法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

予測困難ながけ崩れについて

2007-01-31 21:59:00 | Weblog
NHKオンライン 奈良 がけ崩れ“予測は困難”

奈良がけ崩れ 県,抜本対策を放置 8年調査で危険度最高ランク Sankei Web

 NHKのニュースには,専門家の言として,がけ崩れの予測は難しく,県の対応に問題はなかったとある。
しかし,産経には,事故現場は平成8年の調査で危険度最高ランクの「要対策」と診断されていたとある。管理者たる県の予測困難,とおるだろうか。
診断から11年という時間の経過を考えると,予算等の制約はあるにしても,仮設防護柵等の設置で最大限の努力をしたといえるか,ちょっと疑問。

 それにしても,「要対策」地点で本格的な対策がとられているのは2割程度というのが怖い。


国家賠償法の関連条文

第二条  道路,河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは,国又は公共団体は,これを賠償する責に任ずる。
2  前項の場合において,他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは,国又は公共団体は,これに対して求償権を有する。

第三条  前二条の規定によつて国又は公共団体が損害を賠償する責に任ずる場合において,公務員の選任若しくは監督又は公の営造物の設置若しくは管理に当る者と公務員の俸給,給与その他の費用又は公の営造物の設置若しくは管理の費用を負担する者とが異なるときは,費用を負担する者もまた,その損害を賠償する責に任ずる。
2  前項の場合において,損害を賠償した者は,内部関係でその損害を賠償する責任ある者に対して求償権を有する。

第四条  国又は公共団体の損害賠償の責任については,前三条の規定によるの外,民法 の規定による。

民法の関連条文

(不法行為による損害賠償)
第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(財産以外の損害の賠償)
第七百十条  他人の身体,自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず,前条の規定により損害賠償の責任を負う者は,財産以外の損害に対しても,その賠償をしなければならない。

(近親者に対する損害の賠償)
第七百十一条  他人の生命を侵害した者は,被害者の父母,配偶者及び子に対しては,その財産権が侵害されなかった場合においても,損害の賠償をしなければならない。

(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
第七百十七条  土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは,その工作物の占有者は,被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし,占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは,所有者がその損害を賠償しなければならない。
2  前項の規定は,竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3  前二項の場合において,損害の原因について他にその責任を負う者があるときは,占有者又は所有者は,その者に対して求償権を行使することができる。

道路法の関連条文

(この法律の目的)
第一条  この法律は,道路網の整備を図るため,道路に関して,路線の指定及び認定,管理,構造,保全,費用の負担区分等に関する事項を定め,もつて交通の発達に寄与し,公共の福祉を増進することを目的とする。

(国道の維持,修繕その他の管理)
第十三条  前条に規定するものを除くほか,国道の維持,修繕,公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法 (昭和二十六年法律第九十七号)第二条第二項 に規定する災害復旧事業(以下「災害復旧」という。)その他の管理は,政令で指定する区間(以下「指定区間」という。)内については国土交通大臣が行い,その他の部分については都道府県がその路線の当該都道府県の区域内に存する部分について行う。
2  国土交通大臣は,政令で定めるところにより,指定区間内の国道の維持,修繕及び災害復旧以外の管理を当該部分の存する都道府県又は指定市が行うこととすることができる。
3  国土交通大臣は,工事が高度の技術を要する場合,高度の機械力を使用して実施することが適当であると認める場合又は都道府県の区域の境界に係る場合においては,都道府県に代わつて自ら指定区間外の国道の災害復旧に関する工事を行うことができる。この場合においては,国土交通大臣は,あらかじめその旨を当該都道府県に通知しなければならない。
4  第一項の規定により都道府県が維持,修繕,災害復旧その他の管理を行う場合において,その行おうとする国道の修繕又は災害復旧に関する工事が都道府県の区域の境界に係るときは,関係都道府県は,あらかじめ修繕又は災害復旧に関する工事の設計及び実施計画について協議しなければならない。
5  第七条第五項及び第六項前段の規定は,前項の規定による協議が成立しない場合について準用する。
6  前項において準用する第七条第五項及び第六項前段の規定により国土交通大臣が裁定をした場合においては,第四項の規定による協議が成立したものとみなす。

(道路の維持又は修繕)
第四十二条  道路管理者は,道路を常時良好な状態に保つように維持し,修繕し,もつて一般交通に支障を及ぼさないように努めなければならない。
2  道路の維持又は修繕に関する技術的基準その他必要な事項は,政令で定める。

(通行の禁止又は制限)
第四十六条  道路管理者は,左の各号の一に掲げる場合においては,道路の構造を保全し,又は交通の危険を防止するため,区間を定めて,道路の通行を禁止し,又は制限することができる。
一  道路の破損,欠壊その他の事由に因り交通が危険であると認められる場合
二  道路に関する工事のためやむを得ないと認められる場合
2  道路監理員(第七十一条第四項の規定により道路管理者が命じた道路監理員をいう。)は,前項第一号に掲げる場合において,道路の構造を保全し,又は交通の危険を防止するため緊急の必要があると認めるときは,必要な限度において,一時,道路の通行を禁止し,又は制限することができる。
3  道路管理者は,水底トンネル(水底トンネルに類するトンネルで国土交通省令で定めるものを含む。以下同じ。)の構造を保全し,又は水底トンネルにおける交通の危険を防止するため,政令で定めるところにより,爆発性又は易燃性を有する物件その他の危険物を積載する車両の通行を禁止し,又は制限することができる。

(通行の禁止又は制限の場合における道路標識)
第四十七条の四  道路管理者は,第四十六条第一項若しくは第三項又は第四十七条第三項の規定により道路の通行を禁止し,又は制限しようとする場合においては,禁止又は制限の対象,区間,期間及び理由を明瞭に記載した道路標識を設けなければならない。この場合において,道路管理者は,必要があると認めるときは,適当なまわり道を道路標識をもつて明示し,一般の交通に支障のないようにしなければならない。
2  道路管理者は,第四十七条第四項の規定による政令で定める基準を特に明示する必要があると認められる場所には,道路標識を設けなければならない。

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刑事裁判への被害者の参加について

2007-01-30 20:22:15 | Weblog
法制審部会,刑事裁判に被害者参加認める NIKKEI NET

 法制審の刑事法部会が附帯私訴の導入等に係る要綱を決定した。被害者が求刑もできるとのこと。2月の総会の答申を経て,今国会に刑訴法の改正案が提出される。
因みに,附帯私訴は戦前の旧刑訴法時代にあった制度。その意味では復活といえる。

 刑事裁判における被害者の権利拡大については,歓迎する声がある一方,無罪推定を忘れ,被告人を被害者と対置される加害者とみなすことになりはしないかと,その行き過ぎを危惧する声もある。刑の宣告が被害者の求刑に拘束されることはないと思われるが,件の危惧,故ない話しではない。

 なお,附帯私訴の導入等の関係と思うが,刑事法部会(犯罪被害者関係)の委員には上原敏夫教授も名前を連ねておられる。先生は民事訴訟法部会の委員も兼任。


刑事訴訟法の関連条文

第二百九十二条の二  裁判所は,被害者又はその法定代理人(被害者が死亡した場合においては,その配偶者,直系の親族又は兄弟姉妹。以下この条において「被害者等」という。)から,被害に関する心情その他の被告事件に関する意見の陳述の申出があるときは,公判期日において,その意見を陳述させるものとする。
2  前項の規定による意見の陳述の申出は,あらかじめ,検察官にしなければならない。この場合において,検察官は,意見を付して,これを裁判所に通知するものとする。3  裁判長又は陪席の裁判官は,被害者等が意見を陳述した後,その趣旨を明確にするため,当該被害者等に質問することができる。
4  訴訟関係人は,被害者等が意見を陳述した後,その趣旨を明確にするため,裁判長に告げて,当該被害者等に質問することができる。
5  裁判長は,被害者等の意見の陳述又は訴訟関係人の被害者等に対する質問が既にした陳述若しくは質問と重複するとき,又は事件に関係のない事項にわたるときその他相当でないときは,これを制限することができる。
6  第百五十七条の二,第百五十七条の三及び第百五十七条の四第一項の規定は,第一項の規定による意見の陳述について準用する。
7  裁判所は,審理の状況その他の事情を考慮して,相当でないと認めるときは,意見の陳述に代え意見を記載した書面を提出させ,又は意見の陳述をさせないことができる。8  前項の規定により書面が提出された場合には,裁判長は,公判期日において,その旨を明らかにしなければならない。この場合において,裁判長は,相当と認めるときは,その書面を朗読し,又はその要旨を告げることができる。
9  第一項の規定による陳述又は第七項の規定による書面は,犯罪事実の認定のための証拠とすることができない。

第二百九十三条  証拠調が終つた後,検察官は,事実及び法律の適用について意見を陳述しなければならない。
2  被告人及び弁護人は,意見を陳述することができる。

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組織としてのけじめの付け方について

2007-01-29 18:04:39 | Weblog
えん罪強姦:県警本部長,男性に直接謝罪 就職先紹介も MSN毎日インタラクティブ

 就職先の紹介等をするとのこと。「当然だ」,「結構なこと」,いろいろな意見があるとは思う。
しかし,どう考えても,「組織としてのけじめ」はこの場面で使うに相応しい言葉とは思えない。少し,いや,かなりずれている。

警察庁 平成18年における懲戒処分者数について


国家公務員法の関連条文

(懲戒の場合)
第八十二条  職員が,次の各号のいずれかに該当する場合においては,これに対し懲戒処分として,免職,停職,減給又は戒告の処分をすることができる。
一  この法律若しくは国家公務員倫理法 又はこれらの法律に基づく命令(国家公務員倫理法第五条第三項 の規定に基づく訓令並びに同条第四項 及び第六項 の規定に基づく規則を含む。)に違反した場合
二  職務上の義務に違反し,又は職務を怠つた場合
三  国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合
2  職員が,任命権者の要請に応じ特別職に属する国家公務員,地方公務員又は公庫の予算及び決算に関する法律 (昭和二十六年法律第九十九号)第一条 に規定する公庫その他その業務が国の事務若しくは事業と密接な関連を有する法人のうち人事院規則で定めるものに使用される者(以下この項において「特別職国家公務員等」という。)となるため退職し,引き続き特別職国家公務員等として在職した後,引き続いて当該退職を前提として職員として採用された場合(一の特別職国家公務員等として在職した後,引き続き一以上の特別職国家公務員等として在職し,引き続いて当該退職を前提として職員として採用された場合を含む。)において,当該退職までの引き続く職員としての在職期間(当該退職前に同様の退職(以下この項において「先の退職」という。),特別職国家公務員等としての在職及び職員としての採用がある場合には,当該先の退職までの引き続く職員としての在職期間を含む。以下この項において「要請に応じた退職前の在職期間」という。)中に前項各号のいずれかに該当したときは,これに対し同項に規定する懲戒処分を行うことができる。職員が,第八十一条の四第一項又は第八十一条の五第一項の規定により採用された場合において,定年退職者等となつた日までの引き続く職員としての在職期間(要請に応じた退職前の在職期間を含む。)又は第八十一条の四第一項若しくは第八十一条の五第一項の規定によりかつて採用されて職員として在職していた期間中に前項各号のいずれかに該当したときも,同様とする。

地方公務員法の関連条文

(懲戒)
第二十九条  職員が次の各号の一に該当する場合においては,これに対し懲戒処分として戒告,減給,停職又は免職の処分をすることができる。
一  この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例,地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合
二  職務上の義務に違反し,又は職務を怠つた場合
三  全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合
2  職員が,任命権者の要請に応じ当該地方公共団体の特別職に属する地方公務員,他の地方公共団体若しくは特定地方独立行政法人の地方公務員,国家公務員又は地方公社(地方住宅供給公社,地方道路公社及び土地開発公社をいう。)その他その業務が地方公共団体若しくは国の事務若しくは事業と密接な関連を有する法人のうち条例で定めるものに使用される者(以下この項において「特別職地方公務員等」という。)となるため退職し,引き続き特別職地方公務員等として在職した後,引き続いて当該退職を前提として職員として採用された場合(一の特別職地方公務員等として在職した後,引き続き一以上の特別職地方公務員等として在職し,引き続いて当該退職を前提として職員として採用された場合を含む。)において,当該退職までの引き続く職員としての在職期間(当該退職前に同様の退職(以下この項において「先の退職」という。),特別職地方公務員等としての在職及び職員としての採用がある場合には,当該先の退職までの引き続く職員としての在職期間を含む。次項において「要請に応じた退職前の在職期間」という。)中に前項各号のいずれかに該当したときは,これに対し同項に規定する懲戒処分を行うことができる。
3  職員が,第二十八条の四第一項又は第二十八条の五第一項の規定により採用された場合において,定年退職者等となつた日までの引き続く職員としての在職期間(要請に応じた退職前の在職期間を含む。)又はこれらの規定によりかつて採用されて職員として在職していた期間中に第一項各号の一に該当したときは,これに対し同項に規定する懲戒処分を行うことができる。
4  職員の懲戒の手続及び効果は,法律に特別の定がある場合を除く外,条例で定めなければならない。

国家賠償法の関連条文

第一条  国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が,その職務を行うについて,故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは,国又は公共団体が,これを賠償する責に任ずる。
2  前項の場合において,公務員に故意又は重大な過失があつたときは,国又は公共団体は,その公務員に対して求償権を有する。

第四条  国又は公共団体の損害賠償の責任については,前三条の規定によるの外,民法 の規定による。

刑事補償法の関連条文

(補償の要件)
第一条  刑事訴訟法 (昭和二十三年法律第百三十一号)による通常手続又は再審若しくは非常上告の手続において無罪の裁判を受けた者が同法 ,少年法 (昭和二十三年法律第百六十八号)又は経済調査庁法(昭和二十三年法律第二百六号)によつて未決の抑留又は拘禁を受けた場合には,その者は,国に対して,抑留又は拘禁による補償を請求することができる。
2  上訴権回復による上訴,再審又は非常上告の手続において無罪の裁判を受けた者が原判決によつてすでに刑の執行を受け,又は刑法 (明治四十年法律第四十五号)第十一条第二項 の規定による拘置を受けた場合には,その者は,国に対して,刑の執行又は拘置による補償を請求することができる。
3  刑事訴訟法第四百八十四条 から第四百八十六条 まで(同法第五百五条 において準用する場合を含む。)の収容状による抑留及び同法第四百八十一条第二項 (同法第五百五条 において準用する場合を含む。)の規定による留置並びに犯罪者予防更生法 (昭和二十四年法律第百四十二号)第四十一条 又は執行猶予者保護観察法 (昭和二十九年法律第五十八号)第十条 の引致状による抑留及び留置は,前項の規定の適用については,刑の執行又は拘置とみなす。

(補償をしないことができる場合)
第三条  左の場合には,裁判所の健全な裁量により,補償の一部又は全部をしないことができる。
一  本人が,捜査又は審判を誤まらせる目的で,虚偽の自白をし,又は他の有罪の証拠を作為することにより,起訴,未決の抑留若しくは拘禁又は有罪の裁判を受けるに至つたものと認められる場合
二  一個の裁判によつて併合罪の一部について無罪の裁判を受けても,他の部分について有罪の裁判を受けた場合

(補償の内容)
第四条  抑留又は拘禁による補償においては,前条及び次条第二項に規定する場合を除いては,その日数に応じて,一日千円以上一万二千五百円以下の割合による額の補償金を交付する。懲役,禁錮若しくは拘留の執行又は拘置による補償においても,同様である。2  裁判所は,前項の補償金の額を定めるには,拘束の種類及びその期間の長短,本人が受けた財産上の損失,得るはずであつた利益の喪失,精神上の苦痛及び身体上の損傷並びに警察,検察及び裁判の各機関の故意過失の有無その他一切の事情を考慮しなければならない。
3  死刑の執行による補償においては,三千万円以内で裁判所の相当と認める額の補償金を交付する。ただし,本人の死亡によつて生じた財産上の損失額が証明された場合には,補償金の額は,その損失額に三千万円を加算した額の範囲内とする。
4  裁判所は,前項の補償金の額を定めるには,同項但書の証明された損失額の外,本人の年齢,健康状態,収入能力その他の事情を考慮しなければならない。
5  罰金又は科料の執行による補償においては,すでに徴収した罰金又は科料の額に,これに対する徴収の日の翌日から補償の決定の日までの期間に応じ年五分の割合による金額を加算した額に等しい補償金を交付する。労役場留置の執行をしたときは,第一項の規定を準用する。
6  没収の執行による補償においては,没収物がまだ処分されていないときは,その物を返付し,すでに処分されているときは,その物の時価に等しい額の補償金を交付し,又,徴収した追徴金についてはその額にこれに対する徴収の日の翌日から補償の決定の日までの期間に応じ年五分の割合による金額を加算した額に等しい補償金を交付する。

(損害賠償との関係)
第五条  この法律は,補償を受けるべき者が国家賠償法 (昭和二十二年法律第百二十五号)その他の法律の定めるところにより損害賠償を請求することを妨げない。
2  補償を受けるべき者が同一の原因について他の法律によつて損害賠償を受けた場合において,その損害賠償の額がこの法律によつて受けるべき補償金の額に等しいか,又はこれを越える場合には,補償をしない。その損害賠償の額がこの法律によつて受けるべき補償金の額より少いときは,損害賠償の額を差し引いて補償金の額を定めなければならない。
3  他の法律によつて損害賠償を受けるべき者が同一の原因についてこの法律によつて補償を受けた場合には,その補償金の額を差し引いて損害賠償の額を定めなければならない。

(管轄裁判所)
第六条  補償の請求は,無罪の裁判をした裁判所に対してしなければならない。

(補償請求の期間)
第七条  補償の請求は,無罪の裁判が確定した日から三年以内にしなければならない。

(補償決定の公示)
第二十四条  裁判所は,補償の決定が確定したときは,その決定を受けた者の申立により,すみやかに決定の要旨を,官報及び申立人の選択する三種以内の新聞紙に各一回以上掲載して公示しなければならない。
2  前項の申立は,補償の決定が確定した後二箇月以内にしなければならない。
3  第一項の公示があつたときは,さらに同項の申立をすることはできない。
4  前三項の規定は,第五条第二項前段に規定する理由による補償の請求を棄却する決定が確定した場合に準用する。

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選択的夫婦別姓制度導入に係る世論調査の結果について

2007-01-28 19:39:25 | Weblog
夫婦別姓制度:容認派減り,反対派増える 内閣府世論調査 MSN毎日インタラクティブ

 平成8年2月に法制審議会総会で決定された婚姻法改正要綱(正式名「民法の一部を改正する法律案要綱」)には次のようにある。この要綱案,選択的夫婦別姓制度等に反対する立場からの抵抗が強く,国会で一度も審議されないままお蔵入りになってしまった。

第三 夫婦の氏
一  夫婦は,婚姻の際に定めるところに従い,夫若しくは妻の氏を称し,又は各自の婚姻前の氏を称するものとする。
二  夫婦が各自の婚姻前の氏を称する旨の定めをするときは,夫婦は,婚姻の際に,夫又は妻の氏を子が称する氏として定めなければならないものとする。


なお,ジュリストNo1324の特別座談会『家族法の改正に向けて(上)-民法改正委員会の議論の現状』の中に,大村敦志教授の手になる婚姻法条文素案が掲載されている(P60参照)。夫婦の氏の決定等については,次の甲乙2案が併記されている。

(夫婦の氏)
O-9条甲案 夫婦は,婚姻の際に定めるところに従い,夫もしくは妻の氏,又は各自の婚姻前の氏を称する。
2 夫婦が各自の婚姻前の氏を称する旨の定めをするときは,夫婦は,子の出生の際に,夫又は妻の氏を子が称する氏として定めなければならない。

O-9条乙案 夫婦は,婚姻の際に定めるところに従い,夫もしくは妻の氏,又は各自の婚姻前の氏を称する。
2 夫婦が各自の婚姻前の氏を称する旨の定めをするときは,夫婦は,子の出生の際に,夫又は妻の氏を子が称する氏として定めなければならない。
3 夫婦のうち婚姻により氏を改めたものは,婚姻前の氏を日常生活上の呼称として用いることができる。
4 夫婦が各自の婚姻前の氏を称するときは,夫又は妻は,配偶者の氏を日常生活上の呼称として用いることができる。


子の氏の決定時点は,要綱案では「婚姻の際」となっているところ,大村案では「子の出生の際」となっている。大村教授の発言の中には,複数の子どもがいる場合,子の氏がバラバラになるのは望ましくないとあるのだが・・・。

法務省 民法の一部を改正する法律案要綱

内閣府 男女共同参画局 選択的夫婦別氏制度に関する審議の中間まとめ


日本国憲法の関連条文

第二十四条  婚姻は,両性の合意のみに基いて成立し,夫婦が同等の権利を有することを基本として,相互の協力により,維持されなければならない。
2  配偶者の選択,財産権,相続,住居の選定,離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては,法律は,個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して,制定されなければならない。

民法の関連条文

(夫婦の氏)
第七百五十条  夫婦は,婚姻の際に定めるところに従い,夫又は妻の氏を称する。

戸籍法の関連条文

第七十四条  婚姻をしようとする者は,左の事項を届書に記載して,その旨を届け出なければならない。
一  夫婦が称する氏
二  その他法務省令で定める事項

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農地の貸し剥がしトラブルに係る相談窓口の設置について

2007-01-27 20:51:21 | Weblog
asahi.com 農地「貸しはがし」などトラブル相談窓口を設置 農水省

 社団法人日本農業法人協会が昨年3月に行ったアンケートでは,「貸し剥がし」は次のように定義されていた。

 品目横断的経営安定対策の要件を満たす集落営農を組織する過程で農地の賃貸借の契約解除及び作業受託の打ち切りにあったもの

 貸し剥がしについては,昨年5月30日開催の農林水産省「第3回新たな需給調整システムへの移行の検証に関する検討会」において,委員から,「行政等においては,実態の精査,あるいは個別経営の集落営農の適切な関係についての御指摘,あるいは契約解除案件が生じた際の窓口か機関機能を作っていただくと対応が非常にいいのではないか。」との要望が農水省に出された。
これにつき,農水省は,「実態把握なり適切な指導,あるいは窓口の開設を含めて,今後検討しまして適切に対応したいと考えておりますので,よろしくお願いします。」と回答していた。

農水省 経営所得安定対策のポイント

農水省 第3回新たな需給調整システムへの移行の検証に関する検討会 資料一覧

農水省 第3回新たな需給調整システムへの移行の検証に関する検討会速記録


農地法の関連条文

(農地又は採草放牧地の賃貸借の対抗力)
第十八条  農地又は採草放牧地の賃貸借は,その登記がなくても,農地又は採草放牧地の引渡があつたときは,これをもつてその後その農地又は採草放牧地について物権を取得した第三者に対抗することができる。
2  民法第五百六十六条第一項 及び第三項 (用益的権利による制限がある場合の売主の担保責任)の規定は,登記をしてない賃貸借の目的である農地又は採草放牧地が売買の目的物である場合に準用する。
3  民法第五百三十三条 (同時履行の抗弁)の規定は,前項の場合に準用する。

農業経営基盤強化促進法の関連条文

(農用地利用規程)
第二十三条  農業協同組合法第七十二条の八第一項第一号 の事業を行う農事組合法人その他の団体(政令で定める基準に従つた定款又は規約を有しているものに限る。)であつて,第六条第二項第四号ハに規定する基準に適合する区域をその地区とし,かつ,当該地区内の農用地につき第十八条第三項第三号の権利を有する者の三分の二以上が構成員となつているものは,その行おうとする農用地利用改善事業の準則となる農用地利用規程を定め,これを同意市町村に提出して,当該農用地利用規程が適当である旨の認定を受けることができる。
2  農用地利用規程においては,次に掲げる事項を定めるものとする。
一  農用地の効率的かつ総合的な利用を図るための措置に関する基本的な事項
二  農用地利用改善事業の実施区域
三  作付地の集団化その他農作物の栽培の改善に関する事項
四  認定農業者とその他の構成員との役割分担その他農作業の効率化に関する事項
五  認定農業者に対する農用地の利用の集積の目標その他農用地の利用関係の改善に関する事項
六  その他必要な事項
3  同意市町村は,第一項の認定の申請があつた場合において,その申請に係る農用地利用規程が次に掲げる要件に該当するときは,同項の認定をするものとする。
一  農用地利用規程の内容が基本構想に適合するものであること。
二  農用地利用規程の内容が農用地の効率的かつ総合的な利用を図るために適切なものであること。
二の二  前項第四号に掲げる役割分担が認定農業者の農業経営の改善に資するものであること。
三  農用地利用規程が適正に定められており,かつ,申請者が当該農用地利用規程で定めるところに従い農用地利用改善事業を実施する見込みが確実であること。
4  第一項に規定する団体は,農用地の保有及び利用の現況及び将来の見通し等からみて農用地利用改善事業が円滑に実施されないと認めるときは,当該団体の地区内の農用地の相当部分について農業上の利用を行う効率的かつ安定的な農業経営を育成するという観点から,当該団体の構成員からその所有する農用地について利用権の設定等若しくは農作業の委託を受けて農用地の利用の集積を行う農業生産法人(以下「特定農業法人」という。)又は当該団体の構成員からその所有する農用地について農作業の委託を受けて農用地の利用の集積を行う団体(農業生産法人を除き,農業生産法人となることが確実であると見込まれることその他の政令で定める要件に該当するものに限る。以下「特定農業団体」という。)を,当該特定農業法人又は特定農業団体の同意を得て,農用地利用規程に定めることができる。
5  前項の規定により定める農用地利用規程においては,第二項各号に掲げる事項のほか,次に掲げる事項を定めるものとする。
一  特定農業法人又は特定農業団体の名称及び住所
二  特定農業法人又は特定農業団体に対する農用地の利用の集積の目標
三  特定農業法人又は特定農業団体に対する農用地の利用権の設定等及び農作業の委託に関する事項
6  同意市町村は,前項に規定する事項が定められている農用地利用規程について第一項の認定の申請があつた場合において,その申請に係る農用地利用規程が第三項各号に掲げる要件のほか,次に掲げる要件に該当するときでなければ,第一項の認定をしてはならない。
一  前項第二号に掲げる目標が第二項第二号の実施区域内の農用地の相当部分について利用の集積をするものであること。
二  申請者の構成員からその所有する農用地について利用権の設定等又は農作業の委託を行いたい旨の申出があつた場合に,特定農業法人が当該申出に係る農用地について利用権の設定等若しくは農作業の委託を受けること又は特定農業団体が当該申出に係る農用地について農作業の委託を受けることが確実であると認められること。
7  第五項各号に掲げる事項が定められている農用地利用規程(以下「特定農用地利用規程」という。)で定められた特定農業法人は認定農業者と,特定農用地利用規程は認定計画とみなす。
8  同意市町村は,第一項の認定をしたときは,農林水産省令で定めるところにより,遅滞なく,その旨を公告しなければならない。
9  特定農用地利用規程の有効期間は,政令で定める。
10  第一項の認定を受けた団体(以下「認定団体」という。)は,農業委員会,農業協同組合及び農地保有合理化法人に対し,農用地利用改善事業に関し,必要な助言を求めることができる。

農業経営基盤強化促進法施行令の関連条文

(定款等の記載事項の基準)
第四条  法第二十三条第一項 の政令で定める基準は,目的,構成員たる資格,構成員の加入及び脱退に関する事項,代表者に関する事項,総会の議決事項その他農林水産大臣が定める事項が定められていること並びにこれらの記載事項に係る内容が農林水産大臣が定める基準に適合するものであることとする。

(特定農業団体の要件)
第五条  法第二十三条第四項 の政令で定める要件は,次に掲げる要件とする。
一  前条に規定する基準に従つた定款又は規約を有していること。
二  その組織を変更して,その構成員を主たる組合員,社員又は株主とする農業生産法人となることに関する計画であつて,農林水産省令で定める基準に適合するものを有しており,かつ,その達成が確実と見込まれること。
三  その他農林水産省令で定める要件

(特定農用地利用規程の有効期間)
第六条  特定農用地利用規程の有効期間は,法第二十三条第一項 の認定を受けた日から起算して五年とする。ただし,同項 の認定を受けた団体は,当該特定農用地利用規程で定められた特定農業法人又は特定農業団体の同意を得た場合には,農林水産省令で定めるところにより,同意市町村の承認を得て,その有効期間を五年を超えない範囲内で延長することができる。

(農用地利用規程の認定の取消しの事由)
第七条  法第二十三条の二第三項 の政令で定める事由は,次に掲げる事由とする。
一  農用地利用規程について法第二十三条第一項 の認定を受けた団体(次号において単に「団体」という。)が同項 に規定する団体でなくなつたこと。
二  法第六条第六項 の規定による基本構想の変更により農用地利用規程(法第二十三条の二第一項 又は第二項 の規定による変更の認定又は届出があつたときは,その変更後のもの)が法第二十三条第三項第一号 に掲げる要件に該当しなくなつた場合において,団体が遅滞なく農用地利用規程について法第二十三条の二第一項 の規定による変更の認定を受けなかつたこと(同項 ただし書の農林水産省令で定める軽微な変更に該当する場合を除く。)。

農業経営基盤強化促進法施行規則の関連条文

(農業生産法人となることに関する計画の基準)
第二十条の二  令第五条第二号 の農林水産省令で定める基準は,次に掲げるとおりとする。
一  農業生産法人となる予定年月日が定められており,かつ,その日が,その団体が定められた特定農用地利用規程に係る法第二十三条第一項 の認定の申請の日から起算して五年を経過する日前であること。
二  その団体が農業生産法人となるために実施する事項及びその実施時期が定められていること。
三  その団体の主たる従事者が目標とする農業所得の額(以下「目標農業所得額」という。)が定められており,かつ,その額が,同意市町村の基本構想において農業経営基盤の強化の促進に関する目標として定められた目標農業所得額と同等以上の水準であること。
四  その団体が目標とする農業経営の規模,生産方式その他の農業経営の指標が定められており,かつ,その内容が,同意市町村の基本構想で定められた効率的かつ安定的な農業経営の指標と整合するものであること。

(特定農業団体の要件)
第二十条の三  令第五条第三号 の農林水産省令で定める要件は,次に掲げるとおりとする。
一  耕作又は養畜を行うことを目的とするものであること。
二  その耕作又は養畜に要する費用をすべての構成員が共同して負担していること。
三  その耕作又は養畜に係る利益をすべての構成員に対し配分していること。

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共益費の増額に係る契約条項について

2007-01-26 14:25:28 | Weblog
asahi.com 共益費値上げは「不当」 住民が都市再生機構を提訴へ

 記事によれば,契約条項に「URが変更できる」とあるようだ。増額請求自体に形成力を認める趣旨なのだろう。

 ところで,借地借家法第32条は借賃の増減に係る規定だが,第1項には次のようにある。

 建物の借賃が,土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により,土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により,又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは,契約の条件にかかわらず,当事者は,将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし,一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には,その定めに従う。

この規定により,公租公課等の負担の増大等,合理的な理由がある場合は,契約の条件にかかわらず,貸主は借賃の増額請求が可能となる。
ただ,2項に「建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは云々」とあるから,増額請求に形成力を認めたものではないことは明らかである。
また,契約当事者に法定の請求権を認めるものとして,第1項の「その他の負担の増減」,「その他の経済事情の変動」は,それぞれ,「租税」,「土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下」との並びで考える必要があるように思われる。
これらのことからすれば,請求がそのまま形成力を持つといった内容の場合や,そうでない場合でも増額請求可能な事由として明らかに借地借家法を超えるものが盛り込まれている場合は,消費者利益を害するおそれは高いといえる。消費者契約法第10条により無効となる場合はあろう。

記事には随意契約云々とあるが,仮に,赤字の原因がUR側の怠慢・経営努力の不足等にあるとすれば,これを借主の負担に帰せしめるというのは不当のように思える。


民法の関連条文

(基本原則)
第一条  私権は,公共の福祉に適合しなければならない。
2  権利の行使及び義務の履行は,信義に従い誠実に行わなければならない。
3  権利の濫用は,これを許さない。

(賃貸借)
第六百一条  賃貸借は,当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し,相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって,その効力を生ずる。

(賃料の支払時期)
第六百十四条  賃料は,動産,建物及び宅地については毎月末に,その他の土地については毎年末に,支払わなければならない。ただし,収穫の季節があるものについては,その季節の後に遅滞なく支払わなければならない。

借地借家法の関連条文

(借賃増減請求権)
第三十二条  建物の借賃が,土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により,土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により,又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは,契約の条件にかかわらず,当事者は,将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし,一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には,その定めに従う。
2  建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは,その請求を受けた者は,増額を正当とする裁判が確定するまでは,相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし,その裁判が確定した場合において,既に支払った額に不足があるときは,その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
3  建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは,その請求を受けた者は,減額を正当とする裁判が確定するまでは,相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし,その裁判が確定した場合において,既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは,その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。

消費者契約法の関連条文

(目的) 
第一条  この法律は,消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ,事業者の一定の行為により消費者が誤認し,又は困惑した場合について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに,事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とすることにより,消費者の利益の擁護を図り,もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条  民法 ,商法 (明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し,消費者の権利を制限し,又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって,民法第一条第二項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは,無効とする。

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義務教育の無償に係る持論の展開について

2007-01-25 20:23:06 | Weblog
給食費未納,親のモラル低下深刻 督促に“逆ギレ”も Sankei Web

NHK秋田 給食費未納秋田県でも

 義務教育の無償(憲法第26条第2項後段)については,ご存じのとおり,授業料不徴収を言うとするのが判例の立場。「義務教育だから給食費を支払う必要はない」との持論,今の日本ではちょっと通らない。
給食費に係る請求権の消滅時効期間は2年(民法第173条第3号)。平成17年度の給食費の未納は総額22億円とのことだが,手をこまねいているとどんどん時効にかかっていく。

 親は勝手に持論を展開していればいいだろう。しかし,その陰で,子どもは教室で泣いている。子どもにしてみれば,肩身が狭いなどというものではないだろう。
自らはブランド物で着飾りながら集金袋にはお金を入れてあげないなどというのは,虐待と言ったとしても決して言い過ぎにはならないと思う(児童虐待防止法第2条第4号参照)。


日本国憲法の関連条文

第二十六条  すべて国民は,法律の定めるところにより,その能力に応じて,ひとしく教育を受ける権利を有する。
2  すべて国民は,法律の定めるところにより,その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は,これを無償とする。

民法の関連条文

(消滅時効の進行等)
第百六十六条  消滅時効は,権利を行使することができる時から進行する。
2  前項の規定は,始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために,その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし,権利者は,その時効を中断するため,いつでも占有者の承認を求めることができる。

(債権等の消滅時効)
第百六十七条  債権は,十年間行使しないときは,消滅する。
2  債権又は所有権以外の財産権は,二十年間行使しないときは,消滅する。

第百七十三条  次に掲げる債権は,二年間行使しないときは,消滅する。
一  生産者,卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の代価に係る債権
二  自己の技能を用い,注文を受けて,物を製作し又は自己の仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事に関する債権
三  学芸又は技能の教育を行う者が生徒の教育,衣食又は寄宿の代価について有する債権

学校給食法

(この法律の目的)
第一条  この法律は,学校給食が児童及び生徒の心身の健全な発達に資し,かつ,国民の食生活の改善に寄与するものであることにかんがみ,学校給食の実施に関し必要な事項を定め,もつて学校給食の普及充実を図ることを目的とする。

(学校給食の目標)
第二条  学校給食については,義務教育諸学校における教育の目的を実現するために,次の各号に掲げる目標の達成に努めなければならない。
一  日常生活における食事について,正しい理解と望ましい習慣を養うこと。
二  学校生活を豊かにし,明るい社交性を養うこと。
三  食生活の合理化,栄養の改善及び健康の増進を図ること。
四  食糧の生産,配分及び消費について,正しい理解に導くこと。

(定義)
第三条  この法律で「学校給食」とは,前条各号に掲げる目標を達成するために,義務教育諸学校において,その児童又は生徒に対し実施される給食をいう。
2  この法律で「義務教育諸学校」とは,学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)に規定する小学校,中学校,中等教育学校の前期課程又は盲学校,聾学校若しくは養護学校の小学部若しくは中学部をいう。

(義務教育諸学校の設置者の任務)
第四条  義務教育諸学校の設置者は,当該義務教育諸学校において学校給食が実施されるように努めなければならない。

(国及び地方公共団体の任務)
第五条  国及び地方公共団体は,学校給食の普及と健全な発達を図るように努めなければならない。

(二以上の義務教育諸学校の学校給食の実施に必要な施設)
第五条の二  義務教育諸学校の設置者は,その設置する義務教育諸学校の学校給食を実施するための施設として,二以上の義務教育諸学校の学校給食の実施に必要な施設(次条において「共同調理場」という。)を設けることができる。

(学校給食栄養管理者)
第五条の三  義務教育諸学校又は共同調理場において学校給食の栄養に関する専門的事項をつかさどる職員は,教育職員免許法 (昭和二十四年法律第百四十七号)第四条第二項 に規定する栄養教諭の免許状を有する者又は栄養士法 (昭和二十二年法律第二百四十五号)第二条第一項 の規定による栄養士の免許を有する者で学校給食の実施に必要な知識若しくは経験を有するものでなければならない。

(経費の負担)
第六条  学校給食の実施に必要な施設及び設備に要する経費並びに学校給食の運営に要する経費のうち政令で定めるものは,義務教育諸学校の設置者の負担とする。
2  前項に規定する経費以外の学校給食に要する経費(以下「学校給食費」という。)は,学校給食を受ける児童又は生徒の学校教育法第二十二条第一項 に規定する保護者の負担とする。

(国の補助)
第七条  国は,私立の義務教育諸学校の設置者に対し,政令で定めるところにより,予算の範囲内において,学校給食の開設に必要な施設又は設備に要する経費の一部を補助することができる。
2  国は,公立の小学校,中学校又は中等教育学校の設置者が,学校給食を受ける児童又は生徒の学校教育法第二十二条第一項 に規定する保護者(以下この項において「保護者」という。)で生活保護法 (昭和二十五年法律第百四十四号)第六条第二項 に規定する要保護者(その児童又は生徒について,同法第十三条 の規定による教育扶助で学校給食費に関するものが行われている場合の保護者である者を除く。)であるものに対して,学校給食費の全部又は一部を補助する場合には,当該設置者に対し,当分の間,政令で定めるところにより,予算の範囲内において,これに要する経費の一部を補助することができる。

(補助金の返還等)
第九条  文部科学大臣は,第七条の規定による補助金の交付の決定を受けた者が次の各号のいずれかに該当するときは,補助金の交付をやめ,又は既に交付した補助金を返還させるものとする。
一  補助金を補助の目的以外の目的に使用したとき。
二  正当な理由がなくて補助金の交付の決定を受けた年度内に補助に係る施設又は設備を設けないこととなつたとき。
三  補助に係る施設又は設備を,正当な理由がなくて補助の目的以外の目的に使用し,又は文部科学大臣の許可を受けないで処分したとき。
四  補助金の交付の条件に違反したとき。
五  虚偽の方法によつて補助金の交付を受け,又は受けようとしたとき。

(政令への委任)
第十条  この法律に規定するもののほか,この法律の実施のため必要な手続その他の事項は,政令で定める。

就学困難な児童及び生徒に係る就学奨励についての国の援助に関する法律

(目的)
第一条  この法律は,経済的理由によつて就学困難な児童及び生徒について学用品を給与する等就学奨励を行う地方公共団体に対し,国が必要な援助を与えることとし,もつて小学校及び中学校並びに中等教育学校の前期課程における義務教育の円滑な実施に資することを目的とする。

(国の補助)
第二条  国は,市(特別区を含む。)町村が,その区域内に住所を有する学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)第二十三条 に規定する学齢児童又は同法第三十九条第二項 に規定する学齢生徒(以下「児童生徒」という。)の同法第二十二条第一項 に規定する保護者で生活保護法 (昭和二十五年法律第百四十四号)第六条第二項 に規定する要保護者であるものに対して,児童生徒に係る次に掲げる費用等(当該児童生徒について,同法第十三条 の規定による教育扶助が行われている場合にあつては,当該教育扶助に係る第一号又は第二号に掲げるものを除く。)を支給する場合には,予算の範囲内において,これに要する経費を補助する。
一  学用品又はその購入費
二  通学に要する交通費
三  修学旅行費

(補助の基準及び範囲)
第三条  前条の規定により国が補助を行う場合の補助の基準及び範囲については,政令で定める。

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逸失利益を5億7千万円超と算定した損害賠償請求について

2007-01-24 20:30:51 | Weblog
asahi.com 「50歳で社長」認めず算定,ヤマダ電機賠償訴訟 前橋

 不法行為による損害賠償についても,民法第416条が類推適用され,特別の事情によって生じた損害については,加害者がその事情を予見または予見することを得べかりしときにかぎり,これを賠償する責めを負うというのが判例(最判S47.6.7)である。

 なお,交通事故の死者の逸失利益について,次のように判示する判例(最判S43.8.27)がある。

 不法行為によって死亡した者の得べかりし利益を喪失したことによる損害の額を認定するにあたっては,裁判所は,あらゆる証拠資料を総合し,経験則を活用して,でき得るかぎり蓋然性のある額を算出するよう努めるべきであり,蓋然性に疑いがある場合には被害者側にとって控え目な算定方法を採用すべきであるが,ことがらの性質上将来取得すべき収益の額を完全な正確さをもって定めることは不可能であり,そうかといって,そのために損害の証明が不可能なものとして軽々に損害賠償請求を排斥し去るべきではないのであるから,客観的に相当程度の蓋然性をもって予測される収益の額を算出することができる場合には,その限度で損害の発生を認めなけれぱならないものというべきである。そして,死亡当時安定した収入を得ていた被害者において,生存していたならば将来昇給等による収入の増加を得たであろうことが,証拠に基づいて相当の確かさをもって推定できる場合には,右昇給等の回数,金額等を予測し得る範囲で控え目に見積って,これを基礎として将来の得べかりし収入額を算出することも許されるものと解すべきである。


民法の関連条文

(損害賠償の範囲)
第四百十六条  債務の不履行に対する損害賠償の請求は,これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2  特別の事情によって生じた損害であっても,当事者がその事情を予見し,又は予見することができたときは,債権者は,その賠償を請求することができる。

(損害賠償の方法)
第四百十七条  損害賠償は,別段の意思表示がないときは,金銭をもってその額を定める。

(不法行為による損害賠償)
第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(財産以外の損害の賠償)
第七百十条  他人の身体,自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず,前条の規定により損害賠償の責任を負う者は,財産以外の損害に対しても,その賠償をしなければならない。

(近親者に対する損害の賠償)
第七百十一条  他人の生命を侵害した者は,被害者の父母,配偶者及び子に対しては,その財産権が侵害されなかった場合においても,損害の賠償をしなければならない。

(損害賠償の方法及び過失相殺)
第七百二十二条  第四百十七条の規定は,不法行為による損害賠償について準用する。
2  被害者に過失があったときは,裁判所は,これを考慮して,損害賠償の額を定めることができる。

民事訴訟法の関連条文

(定期金による賠償を命じた確定判決の変更を求める訴え)
第百十七条  口頭弁論終結前に生じた損害につき定期金による賠償を命じた確定判決について,口頭弁論終結後に,後遺障害の程度,賃金水準その他の損害額の算定の基礎となった事情に著しい変更が生じた場合には,その判決の変更を求める訴えを提起することができる。ただし,その訴えの提起の日以後に支払期限が到来する定期金に係る部分に限る。2  前項の訴えは,第一審裁判所の管轄に専属する。

(自由心証主義)
第二百四十七条  裁判所は,判決をするに当たり,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して,自由な心証により,事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断する。

(損害額の認定)
第二百四十八条  損害が生じたことが認められる場合において,損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは,裁判所は,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき,相当な損害額を認定することができる。

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塩漬け状態だった訴訟について

2007-01-23 21:56:54 | Weblog
20年来の京都「光華寮」訴訟,最高裁が確認手続き YOMIURI ONLINE

 関係改善の兆しが見え始めたところだったが・・・。

 寮生側の「台湾の当事者能力及び当事者適格」に係る本案前の抗弁につき,昭和57年の大阪高裁は次のように判示した。

 (前略)本来,政府や国家の承認は,多分に政治的な行為であって,承認を与える国の政府(行政府)が承認を与えられる政府や国家との関係(国際関係)をどのように処理すべきかという見地からこれを決定するのが常であるのに対し,国内裁判所は,国内における法律上の紛争,とりわけ私的な法律上の紛争をどのように合理的に解決すべきかという見地から判断を下すのが建て前であり,このことは国内裁判所が私的な渉外関係上の紛争を判断の対象とする場合にも同様である。したがって国内裁判所が私的な法律上の紛争(私的な渉外関係上の紛争を含む。以下同じ。)の解決を図るに当って,行政府の決定に基礎を置く承認の有無をそのまま判断の基礎とすることは,必ずしも適切ではなく,承認以外の事実を考慮して,未承認ないし承認を失った事実上の政府にも当事者能力を認めて,私的な法律上の紛争の合理的な解決を図ることが必要とされる場合のあることを否定しえないのであるから,政府の承認と外国法廷における当事者能力とを直結する考え方に従うことはできない。

中国は2つの中国を認めるものと反発したようだが,判決の中には次のようなくだりがある。

 このように判断して国内裁判所が控訴人(管理人注:台湾のこと)を右私的な法律上の紛争の解決につき訴訟当事者として扱っても,控訴人に対し事実上の政府について認められることのある国際法上の地位及びこれに由来する権利,義務を認めること等,控訴人の国際法上の立場に影響を与えることにはならないと考えられるから,右取り扱いをもって,前記共同声明においてわが国政府が十分理解し,尊重する旨言明した中華人民共和国政府の前記立場を軽視,毀損するものとみることはできない。

判例検索システム 昭和57年04月14日 土地家屋明渡請求事件


民事訴訟法の関連条文

(原則)
第二十八条  当事者能力,訴訟能力及び訴訟無能力者の法定代理は,この法律に特別の定めがある場合を除き,民法 (明治二十九年法律第八十九号)その他の法令に従う。訴訟行為をするのに必要な授権についても,同様とする。

(訴訟能力等を欠く場合の措置等)
第三十四条  訴訟能力,法定代理権又は訴訟行為をするのに必要な授権を欠くときは,裁判所は,期間を定めて,その補正を命じなければならない。この場合において,遅滞のため損害を生ずるおそれがあるときは,裁判所は,一時訴訟行為をさせることができる。2  訴訟能力,法定代理権又は訴訟行為をするのに必要な授権を欠く者がした訴訟行為は,これらを有するに至った当事者又は法定代理人の追認により,行為の時にさかのぼってその効力を生ずる。
3  前二項の規定は,選定当事者が訴訟行為をする場合について準用する。

(口頭弁論を経ない訴えの却下)
第百四十条  訴えが不適法でその不備を補正することができないときは,裁判所は,口頭弁論を経ないで,判決で,訴えを却下することができる。

(釈明権等)
第百四十九条  裁判長は,口頭弁論の期日又は期日外において,訴訟関係を明瞭にするため,事実上及び法律上の事項に関し,当事者に対して問いを発し,又は立証を促すことができる。
2  陪席裁判官は,裁判長に告げて,前項に規定する処置をすることができる。
3  当事者は,口頭弁論の期日又は期日外において,裁判長に対して必要な発問を求めることができる。
4  裁判長又は陪席裁判官が,口頭弁論の期日外において,攻撃又は防御の方法に重要な変更を生じ得る事項について第一項又は第二項の規定による処置をしたときは,その内容を相手方に通知しなければならない。

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フィルタリング解除に係る親権者の同意について

2007-01-22 16:41:01 | Weblog
asahi.com 未成年者の携帯有害サイト制限,親の意思確認が必須に

 未成年者が携帯電話を契約する場合は,契約内容として,原則フィルタリング(有害サイトアクセス制限サービス)が設定され,親の同意があれば,解除されるとのこと。2月までには実施される。
未成年者は心身ともに発達途上にある。やはり,自己加害等を防止するための規制は必要と思われる。解除に係る同意をするについては慎重でありたいもの。

総務省 フィルタリング(有害サイトアクセス制限サービス)をご存知ですか?


日本国憲法の関連条文

第二十一条  集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由は,これを保障する。
2  検閲は,これをしてはならない。通信の秘密は,これを侵してはならない。

民法の関連条文

(親権者)
第八百十八条  成年に達しない子は,父母の親権に服する。
2  子が養子であるときは,養親の親権に服する。
3  親権は,父母の婚姻中は,父母が共同して行う。ただし,父母の一方が親権を行うことができないときは,他の一方が行う。

(監護及び教育の権利義務)
第八百二十条  親権を行う者は,子の監護及び教育をする権利を有し,義務を負う。

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