法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

振り込め詐欺救済法の施行について

2008-05-31 21:27:53 | Weblog
凍結口座の50億円返還へ 振り込め詐欺の被害者救済 - さきがけ on the Web

 被害者の平等な救済の観点等から,早期の立法的解決が望まれていた問題。
金融機関が被害回復分配金の支払をしない旨の決定をした場合や,支払は受けられるものの額に不服がある場合はどうなるのだろう。この点,法律からは判然としない。
そのような場合は,紛争解決の原則に戻り,金融機関を相手に訴訟を提起,ということか。そうなると,支払実施手続全体にもなにがしかの影響,ありそうな気もするが。


「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,預金口座等への振込みを利用して行われた詐欺等の犯罪行為により被害を受けた者に対する被害回復分配金の支払等のため,預金等に係る債権の消滅手続及び被害回復分配金の支払手続等を定め,もって当該犯罪行為により被害を受けた者の財産的被害の迅速な回復等に資することを目的とする。

第三条  金融機関は,当該金融機関の預金口座等について,捜査機関等から当該預金口座等の不正な利用に関する情報の提供があることその他の事情を勘案して犯罪利用預金口座等である疑いがあると認めるときは,当該預金口座等に係る取引の停止等の措置を適切に講ずるものとする。
2  金融機関は,前項の場合において,同項の預金口座等に係る取引の状況その他の事情を勘案して当該預金口座等に係る資金を移転する目的で利用された疑いがある他の金融機関の預金口座等があると認めるときは,当該他の金融機関に対して必要な情報を提供するものとする。

(公告の求め)
第四条  金融機関は,当該金融機関の預金口座等について,次に掲げる事由その他の事情を勘案して犯罪利用預金口座等であると疑うに足りる相当な理由があると認めるときは,速やかに,当該預金口座等について現に取引の停止等の措置が講じられていない場合においては当該措置を講ずるとともに,主務省令で定めるところにより,預金保険機構に対し,当該預金口座等に係る預金等に係る債権について,主務省令で定める書類を添えて,当該債権の消滅手続の開始に係る公告をすることを求めなければならない。
一  捜査機関等から当該預金口座等の不正な利用に関する情報の提供があったこと。
二  前号の情報その他の情報に基づいて当該預金口座等に係る振込利用犯罪行為による被害の状況について行った調査の結果
三  金融機関が有する資料により知ることができる当該預金口座等の名義人の住所への連絡その他の方法による当該名義人の所在その他の状況について行った調査の結果
四  当該預金口座等に係る取引の状況
2  前項の規定は,次の各号のいずれかに該当するときは,適用しない。
一  前項に規定する預金口座等についてこれに係る預金等の払戻しを求める訴え(以下この章において「払戻しの訴え」という。)が提起されているとき又は当該預金等に係る債権について強制執行,仮差押え若しくは仮処分の手続その他主務省令で定める手続(以下この章において「強制執行等」という。)が行われているとき。
二  振込利用犯罪行為により被害を受けたと認められる者の状況その他の事情を勘案して,この法律に規定する手続を実施することが適当でないと認められる場合として,主務省令で定める場合に該当するとき。
3  金融機関は,第一項の預金口座等に係る取引の状況その他の事情を勘案して当該預金口座等に係る資金を移転する目的で利用されたと疑うに足りる相当な理由がある他の金融機関の預金口座等があると認めるときは,当該他の金融機関に対し,同項の預金口座等に係る主務省令で定める事項を通知しなければならない。

(公告等)
第五条  預金保険機構は,前条第一項の規定による求めがあったときは,遅滞なく,当該求めに係る書面又は同項に規定する主務省令で定める書類の内容に基づき,次に掲げる事項を公告しなければならない。
一  前条第一項の規定による求めに係る預金口座等(以下この章において「対象預金口座等」という。)に係る預金等に係る債権(以下この章において「対象預金等債権」という。)についてこの章の規定に基づく消滅手続が開始された旨
二  対象預金口座等に係る金融機関及びその店舗並びに預金等の種別及び口座番号
三  対象預金口座等の名義人の氏名又は名称
四  対象預金等債権の額
五  対象預金口座等に係る名義人その他の対象預金等債権に係る債権者による当該対象預金等債権についての金融機関への権利行使の届出又は払戻しの訴えの提起若しくは強制執行等(以下「権利行使の届出等」という。)に係る期間
六  前号の権利行使の届出の方法
七  払戻しの訴えの提起又は強制執行等に関し参考となるべき事項として主務省令で定めるもの(当該事項を公告することが困難である旨の金融機関の通知がある事項を除く。)
八  第五号に掲げる期間内に権利行使の届出等がないときは,対象預金等債権が消滅する旨
九  その他主務省令で定める事項
2  前項第五号に掲げる期間は,同項の規定による公告があった日の翌日から起算して六十日以上でなければならない。
3  預金保険機構は,前条第一項の規定による求めに係る書面又は同項に規定する主務省令で定める書類に形式上の不備があると認めるときは,金融機関に対し,相当の期間を定めて,その補正を求めることができる。
4  金融機関は,第一項第五号に掲げる期間内に対象預金口座等に係る振込利用犯罪行為により被害を受けた旨の申出をした者があるときは,その者に対し,被害回復分配金の支払の申請に関し利便を図るための措置を適切に講ずるものとする。
5  第一項から第三項までに規定するもののほか,第一項の規定による公告に関し必要な事項は,主務省令で定める。

(権利行使の届出等の通知等)
第六条  金融機関は,前条第一項第五号に掲げる期間内に権利行使の届出等があったときは,その旨を預金保険機構に通知しなければならない。
2  金融機関は,前条第一項第五号に掲げる期間内に対象預金口座等が犯罪利用預金口座等でないことが明らかになったときは,その旨を預金保険機構に通知しなければならない。
3  預金保険機構は,前二項の規定による通知を受けたときは,預金等に係る債権の消滅手続が終了した旨を公告しなければならない。

(預金等に係る債権の消滅)
第七条  対象預金等債権について,第五条第一項第五号に掲げる期間内に権利行使の届出等がなく,かつ,前条第二項の規定による通知がないときは,当該対象預金等債権は,消滅する。この場合において,預金保険機構は,その旨を公告しなければならない。

(被害回復分配金の支払)
第八条  金融機関は,前条の規定により消滅した預金等に係る債権(以下この章及び第三十七条第二項において「消滅預金等債権」という。)の額に相当する額の金銭を原資として,この章の定めるところにより,消滅預金等債権に係る預金口座等(以下この章において「対象預金口座等」という。)に係る振込利用犯罪行為(対象預金口座等が第二条第四項第二号に掲げる預金口座等である場合にあっては,当該預金口座等に係る資金の移転元となった同項第一号に掲げる預金口座等に係る振込利用犯罪行為。以下この章において「対象犯罪行為」という。)により被害を受けた者(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。)であってこれにより財産を失ったもの(以下この章において「対象被害者」という。)に対し,被害回復分配金を支払わなければならない。
2  金融機関は,対象被害者について相続その他の一般承継があったときは,この章の定めるところにより,その相続人その他の一般承継人に対し,被害回復分配金を支払わなければならない。
3  前二項の規定は,消滅預金等債権の額が千円未満である場合は,適用しない。この場合において,預金保険機構は,その旨を公告しなければならない。

(公告の求め)
第十条  金融機関は,第七条の規定により預金等に係る債権が消滅したとき(第八条第三項に規定する場合を除く。)は,速やかに,主務省令で定めるところにより,預金保険機構に対し,その消滅に係る消滅預金等債権について,主務省令で定める書類を添えて,被害回復分配金の支払手続の開始に係る公告をすることを求めなければならない。
2  前項の規定は,対象預金口座等に係るすべての対象被害者又はその一般承継人が明らかであり,かつ,これらの対象被害者又はその一般承継人のすべてから被害回復分配金の支払を求める旨の申出があるときは,適用しない。この場合において,金融機関は,預金保険機構にその旨を通知しなければならない。

(公告等)
第十一条  預金保険機構は,前条第一項の規定による求めがあったときは,遅滞なく,当該求めに係る書面又は同項に規定する主務省令で定める書類の内容に基づき,次に掲げる事項を公告しなければならない。
一  前条第一項の規定による求めに係る消滅預金等債権についてこの章の規定に基づく被害回復分配金の支払手続が開始された旨
二  対象預金口座等(対象預金口座等が第二条第四項第二号に掲げる預金口座等である場合における当該対象預金口座等に係る資金の移転元となった同項第一号に掲げる預金口座等を含む。次号において同じ。)に係る金融機関及びその店舗並びに預金等の種別及び口座番号
三  対象預金口座等の名義人の氏名又は名称
四  消滅預金等債権の額
五  支払申請期間
六  被害回復分配金の支払の申請方法
七  被害回復分配金の支払の申請に関し参考となるべき事項として主務省令で定めるもの(当該事項を公告することが困難である旨の金融機関の通知がある事項を除く。)
八  その他主務省令で定める事項
2  前項第五号に掲げる支払申請期間(以下この章において単に「支払申請期間」という。)は,同項の規定による公告があった日の翌日から起算して三十日以上でなければならない。
3  預金保険機構は,前条第一項の規定による求めに係る書面又は同項に規定する主務省令で定める書類に形式上の不備があると認めるときは,金融機関に対し,相当の期間を定めて,その補正を求めることができる。
4  金融機関は,対象犯罪行為による被害を受けたことが疑われる者に対し被害回復分配金の支払手続の実施等について周知するため,必要な情報の提供その他の措置を適切に講ずるものとする。
5  第一項から第三項までに規定するもののほか,第一項の規定による公告に関し必要な事項は,主務省令で定める。

(支払の申請)
第十二条  被害回復分配金の支払を受けようとする者は,支払申請期間(第十条第二項の規定による通知があった場合においては,金融機関が定める相当の期間。以下同じ。)内に,主務省令で定めるところにより,次に掲げる事項を記載した申請書に第一号及び第二号に掲げる事項を疎明するに足りる資料を添付して,対象預金口座等に係る金融機関に申請をしなければならない。
一  申請人が対象被害者又はその一般承継人であることの基礎となる事実
二  対象犯罪行為により失われた財産の価額
三  控除対象額(対象犯罪行為により失われた財産の価額に相当する損害について,そのてん補又は賠償がされた場合(当該対象犯罪行為により当該財産を失った対象被害者又はその一般承継人以外の者により当該てん補又は賠償がされた場合に限る。)における当該てん補額及び賠償額を合算した額をいう。以下同じ。)
四  その他主務省令で定める事項
2  前項の規定による申請をした対象被害者又はその一般承継人(以下この項において「対象被害者等」という。)について,当該申請に対する次条の規定による決定が行われるまでの間に一般承継があったときは,当該対象被害者等の一般承継人は,支払申請期間が経過した後であっても,当該一般承継があった日から六十日以内に限り,被害回復分配金の支払の申請をすることができる。この場合において,当該一般承継人は,主務省令で定めるところにより,前項に規定する申請書に同項第一号及び第二号に掲げる事項を疎明するに足りる資料を添付して,これを対象預金口座等に係る金融機関に提出しなければならない。
3  前二項の規定による申請は,対象犯罪行為に係る第二条第三項に規定する振込みの依頼をした金融機関を経由して,行うことができる。

(支払の決定)
第十三条  金融機関は,前条第一項の規定による申請があった場合において,支払申請期間が経過したときは,遅滞なく,同条第一項又は第二項に規定する申請書及び資料等に基づき,その申請人が被害回復分配金の支払を受けることができる者に該当するか否かの決定をしなければならない。同条第二項の規定による申請があった場合において,当該申請に係る一般承継があった日から六十日が経過したときも,同様とする。
2  金融機関は,被害回復分配金の支払を受けることができる者に該当する旨の決定(以下「支払該当者決定」という。)をするに当たっては,その犯罪被害額(対象犯罪行為により失われた財産の価額から控除対象額を控除した額をいう。以下同じ。)を定めなければならない。この場合において,支払該当者決定を受ける者で同一の対象被害者の一般承継人であるものが二人以上ある場合におけるその者に係る犯罪被害額は,当該対象被害者に係る対象犯罪行為により失われた財産の価額から控除対象額を控除した額を当該一般承継人の数で除して得た額とする。
3  前項後段に規定する場合において,当該支払該当者決定を受ける者のうちに各人が支払を受けるべき被害回復分配金の額の割合について合意をした者があるときは,同項後段の規定にかかわらず,当該合意をした者に係る犯罪被害額は,同項後段の規定により算出された額のうちこれらの者に係るものを合算した額に当該合意において定められた各人が支払を受けるべき被害回復分配金の額の割合を乗じて得た額とする。
4  前二項に定めるもののほか,犯罪被害額の認定の方法については,主務省令で定める。

(書面の送付等)
第十四条  金融機関は,前条の規定による決定を行ったときは,速やかに,その内容を記載した書面を申請人に送付しなければならない。
2  前項の規定にかかわらず,申請人の所在が知れないときその他同項の書面を送付することができないときは,金融機関において当該書面を保管し,いつでも申請人に交付すべき旨を明らかにする措置として主務省令で定める措置をとることをもって同項の規定による送付に代えることができる。

(決定表の作成等)
第十五条  金融機関は,第十三条の規定による決定を行ったときは,次に掲げる事項を記載した決定表を作成し,申請人の閲覧に供するため,これを主務省令で定める場所に備え置かなければならない。
一  支払該当者決定を受けた者の氏名又は名称及び当該支払該当者決定において定められた犯罪被害額(支払該当者決定を受けた者がないときは,その旨)
二  その他主務省令で定める事項

(支払の実施等)
第十六条  金融機関は,すべての申請に対する第十三条の規定による決定を行ったときは,遅滞なく,支払該当者決定を受けた者に対し,被害回復分配金を支払わなければならない。
2  前項の規定により支払う被害回復分配金の額は,支払該当者決定により定めた犯罪被害額の総額(以下この項において「総被害額」という。)が消滅預金等債権の額を超えるときは,この額に当該支払該当者決定を受けた者に係る犯罪被害額の総被害額に対する割合を乗じて得た額(その額に一円未満の端数があるときは,これを切り捨てた額)とし,その他のときは,当該犯罪被害額とする。
3  金融機関は,第一項の規定により支払う被害回復分配金の額を決定表に記載し,その旨を預金保険機構に通知しなければならない。
4  預金保険機構は,前項の規定による通知を受けたときは,第一項の規定により支払う被害回復分配金の額を金融機関が決定表に記載した旨を公告しなければならない。

(政府による周知等)
第三十七条  政府は,この法律の円滑な実施を図るため,振込利用犯罪行為により被害を受けた者の財産的被害の迅速な回復等に資するとのこの法律の趣旨及び被害回復分配金の支払手続等に関する事項その他この法律の内容について,広報活動等を通じて国民に周知を図り,その理解を得るよう努めるものとする。
2  機構は,毎年少なくとも一回,消滅預金等債権に関する事項,被害回復分配金の支払の実施の状況その他のこの法律の実施の状況に関する事項を公表するものとする。

「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律施行規則(案)」の関連条文

(法第十条第一項の規定による求めに添付する書類)
第十三条 法第十条第一項に規定する主務省令で定める書類は,次に掲げる事項を記載した書類とする。
一 法第十一条第一項第二号から第六号までに掲げる事項
二 次条第一項各号に掲げる事項(当該事項を公告することが困難である場合には,その旨及び理由)
三 法第十一条第一項の規定による公告を希望する年月日
四 次条第二項第二号から第六号までに掲げる事項

(被害回復分配金の支払の申請に関し参考となるべき事項等)
第十四条 法第十一条第一項第七号に規定する主務省令で定めるものは,次に掲げるものとする。
一 振込利用犯罪行為による被害を受けたことが疑われる者から対象預金口座等(対象預金口座等が法第二条第四項第二号に掲げる預金口座等である場合における資金の移転元となった同項第一号に掲げる預金口座等を含む。)への振込みが行われた時期
二 対象預金口座等が法第二条第四項第二号に掲げる預金口座等である場合においては,その旨及び当該対象預金口座等に係る資金の移転元となった同項第一号に掲げる預金口座等に係る情報(法第十一条第一項第二号及び第三号に掲げる事項を除く。)
三 その他参考となるべき事項
2 法第十一条第一項第八号に規定する主務省令で定める事項は,次に掲げる事項とする。
一 法第十一条第一項の規定による公告の年月日
二 消滅預金等債権に係る法第七条の規定による公告の年月日
三 対象預金口座等を利用して行われた振込利用犯罪行為の概要
四 対象預金口座等に係る金融機関が他の金融機関に対して法第四条第三項の規定による通知を行ったときは,その旨及び当該他の金融機関の預金口座等に係る情報
五 対象預金口座等に係る金融機関が他の金融機関より法第四条第三項の規定による通知を受けたときは,その旨及び当該他の金融機関の預金口座等に関する情報
六 その他必要な事項

(申請書の記載事項等)
第十六条 法第十二条第一項第四号に規定する主務省令で定める事項は,次に掲げる事項とする。
一 申請人が自然人であるときは,その氏名,生年月日及び住所
二 申請人が法人又は法人でない団体で代表者若しくは管理人の定めがあるもの(以下「法人等」という。)であるときは,その名称及び住所並びに代表者又は管理人の氏名,生年月日及び住所
三 申請人が対象被害者の一般承継人であるときは,一般承継の理由及びその年月日並びに当該対象被害者との関係
四 代理人によって申請をするときは,当該代理人の氏名及び生年月日又は名称並びに住所(代理人が弁護士であるときは当該弁護士の氏名並びに事務所の名称及び所在地,代理人が弁護士法人であるときは当該弁護士法人の名称及び所在地並びにその業務を担当する弁護士の氏名。第二十一条第一項第三号,第二十六条第二項第三号及び第二十八条第一項第四号において同じ。)
五 申請人又は代理人の郵便番号,電話番号(ファクシミリの番号を含む。以下同じ。)その他これらの者が法及びこの規則の規定による通知又は書面の送付を受けるために必要な事項
六 控除対象額があるときは,当該てん補又は賠償があった年月日,当該てん補若しくは賠償をした者の氏名又は名称及びその者と対象預金口座等に係る振込利用犯罪行為の加害者と疑われる者との関係,当該てん補若しくは賠償を受けた者の氏名又は名称及びその者と対象被害者又はその一般承継人との関係並びに当該てん補又は賠償の額の内訳
七 他の申請人又は申請人となるべき者(以下「他の申請人等」という。)との間で各人が支払を受けるべき被害回復分配金の額の割合について合意があるときは,当該他の申請人等の氏名又は名称,住所,郵便番号及び電話番号並びに当該合意の内容
八 被害回復分配金の支払を受ける金融機関の名称及び口座番号その他支払を受けるために必要な事項
2 申請書は,別紙様式第一号によるものとする。

(申請書に添付すべき資料)
第十七条 法第十二条第一項及び第二項に規定する申請書に添付すべき資料は,次に掲げるものとする。
一 申請書に記載されている申請人(申請人が法人等である場合にあっては,その代表者又は管理人)及び申請人の代理人(弁護士及び弁護士法人を除く。)の氏名,生年月日及び住所と同一の氏名,生年月
日及び住所が記載されている運転免許証等(運転免許証,外国人登録証明書又は住民基本台帳カードをいう。以下同じ。)で申請の日において有効なものの写しその他これらの者が本人であることを確認するに足りる書類(以下「自然人に係る本人確認書類」という。)
二 申請人が法人等であるときは,申請書に記載されている当該法人等の名称及び住所並びに代表者又は管理人の氏名と同一の名称及び住所並びに氏名が記載されている登記事項証明書又は印鑑登録証明書で申請日前六月以内に作成されたものその他その者が本人であることを確認するに足りる書類(以下「法人等に係る本人確認書類」という。)
三 金融機関が作成した振込みの明細書の写しその他の申請人(申請人が対象被害者の一般承継人である場合にあっては,その被承継人)が対象被害者であることの基礎となる事実を疎明するに足りる資料
四 申請人が対象被害者の一般承継人であるときは,一般承継の理由及びその年月日並びに対象被害者との関係を明らかにする戸籍の謄本若しくは抄本又は法人の登記事項証明書で申請日前六月以内に作成されたものその他申請人が一般承継人であることの基礎となる事実を疎明するに足りる資料
五 代理人によって申請をするときは,代理権を証する資料
六 法第十二条第一項第二号に掲げる事項を疎明するに足りる資料
七 控除対象額があるときは,前条第一項第六号に掲げる事項を明らかにする資料八他の申請人等との間で各人が支払を受けるべき被害回復分配金の額の割合について合意があるときは,前条第一項第七号に掲げる事項を明らかにする資料

(記載の省略等)
第十八条 申請人は,やむを得ないと認められるときは,申請書に記載すべき事項について,その記載を省略し,又は申請書に添付すべき資料について,その添付を省略し,若しくはこれに代わる資料を添付することができる。

(犯罪被害額の認定の方法)
第二十条 金融機関は,犯罪被害額の認定に当たっては,法第十二条第一項又は第二項に規定する申請書及び資料等に基づき,犯罪利用預金口座等への振込額その他の事情を勘案するものとする。

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逃亡を防ぐための強制貯金について

2008-05-30 22:18:01 | Weblog
asahi.com ベトナム人研修生「強制貯金」被害,200人で1億円超

 労基法第18条第1項には「使用者は,労働契約に附随して貯蓄の契約をさせ,又は貯蓄金を管理する契約をしてはならない。」とあるほか,同第2項には「使用者は,労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理しようとする場合においては,当該事業場に,労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合,労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし,これを行政官庁に届け出なければならない。」とある。

記事によれば,帰国時に貯金を返す契約が多いとのこと。「強制ではない」が本当だとしても,労基法第18条第2項に照らせば,企業側が労働者の通帳等を管理するには,労働組合等との協定及び行政官庁への届出が必要になるのではなかろうか。所管省である厚労省の「好ましくない」との談話,随分と控えめなものに思える。

なお,労基法第3条には「使用者は,労働者の国籍,信条又は社会的身分を理由として,賃金,労働時間その他の労働条件について,差別的取扱をしてはならない。」とある。


労働基準法の関連条文

(均等待遇)
第三条  使用者は,労働者の国籍,信条又は社会的身分を理由として,賃金,労働時間その他の労働条件について,差別的取扱をしてはならない。

(強制貯金)
第十八条  使用者は,労働契約に附随して貯蓄の契約をさせ,又は貯蓄金を管理する契約をしてはならない。
2  使用者は,労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理しようとする場合においては,当該事業場に,労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合,労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし,これを行政官庁に届け出なければならない。
3  使用者は,労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合においては,貯蓄金の管理に関する規程を定め,これを労働者に周知させるため作業場に備え付ける等の措置をとらなければならない。
4  使用者は,労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において,貯蓄金の管理が労働者の預金の受入であるときは,利子をつけなければならない。この場合において,その利子が,金融機関の受け入れる預金の利率を考慮して厚生労働省令で定める利率による利子を下るときは,その厚生労働省令で定める利率による利子をつけたものとみなす。
5  使用者は,労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において,労働者がその返還を請求したときは,遅滞なく,これを返還しなければならない。
6  使用者が前項の規定に違反した場合において,当該貯蓄金の管理を継続することが労働者の利益を著しく害すると認められるときは,行政官庁は,使用者に対して,その必要な限度の範囲内で,当該貯蓄金の管理を中止すべきことを命ずることができる。
7  前項の規定により貯蓄金の管理を中止すべきことを命ぜられた使用者は,遅滞なく,その管理に係る貯蓄金を労働者に返還しなければならない。

(賃金の支払)
第二十四条  賃金は,通貨で,直接労働者に,その全額を支払わなければならない。ただし,法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては,通貨以外のもので支払い,また,法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合,労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては,賃金の一部を控除して支払うことができる。
2  賃金は,毎月一回以上,一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし,臨時に支払われる賃金,賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については,この限りでない。

(非常時払)
第二十五条  使用者は,労働者が出産,疾病,災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては,支払期日前であつても,既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。

(休業手当)
第二十六条  使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては,使用者は,休業期間中当該労働者に,その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

(出来高払制の保障給)
第二十七条  出来高払制その他の請負制で使用する労働者については,使用者は,労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。

(最低賃金)
第二十八条  賃金の最低基準に関しては,最低賃金法 (昭和三十四年法律第百三十七号)の定めるところによる。

第百十九条  次の各号の一に該当する者は,これを六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
一  第三条,第四条,第七条,第十六条,第十七条,第十八条第一項,第十九条,第二十条,第二十二条第四項,第三十二条,第三十四条,第三十五条,第三十六条第一項ただし書,第三十七条,第三十九条,第六十一条,第六十二条,第六十四条の三から第六十七条まで,第七十二条,第七十五条から第七十七条まで,第七十九条,第八十条,第九十四条第二項,第九十六条又は第百四条第二項の規定に違反した者
二  第三十三条第二項,第九十六条の二第二項又は第九十六条の三第一項の規定による命令に違反した者
三  第四十条の規定に基づいて発する厚生労働省令に違反した者
四  第七十条の規定に基づいて発する厚生労働省令(第六十二条又は第六十四条の三の規定に係る部分に限る。)に違反した者

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水難事故に伴う認定死亡について

2008-05-29 20:21:28 | Weblog
父子,不明のまま葬儀 イージス艦事故 NIKKEI NET

 心からお悔やみ申し上げます。

 戸籍法第89条には「水難,火災その他の事変によつて死亡した者がある場合には,その取調をした官庁又は公署は,死亡地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。但し,外国又は法務省令で定める地域で死亡があつたときは,死亡者の本籍地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。」とある。
戸籍への死亡の記載は届出によるのが原則(戸籍法第86条参照)。死亡の報告は,届出によることが困難で,取調官公署の直接資料に基づいて記載する方が正確を期すことができる場合におこなわれる。水難事故はその典型例。
水難事故による死亡の報告は,官海官庁である海上保安庁又はその下部機関が所管し(昭和24.3.15民事甲252号通達),死亡認定は「死亡認定事務取扱規程」(昭和28.7.7海上保安庁達17号)に基づいておこなわれる。
死亡認定の要件は第4条に規定されており,第3号には「行方不明者の被服又は携帯品,避難船舶,遭難船舶の破片,ぎ装品又は属具等の現存,海難の現認者の証言等行方不明者の死亡を確認するに足りる証拠がある場合か,又は行方不明者の乗船していた船舶が遭難したことが確実である場合であって,四囲の状況をも考慮するとき,その行方不明者が生存しているとは考えられないものであること(単に消息を絶ち,生死が分明でないというだけではたりない)。」とある。


戸籍法の関連条文

第一条  戸籍に関する事務は,市町村長がこれを管掌する。
2  前項の事務は,地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号 に規定する第一号 法定受託事務とする。

第三条  法務大臣は,市町村長が戸籍事務を処理するに当たりよるべき基準を定めることができる。
2  市役所又は町村役場の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長は,戸籍事務の処理に関し必要があると認めるときは,市町村長に対し,報告を求め,又は助言若しくは勧告をすることができる。この場合において,戸籍事務の処理の適正を確保するため特に必要があると認めるときは,指示をすることができる。
3  戸籍事務については,地方自治法第二百四十五条の四 ,第二百四十五条の七第二項第一号,第三項及び第四項,第二百四十五条の八第十二項及び第十三項並びに第二百四十五条の九第二項第一号,第三項及び第四項の規定は,適用しない。

第八十六条  死亡の届出は,届出義務者が,死亡の事実を知つた日から七日以内(国外で死亡があつたときは,その事実を知つた日から三箇月以内)に,これをしなければならない。
2  届書には,次の事項を記載し,診断書又は検案書を添付しなければならない。
一  死亡の年月日時分及び場所
二  その他法務省令で定める事項
3  やむを得ない事由によつて診断書又は検案書を得ることができないときは,死亡の事実を証すべき書面を以てこれに代えることができる。この場合には,届書に診断書又は検案書を得ることができない事由を記載しなければならない。

第八十七条  左の者は,その順序に従つて,死亡の届出をしなければならない。但し,順序にかかわらず届出をすることができる。
第一 同居の親族
第二 その他の同居者
第三 家主,地主又は家屋若しくは土地の管理人
2  死亡の届出は,同居の親族以外の親族も,これをすることができる。

第八十八条  死亡の届出は,死亡地でこれをすることができる。
2  死亡地が明らかでないときは死体が最初に発見された地で,汽車その他の交通機関の中で死亡があつたときは死体をその交通機関から降ろした地で,航海日誌を備えない船舶の中で死亡があつたときはその船舶が最初に入港した地で,死亡の届出をすることができる。

第八十九条  水難,火災その他の事変によつて死亡した者がある場合には,その取調をした官庁又は公署は,死亡地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。但し,外国又は法務省令で定める地域で死亡があつたときは,死亡者の本籍地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。

第九十一条  前二条に規定する報告書には,第八十六条第二項に掲げる事項を記載しなければならない。

死亡認定事務取扱規定の関連条文

 この規定は,死亡報告のため,海上保安庁が取り調べた船舶の遭難,投身,転落その他海上における事故による行方不明者の死亡認定に関する事務を適切に処理するため,必要な取扱要領を定めることを目的としている。

(死亡認定事務の重要性)
第2条 死亡認定事務は,行方不明者の身分関係及び財産関係を確定する重要なものであるから,その処理に当っては,正確且つ慎重な調査を行い,行方不明者に関する事実の確認に努めなければならない。

(書類作成上の注意事項)
第3条 この規程に定める書類の作成に当り,文字を加え,削り,又は欄外に記人したときは,作成者がこれに認印し,その字数を記入しなければならない。但し,削った部分はこれを読むことができるように字体を残さなければならない。

(死亡認定の要件)
第4条 死亡認定は,左の各号の要件を具備する場合に限り行うことができる。
1 海上保安庁が取り調べた行方不明者であること。
2 行方不明者の親族(婚姻の届出をしないが,事実上配偶関係にある者を含む。)から死亡認定の願出があったこと。
3 行方不明者の被服又は携帯品,避難船舶,遭難船舶の破片,ぎ装品又は属具等の現存,海難の現認者の証言等行方不明者の死亡を確認するに足りる証拠がある場合か,又は行方不明者の乗船していた船舶が遭難したことが確実である場合であって,四囲の状況をも考慮するとき,その行方不明者が生存しているとは考えられないものであること(単に消息を絶ち,生死が分明でないというだけではたりない)。
4 海難発生の時から3月以上を経過したものであること。

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廃業に伴う再生手続廃止の決定について

2008-05-28 22:51:36 | Weblog
asahi.com 船場吉兆が廃業 「のれんで営業、社会的に許されない」

 民事再生法第191条第1項柱書には「次の各号のいずれかに該当する場合には,裁判所は,職権で,再生手続廃止の決定をしなければならない。」とあり,その第1号に「決議に付するに足りる再生計画案の作成の見込みがないことが明らかになったとき。」とある。
船場吉兆の再生計画提出の期限は8月5日だが,廃業発表となると,今後再生計画案作成の見込みはない。大阪地裁,報道を確認したうえ,職権で再生手続廃止の決定をすることになろう。
なお,牽連破産に係る規定として,同第250条第1項には「破産手続開始前の再生債務者について再生手続開始の申立ての棄却,再生手続廃止,再生計画不認可又は再生計画取消しの決定が確定した場合において,裁判所は,当該再生債務者に破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは,職権で,破産法 に従い,破産手続開始の決定をすることができる。」とある。


民事再生法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,経済的に窮境にある債務者について,その債権者の多数の同意を得,かつ,裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により,当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し,もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的とする。

(再生手続開始の申立て)
第二十一条  債務者に破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるときは,債務者は,裁判所に対し,再生手続開始の申立てをすることができる。債務者が事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないときも,同様とする。
2  前項前段に規定する場合には,債権者も,再生手続開始の申立てをすることができる。

(再生手続開始の決定)
第三十三条  裁判所は,第二十一条に規定する要件を満たす再生手続開始の申立てがあったときは,第二十五条の規定によりこれを棄却する場合を除き,再生手続開始の決定をする。
2  前項の決定は,その決定の時から,効力を生ずる。

(再生手続開始と同時に定めるべき事項)
第三十四条  裁判所は,再生手続開始の決定と同時に,再生債権の届出をすべき期間及び再生債権の調査をするための期間を定めなければならない。
2  前項の場合において,知れている再生債権者の数が千人以上であり,かつ,相当と認めるときは,裁判所は,次条第五項本文において準用する同条第三項第一号及び第三十七条本文の規定による知れている再生債権者に対する通知をせず,かつ,第百二条第一項に規定する届出再生債権者を債権者集会(再生計画案の決議をするためのものを除く。)の期日に呼び出さない旨の決定をすることができる。

(再生計画案の提出時期)
第百六十三条  再生債務者等は,債権届出期間の満了後裁判所の定める期間内に,再生計画案を作成して裁判所に提出しなければならない。
2  再生債務者(管財人が選任されている場合に限る。)又は届出再生債権者は,裁判所の定める期間内に,再生計画案を作成して裁判所に提出することができる。
3  裁判所は,申立てにより又は職権で,前二項の規定により定めた期間を伸長することができる。

(再生計画の認可又は不認可の決定)
第百七十四条  再生計画案が可決された場合には,裁判所は,次項の場合を除き,再生計画認可の決定をする。
2  裁判所は,次の各号のいずれかに該当する場合には,再生計画不認可の決定をする。
一  再生手続又は再生計画が法律の規定に違反し,かつ,その不備を補正することができないものであるとき。ただし,再生手続が法律の規定に違反する場合において,当該違反の程度が軽微であるときは,この限りでない。
二  再生計画が遂行される見込みがないとき。
三  再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったとき。
四  再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するとき。
3  第百十五条第一項本文に規定する者及び労働組合等は,再生計画案を認可すべきかどうかについて,意見を述べることができる。
4  再生計画の認可又は不認可の決定があった場合には,第百十五条第一項本文に規定する者に対して,その主文及び理由の要旨を記載した書面を送達しなければならない。
5  前項に規定する場合には,同項の決定があった旨を労働組合等に通知しなければならない。

(再生計画認可前の手続廃止)
第百九十一条  次の各号のいずれかに該当する場合には,裁判所は,職権で,再生手続廃止の決定をしなければならない。
一  決議に付するに足りる再生計画案の作成の見込みがないことが明らかになったとき。
二  裁判所の定めた期間若しくはその伸長した期間内に再生計画案の提出がないとき,又はその期間内に提出されたすべての再生計画案が決議に付するに足りないものであるとき。
三  再生計画案が否決されたとき,又は第百七十二条の五第一項本文及び第四項の規定により債権者集会の続行期日が定められた場合において,同条第二項及び第三項の規定に適合する期間内に再生計画案が可決されないとき。

第百九十二条  債権届出期間の経過後再生計画認可の決定の確定前において,第二十一条第一項に規定する再生手続開始の申立ての事由のないことが明らかになったときは,裁判所は,再生債務者,管財人又は届出再生債権者の申立てにより,再生手続廃止の決定をしなければならない。
2  前項の申立てをする場合には,申立人は,再生手続廃止の原因となる事実を疎明しなければならない。

(再生債務者の義務違反による手続廃止)
第百九十三条  次の各号のいずれかに該当する場合には,裁判所は,監督委員若しくは管財人の申立てにより又は職権で,再生手続廃止の決定をすることができる。
一  再生債務者が第三十条第一項の規定による裁判所の命令に違反した場合
二  再生債務者が第四十一条第一項若しくは第四十二条第一項の規定に違反し,又は第五十四条第二項に規定する監督委員の同意を得ないで同項の行為をした場合
三  再生債務者が第百一条第五項又は第百三条第三項の規定により裁判所が定めた期限までに認否書を提出しなかった場合
2  前項の決定をする場合には,再生債務者を審尋しなければならない。

(再生計画認可後の手続廃止)
第百九十四条  再生計画認可の決定が確定した後に再生計画が遂行される見込みがないことが明らかになったときは,裁判所は,再生債務者等若しくは監督委員の申立てにより又は職権で,再生手続廃止の決定をしなければならない。

(再生手続廃止の公告等)
第百九十五条  裁判所は,再生手続廃止の決定をしたときは,直ちに,その主文及び理由の要旨を公告しなければならない。
2  前項の決定に対しては,即時抗告をすることができる。
3  第百七十五条第三項の規定は,前項の即時抗告並びにこれについての決定に対する第十八条において準用する民事訴訟法第三百三十六条 の規定による抗告及び同法第三百三十七条 の規定による抗告の許可の申立てについて準用する。
4  再生手続廃止の決定を取り消す決定が確定したときは,再生手続廃止の決定をした裁判所は,直ちに,その旨を公告しなければならない。
5  第一項の決定は,確定しなければその効力を生じない。
6  再生計画認可の決定が確定した後にされた再生手続の廃止は,再生計画の遂行及びこの法律の規定によって生じた効力に影響を及ぼさない。
7  第百八十五条の規定は第百九十一条,第百九十二条第一項又は第百九十三条第一項の規定による再生手続廃止の決定が確定した場合(再生計画認可の決定が確定した後に再生手続廃止の決定が確定した場合を除く。)について,第百八十八条第四項の規定は第一項の決定が確定した場合について準用する。

(再生手続の終了に伴う職権による破産手続開始の決定)
第二百五十条  破産手続開始前の再生債務者について再生手続開始の申立ての棄却,再生手続廃止,再生計画不認可又は再生計画取消しの決定が確定した場合において,裁判所は,当該再生債務者に破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは,職権で,破産法 に従い,破産手続開始の決定をすることができる。
2  破産手続開始後の再生債務者について再生計画認可の決定の確定により破産手続が効力を失った後に第百九十三条若しくは第百九十四条の規定による再生手続廃止又は再生計画取消しの決定が確定した場合には,裁判所は,職権で,破産法 に従い,破産手続開始の決定をしなければならない。ただし,前条第一項後段の規定による破産手続開始の申立てに基づいて破産手続開始の決定をする場合は,この限りでない。

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中国への航空自衛隊の派遣について

2008-05-28 21:48:59 | Weblog
MSN産経ニュース 史上初…空自機を中国に派遣へ 四川大地震で政府

 よもや,中国側から「輸送は自衛隊によることも含めて検討して欲しい」といった話しがあろうとは。

 国際緊急援助隊法第1条には「この法律は,海外の地域,特に開発途上にある海外の地域において大規模な災害が発生し,又は正に発生しようとしている場合に,当該災害を受け,若しくは受けるおそれのある国の政府又は国際機関(以下「被災国政府等」という。)の要請に応じ,国際緊急援助活動を行う人員を構成員とする国際緊急援助隊を派遣するために必要な措置を定め,もつて国際協力の推進に寄与することを目的とする。」とある。
同第3条第2項柱書には「外務大臣は,前項の協議(管理人註:「国際緊急援助隊の派遣に係る関係行政機関との協議」のこと)を行つた場合において,第一条の目的を達成するため特に必要があると認めるときは,自衛隊法 (昭和二十九年法律第百六十五号)第八条 に規定する部隊等による次に掲げる活動につき協力を求めるため,防衛大臣と協議を行う。」とある。
自衛隊派遣に係る外務大臣と防衛大臣の協議は,外務大臣が「第一条の目的を達成するため特に必要があると認めるとき」におこなわれる。

輸送だけなら民間機で十分という気もするが,はてさて・・・。


国際緊急援助隊の派遣に関する法律

(目的)
第一条  この法律は,海外の地域,特に開発途上にある海外の地域において大規模な災害が発生し,又は正に発生しようとしている場合に,当該災害を受け,若しくは受けるおそれのある国の政府又は国際機関(以下「被災国政府等」という。)の要請に応じ,国際緊急援助活動を行う人員を構成員とする国際緊急援助隊を派遣するために必要な措置を定め,もつて国際協力の推進に寄与することを目的とする。

(国際緊急援助隊の任務)
第二条  国際緊急援助隊は,前条に規定する災害に係る次に掲げる活動(以下「国際緊急援助活動」という。)を行うことを任務とする。
一  救助活動
二  医療活動(防疫活動を含む。)
三  前二号に掲げるもののほか,災害応急対策及び災害復旧のための活動

(関係行政機関との協議)
第三条  外務大臣は,被災国政府等より国際緊急援助隊の派遣の要請があつた場合において,第一条の目的を達成するためその派遣が適当であると認めるときは,国際緊急援助隊の派遣につき協力を求めるため,被災国政府等からの当該要請の内容,災害の種類等を勘案して,別表に掲げる行政機関(次条において「関係行政機関」という。)の長及び国家公安委員会と協議を行う。
2  外務大臣は,前項の協議を行つた場合において,第一条の目的を達成するため特に必要があると認めるときは,自衛隊法 (昭和二十九年法律第百六十五号)第八条 に規定する部隊等による次に掲げる活動につき協力を求めるため,防衛大臣と協議を行う。
一  国際緊急援助活動
二  国際緊急援助活動を行う人員又は当該活動に必要な機材その他の物資の海外の地域への輸送
3  前項の規定は,海上保安庁の船舶又は航空機を用いて行う同項第二号に規定する活動について準用する。この場合において,同項中「自衛隊法 (昭和二十九年法律第百六十五号)第八条 に規定する部隊等による次に掲げる活動」とあるのは「海上保安庁の船舶又は航空機を用いて行う第二号 に掲げる活動」と,「防衛大臣」とあるのは「海上保安庁長官」と読み替えるものとする。

(関係行政機関等の措置)
第四条  関係行政機関の長は,前条第一項(海上保安庁長官にあつては,同項又は同条第三項において準用する同条第二項)の協議に基づき,その職員に国際緊急援助活動(海上保安庁の職員にあつては,同条第三項において読み替えられた同条第二項に規定する活動を含む。)を行わせることができる。
2  防衛大臣は,前条第二項の協議に基づき,同項に規定する部隊等に同項各号に掲げる活動を行わせることができる。
3  国家公安委員会は,前条第一項の協議に基づき,都道府県警察に対し,その職員に国際緊急援助活動を行わせるよう,指示することができる。
4  都道府県警察は,前項の指示を受けた場合には,その職員に国際緊急援助活動を行わせることができる。
5  消防庁長官は,前条第一項の協議に基づき,市町村(東京都並びに市町村の消防の一部事務組合及び広域連合を含む。次項において同じ。)に対し,その消防機関の職員に国際緊急援助活動を行わせるよう,要請することができる。
6  市町村は,前項の要請を受けた場合には,その消防機関の職員に国際緊急援助活動を行わせることができる。
7  関係行政機関の長のうち独立行政法人(独立行政法人通則法 (平成十一年法律第百三号)第二条第一項 に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)の主務大臣(同法第六十八条 に規定する主務大臣をいう。)であるものは,前条第一項の協議に基づき,その所管に係る独立行政法人に対し,その職員に国際緊急援助活動を行わせるよう,要請することができる。
8  独立行政法人は,前項の要請を受けた場合には,その職員に国際緊急援助活動を行わせることができる。

(外務大臣の独立行政法人国際協力機構に対する命令)
第五条  外務大臣は,第一条の目的を達成するため適当であると認める場合には,独立行政法人国際協力機構に対し,国際緊急援助活動を前条の規定に基づき行う国,地方公共団体又は独立行政法人の職員その他の人員を国際緊急援助隊として派遣するよう,命ずることができる。
2  前項の命令は,第三条第一項又は第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)の協議が行われた場合には,当該協議に基づいて行うものとする。

(国際緊急援助隊の任務の遂行)
第六条  外務大臣は,被災国政府等と連絡を密にし,その要請等を考慮して,国際緊急援助隊の活動の調整を行う。
2  国際緊急援助隊は,被災国政府等の要請を十分に尊重して活動しなければならない。

(独立行政法人国際協力機構による業務の実施)
第七条  国際緊急援助隊の派遣及びこれに必要な業務(国際緊急援助活動に必要な機材その他の物資の調達,輸送の手配等を含むものとし,第三条第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)に規定する活動のうち同条第二項第二号に該当するものに係るものを除く。)は,独立行政法人国際協力機構が行う。

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サマータイムの導入について

2008-05-27 20:52:56 | Weblog
時事ドットコム サマータイム導入に賛意=自民に積極検討を指示-福田首相

 サマータイム制度推進議連,サマータイム導入に係る法案を今国会に提出予定。成立すれば,周知期間を経て2年後からの導入とか。
昭和27年4月11日に廃止された夏時刻法の第1条には「毎年,五月の第一土曜日の午後十二時から九月の第二土曜日の翌日の午前零時までの間は,すべて中央標準時より一時間進めた時刻(夏時刻)を用いるものとする。但し,特に中央標準時によることを定めた場合は,この限りでない。」とあった。
サマータイムを導入した場合の省エネ効果については異論もあるようだ。また,これとは別に,制度導入で増加するのは余暇時間ではなく残業時間だとし,労働環境の悪化を懸念する声もある。

独立行政法人情報通信研究機構 日本標準時


「明治二十八年勅令第百六十七号(標準時ニ関スル件)」の関連条文

第一条 帝国従来ノ標準時ハ自今之ヲ中央標準時ト称ス

夏時刻法

第一条 毎年,五月の第一土曜日の午後十二時から九月の第二土曜日の翌日の午前零時までの間は,すべて中央標準時より一時間進めた時刻(夏時刻)を用いるものとする。但し,特に中央標準時によることを定めた場合は,この限りでない。

第二条 五月の第一土曜日の翌日(日曜日)は二十三時間をもつて一日とし,九月の第二土曜日は二十五時間をもつて一日とする。
2 夏時刻の期間中のその他の日はすべて二十四時間をもつて一日とする。

第三条 この法律の施行に際し,時間の計算に関する他の法律の規定の適用について必要な事項は,政令で,これを定める。

附則

この法律は,公布の日〈昭和23年4月28日〉から,これを施行する。

夏時刻法を廃止する法律

夏時刻法(昭和二十三年法律第二十九号)は,廃止する。

附則

この法律は,公布の日〈昭和27年4月11日〉からこれを施行する。

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町村で全国初の通年議会制の実施について

2008-05-26 22:25:58 | Weblog
asahi.com 北海道白老町,「通年議会」に 町村では全国初

 「町村では全国初」とあるが,市で実施しているところがあるのだろうか。

 地方自治法第102条第2項には「定例会は,毎年,条例で定める回数これを招集しなければならない。」とある。これを受けるかたちで,「白老町議会の定例会の回数を定める条例」には「白老町議会の定例会の回数は,年4回とする。」とあった。
地方自治法第102条第6項には「普通地方公共団体の議会の会期及びその延長並びにその開閉に関する事項は,議会がこれを定める。」とある。年4回の定例会の会期を議会の中断期間がないように定めれば,実質的には通年議会となるが ^^; ,記事には,概略,通年議会制実施に係る条例を可決,とある。
ある報道によれば,議員報酬の増大を懸念し,議員定数の削減検討を条件に賛同した会派もあるようだ。通年議会制については,議員報酬の問題のほか,国会の常設制と同様,行政能率の低下といった問題点を指摘する向きもある。

なお,平成16年改正前の地方自治法第102条第2項には「定例会は,毎年,四回以内において条令で定める回数これを招集しなければならない。」とあった。

白老町 平成20年の議会関連新聞記事 通年議会


地方自治法の関連条文

第一条  この法律は,地方自治の本旨に基いて,地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱を定め,併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより,地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに,地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とする。

第百一条  普通地方公共団体の議会は,普通地方公共団体の長がこれを招集する。
2  議長は,議会運営委員会の議決を経て,当該普通地方公共団体の長に対し,会議に付議すべき事件を示して臨時会の招集を請求することができる。
3  議員の定数の四分の一以上の者は,当該普通地方公共団体の長に対し,会議に付議すべき事件を示して臨時会の招集を請求することができる。
4  前二項の規定による請求があつたときは,当該普通地方公共団体の長は,請求のあつた日から二十日以内に臨時会を招集しなければならない。
5  招集は,開会の日前,都道府県及び市にあつては七日,町村にあつては三日までにこれを告示しなければならない。ただし,緊急を要する場合は,この限りでない。

第百二条  普通地方公共団体の議会は,定例会及び臨時会とする。
2  定例会は,毎年,条例で定める回数これを招集しなければならない。
3  臨時会は,必要がある場合において,その事件に限りこれを招集する。
4  臨時会に付議すべき事件は,普通地方公共団体の長があらかじめこれを告示しなければならない。
5  臨時会の開会中に緊急を要する事件があるときは,前二項の規定にかかわらず,直ちにこれを会議に付議することができる。
6  普通地方公共団体の議会の会期及びその延長並びにその開閉に関する事項は,議会がこれを定める。

第百十二条  普通地方公共団体の議会の議員は,議会の議決すべき事件につき,議会に議案を提出することができる。但し,予算については,この限りでない。
2  前項の規定により議案を提出するに当たつては,議員の定数の十二分の一以上の者の賛成がなければならない。
3  第一項の規定による議案の提出は,文書を以てこれをしなければならない。

第百十三条  普通地方公共団体の議会は,議員の定数の半数以上の議員が出席しなければ,会議を開くことができない。但し,第百十七条の規定による除斥のため半数に達しないとき,同一の事件につき再度招集してもなお半数に達しないとき,又は招集に応じても出席議員が定数を欠き議長において出席を催告してもなお半数に達しないとき若しくは半数に達してもその後半数に達しなくなつたときは,この限りでない。

第百十四条  普通地方公共団体の議会の議員の定数の半数以上の者から請求があるときは,議長は,その日の会議を開かなければならない。この場合において議長がなお会議を開かないときは,第百六条第一項又は第二項の例による。
2  前項の規定により会議を開いたとき,又は議員中に異議があるときは,議長は,会議の議決によらない限り,その日の会議を閉じ又は中止することができない。

第百十九条  会期中に議決に至らなかつた事件は,後会に継続しない。

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恋愛目的ではないストーカーのようなメールの送信について

2008-05-25 20:36:46 | Weblog
毎日jp ストーカー:メール送信隠し警察に被害捜査依頼 下山判事

 恋愛目的ではないからストーカー規制法で禁じられる違法行為の構成要件に該当しないと供述しているとのこと。
ストーカー規制法第2条第2項には「この法律において「ストーカー行為」とは,同一の者に対し,つきまとい等(前項第一号から第四号までに掲げる行為については,身体の安全,住居等の平穏若しくは名誉が害され,又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすることをいう。」とあり,同第1項の柱書には「この法律において「つきまとい等」とは,特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で,当該特定の者又はその配偶者,直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し,次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。」とある。
恋愛目的ではないが本当だとしても,供述の「かわいくて,娘のように思っていた」や,メールにあるという「明日会えるかな」や「今度いつ会えるのかな」は,「その他の好意の感情」の徴表といってよいのでは。次に問題になるのは,十数回にわたったメール送信が,具体的に第1条の何号に該当するか。
なお,警察の警告は被害者の警告を求める旨の申出を待っておこなわれる(ストーカー規制法第4条第1項参照)。

最後になったが,ストーカー被害に遭って困っている方は,臆せず「♯9110」に電話を。

警察庁 ストーカー規制法について


「ストーカー行為等の規制等に関する法律」の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,ストーカー行為を処罰する等ストーカー行為等について必要な規制を行うとともに,その相手方に対する援助の措置等を定めることにより,個人の身体,自由及び名誉に対する危害の発生を防止し,あわせて国民の生活の安全と平穏に資することを目的とする。 

(定義)
第二条  この法律において「つきまとい等」とは,特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で,当該特定の者又はその配偶者,直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し,次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
一  つきまとい,待ち伏せし,進路に立ちふさがり,住居,勤務先,学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし,又は住居等に押し掛けること。
二  その行動を監視していると思わせるような事項を告げ,又はその知り得る状態に置くこと。
三  面会,交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
四  著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
五  電話をかけて何も告げず,又は拒まれたにもかかわらず,連続して,電話をかけ若しくはファクシミリ装置を用いて送信すること。
六  汚物,動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し,又はその知り得る状態に置くこと。
七  その名誉を害する事項を告げ,又はその知り得る状態に置くこと。
八  その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き,又はその性的羞恥心を害する文書,図画その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置くこと。
2  この法律において「ストーカー行為」とは,同一の者に対し,つきまとい等(前項第一号から第四号までに掲げる行為については,身体の安全,住居等の平穏若しくは名誉が害され,又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすることをいう。

(つきまとい等をして不安を覚えさせることの禁止)
第三条  何人も,つきまとい等をして,その相手方に身体の安全,住居等の平穏若しくは名誉が害され,又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせてはならない。

(警告)
第四条  警視総監若しくは道府県警察本部長又は警察署長(以下「警察本部長等」という。)は,つきまとい等をされたとして当該つきまとい等に係る警告を求める旨の申出を受けた場合において,当該申出に係る前条の規定に違反する行為があり,かつ,当該行為をした者が更に反復して当該行為をするおそれがあると認めるときは,当該行為をした者に対し,国家公安委員会規則で定めるところにより,更に反復して当該行為をしてはならない旨を警告することができる。
2  一の警察本部長等が前項の規定による警告(以下「警告」という。)をした場合には,他の警察本部長等は,当該警告を受けた者に対し,当該警告に係る前条の規定に違反する行為について警告又は第六条第一項の規定による命令をすることができない。
3  警察本部長等は,警告をしたときは,速やかに,当該警告の内容及び日時その他当該警告に関する事項で国家公安委員会規則で定めるものを都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)に報告しなければならない。
4  前三項に定めるもののほか,第一項の申出の受理及び警告の実施に関し必要な事項は,国家公安委員会規則で定める。

(禁止命令等)
第五条  公安委員会は,警告を受けた者が当該警告に従わずに当該警告に係る第三条の規定に違反する行為をした場合において,当該行為をした者が更に反復して当該行為をするおそれがあると認めるときは,当該行為をした者に対し,国家公安委員会規則で定めるところにより,次に掲げる事項を命ずることができる。
一  更に反復して当該行為をしてはならないこと。
二  更に反復して当該行為が行われることを防止するために必要な事項
2  公安委員会は,前項の規定による命令(以下「禁止命令等」という。)をしようとするときは,行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第十三条第一項 の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず,聴聞を行わなければならない。
3  前二項に定めるもののほか,禁止命令等の実施に関し必要な事項は,国家公安委員会規則で定める。

(仮の命令)
第六条  警察本部長等は,第四条第一項の申出を受けた場合において,当該申出に係る第三条の規定に違反する行為(第二条第一項第一号に掲げる行為に係るものに限る。)があり,かつ,当該行為をした者が更に反復して当該行為をするおそれがあると認めるとともに,当該申出をした者の身体の安全,住居等の平穏若しくは名誉が害され,又は行動の自由が著しく害されることを防止するために緊急の必要があると認めるときは,当該行為をした者に対し,行政手続法第十三条第一項 の規定にかかわらず,聴聞又は弁明の機会の付与を行わないで,国家公安委員会規則で定めるところにより,更に反復して当該行為をしてはならない旨を命ずることができる。
2  一の警察本部長等が前項の規定による命令(以下「仮の命令」という。)をした場合には,他の警察本部長等は,当該仮の命令を受けた者に対し,当該仮の命令に係る第三条の規定に違反する行為について警告又は仮の命令をすることができない。
3  仮の命令の効力は,仮の命令をした日から起算して十五日とする。
4  警察本部長等は,仮の命令をしたときは,直ちに,当該仮の命令の内容及び日時その他当該仮の命令に関する事項で国家公安委員会規則で定めるものを公安委員会に報告しなければならない。
5  公安委員会は,前項の規定による報告を受けたときは,当該報告に係る仮の命令があった日から起算して十五日以内に,意見の聴取を行わなければならない。
6  行政手続法第三章第二節 (第二十八条を除く。)の規定は,公安委員会が前項の規定による意見の聴取(以下「意見の聴取」という。)を行う場合について準用する。この場合において,同法第十五条第一項 中「聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて」とあるのは,「速やかに」と読み替えるほか,必要な技術的読替えは,政令で定める。
7  公安委員会は,仮の命令に係る第三条の規定に違反する行為がある場合において,意見の聴取の結果,当該仮の命令が不当でないと認めるときは,行政手続法第十三条第一項 の規定及び前条第二項の規定にかかわらず,聴聞を行わないで禁止命令等をすることができる。
8  前項の規定により禁止命令等をしたときは,仮の命令は,その効力を失う。
9  公安委員会は,第七項に規定する場合を除き,意見の聴取を行った後直ちに,仮の命令の効力を失わせなければならない。
10  仮の命令を受けた者の所在が不明であるため第六項において準用する行政手続法第十五条第三項 の規定により意見の聴取の通知を行った場合の当該仮の命令の効力は,第三項の規定にかかわらず,当該仮の命令に係る意見の聴取の期日までとする。
11  前各項に定めるもののほか,仮の命令及び意見の聴取の実施に関し必要な事項は,国家公安委員会規則で定める

(警察本部長等の援助等)
第七条  警察本部長等は,ストーカー行為又は第三条の規定に違反する行為(以下「ストーカー行為等」という。)の相手方から当該ストーカー行為等に係る被害を自ら防止するための援助を受けたい旨の申出があり,その申出を相当と認めるときは,当該相手方に対し,当該ストーカー行為等に係る被害を自ら防止するための措置の教示その他国家公安委員会規則で定める必要な援助を行うものとする。
2  警察本部長等は,前項の援助を行うに当たっては,関係行政機関又は関係のある公私の団体と緊密な連携を図るよう努めなければならない。
3  警察本部長等は,第一項に定めるもののほか,ストーカー行為等に係る被害を防止するための措置を講ずるよう努めなければならない。
4  第一項及び第二項に定めるもののほか,第一項の申出の受理及び援助の実施に関し必要な事項は,国家公安委員会規則で定める。

(国,地方公共団体,関係事業者等の支援)
第八条  国及び地方公共団体は,ストーカー行為等の防止に関する啓発及び知識の普及,ストーカー行為等の相手方に対する支援並びにストーカー行為等の防止に関する活動等を行っている民間の自主的な組織活動の支援に努めなければならない。
2  ストーカー行為等に係る役務の提供を行った関係事業者は,当該ストーカー行為等の相手方からの求めに応じて,当該ストーカー行為等が行われることを防止するための措置を講ずること等に努めるものとする。
3  ストーカー行為等が行われている場合には,当該ストーカー行為等が行われている地域の住民は,当該ストーカー行為等の相手方に対する援助に努めるものとする。

(罰則)
第十三条  ストーカー行為をした者は,六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2  前項の罪は,告訴がなければ公訴を提起することができない。

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過去最多を更新した労働相談件数について

2008-05-24 20:27:50 | Weblog
労働相談、過去最多の19万件・「いじめ」増加 NIKKEI NET

 個別労働関係紛争解決促進法の施行は,平成13年10月1日。

 個別労働関係紛争解決促進法第1条には「この法律は,労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争(労働者の募集及び採用に関する事項についての個々の求職者と事業主との間の紛争を含む。以下「個別労働関係紛争」という。)について,あっせんの制度を設けること等により,その実情に即した迅速かつ適正な解決を図ることを目的とする。」とある。
同第4条第3項には「事業主は,労働者が第一項の援助(管理人註:「個別労働関係紛争の解決に係る援助」のこと)を求めたことを理由として,当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。」とある。「労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争」には,男女均等取扱い等々,労働問題に関するあらゆる紛争が含まれる。悩みがある場合は臆せず利用したい。
なお,ご存じのとおり,労働契約に係る基本ルールを定めた労働契約法が本年3月1日から施行されている。

厚労省 個別労働紛争の解決の促進のために

裁判所 労働審判手続

厚労省 労働契約法がスタート! ~平成20年3月1日施行~


「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争(労働者の募集及び採用に関する事項についての個々の求職者と事業主との間の紛争を含む。以下「個別労働関係紛争」という。)について,あっせんの制度を設けること等により,その実情に即した迅速かつ適正な解決を図ることを目的とする。

(紛争の自主的解決)
第二条  個別労働関係紛争が生じたときは,当該個別労働関係紛争の当事者は,早期に,かつ,誠意をもって,自主的な解決を図るように努めなければならない。

(労働者,事業主等に対する情報提供等)
第三条  都道府県労働局長は,個別労働関係紛争を未然に防止し,及び個別労働関係紛争の自主的な解決を促進するため,労働者,求職者又は事業主に対し,労働関係に関する事項並びに労働者の募集及び採用に関する事項についての情報の提供,相談その他の援助を行うものとする。

(当事者に対する助言及び指導)
第四条  都道府県労働局長は,個別労働関係紛争(労働関係調整法 (昭和二十一年法律第二十五号)第六条 に規定する労働争議に当たる紛争及び特定独立行政法人等の労働関係に関する法律 (昭和二十三年法律第二百五十七号)第二十六条第一項 に規定する紛争を除く。)に関し,当該個別労働関係紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には,当該個別労働関係紛争の当事者に対し,必要な助言又は指導をすることができる。
2  都道府県労働局長は,前項に規定する助言又は指導をするため必要があると認めるときは,広く産業社会の実情に通じ,かつ,労働問題に関し専門的知識を有する者の意見を聴くものとする。
3  事業主は,労働者が第一項の援助を求めたことを理由として,当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

(あっせんの委任)
第五条  都道府県労働局長は,前条第一項に規定する個別労働関係紛争(労働者の募集及び採用に関する事項についての紛争を除く。)について,当該個別労働関係紛争の当事者(以下「紛争当事者」という。)の双方又は一方からあっせんの申請があった場合において当該個別労働関係紛争の解決のために必要があると認めるときは,紛争調整委員会にあっせんを行わせるものとする。
2  前条第三項の規定は,労働者が前項の申請をした場合について準用する。

(委員会の設置)
第六条  都道府県労働局に,紛争調整委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2  委員会は,前条第一項のあっせんを行う機関とする。

(委員会の組織)
第七条  委員会は,三人以上政令で定める人数以内の委員をもって組織する。
2  委員は,学識経験を有する者のうちから,厚生労働大臣が任命する。
3  委員会に会長を置き,委員の互選により選任する。
4  会長は会務を総理する。
5  会長に事故があるときは,委員のうちからあらかじめ互選された者がその職務を代理する。

(委員の任期等)
第八条  委員の任期は,二年とする。ただし,補欠の委員の任期は,前任者の残任期間とする。
2  委員は,再任されることができる。
3  委員は,後任の委員が任命されるまでその職務を行う。
4  委員は,非常勤とする。

(委員の欠格条項)
第九条  次の各号のいずれかに該当する者は,委員となることができない。
一  破産者で復権を得ないもの
二  禁錮以上の刑に処せられ,その執行を終わり,又はその執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
2  委員が前項各号のいずれかに該当するに至ったときは,当然失職する。

(委員の解任)
第十条  厚生労働大臣は,委員が次の各号のいずれかに該当するときは,その委員を解任することができる。
一  心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二  職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認められるとき。

(会議及び議決)
第十一条  委員会の会議は,会長が招集する。
2  委員会は,会長又は第七条第五項の規定により会長を代理する者のほか,委員の過半数が出席しなければ,会議を開き,議決をすることができない。
3  委員会の議事は,出席者の過半数をもって決する。可否同数のときは,会長が決する。

(あっせん)
第十二条  委員会によるあっせんは,委員のうちから会長が事件ごとに指名する三人のあっせん委員によって行う。
2  あっせん委員は,紛争当事者間をあっせんし,双方の主張の要点を確かめ,実情に即して事件が解決されるように努めなければならない。

第十三条  あっせん委員は,紛争当事者から意見を聴取するほか,必要に応じ,参考人から意見を聴取し,又はこれらの者から意見書の提出を求め,事件の解決に必要なあっせん案を作成し,これを紛争当事者に提示することができる。
2  前項のあっせん案の作成は,あっせん委員の全員一致をもって行うものとする。

第十四条  あっせん委員は,紛争当事者からの申立てに基づき必要があると認めるときは,当該委員会が置かれる都道府県労働局の管轄区域内の主要な労働者団体又は事業主団体が指名する関係労働者を代表する者又は関係事業主を代表する者から当該事件につき意見を聴くものとする。

第十五条  あっせん委員は,あっせんに係る紛争について,あっせんによっては紛争の解決の見込みがないと認めるときは,あっせんを打ち切ることができる。

(時効の中断)
第十六条  前条の規定によりあっせんが打ち切られた場合において,当該あっせんの申請をした者がその旨の通知を受けた日から三十日以内にあっせんの目的となった請求について訴えを提起したときは,時効の中断に関しては,あっせんの申請の時に,訴えの提起があったものとみなす。

(資料提供の要求等)
第十七条  委員会は,当該委員会に係属している事件の解決のために必要があると認めるときは,関係行政庁に対し,資料の提供その他必要な協力を求めることができる。

(あっせん状況の報告)
第十八条  委員会は,都道府県労働局長に対し,厚生労働省令で定めるところにより,あっせんの状況について報告しなければならない。

(厚生労働省令への委任)
第十九条  この法律に定めるもののほか,委員会及びあっせんの手続に関し必要な事項は,厚生労働省令で定める。

(地方公共団体の施策等)
第二十条  地方公共団体は,国の施策と相まって,当該地域の実情に応じ,個別労働関係紛争を未然に防止し,及び個別労働関係紛争の自主的な解決を促進するため,労働者,求職者又は事業主に対する情報の提供,相談,あっせんその他の必要な施策を推進するように努めるものとする。
2  国は,地方公共団体が実施する前項の施策を支援するため,情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。
3  第一項の施策として,地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第百八十条の二 の規定に基づく都道府県知事の委任を受けて都道府県労働委員会が行う場合には,中央労働委員会は,当該都道府県労働委員会に対し,必要な助言又は指導をすることができる。

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量刑検索システムの運用スタートについて

2008-05-23 22:10:44 | Weblog
量刑のバラツキ防止,裁判員制度へ「検索システム」稼働 YOMIURI ONLINE

 裁判員制度のキャッチフレーズは「私の視点,私の感覚,私の言葉で参加します。」だが,模擬裁判に参加した市民からは量刑判断の目安になる資料を求める声が相次いでいた。
このデータベース,裁判員の不安を解消するという意味では有益な資料となろう。しかし,事件そのものよりデータベースの方に気をとられるようでは本末転倒。「裁判員要らず」などといわれないよう,利用には注意が必要だ。
検察官や弁護士も利用できるというのもちょっと気になる点。「出来レース」などと揶揄されなければいいが。

裁判員制度 ~平成21年5月21日スタート!!~


「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」の関連条文

(趣旨)
第一条  この法律は,国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することにかんがみ,裁判員の参加する刑事裁判に関し,裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)及び刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の特則その他の必要な事項を定めるものとする。

(対象事件及び合議体の構成)
第二条  地方裁判所は,次に掲げる事件については,次条の決定があった場合を除き,この法律の定めるところにより裁判員の参加する合議体が構成された後は,裁判所法第二十六条の規定にかかわらず,裁判員の参加する合議体でこれを取り扱う。
一  死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件
二  裁判所法第二十六条第二項第二号に掲げる事件であって,故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの(前号に該当するものを除く。)
2  前項の合議体の裁判官の員数は三人,裁判員の員数は六人とし,裁判官のうち一人を裁判長とする。ただし,次項の決定があったときは,裁判官の員数は一人,裁判員の員数は四人とし,裁判官を裁判長とする。
3  第一項の規定により同項の合議体で取り扱うべき事件(以下「対象事件」という。)のうち,公判前整理手続による争点及び証拠の整理において公訴事実について争いがないと認められ,事件の内容その他の事情を考慮して適当と認められるものについては,裁判所は,裁判官一人及び裁判員四人から成る合議体を構成して審理及び裁判をする旨の決定をすることができる。
4  裁判所は,前項の決定をするには,公判前整理手続において,検察官,被告人及び弁護人に異議のないことを確認しなければならない。
5  第三項の決定は,第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の期日までにしなければならない。
6  地方裁判所は,第三項の決定があったときは,裁判所法第二十六条第二項の規定にかかわらず,当該決定の時から第三項に規定する合議体が構成されるまでの間,一人の裁判官で事件を取り扱う。
7  裁判所は,被告人の主張,審理の状況その他の事情を考慮して,事件を第三項に規定する合議体で取り扱うことが適当でないと認めたときは,決定で,同項の決定を取り消すことができる。

(裁判官及び裁判員の権限)
第六条  第二条第一項の合議体で事件を取り扱う場合において,刑事訴訟法第三百三十三条の規定による刑の言渡しの判決,同法第三百三十四条の規定による刑の免除の判決若しくは同法第三百三十六条の規定による無罪の判決又は少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第五十五条の規定による家庭裁判所への移送の決定に係る裁判所の判断(次項第一号及び第二号に掲げるものを除く。)のうち次に掲げるもの(以下「裁判員の関与する判断」という。)は,第二条第一項の合議体の構成員である裁判官(以下「構成裁判官」という。)及び裁判員の合議による。
一  事実の認定
二  法令の適用
三  刑の量定
2  前項に規定する場合において,次に掲げる裁判所の判断は,構成裁判官の合議による。
一  法令の解釈に係る判断
二  訴訟手続に関する判断(少年法第五十五条の決定を除く。)
三  その他裁判員の関与する判断以外の判断
3  裁判員の関与する判断をするための審理は構成裁判官及び裁判員で行い,それ以外の審理は構成裁判官のみで行う。

(裁判員の職権行使の独立)
第八条  裁判員は,独立してその職権を行う。

(裁判員の義務)
第九条  裁判員は,法令に従い公平誠実にその職務を行わなければならない。
2  裁判員は,第七十条第一項に規定する評議の秘密その他の職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。
3  裁判員は,裁判の公正さに対する信頼を損なうおそれのある行為をしてはならない。4  裁判員は,その品位を害するような行為をしてはならない。

(評議)
第六十六条  第二条第一項の合議体における裁判員の関与する判断のための評議は,構成裁判官及び裁判員が行う。
2  裁判員は,前項の評議に出席し,意見を述べなければならない。
3  裁判長は,必要と認めるときは,第一項の評議において,裁判員に対し,構成裁判官の合議による法令の解釈に係る判断及び訴訟手続に関する判断を示さなければならない。
4  裁判員は,前項の判断が示された場合には,これに従ってその職務を行わなければならない。
5  裁判長は,第一項の評議において,裁判員に対して必要な法令に関する説明を丁寧に行うとともに,評議を裁判員に分かりやすいものとなるように整理し,裁判員が発言する機会を十分に設けるなど,裁判員がその職責を十分に果たすことができるように配慮しなければならない。

(評決)
第六十七条  前条第一項の評議における裁判員の関与する判断は,裁判所法第七十七条の規定にかかわらず,構成裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見による。
2  刑の量定について意見が分かれ,その説が各々,構成裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見にならないときは,その合議体の判断は,構成裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見になるまで,被告人に最も不利な意見の数を順次利益な意見の数に加え,その中で最も利益な意見による。

(構成裁判官による評議)
第六十八条  構成裁判官の合議によるべき判断のための評議は,構成裁判官のみが行う。
2  前項の評議については,裁判所法第七十五条第一項及び第二項前段,第七十六条並びに第七十七条の規定に従う。
3  構成裁判官は,その合議により,裁判員に第一項の評議の傍聴を許し,第六条第二項各号に掲げる判断について裁判員の意見を聴くことができる。

(評議の秘密)
第七十条  構成裁判官及び裁判員が行う評議並びに構成裁判官のみが行う評議であって裁判員の傍聴が許されたものの経過並びにそれぞれの裁判官及び裁判員の意見並びにその多少の数(以下「評議の秘密」という。)については,これを漏らしてはならない。
2  前項の場合を除き,構成裁判官のみが行う評議については,裁判所法第七十五条第二項後段の規定に従う。

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