しくは発起人であった者又は検査役若しくは検査役であった者に対する訴えで発起人又は検査役としての資格に基づくもの
ニ 会社その他の社団の債権者からの社員又は社員であった者に対する訴えで社員としての資格に基づくもの
九  不法行為に関する訴え
     不法行為があった地
十  船舶の衝突その他海上の事故に基づく損害賠償の訴え
     損害を受けた船舶が最初に到達した地
十一  海難救助に関する訴え
     海難救助があった地又は救助された船舶が最初に到達した地
十二  不動産に関する訴え
     不動産の所在地
十三  登記又は登録に関する訴え
     登記又は登録をすべき地
十四  相続権若しくは遺留分に関する訴え又は遺贈その他死亡によって効力を生ずべき行為に関する訴え
     相続開始の時における被相続人の普通裁判籍の所在地
十五  相続債権その他相続財産の負担に関する訴えで前号に掲げる訴えに該当しないもの(相続財産の全部又は一部が同号に定める地を管轄する裁判所の管轄区域内にあるときに限る。)
     同号に定める地

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幽霊会員の強制脱退に係る信用金庫法の改正の検討について

2006-07-21 11:30:18 | Weblog
信金の「幽霊会員」,強制脱退可能に・金融庁検討 NIKKEI NET

 会社法には,既に,株主管理コストの軽減のための制度として,所在不明株主の株式売却制度がある(会社法第197条)。売却代金は当該株式の株主に交付することになる。
もっとも,相手の所在は不明。受領を催告して保管というのも,これはこれで新たな負担である(民法第493条)。
過失なく債権者を確知できないケースと考えれば,供託も可能のように思われる(同第494条)。


信用金庫法の関連条文

(会員たる資格)
第十条  信用金庫の会員たる資格を有する者は,次に掲げる者で定款で定めるものとする。ただし,第一号又は第二号に掲げる者に該当する個人にあつてはその常時使用する従業員の数が三百人を超える事業者を除くものとし,第一号又は第二号に掲げる者に該当する法人にあつてはその常時使用する従業員の数が三百人を超え,かつ,その資本金の額又は出資の総額が政令で定める金額を超える事業者を除くものとする。
一  その信用金庫の地区内に住所又は居所を有する者
二  その信用金庫の地区内に事業所を有する者
三  その信用金庫の地区内において勤労に従事する者
四  前三号に掲げる者に準ずる者として内閣府令で定める者
2  信用金庫連合会の会員たる資格を有する者は,その連合会の地区の一部を地区とする信用金庫であつて,定款で定めるものとする。

(加入)
第十三条  金庫に加入しようとする者は,定款の定めるところにより加入につき金庫の承諾を得て引受出資口数に応ずる金額の払込を了した時又は会員の持分の全部若しくは一部を承継した時に会員となる。

第十四条  死亡した会員の相続人で会員たる資格を有するものが,金庫に対し定款で定める期間内に加入の申出をしたときは,前条の規定にかかわらず,相続開始の時に会員になつたものとみなす。この場合においては,相続人たる会員は,被相続人の持分について,その権利義務を承継する。
2  死亡した会員の相続人が数人あるときは,相続人の同意をもつて選定された一人の相続人に限り,前項の規定を適用する。

(法定脱退)
第十七条  会員は,次の事由によつて脱退する。
一  会員たる資格の喪失
二  死亡又は解散
三  破産手続開始の決定
四  除名
五  持分の全部の喪失
2  会員は,その出資額が金庫の出資一口の金額の減少その他やむを得ない理由により第十一条第一項に定める出資の最低限度額に満たないこととなり,かつ,その満たないこととなつた日から一年以内に当該最低限度額に達しない場合には,その期間を経過した日に脱退する。
3  除名は,定款の定める事由に該当する会員につき,総会の決議によつてすることができる。この場合においては,金庫は,その総会の会日の十日前までに,その会員に対しその旨を通知し,かつ,総会において弁明する機会を与えなければならない。
4  除名は,除名した会員にその旨を通知しなければ,これをもつてその会員に対抗することができない。

(脱退者の持分の払戻)
第十八条  会員は,前条第一項第一号から第四号まで又は第二項の規定により脱退したときは,定款の定めるところにより,その持分の全部又は一部の払戻を請求することができる。
2  前項の持分は,脱退した事業年度の終における金庫の財産によつて定める。

(剰余金の配当)
第五十七条  金庫の剰余金の配当は,事業年度終了の日における純資産の額(貸借対照表上の資産の額から負債の額を控除して得た額をいう。以下この項において同じ。)から次に掲げる金額を控除して得た額を限度として行うことができる。
一  出資の総額
二  前条第一項の準備金の額
三  前条第一項の規定によりその事業年度に積み立てなければならない準備金の額
四  その他内閣府令で定める額
2  剰余金の配当は,定款の定めるところにより,会員の金庫の事業の利用分量又は出資額に応じてしなければならない。
3  出資額に応じてする剰余金の配当の率の最高限度は,定款で定めなければならない。

会社法の関連条文

(株主に対する通知の省略)
第百九十六条 株式会社が株主に対してする通知又は催告が五年以上継続して到達しない場合には,株式会社は,当該株主に対する通知又は催告をすることを要しない。
2 前項の場合には,同項の株主に対する株式会社の義務の履行を行う場所は,株式会社の住所地とする。
3 前二項の規定は,登録株式質権者について準用する。

(株主に対する通知の省略)
第百九十六条 株式会社が株主に対してする通知又は催告が五年以上継続して到達しない場合には,株式会社は,当該株主に対する通知又は催告をすることを要しない。
2 前項の場合には,同項の株主に対する株式会社の義務の履行を行う場所は,株式会社の住所地とする。
3 前二項の規定は,登録株式質権者について準用する。

(株式の競売)
第百九十七条 株式会社は,次のいずれにも該当する株式を競売し,かつ,その代金をその株式の株主に交付することができる。
一 その株式の株主に対して前条第一項又は第二百九十四条第二項の規定により通知及び催告をすることを要しないもの
二 その株式の株主が継続して五年間剰余金の配当を受領しなかったもの
2 株式会社は,前項の規定による競売に代えて,市場価格のある同項の株式については市場価格として法務省令で定める方法により算定される額をもって,市場価格のない同項の株式については裁判所の許可を得て競売以外の方法により,これを売却することができる。この場合において,当該許可の申立ては,取締役が二人以上あるときは,その全員の同意によってしなければならない。
3 株式会社は,前項の規定により売却する株式の全部又は一部を買い取ることができる。この場合においては,次に掲げる事項を定めなければならない。
一 買い取る株式の数(種類株式発行会社にあっては,株式の種類及び種類ごとの数)
二 前号の株式の買取りをするのと引換えに交付する金銭の総額
4 取締役会設置会社においては,前項各号に掲げる事項の決定は,取締役会の決議によらなければならない。
5 第一項及び第二項の規定にかかわらず,登録株式質権者がある場合には,当該登録株式質権者が次のいずれにも該当する者であるときに限り,株式会社は,第一項の規定による競売又は第二項の規定による売却をすることができる。
一 第百九十六条第三項において準用する同条第一項の規定により通知又は催告をすることを要しない者
二 継続して五年間第百五十四条第一項の規定により受領することができる剰余金の配当を受領しなかった者

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民事裁判へのビデオリンク等の導入について

2006-07-21 08:45:49 | Weblog
民事裁判にもビデオ尋問導入へ…犯罪被害者に配慮 YOMIURI ONLINE

 記事にある京都府八幡市の損害賠償訴訟については,先日,このブログで触れたところ

記事にもあるとおり,犯罪被害者等基本計画では,今後講じていく施策のひとつとして,「民事訴訟におけるビデオリンク等の措置の導入」があげられており,具体的には「法務省において,民事訴訟においても,遮へい措置,ビデオリンク,付添いを民事訴訟法(平成8年法律第109号)上認めることについて検討を行い,2年以内を目途に結論を出し,その結論に従った施策を実施する。」としていた。

犯罪被害者等基本法第19条の求める「必要な施策」にあたる。

内閣府HP 犯罪被害者等基本計画


犯罪被害者等基本法

 安全で安心して暮らせる社会を実現することは,国民すべての願いであるとともに,国の重要な責務であり,我が国においては,犯罪等を抑止するためのたゆみない努力が重ねられてきた。
しかしながら,近年,様々な犯罪等が跡を絶たず,それらに巻き込まれた犯罪被害者等の多くは,これまでその権利が尊重されてきたとは言い難いばかりか,十分な支援を受けられず,社会において孤立することを余儀なくされてきた。さらに,犯罪等による直接的な被害にとどまらず,その後も副次的な被害に苦しめられることも少なくなかった。
もとより,犯罪等による被害について第一義的責任を負うのは,加害者である。しかしながら,犯罪等を抑止し,安全で安心して暮らせる社会の実現を図る責務を有する我々もまた,犯罪被害者等の声に耳を傾けなければならない。国民の誰もが犯罪被害者等となる可能性が高まっている今こそ,犯罪被害者等の視点に立った施策を講じ,その権利利益の保護が図られる社会の実現に向けた新たな一歩を踏み出さなければならない。
ここに,犯罪被害者等のための施策の基本理念を明らかにしてその方向を示し,国,地方公共団体及びその他の関係機関並びに民間の団体等の連携の下,犯罪被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進するため,この法律を制定する。

(目的)
第一条 この法律は,犯罪被害者等のための施策に関し,基本理念を定め,並びに国,地方公共団体及び国民の責務を明らかにするとともに,犯罪被害者等のための施策の基本となる事項を定めること等により,犯罪被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進し,もって犯罪被害者等の権利利益の保護を図ることを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において「犯罪等」とは,犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為をいう。
2 この法律において「犯罪被害者等」とは,犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族をいう。
3 この法律において「犯罪被害者等のための施策」とは,犯罪被害者等が,その受けた被害を回復し,又は軽減し,再び平穏な生活を営むことができるよう支援し,及び犯罪被害者等がその被害に係る刑事に関する手続に適切に関与することができるようにするための施策をいう。

(基本理念)
第三条 すべて犯罪被害者等は,個人の尊厳が重んぜられ,その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する。
2 犯罪被害者等のための施策は,被害の状況及び原因,犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じて適切に講ぜられるものとする。
3 犯罪被害者等のための施策は,犯罪被害者等が,被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間,必要な支援等を途切れることなく受けることができるよう,講ぜられるものとする。

(国の責務)
第四条 国は,前条の基本理念(次条において「基本理念」という。)にのっとり,犯罪被害者等のための施策を総合的に策定し,及び実施する責務を有する。

(地方公共団体の責務)
第五条 地方公共団体は,基本理念にのっとり,犯罪被害者等の支援等に関し,国との適切な役割分担を踏まえて,その地方公共団体の地域の状況に応じた施策を策定し,及び実施する責務を有する。

(国民の責務)
第六条 国民は,犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏を害することのないよう十分配慮するとともに,国及び地方公共団体が実施する犯罪被害者等のための施策に協力するよう努めなければならない。

(保護,捜査,公判等の過程における配慮等)
第十九条 国及び地方公共団体は,犯罪被害者等の保護,その被害に係る刑事事件の捜査又は公判等の過程において,名誉又は生活の平穏その他犯罪被害者等の人権に十分な配慮がなされ,犯罪被害者等の負担が軽減されるよう,犯罪被害者等の心身の状況,その置かれている環境等に関する理解を深めるための訓練及び啓発,専門的知識又は技能を有する職員の配置,必要な施設の整備等必要な施策を講ずるものとする。

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