法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

480万枚の鋳造し直しについて

2008-04-30 20:14:04 | Weblog
asahi.com ブラジル移住記念硬貨,著作権NGで再鋳造 損失8千万円

 「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」第4条第1項には「貨幣の製造及び発行の権能は政府に属する。」,第2項には「財務大臣は貨幣の製造に関する事務を独立行政法人造幣局(以下「造幣局」という。)に行わせる。」,そして第4項には「財務大臣が造幣局に対し支払う貨幣の製造代金は貨幣の製造原価等を勘案して算定する。」とある。

 ダメを押すようで申し訳ないが,480万枚の鋳造し直しは失態というほかない。著作権の所在の確認という点で,財務省に詰めの甘さ,なかっただろうか。
契約内容に反して国が損失を負担することになれば,おそらく会計検査院は黙っていまい。国会の承認という免罪符があっても,何かしらあるのではなかろか。

財務省 日本ブラジル交流年及び日本人ブラジル移住100周年記念貨幣の表面の図柄を変更し,引換開始日を本年6月18日としました


日本国憲法の関連条文

第八十五条  国費を支出し,又は国が債務を負担するには,国会の議決に基くことを必要とする。

通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律

(趣旨)
第一条 この法律は通貨の額面価格の単位等について定めるとともに貨幣の製造及び発行貨幣の種類等に関し必要な事項を定めるものとする。

(通貨の額面価格の単位等)
第二条 通貨の額面価格の単位は円としその額面価格は一円の整数倍とする。
2 一円未満の金額の計算単位は銭及び厘とする。この場合において銭は円の百分の一をいい厘は銭の十分の一をいう。
3 第一項に規定する通貨とは貨幣及び日本銀行法(平成九年法律第八十九号)第四十六条第一項の規定により日本銀行が発行する銀行券をいう。

(債務の支払金の端数計算)
第三条 債務の弁済を現金の支払により行う場合においてその支払うべき金額(数個の債務の弁済を同時に現金の支払により行う場合においてはその支払うべき金額の合計額)に五十銭未満の端数があるとき又はその支払うべき金額の全額が五十銭未満であるときはその端数金額又は支払うべき金額の全額を切り捨てて計算するものとしその支払うべき金額に五十銭以上一円未満の端数があるとき又はその支払うべき金額の全額が五十銭以上一円未満であるときはその端数金額又は支払うべき金額の全額を一円として計算するものとする。ただし特約がある場合にはこの限りでない。
2 前項の規定は国及び公庫等(国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律(昭和二十五年法律第六十一号)に規定する国及び公庫等をいう。)が収納し又は支払う場合においては適用しない。

(貨幣の製造及び発行)
第四条 貨幣の製造及び発行の権能は政府に属する。
2 財務大臣は貨幣の製造に関する事務を独立行政法人造幣局(以下「造幣局」という。)に行わせる。
3 貨幣の発行は財務大臣の定めるところにより日本銀行に製造済の貨幣を交付することにより行う。
4 財務大臣が造幣局に対し支払う貨幣の製造代金は貨幣の製造原価等を勘案して算定する。

(貨幣の種類)
第五条 貨幣の種類は五百円百円五十円十円五円及び一円の六種類とする。
2 国家的な記念事業として閣議の決定を経て発行する貨幣の種類は前項に規定する貨幣の種類のほか一万円五千円及び千円の三種類とする。
3 前項に規定する国家的な記念事業として発行する貨幣(以下この項及び第十条第一項において「記念貨幣」という。)の発行枚数は記念貨幣ごとに政令で定める。

(貨幣の素材等)
第六条 貨幣の素材品位量目及び形式は政令で定める。

(法貨としての通用限度)
第七条 貨幣は額面価格の二十倍までを限り法貨として通用する。

(磨損貨幣等の引換え)
第八条 政府は磨損その他の事由により流通に不適当となつた貨幣を額面価格で手数料を徴収することなく財務省令で定めるところにより第二条第一項に規定する通貨と引き換えるものとする。

(貨幣の無効)
第九条 貨幣でその模様の認識が困難なもの又は著しく量目が減少したものは無効とする。

(造幣局による貨幣の販売)
第十条 造幣局は次に掲げる貨幣であつて財務大臣が指定するものを販売するものとする。
一 その素材に貴金属を含む記念貨幣のうちその製造に要する費用がその額面価格を超えるもの
二 特殊な技術を用いて製造し表面に光沢を持たせた貨幣
2 前項の貨幣の販売価格は当該貨幣の製造に要する費用及び当該貨幣の額面価格を下回らない範囲で当該貨幣の発行枚数及び需要動向を勘案し政令で定める。
3 造幣局は第一項の貨幣以外の貨幣で容器に組み入れられたものを実費により販売するものとする。
4 日本銀行は第一項又は前項の規定により販売の用に供する貨幣を財務大臣の定めるところにより造幣局に交付するものとする。
5 造幣局は政令で定めるところにより第一項の規定により販売した貨幣の販売収入から販売に要する費用を控除した金額を国庫に納付するものとする。

「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律施行令」の関連条文

(貨幣の素材等)
第一条  貨幣の素材,品位,量目及び形式は,次条に定めるものを除き,別表第一に定めるところによる。

(記念貨幣の発行枚数)
第三条  法第五条第三項 に規定する記念貨幣の発行枚数は,別表第三に定めるところによる。

別表第三 記念貨幣の発行枚数(第三条関係)
一 青函トンネルの開通を記念するため発行する五百円の記念貨幣 二千万枚
二 瀬戸大橋の開通を記念するため発行する五百円の記念貨幣 二千万枚
三 天皇陛下御即位を記念するため発行する五百円の記念貨幣 三千万枚
四 沖縄復帰二十周年を記念するため発行する五百円の記念貨幣 二千万枚
五 皇太子徳仁親王の婚姻を記念するため発行する五百円の記念貨幣 三千万枚
六 関西国際空港の開港を記念するため発行する五百円の記念貨幣 二千万枚
七 平成六年に開催される第十二回アジア競技大会を記念するため発行する五百円の記念貨幣 三千万枚
八 平成十年に開催される長野オリンピック冬季競技大会を記念するため発行する五百円の記念貨幣 六千万枚
九 天皇陛下御在位十年を記念するため発行する五百円の記念貨幣 千五百万枚
十 平成十四年に開催されるワールドカップサッカー大会を記念するため発行する五百円の記念貨幣 三千万枚
十一 中部国際空港の開港を記念するため発行する五百円の記念貨幣 五万枚
十二 平成十七年に開催される二千五年日本国際博覧会を記念するため発行する五百円の記念貨幣 八百二十四万一千枚
十三 南極地域観測五十周年を記念するため発行する五百円の記念貨幣 六百六十万枚
十四 日本ブラジル交流年及び日本人ブラジル移住百周年を記念するため発行する五百円の記念貨幣 四百八十万枚
十五 平成十四年に開催されるワールドカップサッカー大会を記念するため発行する千円の記念貨幣 十万枚
十六 平成十五年に開催される第五回アジア冬季競技大会を記念するため発行する千円の記念貨幣五万枚
十七 奄美群島復帰五十周年を記念するため発行する千円の記念貨幣 五万枚
十八 平成十七年に開催される二千五年日本国際博覧会を記念するため発行する千円の記念貨幣 七万枚
十九 国際連合加盟五十周年を記念するため発行する千円の記念貨幣 七万枚
二十 平成十九年に開催される二千七年ユニバーサル技能五輪国際大会を記念するため発行する千円の記念貨幣 八万枚
二十一 平成二年に開催される国際花と緑の博覧会を記念するため発行する五千円の記念貨幣 千万枚
二十二 裁判所制度百周年を記念するため発行する五千円の記念貨幣 五百万枚
二十三 議会開設百周年を記念するため発行する五千円の記念貨幣 五百万枚
二十四 皇太子徳仁親王の婚姻を記念するため発行する五千円の記念貨幣 五百万枚
二十五 平成十年に開催される長野オリンピック冬季競技大会を記念するため発行する五千円の記念貨幣 千五百万枚
二十六 平成十年に開催される長野オリンピック冬季競技大会を記念するため発行する一万円の記念貨幣 十六万五千枚
二十七 天皇陛下御在位十年を記念するため発行する一万円の記念貨幣 二十万枚
二十八 平成十四年に開催されるワールドカップサッカー大会を記念するため発行する一万円の記念貨幣 十万枚
二十九 平成十七年に開催される二千五年日本国際博覧会を記念するため発行する一万円の記念貨幣 七万枚

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先走りについて

2008-04-27 20:21:50 | Weblog
総務省,改憲の国民投票PR・「先走り」批判も NIKKEI NET

 国民投票法第19条第1項には「総務大臣,中央選挙管理会,都道府県の選挙管理委員会及び市町村の選挙管理委員会は,国民投票に際し,国民投票の方法,この法律に規定する規制その他国民投票の手続に関し必要と認める事項を投票人に周知させなければならない。」とある。
国民投票法の施行期日は平成22年5月18日。そう考えると,「先走り」とばかりもいえないか・・・。

政府広報オンライン 「国民投票法」って何だろう?


日本国憲法の関連条文

第九十六条  この憲法の改正は,各議院の総議員の三分の二以上の賛成で,国会が,これを発議し,国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には,特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において,その過半数の賛成を必要とする。
2  憲法改正について前項の承認を経たときは,天皇は,国民の名で,この憲法と一体を成すものとして,直ちにこれを公布する。

国会法の関連条文

第六十八条の二  議員が日本国憲法 の改正案(以下「憲法改正案」という。)の原案(以下「憲法改正原案」という。)を発議するには,第五十六条第一項の規定にかかわらず,衆議院においては議員百人以上,参議院においては議員五十人以上の賛成を要する。

第六十八条の三  前条の憲法改正原案の発議に当たつては,内容において関連する事項ごとに区分して行うものとする。

第六十八条の四  憲法改正原案につき議院の会議で修正の動議を議題とするには,第五十七条の規定にかかわらず,衆議院においては議員百人以上,参議院においては議員五十人以上の賛成を要する。

第六十八条の五  憲法改正原案について国会において最後の可決があつた場合には,その可決をもつて,国会が日本国憲法第九十六条第一項 に定める日本国憲法 の改正(以下「憲法改正」という。)の発議をし,国民に提案したものとする。この場合において,両議院の議長は,憲法改正の発議をした旨及び発議に係る憲法改正案を官報に公示する。
2  憲法改正原案について前項の最後の可決があつた場合には,第六十五条第一項の規定にかかわらず,その院の議長から,内閣に対し,その旨を通知するとともに,これを送付する。

第六十八条の六  憲法改正の発議に係る国民投票の期日は,当該発議後速やかに,国会の議決でこれを定める。

「日本国憲法の改正手続に関する法律」の関連条文

(趣旨)
第一条  この法律は,日本国憲法第九十六条に定める日本国憲法の改正(以下「憲法改正」という。)について,国民の承認に係る投票(以下「国民投票」という。)に関する手続を定めるとともに,あわせて憲法改正の発議に係る手続の整備を行うものとする。

(国民投票の期日)
第二条  国民投票は,国会が憲法改正を発議した日(国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第六十八条の五第一項の規定により国会が日本国憲法第九十六条第一項に定める日本国憲法の改正の発議をし,国民に提案したものとされる日をいう。)から起算して六十日以後百八十日以内において,国会の議決した期日に行う。
2  内閣は,国会法第六十五条第一項の規定により国民投票の期日に係る議案の送付を受けたときは,速やかに,総務大臣を経由して,当該国民投票の期日を中央選挙管理会に通知しなければならない。
3  中央選挙管理会は,前項の通知があったときは,速やかに,国民投票の期日を官報で告示しなければならない。

(投票権)
第三条  日本国民で年齢満十八年以上の者は,国民投票の投票権を有する。

(投票権を有しない者)
第四条  成年被後見人は,国民投票の投票権を有しない。

(協議会)
第十一条  国民投票広報協議会(以下この節において「協議会」という。)については,国会法に定めるもののほか,この節の定めるところによる。

(協議会の組織)
第十二条  協議会の委員(以下この節において「委員」という。)は,協議会が存続する間,その任にあるものとする。
2  委員の員数は,憲法改正の発議がされた際衆議院議員であった者及び当該発議がされた際参議院議員であった者各十人とし,その予備員の員数は,当該発議がされた際衆議院議員であった者及び当該発議がされた際参議院議員であった者各十人とする。
3  委員は,各議院における各会派の所属議員数の比率により,各会派に割り当て選任する。ただし,各会派の所属議員数の比率により各会派に割り当て選任した場合には憲法改正の発議に係る議決において反対の表決を行った議員の所属する会派から委員が選任されないこととなるときは,各議院において,当該会派にも委員を割り当て選任するようできる限り配慮するものとする。
4  前項の規定は,予備員の選任について準用する。
5  委員に事故のある場合又は委員が欠けた場合は,憲法改正の発議がされた際にその者の属していた議院の議員であった予備員のうちから協議会の会長が指名する者が,その委員の職務を行う。

(会長の権限)
第十三条  協議会の会長は,協議会の議事を整理し,秩序を保持し,協議会を代表する。

(協議会の事務)
第十四条  協議会は,次に掲げる事務を行う。
一  国会の発議に係る日本国憲法の改正案(以下「憲法改正案」という。)及びその要旨並びに憲法改正案に係る新旧対照表その他参考となるべき事項に関する分かりやすい説明並びに憲法改正案を発議するに当たって出された賛成意見及び反対意見を掲載した国民投票公報の原稿の作成
二  第六十五条の憲法改正案の要旨の作成
三  第百六条及び第百七条の規定によりその権限に属する事務
四  前三号に掲げるもののほか憲法改正案の広報に関する事務
2  協議会が,前項第一号,第二号及び第四号の事務を行うに当たっては,憲法改正案及びその要旨並びに憲法改正案に係る新旧対照表その他参考となるべき事項に関する分かりやすい説明に関する記載等については客観的かつ中立的に行うとともに,憲法改正案に対する賛成意見及び反対意見の記載等については公正かつ平等に扱うものとする。

(協議会の議事)
第十五条  協議会は,憲法改正の発議がされた際衆議院議員であった委員及び当該発議がされた際参議院議員であった委員がそれぞれ七人以上出席しなければ,議事を開き議決することができない。
2  協議会の議事は,出席委員の三分の二以上の多数で決する。

(国民投票公報の印刷及び配布)
第十八条  協議会は,第十四条第一項第一号の国民投票公報の原稿を作成したときは,これを国民投票の期日前三十日までに中央選挙管理会に送付しなければならない。
2  中央選挙管理会は,前項の国民投票公報の原稿の送付があったときは,速やかに,その写しを都道府県の選挙管理委員会に送付しなければならない。
3  都道府県の選挙管理委員会は,前項の国民投票公報の原稿の写しの送付があったときは,速やかに,国民投票公報を印刷しなければならない。この場合においては,当該写しを原文のまま印刷しなければならない。
4  公職選挙法第百七十条第一項本文及び第二項の規定は,国民投票公報の配布について準用する。この場合において,同条第一項中「当該選挙に用うべき選挙人名簿」とあるのは「投票人名簿」と,「選挙の期日前二日」とあるのは「国民投票の期日前十日」と,同条第二項中「選挙人」とあるのは「投票人」と読み替えるものとする。

(国民投票の方法等に関する周知等)
第十九条  総務大臣,中央選挙管理会,都道府県の選挙管理委員会及び市町村の選挙管理委員会は,国民投票に際し,国民投票の方法,この法律に規定する規制その他国民投票の手続に関し必要と認める事項を投票人に周知させなければならない。
2  中央選挙管理会は,国民投票の結果を国民に対して速やかに知らせるように努めなければならない。
3  投票人に対しては,特別の事情がない限り,国民投票の当日,その投票権を行使するために必要な時間を与えるよう措置されなければならない。

(投票人名簿)
第二十条  市町村の選挙管理委員会は,国民投票が行われる場合においては,投票人名簿を調製しなければならない。
2  投票人名簿は,政令で定めるところにより,磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。以下同じ。)をもって調製することができる。
3  国民投票を行う場合において必要があるときは,投票人名簿の抄本(前項の規定により磁気ディスクをもって投票人名簿を調製している市町村の選挙管理委員会にあっては,当該投票人名簿に記録されている全部若しくは一部の事項又は当該事項を記載した書類。第三十二条において同じ。)を用いることができる。
4  投票人名簿の調製については,行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第六条の規定は,適用しない。
5  第一項の規定により調製された投票人名簿は,当該国民投票に限り,その効力を有する。

(投票人名簿の記載事項等)
第二十一条  投票人名簿には,投票人の氏名,住所,性別及び生年月日等の記載(前条第二項の規定により磁気ディスクをもって調製する投票人名簿にあっては,記録)をしなければならない。
2  投票人名簿は,市町村の区域を分けて数投票区を設けた場合には,その投票区ごとに編製しなければならない。
3  前二項に規定するもののほか,投票人名簿の様式その他必要な事項は,政令で定める。

(被登録資格等)
第二十二条  投票人名簿の登録は,国民投票の期日現在で年齢満十八年以上の日本国民(第四条の規定により投票権を有しない者を除く。)で,次のいずれかに該当するものについて行う。
一  国民投票の期日前五十日に当たる日(以下「登録基準日」という。)において,当該市町村の住民基本台帳に記録されている者
二  登録基準日の翌日から十四日以内に当該市町村の住民基本台帳に記録された者であって,登録基準日においていずれの市町村の住民基本台帳にも記録されていないもの(登録基準日後当該住民基本台帳に記録された日までの間に他の市町村の住民基本台帳に記録されたことがある者及び当該住民基本台帳に記録された日においていずれかの市町村の在外投票人名簿に登録されている者を除く。)
2  市町村の選挙管理委員会は,政令で定めるところにより,当該市町村の投票人名簿に登録される資格を有する者を調査し,その者を投票人名簿に登録するための整理をしておかなければならない。

(登録)
第二十三条  市町村の選挙管理委員会は,中央選挙管理会が定めるところにより,当該市町村の投票人名簿に登録される資格を有する者を投票人名簿に登録しなければならない。

(縦覧)
第二十四条  市町村の選挙管理委員会は,投票人名簿を調製したときは,中央選挙管理会が定める期間,市役所,町村役場又は当該市町村の選挙管理委員会が指定した場所において,前条の規定により投票人名簿に登録した者の氏名,住所及び生年月日を記載した書面を縦覧に供さなければならない。
2  市町村の選挙管理委員会は,縦覧開始の日前三日までに縦覧の場所を告示しなければならない。

附則

(施行期日)
第一条  この法律は,公布の日から起算して三年を経過した日から施行する。ただし,第六章の規定(国会法第十一章の二の次に一章を加える改正規定を除く。)並びに附則第四条,第六条及び第七条の規定は公布の日以後初めて召集される国会の召集の日から,附則第三条第一項,第十一条及び第十二条の規定は公布の日から施行する。

(法制上の措置)
第三条  国は,この法律が施行されるまでの間に,年齢満十八年以上満二十年未満の者が国政選挙に参加することができること等となるよう,選挙権を有する者の年齢を定める公職選挙法,成年年齢を定める民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令の規定について検討を加え,必要な法制上の措置を講ずるものとする。
2  前項の法制上の措置が講ぜられ,年齢満十八年以上満二十年未満の者が国政選挙に参加すること等ができるまでの間,第三条,第二十二条第一項,第三十五条及び第三十六条第一項の規定の適用については,これらの規定中「満十八年以上」とあるのは,「満二十年以上」とする。

(憲法改正問題についての国民投票制度に関する検討)
第十二条  国は,この規定の施行後速やかに,憲法改正を要する問題及び憲法改正の対象となり得る問題についての国民投票制度に関し,その意義及び必要性の有無について,日本国憲法の採用する間接民主制との整合性の確保その他の観点から検討を加え,必要な措置を講ずるものとする。

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個人情報の保護に関する基本方針の一部変更について

2008-04-26 19:49:54 | Weblog
毎日jp 個人情報保護:「過剰反応」対策盛る…基本方針変更

 個人情報保護法第1条の中には「個人情報の有用性に配慮しつつ,個人の権利利益を保護することを目的とする。」とある。
目的規定にあるにせよ,「保護」と名の付く法律にあっては,「個人情報の有用性に配慮しつつ」という文言,埋没の畏れが高いというのは予想されたことではなかったか。現在の個人情報をめぐる過剰反応,制度広報の拙さにも原因があるような気がする。何事も初めが肝心だ。

さて,遅きに失した感はあるが,25日閣議決定された「個人情報の保護に関する基本方針」には「いわゆる「過剰反応」を踏まえた取組」として次のようにある。

 昨今,プライバシー意識の高まりや個人情報を取り扱う上での戸惑い等の様々な要因から,社会的な必要性があるにもかかわらず,法の定め以上に個人情報の提供を控えたり,運用上作成可能な名簿の作成を取り止めたりするなど,いわゆる「過剰反応」が生じている。
国民生活審議会は,「個人情報保護に関する取りまとめ(意見)」(平成19年6月29日)において,法の具体的な内容の広報・啓発等,いわゆる「過剰反応」対策に万全を期することを求め,政府も,個人情報保護関係省庁連絡会議(別紙参考)を開催し,今後の対策を決定(「個人情報保護施策の今後の推進について」(平成19年6月29日決定))し,実施している。
 国は,2の(4)にあるように,事業者及び国民に対する広報・啓発に積極的に取り組むものとする。また,各地方公共団体においては,3の(2)の①にあるように,住民等へ周知するための積極的な広報活動に取り組むことが求められる。
 また,いわゆる「過剰反応」が生じる背景には,個人情報によって識別される特定の個人(以下「本人」という。)が自らの個人情報の取扱いに不安を感じていることも一因としてあると考えられることから,法の適切な運用等により,個人情報の適切な取扱いを図っていく必要がある。


内閣府 個人情報の保護に関する基本方針(平成20年4月閣議決定)

内閣府 個人情報の保護


「個人情報の保護に関する法律」の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることにかんがみ,個人情報の適正な取扱いに関し,基本理念及び政府による基本方針の作成その他の個人情報の保護に関する施策の基本となる事項を定め,国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに,個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めることにより,個人情報の有用性に配慮しつつ,個人の権利利益を保護することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「個人情報」とは,生存する個人に関する情報であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ,それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。
2  この法律において「個人情報データベース等」とは,個人情報を含む情報の集合物であって,次に掲げるものをいう。
一  特定の個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの
二  前号に掲げるもののほか,特定の個人情報を容易に検索することができるように体系的に構成したものとして政令で定めるもの
3  この法律において「個人情報取扱事業者」とは,個人情報データベース等を事業の用に供している者をいう。ただし,次に掲げる者を除く。
一  国の機関
二  地方公共団体
三  独立行政法人等(独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律 (平成十五年法律第五十九号)第二条第一項 に規定する独立行政法人等をいう。以下同じ。)
四  地方独立行政法人(地方独立行政法人法 (平成十五年法律第百十八号)第二条第一項 に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)
五  その取り扱う個人情報の量及び利用方法からみて個人の権利利益を害するおそれが少ないものとして政令で定める者
4  この法律において「個人データ」とは,個人情報データベース等を構成する個人情報をいう。
5  この法律において「保有個人データ」とは,個人情報取扱事業者が,開示,内容の訂正,追加又は削除,利用の停止,消去及び第三者への提供の停止を行うことのできる権限を有する個人データであって,その存否が明らかになることにより公益その他の利益が害されるものとして政令で定めるもの又は一年以内の政令で定める期間以内に消去することとなるもの以外のものをいう。
6  この法律において個人情報について「本人」とは,個人情報によって識別される特定の個人をいう。

(基本理念)
第三条  個人情報は,個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ,その適正な取扱いが図られなければならない。

(国の責務)
第四条  国は,この法律の趣旨にのっとり,個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な施策を総合的に策定し,及びこれを実施する責務を有する。

(地方公共団体の責務)
第五条  地方公共団体は,この法律の趣旨にのっとり,その地方公共団体の区域の特性に応じて,個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な施策を策定し,及びこれを実施する責務を有する。

(法制上の措置等)
第六条  政府は,個人情報の性質及び利用方法にかんがみ,個人の権利利益の一層の保護を図るため特にその適正な取扱いの厳格な実施を確保する必要がある個人情報について,保護のための格別の措置が講じられるよう必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。

第七条  政府は,個人情報の保護に関する施策の総合的かつ一体的な推進を図るため,個人情報の保護に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2  基本方針は,次に掲げる事項について定めるものとする。
一  個人情報の保護に関する施策の推進に関する基本的な方向
二  国が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する事項
三  地方公共団体が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する基本的な事項
四  独立行政法人等が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する基本的な事項
五  地方独立行政法人が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する基本的な事項
六  個人情報取扱事業者及び第四十条第一項に規定する認定個人情報保護団体が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する基本的な事項
七  個人情報の取扱いに関する苦情の円滑な処理に関する事項
八  その他個人情報の保護に関する施策の推進に関する重要事項
3  内閣総理大臣は,国民生活審議会の意見を聴いて,基本方針の案を作成し,閣議の決定を求めなければならない。
4  内閣総理大臣は,前項の規定による閣議の決定があったときは,遅滞なく,基本方針を公表しなければならない。
5  前二項の規定は,基本方針の変更について準用する。

(利用目的による制限)
第十六条  個人情報取扱事業者は,あらかじめ本人の同意を得ないで,前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて,個人情報を取り扱ってはならない。
2  個人情報取扱事業者は,合併その他の事由により他の個人情報取扱事業者から事業を承継することに伴って個人情報を取得した場合は,あらかじめ本人の同意を得ないで,承継前における当該個人情報の利用目的の達成に必要な範囲を超えて,当該個人情報を取り扱ってはならない。
3  前二項の規定は,次に掲げる場合については,適用しない。
一  法令に基づく場合
二  人の生命,身体又は財産の保護のために必要がある場合であって,本人の同意を得ることが困難であるとき。
三  公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって,本人の同意を得ることが困難であるとき。
四  国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって,本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。

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死刑執行の瞬間をおさめた録音の放送について

2008-04-20 16:56:13 | Weblog
asahi.com 50年前の死刑執行の瞬間をラジオ放送 関東で5月6日

 死刑の執行に係る刑訴法第477条第1項には「死刑は,検察官,検察事務官及び刑事施設の長又はその代理者の立会いの上,これを執行しなければならない。」,同第2項には「検察官又は刑事施設の長の許可を受けた者でなければ,刑場に入ることはできない。」とある。第2項からもわかるとおり,死刑執行は非公開が大原則。音声だけとはいえ,このような録音が何故流出したのか不思議である。そもそも,死刑執行場面の録音自体,許されるべき行為なのだろうか。録音の目的は刑務官教育及び死刑囚の待遇改善にあったとのことだが,内部向けとはいえ,死刑執行の厳粛性からくる上記非公開原則からすれば録音にはいろいろ問題がありそうだ。

さて,死刑廃止論に立つ者は,その論拠として,死刑の残虐性,抑止効に対する疑問のほか,誤判に関連した死刑の不可逆性をあげる。
裁判員制度に係るアンケートに「裁判員として参加する場合の心配及び支障」というのがあったが,その中で最も割合の高かったのは「判決で被告人の運命が決まるため責任を重く感じる」。これは全体の75.5%を占めた。
記事の録音,現在のところ,あまり大々的にはとりあげられていないように思うが,放送日が近づけば話題になるに違いない。

それにしても,裁判員制度を考えてもらうために,実際の死刑執行場面の録音を放送,というのはちょっと飛躍があるような気がする。遺族の了解を取り付けたからOK,というのも・・・。
この放送,送る側の意図とは逆に,死を軽々に扱うようなものといった印象,受けないでもない。

裁判員制度~平成21年5月21日スタート!~ 「裁判員制度に関する意識調査」結果


刑法の関連条文

(刑の種類)
第九条  死刑,懲役,禁錮,罰金,拘留及び科料を主刑とし,没収を付加刑とする。

(死刑)
第十一条  死刑は,刑事施設内において,絞首して執行する。
2  死刑の言渡しを受けた者は,その執行に至るまで刑事施設に拘置する。

刑事訴訟法の関連条文

第四百七十一条  裁判は,この法律に特別の定のある場合を除いては,確定した後これを執行する。

第四百七十二条  裁判の執行は,その裁判をした裁判所に対応する検察庁の検察官がこれを指揮する。但し,第七十条第一項但書の場合,第百八条第一項但書の場合その他その性質上裁判所又は裁判官が指揮すべき場合は,この限りでない。
2  上訴の裁判又は上訴の取下により下級の裁判所の裁判を執行する場合には,上訴裁判所に対応する検察庁の検察官がこれを指揮する。但し,訴訟記録が下級の裁判所又はその裁判所に対応する検察庁に在るときは,その裁判所に対応する検察庁の検察官が,これを指揮する。

第四百七十三条  裁判の執行の指揮は,書面でこれをし,これに裁判書又は裁判を記載した調書の謄本又は抄本を添えなければならない。但し,刑の執行を指揮する場合を除いては,裁判書の原本,謄本若しくは抄本又は裁判を記載した調書の謄本若しくは抄本に認印して,これをすることができる。

第四百七十四条  二以上の主刑の執行は,罰金及び科料を除いては,その重いものを先にする。但し,検察官は,重い刑の執行を停止して,他の刑の執行をさせることができる。

第四百七十五条  死刑の執行は,法務大臣の命令による。
2  前項の命令は,判決確定の日から六箇月以内にこれをしなければならない。但し,上訴権回復若しくは再審の請求,非常上告又は恩赦の出願若しくは申出がされその手続が終了するまでの期間及び共同被告人であつた者に対する判決が確定するまでの期間は,これをその期間に算入しない。

第四百七十六条  法務大臣が死刑の執行を命じたときは,五日以内にその執行をしなければならない。

第四百七十七条  死刑は,検察官,検察事務官及び刑事施設の長又はその代理者の立会いの上,これを執行しなければならない。
2  検察官又は刑事施設の長の許可を受けた者でなければ,刑場に入ることはできない。

第四百七十八条  死刑の執行に立ち会つた検察事務官は,執行始末書を作り,検察官及び刑事施設の長又はその代理者とともに,これに署名押印しなければならない。

第四百七十九条  死刑の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは,法務大臣の命令によつて執行を停止する。
2  死刑の言渡を受けた女子が懐胎しているときは,法務大臣の命令によつて執行を停止する。
3  前二項の規定により死刑の執行を停止した場合には,心神喪失の状態が回復した後又は出産の後に法務大臣の命令がなければ,執行することはできない。
4  第四百七十五条第二項の規定は,前項の命令についてこれを準用する。この場合において,判決確定の日とあるのは,心神喪失の状態が回復した日又は出産の日と読み替えるものとする。

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傍論での憲法判断について

2008-04-18 20:29:34 | Weblog
毎日jp 自衛隊イラク派遣:空自イラク活動,一部違憲判断(要旨)

 傍論での憲法判断については,例えば,『憲法の争点』(第3版)の「憲法判断の方法」の中で,野坂教授が次のように述べておられる。

 付随的違憲審査制の下では,憲法判断は具体的事件の解決に必要な限りにおいて行われるべきものとされ,判決主文の結論を導くのに不可欠な判決理由中の判断として行われるのが通例である。ところが,裁判所は,時として,判決の結論に結びつかない,いわゆる傍論の部分で憲法判断を下すことがあり,その是非が問題となる。学説の多くは,これを付随的審査制の下での本来的な憲法判断のあり方ではないとしつつも,是認する傾向にある。これに対して,学説の中には,最高裁はともかく,下級審が判決の結論とは無関係な憲法判断を行った場合(たとえば,合憲しかしその他の理由で無罪という判決を下した場合)には,それと異なる憲法判断(違憲判断)を求める当事者の側からの上訴が封じられることになるとして,下級審ではこのような形の憲法判断は許されないとするもの(高橋和之・憲法判断の方法六五頁注(7)[1995年・有斐閣])があるが,疑問である。傍論での憲法判断は事実上の影響力をもつにとどまり,何ら法的な拘束力を持たないと解されるからである。逆に法的な拘束力をもつというのであれば,それに対して上訴が認められなければなるまい(この点に関しては,野坂泰司「岩手靖国訴訟最高裁決定」法教一三七号九五~九七頁[1992年]参照)。

今般の判決については,愛知県弁護士会が「司法府の責任を全うした」と評価している一方,自民保守系議員からは「司法の分を超えている」と真逆の声も出ている。
高橋先生,この判決に対してどのような感想をお持ちだろうか。是非おうかがいしたいところ。


日本国憲法の関連条文

 日本国民は,正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し,われらとわれらの子孫のために,諸国民との協和による成果と,わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し,政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し,ここに主権が国民に存することを宣言し,この憲法を確定する。そもそも国政は,国民の厳粛な信託によるものであつて,その権威は国民に由来し,その権力は国民の代表者がこれを行使し,その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり,この憲法は,かかる原理に基くものである。われらは,これに反する一切の憲法,法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は,恒久の平和を念願し,人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて,平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して,われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは,平和を維持し,専制と隷従,圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において,名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは,全世界の国民が,ひとしく恐怖と欠乏から免かれ,平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは,いづれの国家も,自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて,政治道徳の法則は,普遍的なものであり,この法則に従ふことは,自国の主権を維持し,他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は,国家の名誉にかけ,全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

第九条  日本国民は,正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し,国権の発動たる戦争と,武力による威嚇又は武力の行使は,国際紛争を解決する手段としては,永久にこれを放棄する。
2  前項の目的を達するため,陸海空軍その他の戦力は,これを保持しない。国の交戦権は,これを認めない。

「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,イラク特別事態(国際連合安全保障理事会決議第六百七十八号,第六百八十七号及び第千四百四十一号並びにこれらに関連する同理事会決議に基づき国際連合加盟国によりイラクに対して行われた武力行使並びにこれに引き続く事態をいう。以下同じ。)を受けて,国家の速やかな再建を図るためにイラクにおいて行われている国民生活の安定と向上,民主的な手段による統治組織の設立等に向けたイラクの国民による自主的な努力を支援し,及び促進しようとする国際社会の取組に関し,我が国がこれに主体的かつ積極的に寄与するため,国際連合安全保障理事会決議第千四百八十三号を踏まえ,人道復興支援活動及び安全確保支援活動を行うこととし,もってイラクの国家の再建を通じて我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に資することを目的とする。

(基本原則)
第二条  政府は,この法律に基づく人道復興支援活動又は安全確保支援活動(以下「対応措置」という。)を適切かつ迅速に実施することにより,前条に規定する国際社会の取組に我が国として主体的かつ積極的に寄与し,もってイラクの国家の再建を通じて我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に努めるものとする。
2  対応措置の実施は,武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。
3  対応措置については,我が国領域及び現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)が行われておらず,かつ,そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる次に掲げる地域において実施するものとする。
一  外国の領域(当該対応措置が行われることについて当該外国の同意がある場合に限る。ただし,イラクにあっては,国際連合安全保障理事会決議第千四百八十三号その他の政令で定める国際連合の総会又は安全保障理事会の決議に従ってイラクにおいて施政を行う機関の同意によることができる。)
二  公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。第八条第五項及び第十四条第一項において同じ。)及びその上空
4  内閣総理大臣は,対応措置の実施に当たり,第四条第一項に規定する基本計画に基づいて,内閣を代表して行政各部を指揮監督する。
5  関係行政機関の長は,前条の目的を達成するため,対応措置の実施に関し,内閣総理大臣及び防衛大臣に協力するものとする。

(定義等)
第三条  この法律において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。
一  人道復興支援活動 イラクの国民に対して医療その他の人道上の支援を行い若しくはイラクの復興を支援することを国際連合加盟国に対して要請する国際連合安全保障理事会決議第千四百八十三号又はこれに関連する政令で定める国際連合の総会若しくは安全保障理事会の決議に基づき,人道的精神に基づいてイラク特別事態によって被害を受け若しくは受けるおそれがあるイラクの住民その他の者(以下「被災民」という。)を救援し若しくはイラク特別事態によって生じた被害を復旧するため,又はイラクの復興を支援するために我が国が実施する措置をいう。
二  安全確保支援活動 イラクの国内における安全及び安定を回復するために貢献することを国際連合加盟国に対して要請する国際連合安全保障理事会決議第千四百八十三号又はこれに関連する政令で定める国際連合の総会若しくは安全保障理事会の決議に基づき,国際連合加盟国が行うイラクの国内における安全及び安定を回復する活動を支援するために我が国が実施する措置をいう。
三  関係行政機関 次に掲げる機関で政令で定めるものをいう。
イ 内閣府並びに内閣府設置法 (平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項 及び第二項 に規定する機関並びに国家行政組織法 (昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項 に規定する機関
ロ 内閣府設置法第四十条 及び第五十六条 並びに国家行政組織法第八条の三 に規定する特別の機関
四  人道復興関係国際機関 国際連合難民高等弁務官事務所その他国際連合の総会若しくは安全保障理事会によって設立された機関若しくは国際連合の専門機関又は我が国が締結した条約その他の国際約束により設立された国際機関であって人道復興支援活動に関するものとして政令で定める国際機関をいう。
2  人道復興支援活動として実施される業務は,次に掲げるもの(これらの業務にそれぞれ附帯する業務を含む。)とする。
一  医療
二  被災民の帰還の援助,被災民に対する食糧,衣料,医薬品その他の生活関連物資の配布又は被災民の収容施設の設置
三  被災民の生活若しくはイラクの復興を支援する上で必要な施設若しくは設備の復旧若しくは整備又はイラク特別事態によって汚染その他の被害を受けた自然環境の復旧
四  行政事務に関する助言又は指導
五  前各号に掲げるもののほか,人道的精神に基づいて被災民を救援し若しくはイラク特別事態によって生じた被害を復旧するため,又はイラクの復興を支援するために我が国が実施する輸送,保管(備蓄を含む。),通信,建設,修理若しくは整備,補給又は消毒
3  安全確保支援活動として実施される業務は,国際連合加盟国が行うイラクの国内における安全及び安定を回復する活動を支援するために我が国が実施する医療,輸送,保管(備蓄を含む。),通信,建設,修理若しくは整備,補給又は消毒(これらの業務にそれぞれ附帯する業務を含む。)とする。

(基本計画)
第四条  内閣総理大臣は,対応措置のいずれかを実施することが必要であると認めるときは,当該対応措置を実施すること及び当該対応措置に関する基本計画(以下「基本計画」という。)の案につき閣議の決定を求めなければならない。
2  基本計画に定める事項は,次のとおりとする。
一  対応措置に関する基本方針
二  対応措置を実施する場合における次に掲げる事項
イ 当該対応措置に係る基本的事項
ロ 当該対応措置の種類及び内容
ハ 当該対応措置を実施する区域の範囲及び当該区域の指定に関する事項
ニ 当該対応措置を自衛隊が外国の領域で実施する場合には,当該対応措置を外国の領域で実施する自衛隊の部隊等(自衛隊法 (昭和二十九年法律第百六十五号)第八条 に規定する部隊等をいう。以下同じ。)の規模及び構成並びに装備並びに派遣期間
ホ 国際連合,人道復興関係国際機関又は国際連合加盟国(第十八条において「国際連合等」という。)に無償又は時価よりも低い対価で譲渡するために関係行政機関がその事務又は事業の用に供し又は供していた物品以外の物品を調達する場合には,その実施に係る重要事項
へ その他当該対応措置の実施に関する重要事項
三  対応措置の実施のための関係行政機関の連絡調整に関する事項
3  第一項の規定は,基本計画の変更について準用する。
4  対応措置を外国の領域で実施する場合には,当該外国(イラクにあっては,第二条第三項第一号の政令で定める国際連合の総会又は安全保障理事会の決議に従ってイラクにおいて施政を行う機関を含む。)及び人道復興関係国際機関その他の関係機関と協議して,実施する区域の範囲を定めるものとする。

(自衛隊による対応措置の実施)
第八条  防衛大臣又はその委任を受けた者は,基本計画に従い,対応措置として実施される業務としての物品の提供(自衛隊に属する物品の提供に限る。)を行うものとする。
2  防衛大臣は,基本計画に従い,対応措置として実施される業務としての役務の提供(自衛隊による役務の提供に限る。)について実施要項を定め,これについて内閣総理大臣の承認を得て,自衛隊の部隊等にその実施を命ずるものとする。
3  防衛大臣は,前項の実施要項において,対応措置を実施する区域(以下この条において「実施区域」という。)を指定するものとする。
4  防衛大臣は,実施区域の全部又は一部がこの法律又は基本計画に定められた要件を満たさないものとなった場合には,速やかに,その指定を変更し,又はそこで実施されている活動の中断を命じなければならない。
5  対応措置のうち公海若しくはその上空又は外国の領域における活動の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の長又はその指定する者は,当該活動を実施している場所の近傍において,戦闘行為が行われるに至った場合又は付近の状況等に照らして戦闘行為が行われることが予測される場合には,当該活動の実施を一時休止し又は避難するなどして当該戦闘行為による危険を回避しつつ,前項の規定による措置を待つものとする。
6  自衛隊の部隊等が対応措置として実施する業務には,次に掲げるものを含まないものとする。
一  武器(弾薬を含む。第十八条において同じ。)の提供
二  戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備
7  自衛隊の部隊等は,外国の領域において対応措置を実施するに当たり,外務大臣の指定する在外公館と密接に連絡を保つものとする。
8  外務大臣の指定する在外公館長は,外務大臣の命を受け,自衛隊による対応措置の実施のため必要な協力を行うものとする。
9  第二項の規定は,同項の実施要項の変更(第四項の規定により実施区域を縮小する変更を除く。)について準用する。

(武器の使用)
第十七条  対応措置の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官は,自己又は自己と共に現場に所在する他の自衛隊員(自衛隊法第二条第五項 に規定する隊員をいう。),イラク復興支援職員若しくはその職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者の生命又は身体を防衛するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には,その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で,第四条第二項第二号ニの規定により基本計画に定める装備である武器を使用することができる。
2  前項の規定による武器の使用は,当該現場に上官が在るときは,その命令によらなければならない。ただし,生命又は身体に対する侵害又は危難が切迫し,その命令を受けるいとまがないときは,この限りでない。
3  第一項の場合において,当該現場に在る上官は,統制を欠いた武器の使用によりかえって生命若しくは身体に対する危険又は事態の混乱を招くこととなることを未然に防止し,当該武器の使用が同項及び次項の規定に従いその目的の範囲内において適正に行われることを確保する見地から必要な命令をするものとする。
4  第一項の規定による武器の使用に際しては,刑法 (明治四十年法律第四十五号)第三十六条 又は第三十七条 の規定に該当する場合を除いては,人に危害を与えてはならない。

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入学金納付に係る制度の見直しについて

2008-04-17 19:17:58 | Weblog
MSN産経ニュース 入学金未納で制度見直しを 堂本知事,県教委に促す

 「晴れの日」に別室で待機とは。しかし,事前説明はあったというから,県条令を所与のものとすれば,千葉県に落ち度はない。落ち度があったのは・・・,これは言うまい。

さて,昨日の朝日には,概略,千葉県における入学式当日の入学金の納付は,県施設の使用料や手数料についての条例によるもの,とあった。
千葉県の「使用料及び手数料条例」の第4条第1項には「使用料等は,別表第三上欄に掲げるものについては同表下欄に掲げる期日に,その他のものについては当該財産等を使用し,又は当該事務の依頼をするための申請を行うときに納入しなければならない。ただし,知事が指定するものについては,この限りでない。」とある。
別表第三の「県立学校の授業料」「高等学校全日制課程及び高等学校専攻科」には「年額の十二分の一の額(修業年限の最終学年の二月にあつては,年額の十二分の二の額)を毎月の末日まで」とはあるが,入学金については特段の記載はないようだ。結局,入学金の納付時期は,「当該財産等を使用し,又は当該事務の依頼をするための申請を行うとき」=入学式,ということか・・・。しかし,入学金が県施設の使用料ないし手数料というのはどうもピンとこない。
因みに,秋田県には秋田県立高等学校授業料等徴収条例があり,第7条第1項に「入学金は,入学又は転学を許可した日から十五日以内に徴収する。」とあり,同第3項に「入学金を納付しない者に対しては,その学籍を除くことがある。」とある。
朝日には,某校教頭の談話として,概略,現行の千葉県条令下で,先ず入学し,その後に入学金を納めるというのはあり得ない,とあるが,秋田県ではそれが認められている。人生いろいろ,制度もいろいろだ。


千葉県 使用料及び手数料条例

(趣旨)
第一条 県が徴収する使用料及び手数料(以下「使用料等」という。)に関しては,別に規定するもののほか,この条例の定めるところによる。

(使用料等の徴収)
第二条 県が所有し,又は管理する行政財産及び公の施設(以下「財産等」という。)の使用並びに特定の個人のためにする事務(以下「事務」という。)に関し,法令及び他の条例に規定するもののほか,当該財産等を使用しようとする者から使用料を,当該事務を依頼しようとする者から手数料を徴収するものとする。

(種類及び額)
第三条 前条の規定により使用料等を徴収する財産等及び事務の種類並びにその使用料等の額は,別表第一に掲げるとおりとする。
2 法令及び他の条例に基づき,使用料等の額について条例で定めるべきものは,別表第二に掲げるとおりとする。
3 前二項の規定により別表第一及び第二に規定する使用料等の額のうち,その額の範囲だけを規定するものについては,知事が当該使用料等の額を定める。

(納入の時期及び方法)
第四条 使用料等は,別表第三上欄に掲げるものについては同表下欄に掲げる期日に,その他のものについては当該財産等を使用し,又は当該事務の依頼をするための申請を行うときに納入しなければならない。ただし,知事が指定するものについては,この限りでない。
2 使用料等の収入について,知事が地方自治法施行令(昭和二十二年政令第十六号)第百五十四条第三項ただし書の規定に該当すると認めるものについては,現金又は収入証紙により収入することができる。
3 第一項ただし書及び前項に規定する使用料等の納入時期及び納入方法等の特例に関しては,規則で定める。

(額の特例)
第五条 別表第四上欄に掲げる財産等の使用又は事務の依頼に関し同表中欄に掲げる事情又は理由があるときは,第三条の規定にかかわらず,使用料等の額は,同表下欄に掲げるところによるものとする。
2 知事は,財産等を使用させ,又は事務を処理したために要した経費が特別の事情により当該使用料等の額をこえたときは,当該使用料等の額をこえ当該経費の額に達するまでの額を,使用料等として追徴することができる。この場合における使用料等の納入時期及び納入方法については,知事が定める。
3 知事は,使用料等を納入すべき者(以下「納入者」という。)が次の各号の一に該当するときは,当該使用料等の額の全部又は一部を免除することができる。
一 災害その他特別の理由があると認められるとき。
二 納入者が国又は地方公共団体等であつて,当該財産等の使用又は事務の依頼が公益上特に必要があると認められるとき。
三 前各号に定めるもののほか,公益上その他の理由により使用料等を全額徴収することが不適当であると認められるとき。

(徴収猶予等)
第六条 知事は,特に必要があると認めるときは,使用料等の徴収を猶予し,又は分納させることができる。

(延滞金)
第七条 納入者が当該使用料等を納入すべき期限までに納入しない場合においては,県税の例により延滞金を徴収する。ただし,知事が特別の事情があると認めるときは,その全部又は一部を免除することができる。

(使用料等の還付)
第八条 既納の使用料等は,還付しない。ただし,次の各号に掲げる場合は,この限りでない。
一 建設業法施行令(昭和三十一年政令第二百七十三号)第二十六条の三に規定する場合
二 前号に掲げるもののほか,知事が特別の理由があると認める場合
2 前項第一号に掲げる場合においては,既納の手数料の額(建設業法施行令第二十六条の三第二号に掲げる申請にあつては,別表第一建設業法(昭和二十四年法律第百号)に基づくものの項の摘要の三の規定により納入したものとみなされた額を除く。)の二分の一に相当する額の金銭を還付するものとする。

(徴収の特例)
第八条の二 県民の日を定める条例(昭和五十九年千葉県条例第三号)に規定する県民の日その他規則で定める場合において,県の設置した公の施設で,規則で定めるものに係る使用料については,第二条及び第三条の規定にかかわらず,これを徴収しない。

第八条の三 別表第五の上欄に掲げる試験,研修,調査又は講習(以下「試験等」という。)を受けようとする者は,知事(他の執行機関の権限に属する事務にあつては,当該執行機関)が試験等の実施に関する事務を当該中欄に掲げる者(以下「指定試験機関等」という。)に行わせることとした場合においては,試験等に係る別表第一に定める額の手数料を指定試験機関等に納めなければならない。この場合において,当該手数料は,第四条から第八条までの規定にかかわらず,別表第五の下欄に掲げるそれぞれの規定に定めるところにより納入するものとする。
2 前項の規定により指定試験機関等に納められた手数料は,当該指定試験機関等の収入とする。

(罰則)
第九条 詐偽その他不正の行為により使用料等の徴収を免れた者に対しては,その徴収を免れた金額の五倍に相当する金額(当該五倍に相当する金額が五万円を超えないときは,五万円とする。)以下の過料に処する。

(補則)
第十条 この条例の施行に関し必要な事項は,知事が定める。

秋田県立高等学校授業料等徴収条例

第一条 秋田県立高等学校の授業料,入学金,入学検定料,通信制受講料及び聴講料は,この条例の定めるところにより徴収する。

第二条 授業料,入学金,入学検定料,通信制受講料及び聴講料の額は,次のとおりとする。
一 授業料
(一) 全日制課程 月額 九,六〇〇円
(二) 定時制課程 月額 二,六〇〇円
(三) 専攻科 月額 九,六〇〇円
二 入学金
(一) 全日制課程 五,六五〇円
(二) 定時制課程 二,一〇〇円
(三) 通信制課程 五〇〇円
(四) 専攻科 五,六五〇円
三 入学検定料
(一) 全日制課程 二,二〇〇円
(二) 定時制課程 九五〇円
(三) 専攻科 二,二〇〇円
四 通信制受講料 一単位につき 三二〇円
五 聴講料 一単位につき 一,六八〇円

第三条 授業料は,各月分をその月の一日から二十六日までの間に徴収する。ただし,年度内の授業料は,前納させることができる。

第四条 前条の期間の末日前に,秋田県立高等学校以外の学校に転学し,又は退学する者に係る授業料については,同条の規定にかかわらず,当該転学し,又は退学する日までに徴収する。
2 前条の期間後に秋田県立高等学校以外の学校から転学した者に係る授業料その他同条の期間内に徴収することができない授業料については,同条の規定にかかわらず,教育委員会が別に定める日までに徴収する。

第五条 正当の理由なく,定められた期間内に授業料を納付しない者に対しては登校を停止し,未納十五日におよんだときはその学籍を除くことがある。
第六条 次の各号の一に該当する期間が全月に亘るときは,其の月分の授業料を徴収しない。
一 休暇
二 不時の事変による休業
三 願出許可による休学
第六条の二 教育委員会は,貧困その他特別の事由により授業料を納付する資力がないと認められる者に対しては,その一部又は全部を免除することができる。

第七条 入学金は,入学又は転学を許可した日から十五日以内に徴収する。
2 再入学する者及び秋田県立高等学校から転学する者については,入学金は,徴収しない。
3 入学金を納付しない者に対しては,その学籍を除くことがある。

第七条の二 入学検定料は,入学,転学又は転籍の出願を受理するときに徴収する。

第八条 通信制受講料は,受講を開始するときにその受講科目分について徴収する。
2 秋田県立高等学校の通信制課程に在学する者であつて秋田県立高等学校の定時制課程の一部の科目を履修するものについては,授業料に代え,秋田県立高等学校の通信制課程で当該科目を履修する場合の通信制受講料を徴収する。
3 秋田県立高等学校の定時制課程に在学する者であつて秋田県立高等学校の通信制課程の一部の科目を履修するものについては,当該科目に係る通信制受講料は,徴収しない。

第八条の二 聴講料は,聴講を開始するときにその聴講科目分について徴収する。

第九条 この条例によつて納付した授業料,入学金,入学検定料,通信制受講料及び聴講料はこれを還付しない。ただし,第三条ただし書の規定により前納した授業料については,この限りでない。

第十条 この条例施行に関し必要な事項は,教育委員会において別にこれを定める。

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稲庭うどんの地元を怒らせたしまったコンビニチェーンについて

2008-04-11 21:34:28 | Weblog
毎日jp 稲庭うどん:100均の商品 「品質悪い」と地元怒る

 県外の方に贈って喜ばれるのは稲庭うどん。中には,「もらえるのなら,7代目の」とか「 の」とか指定してくる人もいる (-_-;) 。

記事には,ローソンの談話として,「稲庭うどん」は商標化されておらず云々,とある。
なるほど,秋田県稲庭うどん協同組合は平成18年8月に地域団体商標登録の出願をおこなってはいるが,登録に至っていない。

さて,商標法第32条の2第1項には「他人の地域団体商標の商標登録出願前から日本国内において不正競争の目的でなくその商標登録出願に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についてその商標又はこれに類似する商標の使用をしていた者は,継続してその商品又は役務についてその商標の使用をする場合は,その商品又は役務についてその商標の使用をする権利を有する。当該業務を承継した者についても,同様とする。」とある。
先使用権者として類似商標等の使用が認められるためには,他人の地域団体商標の商標登録出願前から類似商標等を使用していなければならない。記事によれば,ローソンの「稲庭平打饂飩」の販売は平成19年5月から。ということは,秋田県稲庭うどん協同組合の商標登録出願より後である。
ローソンは法的には問題ないといっているようだが,「稲庭うどん」が地域団体商標として登録された暁には,秋田県稲庭うどん協同組合,ローソンに「稲庭平打饂飩」の使用差止等を求めるものと思われる(商標法第36条ほか参照)。
しかし,出願から1年8カ月。今もって登録されていないということは何か問題があるということだろうか。

最後になったが,150グラム100円の稲庭うどん(もどき,かな?)。どん感じか一度食べてみたいもの。こんなことを言ったら,秋田県稲庭うどん協同組合の関係者に怒られるかな。

秋田県稲庭うどん協同組合

特許庁 地域団体商標制度


商標法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,商標を保護することにより,商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り,もつて産業の発達に寄与し,あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。

(定義等)
第二条  この法律で「商標」とは,文字,図形,記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合(以下「標章」という。)であつて,次に掲げるものをいう。
一  業として商品を生産し,証明し,又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
二  業として役務を提供し,又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)
2  この法律で「登録商標」とは,商標登録を受けている商標をいう。
3  この法律で標章について「使用」とは,次に掲げる行為をいう。
一  商品又は商品の包装に標章を付する行為
二  商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸入し,又は電気通信回線を通じて提供する行為
三  役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し,又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為
四  役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為
五  役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為
六  役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為
七  電磁的方法(電子的方法,磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。次号において同じ。)により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為
八  商品若しくは役務に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為
4  前項において,商品その他の物に標章を付することには,商品若しくは商品の包装,役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務に関する広告を標章の形状とすることが含まれるものとする。
5  この法律において,商品に類似するものの範囲には役務が含まれることがあるものとし,役務に類似するものの範囲には商品が含まれることがあるものとする。

(地域団体商標)
第七条の二  事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合(法人格を有しないものを除き,当該特別の法律において,正当な理由がないのに,構成員たる資格を有する者の加入を拒み,又はその加入につき現在の構成員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付してはならない旨の定めのあるものに限る。)又はこれに相当する外国の法人(以下「組合等」という。)は,その構成員に使用をさせる商標であつて,次の各号のいずれかに該当するものについて,その商標が使用をされた結果自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは,第三条の規定(同条第一項第一号又は第二号に係る場合を除く。)にかかわらず,地域団体商標の商標登録を受けることができる。
一  地域の名称及び自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する文字のみからなる商標
二  地域の名称及び自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして慣用されている名称を普通に用いられる方法で表示する文字のみからなる商標
三  地域の名称及び自己若しくはその構成員の業務に係る商品若しくは役務の普通名称又はこれらを表示するものとして慣用されている名称を普通に用いられる方法で表示する文字並びに商品の産地又は役務の提供の場所を表示する際に付される文字として慣用されている文字であつて,普通に用いられる方法で表示するもののみからなる商標
2  前項において「地域の名称」とは,自己若しくはその構成員が商標登録出願前から当該出願に係る商標の使用をしている商品の産地若しくは役務の提供の場所その他これらに準ずる程度に当該商品若しくは当該役務と密接な関連性を有すると認められる地域の名称又はその略称をいう。
3  第一項の場合における第三条第一項(第一号及び第二号に係る部分に限る。)の規定の適用については,同項中「自己の」とあるのは,「自己又はその構成員の」とする。
4  第一項の規定により地域団体商標の商標登録を受けようとする者は,第五条第一項の商標登録出願において,商標登録出願人が組合等であることを証明する書面及びその商標登録出願に係る商標が第二項に規定する地域の名称を含むものであることを証明するため必要な書類を特許庁長官に提出しなければならない。

(先使用による商標の使用をする権利)
第三十二条  他人の商標登録出願前から日本国内において不正競争の目的でなくその商標登録出願に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についてその商標又はこれに類似する商標の使用をしていた結果,その商標登録出願の際(第九条の四の規定により,又は第十七条の二第一項若しくは第五十五条の二第三項(第六十条の二第二項において準用する場合を含む。)において準用する意匠法第十七条の三第一項 の規定により,その商標登録出願が手続補正書を提出した時にしたものとみなされたときは,もとの商標登録出願の際又は手続補正書を提出した際)現にその商標が自己の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは,その者は,継続してその商品又は役務についてその商標の使用をする場合は,その商品又は役務についてその商標の使用をする権利を有する。当該業務を承継した者についても,同様とする。
2  当該商標権者又は専用使用権者は,前項の規定により商標の使用をする権利を有する者に対し,その者の業務に係る商品又は役務と自己の業務に係る商品又は役務との混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求することができる。

第三十二条の二  他人の地域団体商標の商標登録出願前から日本国内において不正競争の目的でなくその商標登録出願に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についてその商標又はこれに類似する商標の使用をしていた者は,継続してその商品又は役務についてその商標の使用をする場合は,その商品又は役務についてその商標の使用をする権利を有する。当該業務を承継した者についても,同様とする。
2  当該商標権者は,前項の規定により商標の使用をする権利を有する者に対し,その者の業務に係る商品又は役務と自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務との混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求することができる。

(差止請求権)
第三十六条  商標権者又は専用使用権者は,自己の商標権又は専用使用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し,その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2  商標権者又は専用使用権者は,前項の規定による請求をするに際し,侵害の行為を組成した物の廃棄,侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。

(侵害とみなす行為)
第三十七条  次に掲げる行為は,当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす。
一  指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用
二  指定商品又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品であつて,その商品又はその商品の包装に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを譲渡,引渡し又は輸出のために所持する行為
三  指定役務又は指定役務若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを,これを用いて当該役務を提供するために所持し,又は輸入する行為
四  指定役務又は指定役務若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを,これを用いて当該役務を提供させるために譲渡し,引き渡し,又は譲渡若しくは引渡しのために所持し,若しくは輸入する行為
五  指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をするために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を所持する行為
六  指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をさせるために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を譲渡し,引き渡し,又は譲渡若しくは引渡しのために所持する行為
七  指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をし,又は使用をさせるために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を製造し,又は輸入する行為
八  登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を製造するためにのみ用いる物を業として製造し,譲渡し,引き渡し,又は輸入する行為

(損害の額の推定等)
第三十八条  商標権者又は専用使用権者が故意又は過失により自己の商標権又は専用使用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において,その者がその侵害の行為を組成した商品を譲渡したときは,その譲渡した商品の数量(以下この項において「譲渡数量」という。)に,商標権者又は専用使用権者がその侵害の行為がなければ販売することができた商品の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を,商標権者又は専用使用権者の使用の能力に応じた額を超えない限度において,商標権者又は専用使用権者が受けた損害の額とすることができる。ただし,譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を商標権者又は専用使用権者が販売することができないとする事情があるときは,当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。
2  商標権者又は専用使用権者が故意又は過失により自己の商標権又は専用使用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において,その者がその侵害の行為により利益を受けているときは,その利益の額は,商標権者又は専用使用権者が受けた損害の額と推定する。
3  商標権者又は専用使用権者は,故意又は過失により自己の商標権又は専用使用権を侵害した者に対し,その登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を,自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。
4  前項の規定は,同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において,商標権又は専用使用権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかつたときは,裁判所は,損害の賠償の額を定めるについて,これを参酌することができる。

(特許法 の準用)
第三十九条  特許法第百三条 (過失の推定),第百四条の二から第百五条の六まで(具体的態様の明示義務,特許権者等の権利行使の制限,書類の提出等,損害計算のための鑑定,相当な損害額の認定,秘密保持命令,秘密保持命令の取消し及び訴訟記録の閲覧等の請求の通知等)及び第百六条(信用回復の措置)の規定は,商標権又は専用使用権の侵害に準用する。

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裁判員制度の実施日に係る政令案の公表について

2008-04-08 13:55:27 | Weblog
裁判員制度,09年5月21日施行・「初公判」は09年7月下旬 NIKKEI NET

 裁判員法の可決成立は平成16年5月21日。公布は同年同月の28日であった。
裁判員法附則第1条本文には「この法律は,公布の日から起算して五年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」とあり,平成21年5月27日までに実施されることは既に決まっている。

さて,「政令案の公表」ということだが,反対の声が多ければ変更することもあり得るということだろうか。ご存じのとおり,裁判員制度については,先に,新潟県弁護士会が,上記附則第1条を改正して実施を延期したうえで,抜本的改正ないし制度自体の廃止を求める決議を行っている。
また,先般公表された最高裁の調査では,裁判員制度に関する一般市民の参加意欲が必ずしも高くないことが明らかになった。

裁判員制度 「裁判員制度に関する意識調査」結果

仕事代われぬ特別事情…裁判員辞退に最高裁が指針 YOMIURI ONLINE


「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」の関連条文

(趣旨)
第一条  この法律は,国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することにかんがみ,裁判員の参加する刑事裁判に関し,裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)及び刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の特則その他の必要な事項を定めるものとする。

(対象事件及び合議体の構成)
第二条  地方裁判所は,次に掲げる事件については,次条の決定があった場合を除き,この法律の定めるところにより裁判員の参加する合議体が構成された後は,裁判所法第二十六条の規定にかかわらず,裁判員の参加する合議体でこれを取り扱う。
一  死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件
二  裁判所法第二十六条第二項第二号に掲げる事件であって,故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの(前号に該当するものを除く。)
2  前項の合議体の裁判官の員数は三人,裁判員の員数は六人とし,裁判官のうち一人を裁判長とする。ただし,次項の決定があったときは,裁判官の員数は一人,裁判員の員数は四人とし,裁判官を裁判長とする。
3  第一項の規定により同項の合議体で取り扱うべき事件(以下「対象事件」という。)のうち,公判前整理手続による争点及び証拠の整理において公訴事実について争いがないと認められ,事件の内容その他の事情を考慮して適当と認められるものについては,裁判所は,裁判官一人及び裁判員四人から成る合議体を構成して審理及び裁判をする旨の決定をすることができる。
4  裁判所は,前項の決定をするには,公判前整理手続において,検察官,被告人及び弁護人に異議のないことを確認しなければならない。
5  第三項の決定は,第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の期日までにしなければならない。
6  地方裁判所は,第三項の決定があったときは,裁判所法第二十六条第二項の規定にかかわらず,当該決定の時から第三項に規定する合議体が構成されるまでの間,一人の裁判官で事件を取り扱う。
7  裁判所は,被告人の主張,審理の状況その他の事情を考慮して,事件を第三項に規定する合議体で取り扱うことが適当でないと認めたときは,決定で,同項の決定を取り消すことができる。

(対象事件からの除外)
第三条  地方裁判所は,前条第一項各号に掲げる事件について,被告人の言動,被告人がその構成員である団体の主張若しくは当該団体の他の構成員の言動又は現に裁判員候補者若しくは裁判員に対する加害若しくはその告知が行われたことその他の事情により,裁判員候補者,裁判員若しくは裁判員であった者若しくはその親族若しくはこれに準ずる者の生命,身体若しくは財産に危害が加えられるおそれ又はこれらの者の生活の平穏が著しく侵害されるおそれがあり,そのため裁判員候補者又は裁判員が畏怖し,裁判員候補者の出頭を確保することが困難な状況にあり又は裁判員の職務の遂行ができずこれに代わる裁判員の選任も困難であると認めるときは,検察官,被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で,これを裁判官の合議体で取り扱う決定をしなければならない。
2  前項の決定又は同項の請求を却下する決定は,合議体でしなければならない。ただし,当該前条第一項各号に掲げる事件の審判に関与している裁判官は,その決定に関与することはできない。
3  第一項の決定又は同項の請求を却下する決定をするには,最高裁判所規則で定めるところにより,あらかじめ,検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。
4  前条第一項の合議体が構成された後は,職権で第一項の決定をするには,あらかじめ,当該合議体の裁判長の意見を聴かなければならない。
5  刑事訴訟法第四十三条第三項及び第四項並びに第四十四条第一項の規定は,第一項の決定及び同項の請求を却下する決定について準用する。
6  第一項の決定又は同項の請求を却下する決定に対しては,即時抗告をすることができる。この場合においては,即時抗告に関する刑事訴訟法の規定を準用する。

(裁判官及び裁判員の権限)
第六条  第二条第一項の合議体で事件を取り扱う場合において,刑事訴訟法第三百三十三条の規定による刑の言渡しの判決,同法第三百三十四条の規定による刑の免除の判決若しくは同法第三百三十六条の規定による無罪の判決又は少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第五十五条の規定による家庭裁判所への移送の決定に係る裁判所の判断(次項第一号及び第二号に掲げるものを除く。)のうち次に掲げるもの(以下「裁判員の関与する判断」という。)は,第二条第一項の合議体の構成員である裁判官(以下「構成裁判官」という。)及び裁判員の合議による。
一  事実の認定
二  法令の適用
三  刑の量定
2  前項に規定する場合において,次に掲げる裁判所の判断は,構成裁判官の合議による。
一  法令の解釈に係る判断
二  訴訟手続に関する判断(少年法第五十五条の決定を除く。)
三  その他裁判員の関与する判断以外の判断
3  裁判員の関与する判断をするための審理は構成裁判官及び裁判員で行い,それ以外の審理は構成裁判官のみで行う。

第七条  第二条第三項の決定があった場合においては,構成裁判官の合議によるべき判断は,構成裁判官が行う。

(裁判員の職権行使の独立)
第八条  裁判員は,独立してその職権を行う。

(裁判員の義務)
第九条  裁判員は,法令に従い公平誠実にその職務を行わなければならない。
2  裁判員は,第七十条第一項に規定する評議の秘密その他の職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。
3  裁判員は,裁判の公正さに対する信頼を損なうおそれのある行為をしてはならない。
4  裁判員は,その品位を害するような行為をしてはならない。

(辞退事由)
第十六条  次の各号のいずれかに該当する者は,裁判員となることについて辞退の申立てをすることができる。
一  年齢七十年以上の者
二  地方公共団体の議会の議員(会期中の者に限る。)
三  学校教育法第一条,第百二十四条又は第百三十四条の学校の学生又は生徒(常時通学を要する課程に在学する者に限る。)
四  過去五年以内に裁判員又は補充裁判員の職にあった者
五  過去三年以内に選任予定裁判員であった者
六  過去一年以内に裁判員候補者として第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の期日に出頭したことがある者(第三十四条第七項(第三十八条第二項(第四十六条第二項において準用する場合を含む。),第四十七条第二項及び第九十二条第二項において準用する場合を含む。第二十六条第三項において同じ。)の規定による不選任の決定があった者を除く。)
七  過去五年以内に検察審査会法(昭和二十三年法律第百四十七号)の規定による検察審査員又は補充員の職にあった者
八  次に掲げる事由その他政令で定めるやむを得ない事由があり,裁判員の職務を行うこと又は裁判員候補者として第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の期日に出頭することが困難な者
イ 重い疾病又は傷害により裁判所に出頭することが困難であること。
ロ 介護又は養育が行われなければ日常生活を営むのに支障がある同居の親族の介護又は養育を行う必要があること。
ハ その従事する事業における重要な用務であって自らがこれを処理しなければ当該事業に著しい損害が生じるおそれがあるものがあること。
ニ 父母の葬式への出席その他の社会生活上の重要な用務であって他の期日に行うことができないものがあること。

附則

(施行期日)
第一条  この法律は,公布の日から起算して五年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし,次の各号に掲げる規定は,当該各号に定める日から施行する。
一  次条及び附則第三条の規定 公布の日
二  第二十条から第二十三条まで,第二十五条,第百条,第百一条,第百四条,第百五条及び附則第六条の規定 公布の日から起算して四年六月を超えない範囲内において政令で定める日
三  第十七条第九号の規定(審査補助員に係る部分に限る。) 刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第六十二号)附則第一条第二号に定める日又はこの法律の施行の日のいずれか遅い日
四  第七十七条第三項から第五項までの規定 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成十九年法律第九十五号)の施行の日又はこの法律の施行の日のいずれか遅い日

(施行前の措置等)
第二条  政府及び最高裁判所は,裁判員の参加する刑事裁判の制度が司法への参加についての国民の自覚とこれに基づく協力の下で初めて我が国の司法制度の基盤としての役割を十全に果たすことができるものであることにかんがみ,この法律の施行までの期間において,国民が裁判員として裁判に参加することの意義,裁判員の選任の手続,事件の審理及び評議における裁判員の職務等を具体的に分かりやすく説明するなど,裁判員の参加する刑事裁判の制度についての国民の理解と関心を深めるとともに,国民の自覚に基づく主体的な刑事裁判への参加が行われるようにするための措置を講じなければならない。
2  前条の政令を定めるに当たっては,前項の規定による措置の成果を踏まえ,裁判員の参加する刑事裁判が円滑かつ適正に実施できるかどうかについての状況に配慮しなければならない。

(環境整備)
第三条  国は,裁判員の参加する刑事裁判の制度を円滑に運用するためには,国民がより容易に裁判員として裁判に参加することができるようにすることが不可欠であることにかんがみ,そのために必要な環境の整備に努めなければならない。

(経過措置)
第四条  この法律の施行の際現に係属している事件については,第二条第一項及び第四条の規定は適用しない。この法律の施行前判決が確定した事件であってこの法律の施行後再審開始の決定が確定したものについても,同様とする。
2  前項の規定にかかわらず,裁判所は,この法律の施行の際現に係属している事件であってその弁論を対象事件の弁論と併合することが適当と認められるものについては,決定で,これを第二条第一項の合議体で取り扱うことができる。
3  裁判所は,前項の決定をした場合には,刑事訴訟法の規定により,当該決定に係る事件の弁論と当該対象事件の弁論とを併合しなければならない。

(調整規定)
第五条  この法律の施行の日が犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律の施行の日前となる場合には,同法の施行の日の前日までの間における第八十九条第一項の規定の適用については,同項中「,同条第二項の規定による被告人及び弁護人の意見の陳述並びに同法第三百十六条の三十八第一項の規定による区分事件に含まれる被告事件に係る被害者参加人又はその委託を受けた弁護士」とあるのは,「並びに同条第二項の規定による被告人及び弁護人」とする。
2  この法律の施行の日が犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日前となる場合には,同号に掲げる規定の施行の日の前日までの間における第六十五条第四項の規定の適用については,同項中「第三百五条第四項及び第五項」とあるのは,「第三百五条第三項及び第四項」とする。

(検討)
第九条  政府は,この法律の施行後三年を経過した場合において,この法律の施行の状況について検討を加え,必要があると認めるときは,その結果に基づいて,裁判員の参加する刑事裁判の制度が我が国の司法制度の基盤としての役割を十全に果たすことができるよう,所要の措置を講ずるものとする。

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性別変更の審判に係る要件緩和について

2008-04-06 19:35:56 | Weblog
性同一性障害の戸籍性別変更,「子供なし」要件見直しへ YOMIURI ONLINE

 性別の取扱いの変更の審判の要件のひとつとして「現に子がいないこと。」(性同一性障害特例法第3条第1項第3号)があるところ,同附則第2号に「性別の取扱いの変更の審判の請求をすることができる性同一性障害者の範囲その他性別の取扱いの変更の審判の制度については,この法律の施行後三年を目途として,この法律の施行の状況,性同一性障害者等を取り巻く社会的環境の変化等を勘案して検討が加えられ,必要があると認めるときは,その結果に基づいて所要の措置が講ぜられるものとする。」とある。
記事には,「性同一性障害者等を取り巻く社会的環境の変化等」をいうものとして「社会的認知の高まり」とある。

以前このブログでも触れたことがあったが,この3号要件について考える際,有益な資料となるのは,『判例タイムズ』No1204の二宮周平「性同一性障害者の性別取扱いの変更申立てを却下した事例」。この論稿には,出生登録などの性別記載の変更について立法的解決をしている国々(ドイツ,イタリア,オランダ,スウェーデン,トルコ,アメリカ・カナダの州など)で,「現に子がいないこと。」を要件にしている立法例はないとあった。

ところで,記事には,性同一性障害者の主張として,概略,性別変更の申立時には性転換手術が終わっているから,子の福祉に影響はない,とある。
「?」と首を傾げたくなる部分だが,幸い,上記論稿に理解の助けとなる二宮先生のご説明がある。曰く,子どもは,親の性別適合手術や,服装・言動・姿勢などの外観の変化の段階で,親の悩みや気持ちと向き合い,受け入れる準備を始めたり,拒否したりといった行動に出るのであり,戸籍の性別変更自体は子どもに何ら影響を与えない。なるほど。これで納得 (^^) 。

なお,性同一性障害者が抱える問題としては,戸籍の性別変更とともに,改名の問題もある。この点,性別変更を了していない性同一性障害者(生物学的には男性,心理的には女性という方)が改名を認められたものとして札幌高決H18.2.3がある。

性同一性障害の既婚者改名OK,札幌高裁が決定 YOMIURI ONLINE

日本精神神経学会 性同一性障害に関する 診断と治療のガイドライン(第3版)

追記 先日ジュンク堂に行ったとき,性同一性障害者特例法のコンメンタールが目に入った。書名が思い出せないのだが,どうやら,南野知恵子監修『解説性同一性障害者性別取扱特例法』(日本加除出版)だったようだ。


性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律

(趣旨)
第一条  この法律は,性同一性障害者に関する法令上の性別の取扱いの特例について定めるものとする。

(定義)
第二条  この法律において「性同一性障害者」とは,生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず,心理的にはそれとは別の性別(以下「他の性別」という。)であるとの持続的な確信を持ち,かつ,自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する者であって,そのことについてその診断を的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の一般に認められている医学的知見に基づき行う診断が一致しているものをいう。

(性別の取扱いの変更の審判)
第三条  家庭裁判所は,性同一性障害者であって次の各号のいずれにも該当するものについて,その者の請求により,性別の取扱いの変更の審判をすることができる。
一  二十歳以上であること。
二  現に婚姻をしていないこと。
三  現に子がいないこと。
四  生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
五  その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。
2  前項の請求をするには,同項の性同一性障害者に係る前条の診断の結果並びに治療の経過及び結果その他の厚生労働省令で定める事項が記載された医師の診断書を提出しなければならない。

(性別の取扱いの変更の審判を受けた者に関する法令上の取扱い)
第四条  性別の取扱いの変更の審判を受けた者は,民法 (明治二十九年法律第八十九号)その他の法令の規定の適用については,法律に別段の定めがある場合を除き,その性別につき他の性別に変わったものとみなす。
2  前項の規定は,法律に別段の定めがある場合を除き,性別の取扱いの変更の審判前に生じた身分関係及び権利義務に影響を及ぼすものではない。

(家事審判法の適用)
第五条  性別の取扱いの変更の審判は,家事審判法 (昭和二十二年法律第百五十二号)の適用については,同法第九条第一項 甲類に掲げる事項とみなす。

附則抄

(施行期日)
1  この法律は,公布の日から起算して一年を経過した日から施行する。
(検討)
2  性別の取扱いの変更の審判の請求をすることができる性同一性障害者の範囲その他性別の取扱いの変更の審判の制度については,この法律の施行後三年を目途として,この法律の施行の状況,性同一性障害者等を取り巻く社会的環境の変化等を勘案して検討が加えられ,必要があると認めるときは,その結果に基づいて所要の措置が講ぜられるものとする。
3  国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第三十四号)附則第十二条第一項第四号及び他の法令の規定で同号を引用するものに規定する女子には,性別の取扱いの変更の審判を受けた者で当該性別の取扱いの変更の審判前において女子であったものを含むものとし,性別の取扱いの変更の審判を受けた者で第四条第一項の規定により女子に変わったものとみなされるものを含まないものとする。

性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律第三条第二項に規定する医師の診断書の記載事項を定める省令

性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律 (平成十五年法律第百十一号)第三条第二項 の規定に基づき,性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律第三条第二項に規定する医師の診断書の記載事項を定める省令を次のように定める。

 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律 (平成十五年法律第百十一号)第三条第二項 に規定する医師の診断書に記載すべき事項は,当該医師による診断を受けた者に係る次の各号に掲げる事項とし,当該医師は,これに記名押印又は署名しなければならない。

一  住所,氏名及び生年月日
二  生物学的な性別及びその判定の根拠
三  家庭環境,生活歴及び現病歴
四  生物学的な性別としての社会的な適合状況
五  心理的には生物学的な性別とは別の性別(以下「他の性別」という。)であるとの持続的な確信を持ち,かつ,自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有すること並びにその判定の根拠
六  医療機関における受診歴並びに治療の経過及び結果
七  他の性別としての身体的及び社会的な適合状況
八  診断書の作成年月日
九  その他参考となる事項

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仲介役・調整役としての監査役について

2008-04-05 21:38:56 | Weblog
経営陣と株主対立の場合、監査役が仲介や調整・仕組み作り着手 NIKKEI NET

 記事には,概略,株主利益を毀損しかねない防衛策の(導入)決定を経営陣が公表する際に云々,とある。これは,買収防衛策の導入を取締役会の決議でおこなう場合を念頭に置いた書きぶり。
この点については,経産省の「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」に次のようにある(ただし,注書きは省略)。

2 事前開示・株主意思の原則について

 買収防衛策は,適法性及び合理性を確保するために,導入に際して目的,内容等が具体的に開示され,株主等の予見可能性を高めるとともに(事前開示の原則),株主の合理的な意思に依拠すべきである(株主意思の原則)。

(1)事前開示の原則について

 買収防衛策は,株主や投資家,買収者などの予見可能性を高め,株主の適正な選択の機会を確保するために,導入に際してその目的,買収防衛策の具体的な内容,効果(議決権の制限・変更,財産的権利への影響等を含む利益及び不利益)などを具体的に開示するべきである。(注3)

(2)株主意思の原則について

① 株主総会の決議に基づき導入する場合
 株主総会は,株式会社の実質的所有者である株主によって構成される最高意思決定機関として,株主共同の利益の保護のために,定款変更その他の方法により買収防衛策を導入することができる。定款による株式譲渡制限はその最たるものであるが,第三者に対する特に有利な条件による新株・新株予約権の発行も株主総会の特別決議を経れば適法とされ,また,法律上特別決議が必要な事項よりも株主に与える影響が小さい事項であれば,株主総会の普通決議等により買収防衛策を採ることも株主による自治の一環として許容される。

② 取締役会の決議で導入する場合
 株主総会で選任された取締役が,選任者である株主の構成を変動させるために買収防衛策を採ることは,法律が予定している権限分配と整合的ではないものの,意思決定機関としての株主総会は機動的な機関とは言い難いから,取締役会が株主共同の利益に資する買収防衛策を導入することを一律に否定することは妥当ではない。
 取締役会の決議により買収防衛策が導入された場合であっても,株主の総体的意思によってこれを廃止できる手段(消極的な承認を得る手段)を設けている場合には,株主意思の原則に反するものではない。


記事には,概略,監査役が仲介や調整を担う仕組み,とあるが,監査役の地位・権限からして,「仲介や調整」という表現はいかがなものか。どうもシックリこないのだが。

経産省 企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための 買収防衛策に関する指針


会社法の関連条文

(監査役の権限)
第三百八十一条  監査役は,取締役(会計参与設置会社にあっては,取締役及び会計参与)の職務の執行を監査する。この場合において,監査役は,法務省令で定めるところにより,監査報告を作成しなければならない。
2  監査役は,いつでも,取締役及び会計参与並びに支配人その他の使用人に対して事業の報告を求め,又は監査役設置会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる。
3  監査役は,その職務を行うため必要があるときは,監査役設置会社の子会社に対して事業の報告を求め,又はその子会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる。
4  前項の子会社は,正当な理由があるときは,同項の報告又は調査を拒むことができる。

(取締役への報告義務)
第三百八十二条  監査役は,取締役が不正の行為をし,若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき,又は法令若しくは定款に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは,遅滞なく,その旨を取締役(取締役会設置会社にあっては,取締役会)に報告しなければならない。

(取締役会への出席義務等)
第三百八十三条  監査役は,取締役会に出席し,必要があると認めるときは,意見を述べなければならない。ただし,監査役が二人以上ある場合において,第三百七十三条第一項の規定による特別取締役による議決の定めがあるときは,監査役の互選によって,監査役の中から特に同条第二項の取締役会に出席する監査役を定めることができる。
2  監査役は,前条に規定する場合において,必要があると認めるときは,取締役(第三百六十六条第一項ただし書に規定する場合にあっては,招集権者)に対し,取締役会の招集を請求することができる。
3  前項の規定による請求があった日から五日以内に,その請求があった日から二週間以内の日を取締役会の日とする取締役会の招集の通知が発せられない場合は,その請求をした監査役は,取締役会を招集することができる。
4  前二項の規定は,第三百七十三条第二項の取締役会については,適用しない。

(株主総会に対する報告義務)
第三百八十四条  監査役は,取締役が株主総会に提出しようとする議案,書類その他法務省令で定めるものを調査しなければならない。この場合において,法令若しくは定款に違反し,又は著しく不当な事項があると認めるときは,その調査の結果を株主総会に報告しなければならない。

(監査役による取締役の行為の差止め)
第三百八十五条  監査役は,取締役が監査役設置会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし,又はこれらの行為をするおそれがある場合において,当該行為によって当該監査役設置会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは,当該取締役に対し,当該行為をやめることを請求することができる。
2  前項の場合において,裁判所が仮処分をもって同項の取締役に対し,その行為をやめることを命ずるときは,担保を立てさせないものとする。

(監査役設置会社と取締役との間の訴えにおける会社の代表)
第三百八十六条  第三百四十九条第四項,第三百五十三条及び第三百六十四条の規定にかかわらず,監査役設置会社が取締役(取締役であった者を含む。以下この条において同じ。)に対し,又は取締役が監査役設置会社に対して訴えを提起する場合には,当該訴えについては,監査役が監査役設置会社を代表する。
2  第三百四十九条第四項の規定にかかわらず,次に掲げる場合には,監査役が監査役設置会社を代表する。
一  監査役設置会社が第八百四十七条第一項の訴えの提起の請求(取締役の責任を追及する訴えの提起の請求に限る。)を受ける場合
二  監査役設置会社が第八百四十九条第三項の訴訟告知(取締役の責任を追及する訴えに係るものに限る。)並びに第八百五十条第二項の規定による通知及び催告(取締役の責任を追及する訴えに係る訴訟における和解に関するものに限る。)を受ける場合

(監査役の報酬等)
第三百八十七条  監査役の報酬等は,定款にその額を定めていないときは,株主総会の決議によって定める。
2  監査役が二人以上ある場合において,各監査役の報酬等について定款の定め又は株主総会の決議がないときは,当該報酬等は,前項の報酬等の範囲内において,監査役の協議によって定める。
3  監査役は,株主総会において,監査役の報酬等について意見を述べることができる。

(費用等の請求)
第三百八十八条  監査役がその職務の執行について監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)に対して次に掲げる請求をしたときは,当該監査役設置会社は,当該請求に係る費用又は債務が当該監査役の職務の執行に必要でないことを証明した場合を除き,これを拒むことができない。
一  費用の前払の請求
二  支出した費用及び支出の日以後におけるその利息の償還の請求
三  負担した債務の債権者に対する弁済(当該債務が弁済期にない場合にあっては,相当の担保の提供)の請求

(定款の定めによる監査範囲の限定)
第三百八十九条  公開会社でない株式会社(監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く。)は,第三百八十一条第一項の規定にかかわらず,その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる。
2  前項の規定による定款の定めがある株式会社の監査役は,法務省令で定めるところにより,監査報告を作成しなければならない。
3  前項の監査役は,取締役が株主総会に提出しようとする会計に関する議案,書類その他の法務省令で定めるものを調査し,その調査の結果を株主総会に報告しなければならない。
4  第二項の監査役は,いつでも,次に掲げるものの閲覧及び謄写をし,又は取締役及び会計参与並びに支配人その他の使用人に対して会計に関する報告を求めることができる。
一  会計帳簿又はこれに関する資料が書面をもって作成されているときは,当該書面
二  会計帳簿又はこれに関する資料が電磁的記録をもって作成されているときは,当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したもの
5  第二項の監査役は,その職務を行うため必要があるときは,株式会社の子会社に対して会計に関する報告を求め,又は株式会社若しくはその子会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる。
6  前項の子会社は,正当な理由があるときは,同項の規定による報告又は調査を拒むことができる。
7  第三百八十一条から第三百八十六条までの規定は,第一項の規定による定款の定めがある株式会社については,適用しない。

第三百九十条  監査役会は,すべての監査役で組織する。
2  監査役会は,次に掲げる職務を行う。ただし,第三号の決定は,監査役の権限の行使を妨げることはできない。
一  監査報告の作成
二  常勤の監査役の選定及び解職
三  監査の方針,監査役会設置会社の業務及び財産の状況の調査の方法その他の監査役の職務の執行に関する事項の決定
3  監査役会は,監査役の中から常勤の監査役を選定しなければならない。
4  監査役は,監査役会の求めがあるときは,いつでもその職務の執行の状況を監査役会に報告しなければならない。

(招集権者)
第三百九十一条  監査役会は,各監査役が招集する。

(招集手続)
第三百九十二条  監査役会を招集するには,監査役は,監査役会の日の一週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては,その期間)前までに,各監査役に対してその通知を発しなければならない。
2  前項の規定にかかわらず,監査役会は,監査役の全員の同意があるときは,招集の手続を経ることなく開催することができる。

(監査役会の決議)
第三百九十三条  監査役会の決議は,監査役の過半数をもって行う。
2  監査役会の議事については,法務省令で定めるところにより,議事録を作成し,議事録が書面をもって作成されているときは,出席した監査役は,これに署名し,又は記名押印しなければならない。
3  前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については,法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
4  監査役会の決議に参加した監査役であって第二項の議事録に異議をとどめないものは,その決議に賛成したものと推定する。

(議事録)
第三百九十四条  監査役会設置会社は,監査役会の日から十年間,前条第二項の議事録をその本店に備え置かなければならない。
2  監査役会設置会社の株主は,その権利を行使するため必要があるときは,裁判所の許可を得て,次に掲げる請求をすることができる。
一  前項の議事録が書面をもって作成されているときは,当該書面の閲覧又は謄写の請求
二  前項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは,当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
3  前項の規定は,監査役会設置会社の債権者が役員の責任を追及するため必要があるとき及び親会社社員がその権利を行使するため必要があるときについて準用する。
4  裁判所は,第二項(前項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の請求に係る閲覧又は謄写をすることにより,当該監査役会設置会社又はその親会社若しくは子会社に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは,第二項の許可をすることができない。

(監査役会への報告の省略)
第三百九十五条  取締役,会計参与,監査役又は会計監査人が監査役の全員に対して監査役会に報告すべき事項を通知したときは,当該事項を監査役会へ報告することを要しない。

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